水 仙 4     220句

水仙や伏甕竝べて庭も狹に    朴魯植

水仙  黄水仙

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水仙の香に躓いてゐる思考
山田弘子
春節
199503
活けられし水仙の香に客迎へ
稲畑廣太郎
ホトトギス
199901
都恋ふるさまに打ち伏し野水仙
鷹羽狩行
199904
ほどく荷の水仙の香と分る迄
稲畑汀子
ホトトギス
200001
海に香を零し水仙揺れてをり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200001
表裏無き水仙の葉の振れよう
三嶋八千穂
ぐろっけ
200005
人の眼は一重と二重水仙花
細川知子
ぐろっけ
200105
潮風と朝日に濡るる野水仙
稲畑汀子
ホトトギス
200201
水仙の花の白さを見つめけり
吉岡妙子
ぐろっけ
200204
海昏れて水仙郷の花明かり
北畠明子
ぐろっけ
200205
野水仙この海へだてユーラシア
塩出眞一
ぐろっけ
200207
水仙の双手あげたる迎へかな
岡本眸
200302
水仙郷怒濤が花を育てをり
塩川雄三
築港
200303
本購ひに出て水仙を撰びゐる
斉藤由美子
ぐろっけ
200303

 悼差知子先生

水仙のこの道をゆくばかりなり

伊藤多恵子
火星
200305
水仙に日の当たりゐて花鋏
片渕清子
ぐろっけ
200305
砲台のありしあととや水仙花
大森春子
200403
上げ潮や水仙のよく匂ふ街
今瀬剛一
対岸
200403
水仙や命をつなぐ薬のむ
野澤泰子
対岸
200403
水仙に黒水引をかけにけり
吉田明子
200403
姉逝きて丸三年の水仙花
大野信子
草の花
200403
乃木館に碁會靜けき水仙花
池田俊二
草の花
200403
海鳴りを聞き水仙の香を放つ
塩川雄三
築港
200403
ひたむきに生きし歳月白水仙
三浦澄江
ぐろっけ
200403
水仙へふと眼をやりぬ調律師
鈴掛穂
200404
風岬わらべ塚守る野水仙
福嶋千代子
200404
水仙の気魄に圧されがちの日々
大橋敦子
雨月
200404
初弥撒や子は水仙を捧げ持ち
岡淑子
雨月
200404
岬みちの夕べを白く野水仙
岡淑子
雨月
200404
恙の師のまさきくを祈ぎ水仙花
溝内健乃
雨月
200404
黙読の視野その中の水仙花
杉本美智江
雨月
200404
地中海の島のきりぎし野水仙
江頭文子
雨月
200404
入院の荷の水仙の束なりし
伊藤多恵子
火星
200404
雪が来て水仙の揺れ止みにけり
大石芳三
火星
200404
水仙や今日の潮目のふとかりき
豊田都峰
京鹿子
200404
野水仙時化ねば隠岐島らしからず
高橋千美
京鹿子
200404
水仙の花震へをり雨の日に
鎌倉喜久恵
あを
200404
水仙をのぞき海鵜をたたせけり
蓮尾あきら
風土
200404
水仙に涙目となる風の音
荒井和昭
200404
神津島と岬の間水仙花
安部知子
帆船
200404
ふくらみて筆の穂ほどの水仙花
井出やすはる
酸漿
200404
水仙花スコアボードの影尖り
宮澤美和子
百鳥
200404
水仙の群立ちあちらこちら向き
成井侃
対岸
200404
人前に立ちてふるへて水仙花
平野貴
対岸
200404
山道の右に左に水仙花
加納花子
築港
200404
がん封じ庭の水仙首かしげ
浦松静子
築港
200404
爪木崎霧笛遠くに野水仙
橘沙希
月の雫
200404
沖見えぬ雨の漁村や野水仙
河合大拙
百鳥
200404
潮満ちてきて水仙に血の気さす
井上菜摘子
京鹿子
200405
陽水仙立志の高さ競ひけり
河内桜人
京鹿子
200405
水仙や神話の中に花言葉
我妻一男
帆船
200405
水仙に顔寄せをれば濤の音
近藤真夫
遠嶺
200405
母の忌を迎へ水仙活けにけり
