涼 し 14    200句

涼しさや行燈消えて水の音    正岡子規

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
星涼し小さき橋もつ姉の家 師岡洋子 ぐろっけ 201311
整へて松かろがろと月涼し 渡辺絹代 末黒野 201311
暑いから涼しいことのありさうな 後藤立夫 ホトトギス 201311
閻魔堂の小暗きところ涼しけれ 雨村敏子 201311
士官涼し二人の時も歩を揃へ 鳳蛮華 201311
涼風の涼しいところ選び吹く 後藤立夫 ホトトギス 201311
涼しさや京には多き女坂 松田都青 京鹿子 201311
涼しさは弥陀三尊の後光より 西村しげ子 雨月 201311
涼しき灯つみ重ねられビルディング 池田かよ ぐろっけ 201311
龍馬像胸をはだけて波涼し 安岡みさき 万象 201311
蛇といふ涼しきからだ泳ぐなり 林昭太郎 201311
欄干にもたれお伝え橋涼し 坂入妙香 春燈 201311
涼しきは銀山坑夫の切羽跡 岩崎可代子 ぐろっけ 201311
湧き水に苔洗はれて秋涼し 田中清秀 かさね 201311
別るるも逢ふも涼しき眼を交はす 押田裕見子 201311
施薬寺に蕪村の屏風涼しかり 田中佐知子 風土 201311
百人の僧の勤行朝涼し 岡田史女 末黒野 201311
水底に魚影ちらり里涼し 野村鞆枝 京鹿子 201311
星涼し汐汲浜を舟離り 田中佐知子 風土 201311
三十二度涼しと思ふ気象とや 戸辺信重 春燈 201311
細格子残る古民家土間涼し 荒木治代 ぐろっけ 201311
灯の涼し波にまかせて屋形船 辻井ミナミ 末黒野 201311
蔵茶房上がり框の土間涼し 辻知代子 201311
考ふること何もなき涼しさよ 中杉隆世 ホトトギス 201311
天辺も奈落も見えず滝涼し 古賀しぐれ ホトトギス 201311
古書街に涼しき金の背文字かな 近藤幸三郎 風土 201311
ベイブリッジ潜る船上波涼し 北郷和顔 末黒野 201311
朝涼し鳥はピイピイ鳴きかはす 伊藤更正 やぶれ傘 201312
吾が句碑に隣る簪塚涼し 瀧春一 花石榴 201312
淡墨のかすれ涼しき継色紙 金田けいし ろんど 201312
先生の隣に坐る涼しさよ 雨村敏子 201312
海涼し方三間の五大堂 國保八江 やぶれ傘 201312
涼しさや墨の香りに満つ写経 野村鞆枝 京鹿子 201312
涼しさへ落ちてゆきたる夕日かな 湖東紀子 ホトトギス 201312
涼しき声きくところまで白昼夢 藤丸誠旨 春燈 201312
回廊の幽かな軋み風涼し 石黒興平 末黒野 201312
秋涼し水琴窟に耳を当つ 和田勝信 かさね 201312
失ひし刻を涼しく思ひをり 中杉隆世 ホトトギス 201312
防人の碑の立つ森の涼しさよ 吉村摂護 201312
風よりも涼しく彼の待つてをり 須藤常央 ホトトギス 201312
飛火野の果ての果てより星涼し 今橋眞理子 ホトトギス 201312
白山を咫尺に星の風涼し 藤浦昭代 ホトトギス 201312
佐比売野の星と語れる句碑涼し 河野美奇 ホトトギス 201312
奈良老舗涼し墨の香木彫の香 古賀しぐれ ホトトギス 201312
国宝に住みたたら師の裔涼し 宮原悦子 雨月 201312
倒れ木も朽木もありて沢涼し 中杉隆世 ホトトギス 201312
淡墨のかすれ涼しき継色紙 金田けいし ろんど 201312
一本の大樹涼しき厨かな 志方章子 六花 201312
駿河湾望む御廟所秋涼し 内藤庫江 末黒野 201401
旅涼し白樺林つづりつつ 安原葉 ホトトギス 201401
家郷とは涼しき父と母の居て 水谷文謝子 雨月 201401
夏涼しみんなが居ないこの畠 長沼佐智 船団 201401
晩鐘につと腰伸ばす秋涼し 菊谷潔 六花 201401
さんずいの一筆書の涼しかり 本田和子 201401
大仏に心塗りつぶされ涼し 木暮陶句郎 ホトトギス 201402
繙けば疑問解決月涼し 西和子 ぐろっけ 201402
流れくる昔の時間堂涼し 木暮陶句郎 ホトトギス 201402
カクテルや火照りの頬に風涼し 森下康子 201402
橋涼し宇宙と対話する如く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
吹き渡る風の涼しさ全身に 稲畑汀子 ホトトギス 201405
かの日々を知る者同志露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201405
その命惜しむ涼しき灯の下に 稲畑汀子 ホトトギス 201405
会場の灯の涼しさに加はりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201405
皆一つ年を重ねて露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201405
次々と揃ふ人数涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 201405
真砂女師の思ひ出確と灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
大玻璃に俯瞰の湖の涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201406
総会を涼しき声の司る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
景涼し天使になつた心地して 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
