涼 し 11    200句

鴨涼し青藻一すじ背より引き    高野素十

涼し  涼気

作品
作者
掲載誌
掲載年月
涼しさや修行僧めく杉古木 木村麻利子 201009
ようこそと涼しき声の現はるる 山崎祐子 万象 201009
大護摩や僧衣涼しく並びたる 木内徴子 万象 201009
指繊きほとけに立てば涼しさよ 飛高隆夫 万象 201009
お大事に医師の笑顔や風涼し 大木清美子 201009
人生は神の遊びや風涼し 瀧青佳 ホトトギス 201009
風涼し湖一望の恋岬 木村幸 201009
賢治館ふくろふ灯の涼しかり 能村研三 201009
ころがつて来る声涼し河鹿沢 酒本八重 201009
巻き鮨のアボカドの青涼しかり 田所節子 201009
涼しき尾曳いてはやぶさ燃え尽くる 田所節子 201009
縄文の土器の線描涼しかり 鈴木浩子 201009
涼しさは十七文字の句碑辺り 鈴鹿仁 京鹿子 201009
涼しさや柾目の著き長廊下 岡野里子 末黒野 201009
舳先涼し語らつてゐる杜甫李白 中山皓雪 201009
若冲の墨絵の柳涼しかり 山本無蓋 201009
魂棚の奥より涼し風の吹く 神蔵器 風土 201009
おん指の反りの涼しき伎芸天 天野みゆき 風土 201009
湯上がりの素足に下駄の涼しかり 久永つう 六花 201009
鴛鴦涼し反り橋の影さざ波す 鈴木直枝 ろんど 201009
菩薩像の白毫涼し額づきて 松林順子 雨月 201009
眼鏡橋川面に映り風涼し 森幸 雨月 201009
ビルといふビルの灯涼し中之島 川下明子 雨月 201009
草の香の涼しさに座すベンチあり 渋谷ひろ子 酸漿 201009
隣家より涼しさ送るぶだう棚 伊藤セキ 酸漿 201009
寝返の裸涼しき幼かな 海上俊臣 酸漿 201009
流暢な日本語涼し玉売女 塩路隆子 201010
截金の扉涼しく迎賓館 粟倉昌子 201010
星涼しさらさら落ちる砂時計 安本恵子 201010
木琴の音の涼しさ打ちにけり 塩路五郎 201010
フォーク・ナイフの我流涼しく婚宴 北尾章郎 201010
朝涼し猫の身長測りけり 宮崎左智子 201010

