酔芙蓉 1       346句

酔芙蓉日を経てつのる喪のこころ    朝倉和江   ザ・俳句

酔芙蓉  芙蓉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
震度四芙蓉の酔ひをうながしぬ
水原春郎
馬醉木
199810
無雑作な土鉢に風の酔芙蓉
皆川盤水
春耕
199810
歌詠みの留守を預けし酔芙蓉
品川鈴子
ぐろっけ
199810
遠方の山が流れる酔芙蓉
雲閑亭只今
船団
199811
朝風にまだ素面なる酔芙蓉
富田道子
円虹
199901
酔ごこち濃きも淡きも酔芙蓉
富田道子
円虹
199901
ほろ酔ひの色まだ浅き酔芙蓉
富田道子
円虹
199901
夕風に酔痴れてをり酔芙蓉
富田道子
円虹
199901
二日酔しるき昨日の酔芙蓉
富田道子
円虹
199901
色に出で午前十時よ酔芙蓉
水原春郎
馬醉木
199910
酔芙蓉何もせぬ日の手を洗ふ
神蔵器
風土
199910
糸ほどの紅あり朝の酔芙蓉
品川鈴子
ぐろっけ
199910
白毫に穴あいてをり酔芙蓉
平橋昌子
199911
酔芙蓉けさしろじろと咲きたるよ
阿部ひろし
酸漿
199911
ハンカチの端を噛みをり酔芙蓉
神蔵器
風土
199911
醉芙蓉かく含羞の萎えゆける
中原道夫
銀化
199912
美しき蘂のあやふさ酔芙蓉
村山秀雄
199912
星の出を誘ふごとくに酔芙蓉
首藤知茂
199912
ひとはけの色を加へて酔芙蓉
関根洋子
風土
199912
酔ひ初めは午前十時や酔芙蓉
三木その女
円虹
200001
酔芙蓉紅白まじる午後一時
三木その女
円虹
200001
酔芙蓉朝な夕なと見に通ふ
松崎鉄之介
200001
あかときの胡弓に揺らぐ酔芙蓉
稲辺美津
夏椿
200007
醉芙蓉濕る言葉を使ひたる
中原道夫
銀化
200010
旅先の晩き昼餉や酔芙蓉
関根洋子
風土
200011
酔芙蓉悲喜交々の日の過ぎて
赤羽正行
遠嶺
200012
酔芙蓉一つは酔の遅れたり
神蔵器
風土
200012
大師像のまへ陶然と酔芙蓉
内山芳子
雨月
200012
風の盆風に揺れゐる酔芙蓉
堀井より子
春耕
200012
面やつれしてもみたしや酔芙蓉
林裕子
風土
200101
祝ぎごとによき人数や酔芙蓉
武井美代子
風土
200101
二月堂築地をまがる酔芙蓉
中林明美
船団
200102
漲るは朝の大気の酔芙蓉
稲畑汀子
ホトトギス
200108
ほのと色加へし昼や酔芙蓉
稲畑汀子
ホトトギス
200108
音域の広さ巧みに酔芙蓉
桑垣信子
いろり
200108
酔芙蓉翁がおわらを歌ひゆく
北吉裕子
春耕
200109
酔芙蓉酔ひ早めたりピアノの音
水原春郎
馬醉木
200110
酔芙蓉の下を好みて猫睡る
松崎鉄之介
200110
吐くよりも吸ふ息大事酔芙蓉
保坂加津夫
いろり
200110
白に化け日の出を待てり酔芙蓉
泉田秋硯
200111
酔芙蓉大地ひたすら雨を吸ふ
千代田葛彦
馬醉木
200111
一つ咲く子規百年の酔芙蓉
神蔵器
風土
200111
訃報来るけさ酔芙蓉七つほど
神蔵器
風土
200111
身のうちの泡ぬけてゆく酔芙蓉
宮川みね子
風土
200111
湯の町の駄菓子屋あれば酔芙蓉
大田かづみ
いろり
200111
熟睡の酔芙蓉とはなりにけり
関根洋子
風土
200112
昼までにすこし間のある酔芙蓉
武井美代子
風土
200112
人待つに似て酔芙蓉咲きにけり
伊藤和枝
百鳥
200112
酔芙蓉覚まさぬやうに風流れ
清水公治
200112
若き娘の笠よりのぞく酔芙蓉
小澤克己
遠嶺
200112
憑かれたる漢がひとり酔芙蓉
小山徳夫
遠嶺
200112
清しさは夜明けの小雨酔芙蓉
吉野のぶ子
遠嶺
200112
盛塩の光る料亭酔芙蓉
山下寿祇子
遠嶺
200112
酔芙蓉朝の素顔に雨少し
石井邦子
酸漿
200201
東慶寺の紅濃く閉づる酔芙蓉
江木紀子
雨月
200201
酔芙蓉岸辺明るうなつてきし
谷口佳世子
200201
酔芙蓉エリック・サティ聴いてをり