恵那峡に辿り着きたる涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201406
虚子も来し曽遊地と聞く涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201406
人悼む心の旅路露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201406
蕉像に涼しく祈る元少女 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
汗涼しヘアピンカーブ続く帰路 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
萱葺きの涼しく手入されてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
露涼しやつと運転代りくれ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
涼しさを纏ひたるより高階に 稲畑汀子 ホトトギス 201406
主婦となり先生となり露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201406
東より西より集ひ露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201406
運転の枷を解かれし涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201406
地下壕の吊し電球涼しかり 能村研三 201407
結局は涼しき笑顔もて応ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201407
草原の命を渡る風涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201407
橋涼し宇宙と対話する如く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
旧友に会へざることも涼しさと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
新しき仲間の増えて会涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201407
よき返事とはならざるも涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201407
涼しさや常葉樹の守る西念寺 井上石動 あを 201407
涼しさに気づき会話の弾みけり 稲畑汀子 ホトトギス 201407
涼しさといへる油断のありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201407
癒えられしことの涼しき明るさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201407
旅立の涼しき笑顔揃ひたる 稲畑汀子 ホトトギス 201407
受け応へはきはきとして涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201407
木の神秘涼しく説いてをられけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
すだれ編む音の涼しき江東区 神蔵器 風土 201407
手に取りて木曽の檜の椀涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
若者に逡巡はなし露涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201407
若者に涼しく学ぶ大広間 稲畑汀子 ホトトギス 201407
若かりし頃の仲間として涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201407
鹿せんべい涼しく狙ふ瞳かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
紙そろばんてふ涼しきもののありし旅 田所節子 201407
武蔵野の俤今に露涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
残し来し仕事涼しく忘れたく 稲畑汀子 ホトトギス 201407
三日間佳人に案内され涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
蝉涼し平城京の風に触れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
見し歌舞伎四谷怪談汗涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201407
古都の夜の旅寝涼しくありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201407
一稿を書き終へしこと涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201407
この上のなき涼しさよ飛沫浴び 大橋晄 雨月 201408
石積みの高きは涼し武家屋敷 大森三保子 馬醉木 201408
星涼し発祥のもの多き地の 甲州千草 201408
星涼し絵本の姫に窓ひとつ すずき巴里 ろんど 201408
京の街を見渡す寺院風涼し 中川すみ子 201408
城の道登れば下る汗涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201408