 原爆死没者追悼祈念館

水飲み場ありて涼しき祈念館

鈴木照子 201010
ケーブルカー登りきつたる町涼し 市ヶ谷洋子 馬醉木 201010
ギヤマンの綾の正しき涼しさよ 石田阿畏子 馬醉木 201010
亭涼し潮入池に潮満ちて 木下ふみ子 馬醉木 201010
妻ともに米寿といへる涼しさよ 小野喬樹 馬醉木 201010
松並木涼し一湾渡り切り 古賀しぐれ ホトトギス 201010
近きより遠きが涼し島の青 古賀しぐれ ホトトギス 201010
百の灯を海へとこぼし宿涼し 古賀しぐれ ホトトギス 201010
はやぶさの遥かな帰還星涼し 峰尾秀之 201010
星涼し宇宙に入のゐる不思議 宮川秀穂 201010
涼しさや黙って傍に居ることも 清海信子 末黒野 201010
直角に拭いて厨の朝涼し 小田嶋野笛 末黒野 201010
縞馬のこちらを向きてより涼し 岬雪夫 201010
古書店の奥まで見えて夕涼し 大土かず子 201010
水旨し宮裏にある涼しさよ 加藤みき 201010
デジカメで拾ふ空也の声涼し 中野京子 201010
骨格の鯨一体涼しかり 岩下芳子 201010
波音の近きホテルの星涼し 中山静枝 201010
琵琶の音の涼しき平家物語 大木清美子 201010
小諸なる古城そぞろに星涼し 安立公彦 春燈 201010
蔵涼し火伏せの札を貼りかへて 都丸美陽子 春燈 201010
次の日を約せぬ別れ涼しかり 浅木ノヱ 春燈 201010
厨の灯涼しく帰り待ちにけり 浅木ノヱ 春燈 201010
常夜燈高く掲ぐる浦涼し 山下良江 万象 201010
夕涼しずんずん歩く御堂筋 島本知子 ぐろっけ 201010
橋梁の車輌を映す川涼し 有本勝 ぐろっけ 201010
骨董の集積の森涼しけれ 田中貞雄 ろんど 201010
余命涼しと死のこと忘じゐての日々 大橋敦子 雨月 201010
尺八の音色涼しき宴かな 栗山恵子 雨月 201010
庭涼し松の滴の消えて朝 井田実代子 雨月 201010
句碑涼し早池峰よりの風ありて 松井志津子 201010
池波とのみの墓石の涼しかり 佐々木よし子 201010
彼は元夜間飛行士星涼し 鳥居秀雄 201010
荒事の役者の目玉涼しかり 鈴木浩子 201010
古民家に一歩踏み入る涼しさよ 東芳子 酸漿 201010
嬬恋のキャベツ畑は風涼し 大里快子 酸漿 201010
岩屋橋渡る涼しき洞のあり 梶井和呼 酸漿 201010
公園の百年の森涼しかり 菊池由惠 酸漿 201010
ハンカチの木に青き実の涼しかり 菊池由惠 酸漿 201010
縫ひ上がる越中褌白涼し 篠田純子 あを 201010
耶馬溪の流れ涼しく團子汁 田中藤穂 あを 201010
延々とメープル街道風涼し 紀川和子 201011
ふと問うて声なき答とは涼し 水田むつみ ホトトギス 201011
貝殻の暖簾の涼し海の音 倉橋千代子 末黒野 201011
猛暑日の夕べ涼しや生き得たり 松村富子 201011
星涼しプラネタリウムに仰臥して 上谷昌憲 201011
うす闇に涼しき眼あり阿修羅像 吉田政江 201011
自性院のよごれなき風師碑涼し 望月晴美 201011
南無大師立体曼荼羅涼しかり 橋添やよひ 風土 201011
涼しさや海は見えねど海の風 島谷征良 風土 201011
摩尼車ひたに廻して涼しかり 大竹淑子 風土 201011
弘法の風てふ涼し銀閣寺 橋添やよひ 風土 201011
夫見舞ふ庭の涼しき風を持て 安永圭子 風土 201011
ふるさとの川に始まる涼しさよ 高倉恵美子 201011
吸入の酸素の沁みる肺涼し 川崎光一郎 京鹿子 201011
手渡しに新聞受くる朝涼し 岸野美知子 酸漿 201011
メタセコイア陰の涼しき民家あり 青木陽子 酸漿 201011
蹲の水音涼し昼下り 池田いつ子 酸漿 201011
夜の大雨涼しき音と聞きゐたり 伊藤一枝 酸漿 201011
館涼し目鼻素朴に縄文面 大西和子 ぐろっけ 201011
身を潔む五鈴の渚朝涼し 鈴木愛子 ぐろっけ 201011
シテ衣ミクロの舞の涼しかり 鈴木直枝 ろんど 201011
水神の涼しき風に安らぎぬ 安部和子 雨月 201011
檜の香涼し美林の木曽涼し 面足立典子 雨月 201011
涼しさや水を均して風渡り 佐伯星子 馬醉木 201012
星涼し我らたちまち宇宙人 竹下陶子 ホトトギス 201012
纏足の靴涼しとも哀しとも 後藤比奈夫 ホトトギス 201012
鈴よりも涼しき声をかけらるる 大野崇文 201012
紙漉きの町水音の涼しさよ 松田明子 201012
近道を抜け産土の鈴涼し 吉田きみえ 末黒野 201012
遠き嶺を涼しき距離で眺めゐる 松田都青 京鹿子 201012
見晴るかす志士の眼の涼しさよ 大森尚子 風土 201012
こほろぎのころころ涼し路地の奥 池田光子 201012
落日のやうやく涼し橋に風 永田勇 六花 201012
撫仏身の内過る風涼し 中里カヨ 酸漿 201012
朝顔の涼しき色のゆるるなり 大内恵 酸漿 201012
潮騒に目覚めし朝の涼しさよ 梶井和呼 酸漿 201012
夕涼し椰子の葉ずれとハワイアン 梶井和呼 酸漿 201012
寄席涼し戀の病に痩す咄 森苿明 京鹿子 201101
病む心涼しく日の出拝すかな 宮原悦子 雨月 201101
朝涼し聖堂に置く花鋏 和賀俊子 ぐろっけ 201101
大神の涼しさに居て動かれず 竹下陶子 ホトトギス 201102
風涼し衛星過ぐるパルテノン 大西まりゑ 酸漿 201102
暑きこと言はず涼しきことを言ふ 後藤比奈夫 ホトトギス 201103
鐘涼し裳階に鳩の隠し彫り 熊切修 末黒野 201104
夜は星と語る天守の灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
マウイとは花の楽園風涼し 川口利夫 ホトトギス 201105
百寿超えなほ矍鑠と涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201105
涼しさや髪の中まで潮の来て 笹村政子 初鼓 201105
橋涼しスカイツリーの見えてより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
川の水涼しく揺れてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
丸ビルを出で涼しさといふ出会 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
賀の人を涼しく迎へたる句会 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
美しき佳人の涙灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
タワーの灯青く点りて涼しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201106
歳時記を睨むあなたの目の涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
平城といふ涼しさに磴上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
道迷ふことも涼しき湖畔かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
俳聖を偲ぶ本堂灯涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
橋涼し湖見える辺りより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
虚子も来し街は涼しく開けたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
東京は嘘と言ひたき涼しさに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
除幕の日語る涼しき涙かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
旅続く果ての山陰道涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
榛名富士涼しく夕日をさめけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
初参加迎へ四十人涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
披講子は涼しき佳人ばかりかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107