遠藤和彦
遠嶺
200405
水仙花遠白波の向き変へず
戸田和子
200405
水仙の畑の果てなる発電所
戸栗末廣
火星
200405
水仙に鬣ありぬさうおもふ
深澤鱶
火星
200405
水仙へきれいな声の近づけり
加古みちよ
火星
200405
水仙の墓前に順の廻りきし
小林成子
火星
200405
水仙を活けて身ぬちの引き締まる
白鳥彰子
200405
水仙へ地に入る前の夕日ざし
真保喜代子
200405
水仙の咲いて一日中ゆたか
丸山敏幸
200405
水仙の芽の伸びのびのみどり濃し
長村雄作
栴檀
200405
野水仙越後訛の杜氏来し
古川昭子
栴檀
200405
海鳴りや生家の背戸の野水仙
塩井志津
栴檀
200405
海鳴りの断崖いちめん野水仙
鵜飼正子
栴檀
200405
水仙のなだれに飛沫く越の海
金山藤之助
200406
水仙や思ひ出の父読書好き
鈴木多枝子
あを
200406
風ふくれかげが翳生む水仙花
沼田巴字
京鹿子
200406
野水仙うしろの正面軍艦島
辻兎夢
200407
喇叭水仙風に音響狂はしむ
西村しげ子
雨月
200407
水仙へひとつ零れぬ屋根雀
永島きみ子
栴檀
200407
水仙の香の清らかに内稽古
鷹羽狩行
200407
水仙のある多目的控室
大野里詩
帆船
200409
水仙やホテル住ひに隣なく
久保田万太郎
春燈
200412
起き抜けの眼に水仙の花一輪
木村茂登子
あを
200501
水仙組朝風呂組に寝坊組
稲畑廣太郎
ホトトギス
200501
水仙の風を拒んでをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200501
水仙の香に風筋のありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200501
水仙の香に筆止めて筆進め
稲畑汀子
ホトトギス
200501
水仙や三井の一つが滾滾と
朝妻力
雲の峰
200501
水仙を活けて客間となりしかな
稲畑汀子
ホトトギス
200501
水仙や臈たけたるは端山の日
伊丹さち子
馬醉木
200502
下町の駅の出札花水仙
芝宮須磨子
あを
200502
とり落す広告の嵩芽水仙
吉田明子
200502
水仙やすでに東風吹く波がしら
水原秋櫻子
馬醉木
200502
水仙の花終へし葉の雪に映ゆ
阿部ひろし
酸漿
200503
竹垣にそうて咲きをり水仙花
鈴木幾子
酸漿
200503
水仙のかほりて背筋あたたまる
天野きく江
200503
あるだけ剪りあるだけ挿して水仙花
大橋敦子
雨月
200503
打ち返す高き怒檮や野水仙
松林順子
雨月
200503
水仙やかなぐり捨てむ依存心
池田倶子
雨月
200503
一本の水仙の香をみんな言ふ
隅田恵子
雨月
200503
御用邸沿ひゆく岬野水仙
落合絹代
雨月
200503
水仙へ白波瑠璃をひるがへし
落合絹代
雨月
200503
震へつつ潮風いなす野水仙
落合絹代
雨月
200503
陽を浴びて波の音聴く野水仙
原みさえ
200503
水仙や柳生に残る武家屋敷
白石とも子
雲の峰
200503
水仙の咲きはじめたる夜空かな
戸栗末廣
火星
200503
来年の在る水仙を活けにけり
伊藤多恵子
火星
200503
うぶごゑにまだ名の無かり水仙花
丸山照子
火星
200503
水仙や気象台から船が見え
岡野恵美子
百鳥
200503
島崎の晃(ひかり)を永遠に水仙花
小澤克己
遠嶺
200503
白水仙活けゐて嘘のなきくらし
野口香葉
遠嶺
200503
ゆつたりと日の濃き生家水仙花
田代ヨシ
河鹿
200503
野水仙干物並べている岬
馬場三枝子
200503
海風に折り重なりし黄色水仙
鈴木国子
200503
水仙花しのぶ吾山の破片句碑
小澤克己
遠嶺
200503
舟霊へ水仙剪りし海女ら来る
矢澤壽美
200504