祐森彌香
遠嶺
200201
未亡人今日はコ一ラス酔芙蓉
尼嵜太一郎
ぐろっけ
200201
枝折り戸に茶呑友達酔芙蓉
尼嵜太一郎
ぐろっけ
200201
夕映の色を重ねし酔芙蓉
永岡セツ
酸漿
200202
余生なほお酒落ごころや酔芙蓉
小島とよ子
遠嶺
200202
来し方の余白に画く酔芙蓉
斉藤静枝
あを
200209
たそがれか灯ともしごろか酔芙蓉
鷹羽狩行
200210
越後富士望む湯宿や酔芙蓉
伊沢山ウ瓏
酸漿
200210
死に方を思案中なる酔芙蓉
田中藤穂
あを
200210
酔芙蓉思ひつめたる色に果つ
林裕子
風土
200211
朝風に生絹の白の酔芙蓉
梅村すみを
200211
酔芙蓉酔ひ初む八尾の坂の口
高垣和恵
雨月
200211
水音に混じる胡弓や酔芙蓉
中御門あや
雲の峰
200211
午後三時酔芙蓉なほゑひもせすん
山田弘子
夜光杯
200211
酔ひそめし芙蓉の始終見てゐたり
鈴木千代
200212
海道の風あらたなり酔芙蓉
小野恵美子
馬醉木
200212
酔芙蓉明日咲く蕾に紅一筋
松崎鉄之介
200212
酔芙蓉葷酒禁ずる山門に
金光絹江
200212
酔芙蓉囃子に跳ねる白狐
三澤福泉
雲の峰
200212
白妙の真昼のありし酔芙蓉
熊倉だい
200212
酔芙蓉ぐらりと揺れて昼下り
加美明美
200301
酔芙蓉伏線多きミステリー
滝口滋子
百鳥
200301
ライバルは琳派の巨匠酔芙蓉
林日圓
京鹿子
200309
酔芙蓉酔ひ醒せよと雨の降る
安陪青人
雨月
200310
投げ入れてはや酔ひそめぬ酔芙蓉
朝妻力
雲の峰
200310
ブロマイドセピアに変り酔芙蓉
篠田鶴之助
帆船
200310
ローレライ唄ふ尼僧や酔芙蓉
北尾章郎
200311
風吹いて色変りけり酔芙蓉
木村みかん
200311
柔らかき風の過ぎたり酔芙蓉
林敬子
酸漿
200311
酒壼に挿し酔芙蓉とは可笑しけれ
今井妙子
雨月
200311
同じ道行きて戻りて酔芙蓉
早崎泰江
あを
200311
少女より華の乙女に酔芙蓉
安部里子
あを
200311
酔芙蓉路地の向かうに蔵の街
田中清子
遠嶺
200311
一日の真白に明けて酔芙蓉
平田はつみ
馬醉木
200312
王冠のかたぶく埴輪酔芙蓉
大谷茂
遠嶺
200312
酔はげし季節はづれの酔芙蓉
阿部ひろし
酸漿
200312
曇れども紅ほつほつと酔芙蓉
飯田角子
酸漿
200312
子規庵の一方の路地酔芙蓉
牧野睦子
200312
酔芙蓉心酔といふ言葉よき
佐藤淑子
雨月
200312
子規庵に明るさほのか酔芙蓉
鎌倉喜久恵
あを
200312
誰も来ぬ日にも机上に酔芙蓉
醍醐季世女
200312
酔芙蓉向かうをむいてをりにけり
高橋将夫
200401
酔芙蓉伐りてより胸がらんどう
田中藤穂
あを
200401
生きるとはいまを大事に酔芙蓉
青砥真貴子
200401
塔跡への抜け径ふさぐ酔芙蓉
谷泰子
ぐろっけ
200401
よべの色今朝に残して酔芙蓉
小松誠一
200402
すでに酔兆せる雨の花芙蓉
西屋敷峰水
河鹿
200402
酔芙蓉早くも酔へる里祭
菊地惠子
酸漿
200402
曙光今まだ素面なる酔芙蓉
物江晴子
八千草
200404
百選の道にきのふの酔芙蓉
朝妻力
京鹿子
200409
格子戸のつづく町並酔芙蓉
須原照子
京鹿子
200409
酔芙蓉一番花をかしこみぬ
伊藤白潮
200409
含羞のさまに夜に入る酔芙蓉
伊藤白潮
200410
酔芙蓉夕映色に花を閉づ
林敬子
酸漿
200410
泣き笑ひ千鳥足あり酔芙蓉
長崎桂子
あを
200410
のら達の「夕焼段段」酔芙蓉
芝尚子
あを
200410
酔芙蓉朝より微酔ゆらぎつつ
渡辺立男
馬醉木
200411
昼酒を飲まざりし父酔芙蓉
森下賢一
春燈
200411
紅走る午前十時の酔芙蓉
神蔵器
風土
200411
もう一度酔うて死にたし酔芙蓉
神蔵器
風土
200411
酔芙蓉髪の豊かに老いにけり
篠田純子
あを
200411
昨夜の酔仕舞ひてけふの芙蓉咲く
平田はつみ
馬醉木