 悼 桑田永子様

天上の句座に涼しき夫婦かな

稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
殿様を偲ぶ涼しき旅として 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
運転の涼し三百五十粁 稲畑汀子 ホトトギス 201107
堂涼し聖水盤の扇貝 能村研三 201107
スフィンクス像に乳首や館涼し 中島節子 ぐろっけ 201107
浮亀を吹き寄せてくる風涼し 山田六甲 六花 201107
玻璃鉢に寒天の角涼しかり 小澤菜美 201108
天を衝く起重機の下涼しかり 宇治重郎 201108
言の葉に松の涼しく和してをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
仇討を涼しく語る鼓かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
こんな日に涼しいなんて詠みますか 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
鯉涼し錦を引きて沈みたる 竹下陶子 ホトトギス 201108
涼しさや正座を解きて青畳 堀田順子 馬醉木 201108
デンキブランの涼しき色や遠き恋 三宅文子 春燈 201108
涼しさは悟りのなかの韻となり 鈴鹿仁 京鹿子 201108
明解な竿師の系図涼しかり 久染康子 201108
天蓋の涼しき闇や羅漢槙 伊藤紀子 ろんど 201108
涼しさや雄梛雌梛の影踏めり 山尾玉藻 火星 201108
喜多院の触れて涼しき羅漢かな 中村月代 末黒野 201108
節電の銀座八丁人涼し 篠田純子 あを 201108
看護師のきりりと涼し白帽子 宇治重郎 201109
水神が自慢のひとつ村涼し 坂上香菜 201109
佇めば宇治の早瀬の音涼し 藤見佳楠子 201109
早川の瀬に白波の夕涼し 大松一枝 201109
剃刀のおろしたてなる涼しさよ 吉田希望 201109
忘るるは涼しきことよ水馴れ棹 コ田千鶴子 馬醉木 201109
勤行のうなじ涼しき僧の列 野坂民子 馬醉木 201109
涼しさや千年杉の香を削り 川端正紀 春燈 201109
チャイナドレス涼しき脚をのぞかせて 峰尾秀之 201109
涼しげな扱ひにくき小鉢かな 高橋道子 201109
水落ちて垂れて涼しき日のかけら 豊田都峰 京鹿子 201109
涼しさやまつさきに聴く石のこゑ 鈴鹿仁 京鹿子 201109
石垣は野づら積みてふ城涼し 澤田澄子 末黒野 201109
墓に焚く炎天の火の涼しかり 神蔵器 風土 201109
涼しさやどこへも行かぬ墓一つ 神蔵器 風土 201109
一振りの康継(やすつぐ)薙刀涼しかり 林いづみ 風土 201109
星涼しなでしこ嬢ら走る走る 千田百里 201109
槙椎の高さ涼しき武家の墓所 田所節子 201109
風涼し寄木細工のペンダント 宮内とし子 201109
涼しさや渓川の子が両手振る 辻直美 201109
地獄谷鳥の高さに見て涼し 千田敬 201109
苔茫々滅びし者の墓涼し 森岡正作 201109
涼しさを並べてをりぬ夜店かな 松嶋一洋 201109
涼しさや頬に飛沫の川下り 大木清美子 201109
端整な西鶴像と涼しく居 磯野しをり 雨月 201109
街路樹の影を拾ひて風涼し 上原恒子 雨月 201109
一期一会阿闍梨のお加持受け涼し 尾崎みつ子 雨月 201109
捨て難き木椅子に坐せば風涼し 宮平静子 雨月 201109
寄贈本に鈴のシールの涼しかり 史あかり ぐろっけ 201109
鳩居堂涼しきかをり購へり 篠田純子 あを 201109
竹活けて独りの寝間の涼しかり 田中藤穂 あを 201109
風涼し昔のままの大きな駅舎 長崎桂子 あを 201109
母の方から涼しき風の出づるよな 篠田純子 あを 201109
詣でたる海女の涼しき束ね髪 塩路隆子 201110
ケーブルを降りれば涼し別世界 山崎真義 201110
返信の切手の星座涼しかり 田中浅子 201110
怪談に涼しさ貰ふ節電下 桂敦子 201110
風涼し色鮮やかな仏国寺 坂根宏子 201110
涼しさは一級なるよ鴨河原 北尾章郎 201110
角燈に観音の瞳の涼しかり 阪本哲弘 201110
涼しげにマリオネットの目の並ぶ 長濱順子 201110
涼し→ 12      

 

2021年8月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。