駅にある点字運賃表涼し 柴田久子 風土 201408
涼しさや今朝の芭蕉のくるぶしに 小峯綾子 風土 201408
旅立つや魚の泪の涼しかり 神蔵器 風土 201408
琵琶の絵馬掲げ龍安寺の涼し 大橋晄 雨月 201408
樹下涼し客待つ朝馬水を呑む 伊藤純子 201408
明星へ弓張る月の涼しかり 北尾章郎 201408
いつぬきし指の穂草よ涼しくて 丸山佳子 京鹿子 201408
復帰せし人の涼しき笑顔かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201408
髪切つて涼しき風の車椅子 藤丸誠旨 春燈 201408
青竹の切口涼し清正井 近藤暁代 馬醉木 201408
南風涼し子午線を守る街を行く 橋本靖子 201408
堂涼しお灸のごとく近江富士 山田六甲 六花 201408
靴脱いでたちまち涼し浮御堂 山田六甲 六花 201408
灯明に浮かぶ神将堂涼し 国包澄子 201408
高野切の余白涼しき流れあり 岩下芳子 201408
更紗干せる工房の土間風涼し 伊藤純子 201408
庭風の涼しさにもてなされをり 橋添やよひ 風土 201408
ふるさとの訛涼しや泊雲句 塩路隆子 201408
みなとみらい天へ涼しく灯を積んで 田所節子 201408
一瞬の姉さん被り風涼し 赤座典子 あを 201408
竹琴の音色涼しや四葩膳 井口淳子 201408
光太郎の凛たる遺墨涼しかり 大畑善昭 201409
朝涼し仏花ですからていねいに 辻水音 201409
ひと駅を歩いて帰る月涼し 溝渕弘志 六花 201409
旦子真砂女の面影いまも涼しけれ 安立公彦 春燈 201409
見るみるに似顔絵となり涼しけれ 大石よし子 雨月 201409
大正の振子時計の音涼し 小川玉泉 末黒野 201409
打出しは考へ落ちや橋涼し 鳥居美智子 ろんど 201409
奏楽殿奥に涼しく孔雀飼ふ 半田稜 ろんど 201409
なりはひの書をみな棄てし涼しさよ 長谷英夫 馬醉木 201409
句碑の辺のことに涼しき鳶の笛 木村傘休 春燈 201409
星涼し密漁船の走り去る 小田里己 201409
星涼し父は百歳カレー好き 粟津さくら 201409
星涼し妻二杯目のロゼワイン 松本三千夫 末黒野 201409
小学唱歌の文語体なる涼しさよ 千田百里 201409
甕酒を封切る夕べ風涼し 塩路隆子 201409
ただ弥陀を頼めと涼し本願寺 密門令子 雨月 201409
歪みある校庭映画夕涼し 能村研三 201409
老僧のひらりひらりと来て涼し 高倉和子 201409
祝婚や涼しき距離の始まれり 島田浩美 201409
涼しさや庭まで匂ふ青畳 宮井知英 201409
涼しさや参内近きタキシード 樋口みのぶ 201409
涼しさや記紀の風吹く寝釈迦山 すずき巴里 ろんど 201409
涼しさや「仏日庵」の時宗公 井口ふみ緒 風土 201409
涼しかり明恵上人樹上禅 神蔵器 風土 201409
螺子巻けば鳴るオルゴール館涼し 坂上香菜 201409
野面積みの間よりひそか苔涼し 酒本八重 201409
花替へて涼しさ違ふ風の墓 小泉欣也 ろんど 201409
仮の名を涼しく灯し納骨堂 すずき巴里 ろんど 201409
仏師涼し嫁ぐ娘に彫る妹背雛 室伏みどり 雨月 201409
仏具屋の立ち並びゐる町涼し 大橋晄 雨月 201409
死神がいつも控へてゐて涼し 柴田佐知子 201409
風涼し絵地図にはないカフェテラス 辻響子 201409
葛城の高鴨神気涼しかり 山口キミコ 201409
筆塚といふ碑や露涼し 宮原悦子 雨月 201409
奥深く積まれて涼しオーク樽 湯橋喜美 201409
投影の湖の涼しき羅臼岳 土屋草子 ろんど 201409
影涼し旦子語ればなほさらに 木村傘休 春燈 201409
土間涼し太き柱の触り艶 渕田則子 末黒野 201409
一途なる女のともす灯や涼し 木村傘休 春燈 201409
チェロ奏づ乙女の指の涼しかり 鈴木静恵 春燈 201409
レモンちやん二十歳の写真星涼し 辻水音 201409
鳥を見て心を鳥にして涼し 立村霜衣 ホトトギス 201410
朝涼し妻の手をとる夢に覚め 小川玉泉 末黒野 201410
朝涼し高原の風パンの店 増田一代 201410
朝顔の絵葉書届く朝涼し 中井弘一 201410
袴涼し能面展の九郎右衛門 人見洋子 201410
古きかな農家づくりの土間涼し 羽賀恭子 201410
滝壺に落ち来る水の涼しかり 筒井八重子 六花 201410
月涼し菓子箱に猫眠りをり 大川ゆかり 201410
窓越しに受くる一礼朝涼し 森清堯 末黒野 201410
石上に涼しげに鳴く神の矮鶏 平井紀夫 201410
恐竜展骨格抜ける風涼し 中根千恵子 ろんど 201410
星涼し足に馴染める宿の下駄 加藤八重子 末黒野 201410
神仏住ふ畳の風涼し 吉村摂護 201410
観音の清らに涼し萱の御所 北村淳子 ろんど 201410
蕉翁の座像涼しき川下り 中村紀美子 春燈 201410
汗涼し天に尽きたる神の道 古賀しぐれ ホトトギス 201410
初版本入れて涼しき手提げ籠 小林成子 火星 201410
鴨川涼し河原院の大榎 北村淳子 ろんど 201410
偕老の光子修の星涼し 松本三千夫 末黒野 201410
外濠の石橋涼し古地図手に 片岡久美子 201410
六道の辻に涼しき迎鐘 横山昭子 雨月 201410
開脚の麒麟涼しく水を飲む 坂場章子 201410
露涼し少年虚子の育ちし地 大久保白村 ホトトギス 201410
蓮華座におはす菩薩の涼しかり 小松誠一 201410
涼し→15      

 

2021年8月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。