水仙花師に相対すごと正座
仙石君子
雨月
200504
野水仙崖を掴んで崩れざる
柴田毅
築港
200504
香を風に託し揺れゐる野水仙
柴田毅
築港
200504
喪にこもりをり水仙の香にまみれ
伊藤佳代
対岸
200504
ゑ子さんの水仙咲きぬ大旦
城孝子
火星
200504
潮騒の音受けとめて野水仙
松本恒子
ぐろっけ
200504
水仙をぎゆつと抱けば海荒るる
松波幹治
六花
200504
水仙のゆるるさざ波曇りかな
橋添やよひ
風土
200504
産み月の娘と分けあふ陽水仙花
代田幸子
200504
水仙の香にも濃淡風岬
小林成子
200504
水仙や主よりも高き殉教墓
青山悠
200504
水仙や忘れしころに来る雑誌
小澤克己
遠嶺
200504
優しくも冷たくもあり水仙花
斉藤裕子
あを
200504
遅咲きの水仙ひくく香りけり
鎌倉喜久恵
あを
200504
海猫の眼は人には向かず水仙花
中村恭子
200504
水仙花診察を待つ間の長し
沼口蓬風
河鹿
200504
背筋に疲れ溜まっています水仙
森須 蘭
200504
水仙の斜面ゆるやか水の照り
山村桂子
遠嶺
200505
水仙の花茎ねぢるる岬鼻
江崎成則
栴檀
200505
波音や歌碑のまはりの野水仙
佐野和子
栴檀
200505
紅梅に競ふ水仙花驕る
沼口蓬風
河鹿
200505
日の差せば日のわびしさに水仙花
前迫寛子
河鹿
200505
探ね来て梅より今日の水仙花
有島扇水
河鹿
200505
水仙の香り残して消燈す
舩越美喜
京鹿子
200505
遊女の墓踊りのしなの野水仙
升田ヤス子
200505
水仙のどれにも視線そらさるる
安達風越
雨月
200505
水仙花少し短かき母の帯
石啓子
築港
200505
水仙の香の漂へる参観日
岸直人
築港
200505
水仙はわが故郷の香かな
林敬子
酸漿
200505
水仙やバザーに並ぶ犬二匹
森田きよ
200505
水仙や漁師の一語づつ強し
柴田佐知子
200505
水仙の右左より香りくる
秋千晴
200505
水仙に寝起きの顔を見られけり
秋千晴
200505
風折れの水仙束ね独り言
上林孝子
200505
水仙花大平洋へなだれ咲き
内野俊子
春燈
200506
水仙のざわめき起すローカル線
内野俊子
春燈
200506
水仙やしづかに人を諭しをり
小澤克己
雪舟
200506
水仙の風に耐へねばならぬ岬
稲畑廣太郎
ホトトギス
200507
姫檜扇水仙咲きて盆も来る
松崎鉄之介
200509
花終えてなかでも水仙草仲間
丸山冬鳳
京鹿子
200509
水仙の芽を踏みたまふこと勿れ
稲畑汀子
ホトトギス
200511
絶壁に海の泡立つ水仙花
田所節子
涼しき嵩
200511
崩れねばならぬ水仙今盛り
稲畑廣太郎
ホトトギス
200601
真つ直ぐといふ水仙の気品かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200601
みんなそつぽ向いていいよとラッパ水仙
丸山佳子
京鹿子
200601
水仙や屋根に石置く妻籠宿
古賀勇理央
百鳥
200602
水仙や改装すすむ堂のあり
青木陽子
酸漿
200603
大人の手桶の中の水仙花
加藤みき
200603
野水仙苞に潜水橋わたる
黒田咲子
200603
水仙よ太陽に目を向けてみや
山田六甲
六花
200603
ひと日雨その次は風黄水仙
山田六甲
六花
200603
水仙は大きな岩を背負ひけり
山田六甲
六花
200603
薄皮をぬぎつつ春の水仙は
山田六甲
六花
200603
石に坐せば水仙の咲き始めたる
山田六甲
六花
200603
吾が思ひ断ちきりがたし水仙花
西田久子
四葩
200603
水仙を背負ひて海のしずけしや
船津昭夫
四葩
200603
水仙のひらくに足らふ日をあつめ
間宮陽夫
馬醉木
200604
ありがたうそのひと言を水仙花
吉野のぶ子
遠嶺
200604
水仙や崖のぼりくる波の音
清水明子
遠嶺
200604
咲き初めし海の匂ひの水仙花
竹内文子
遠嶺
200604
波音に応へてゐたる水仙花
松山直美
火星
200604
野水仙荒磯はがねの日を返し
大沢美智子
200604
絣着て銀座に水仙娘立つ
大西八洲雄
万象
200604
水仙の蕾に夜の緊まりたる
小林愛子
万象
200604
生け直す水仙の丈迷ひたり
牧原佳代子
酸漿
200604
水仙や生涯絹を織りし祖母
片山喜久子
雨月
200604
野水仙挿して岬の漁師宿
大海いつ子
百鳥
200604
誕生日夫と同じ日水仙花
鈴木多枝子
あを
200604
野水仙行き交ふ子等の会釈受く
森理和
あを
200604
倒れるも立つも真つ直ぐ水仙花
安田青葉
対岸
200604
夕暮れの寺の水仙風を呼ぶ
山元海郎
河鹿
200605
人住まぬ庭に水仙咲き競ふ
大日向千鶴子
200605
水仙や売りに出されし友の家
高倉恵美子
200605
日に一度歩行練習黄水仙
阿部正枝
遠嶺
200605
俳書展つつましやかに水仙花
坂本ひさ子
遠嶺
200605
錠剤のほのかに甘し水仙花
酒井美津
遠嶺
200605
合掌の息健やかに水仙花
村本真由美
遠嶺
200605
だしぬけに少女等の声水仙郷
川崎光一郎
京鹿子
200605
潮の目のゆつくり離る水仙忌
戸栗末廣
火星
200605
今更に差知子師を恋ふ水仙忌
福西礼子
火星
200605
冒険家の墓に水仙ひと握り
大西八洲雄
万象
200605
見栄えよき向きに水仙植替ふる
鵜飼紫生
雨月
200605
水仙や託されし道一筋に
山田夏子
雨月
200605
小女子を水仙の香に拡げ干す
辻恵美子
栴檀
200605
越前の海の息吹の水仙花
江崎成則
栴檀
200605
水仙のふるへどほしや何を待つ
福岡もも
百鳥
200605
一握り切る水仙の香にむせぶ
古川さかえ
酸漿
200605
水仙の庭しずかなり御用邸
島崎久美子
酸漿
200605
水仙の芽うごくかうごくかと見つむ
杉田さだ子
対岸
200605
ぞつくりと出て日溜りの黄水仙
人見靖子
対岸
200605
水仙や煙草に染まる指二本
瀧春一
常念
200606
水仙や日の衰へにやすけき日
瀧春一
常念
200606
水仙や日本の詩の潔し
瀧春一
常念
200606
愛惜の日々おだやかに黄水仙
高尾幸子
遠嶺
200606
庭園の池に漣水仙花
与川やよい
遠嶺
200606
水仙のスキッと白く卒業す
児玉豊子
対岸
200606
野水仙一輪ひらき木の墓標
笹倉さえみ
雨月
200606
仮杭の打たれし崖に黄水仙
足利ロ子
ぐろっけ
200606
西海やゆさゆさ揺るる野水仙
夏目満子
酸漿
200606
水仙の匂ふ机辺の起居かな
鹿野佳子
200606
水仙に近寄り影を淡くする
松本鷹根
京鹿子
200607
水仙のねじれ葉一枚拗ねてゐる
西村葉子
京鹿子
200607
黄水仙心はづみし友の声
松隈絹子
遠嶺
200607
ふるさとを訪ふや喪明けの黄水仙
森早和世
ぐろっけ
200607
水仙の咲くか咲くかと見る蕾
三井孝子
六花
200607
無学へとやがて至らむ水仙花
小澤克己
塩竃
200608
姫檜扇水仙咲けり六月尽
松崎鉄之介
200610
夏水仙ファッションショーのモデルめく
松崎鉄之介
200610
町なかやお稲荷様に夏水仙
久保田ヤスエ
酸漿
200610
水仙の水替へ海綿スポンジの水も替ふ
安住敦
春燈
200612
水仙の威に風神の鎮もれる
稲畑廣太郎
ホトトギス
200701
水仙を岡本眸抱いたんか
稲畑廣太郎
ホトトギス
200701
墓に挿す水仙の向き定まらず
伊藤白潮
200701
水仙 5 →      

 

2021年1月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。