200411
「葷酒山門」の標石前に酔芙蓉
山崎泰世
200412
花襞に紅濃かりける酔芙蓉
林典子
雨月
200412
酔芙蓉博物館の庭園に
須賀敏子
あを
200412
酔芙蓉中国からの仏たち
須賀敏子
あを
200412
わが生はいま午後二時の酔芙蓉
高千夏子
200412
ものや思ふと問ふまでもなし酔芙蓉
高千夏子
200412
違はずに夕べ紅さす酔芙蓉
相沢有理子
風土
200501
竹天井にびいろ放ち酔芙蓉
有島夛美
河鹿
200501
酔芙蓉大黒天のころがりし
高橋将夫
200501
格子戸の忌中の町家酔芙蓉
川合まさお
ぐろっけ
200501
祝がれゐて卒寿うべなふ酔芙蓉
中島ため
200501
二面石飽かず見てゐる酔芙蓉
木下栄子
築港
200501
芙蓉大酔庭見世の灯に発かれて
築城百々平
馬醉木
200502
酔芙蓉風が連れだす車椅子
伊富貴耀堂
200505
酔芙蓉白き花撒くつむじ風
品川鈴子
ぐろっけ
200509
病み抜けて粥腹軽し酔芙蓉
淵脇護
河鹿
200510
古りぬるに恥ぢらふこころ酔芙蓉
東亜未
あを
200510
煩悩のいろほのと泛く酔芙蓉
柴田雪路
200511
酔芙蓉禁酒すれども色替ふる
吉田多美
京鹿子
200511
花芯まだ酔うてはをらず酔芙蓉
大橋麻沙子
雨月
200511
備前福岡市場小路に酔芙蓉
松崎鉄之介
200512
先んじて闇に紛れし酔芙蓉
大島翠木
200512
刀自よりの苗かく育ち酔芙蓉
久保田雪枝
雨月
200512
おほかたの漁具は紐なり酔芙蓉
深澤鱶
火星
200512
またしても戦にいくか酔芙蓉
吉弘恭子
あを
200512
酔芙蓉ま昼は留守の家多き
森早和世
ぐろっけ
200602
母と子に託児所の灯や酔芙蓉
苑実耶
200602
天竺の潮の音なり酔芙蓉
本多俊子
さくらの音
200605
白無垢の酔芙蓉かげ宿酔ふつかよい
品川鈴子
ぐろっけ
200608
酔芙蓉紅兆すころ逝きにしと
大橋敦子
雨月
200609
酒止すと決むに佳境の酔芙蓉
伊藤白潮
200610
愛するは溺るることか酔芙蓉
神蔵器
風土
200610
振り向けば恥じらふ風の醉芙蓉
藤岡紫水
京鹿子
200611
酔芙蓉この縁談はまとまらぬ
吉田多美
京鹿子
200611
午前十時愛深めゆく酔芙蓉
安永圭子
風土
200611
酔芙蓉未だ約束の果たせずに
島田和子
風土
200611
雨降れば泣き上戸なり酔芙蓉
島崎勇作
酸漿
200611
項白き松園の画に酔芙蓉
平井とも子
200612
稿了す酔芙蓉まだ白きかな
北川英子
200612
石棺のやうな長椅子酔芙蓉
加藤峰子
200612
控へ目な慰めに似し酔芙蓉
瀬下るか
200612
酔芙蓉酔を極めて落ちにけり
石井邦子
酸漿
200612
裏町の三味復習ふ音や酔芙蓉
久留米脩二
馬醉木
200701
酔芙蓉縮緬皺に凋みたる
尼嵜太一郎
ぐろっけ
200702
すんなりと受身の構へ酔芙蓉
池崎るり子
六花
200704
酔芙蓉風に千鳥足となりぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200708
酔芙蓉取材受けゐて紅潮す
品川鈴子
ぐろっけ
200710
本日休診歯科医院の酔芙蓉
竹内悦子
200711
醉芙蓉に慈眼を返す伎芸天
延広禎一
200712
法然やほのと閉ぢける酔芙蓉
竹中一花
200712
午後五時の夕日の色の酔芙蓉
田村すゝむ
風土
200712
夕風を呼び韓の家の酔芙蓉
水野節子
雨月
200712
コーヒーの香る小窓や酔芙蓉
片野光子
ぐろっけ
200712
酔芙蓉見えゐて吾に駅遠し
小島みつ代
200712
長話いつしか酔ひし酔芙蓉
上藤八重子
酸漿
200712
昼網の羅の短し酔芙蓉
深澤鱶
火星
200801
今日の花明日咲く花酔芙蓉
森津三郎
京鹿子
200801
囲みゐて紅を誉めけり酔芙蓉
小林正史
200801
西太后の巡りし庭に酔芙蓉
吉成美代子
あを
200807
下戸は花にも酔芙蓉しどけなし
高崎武義
200808
酔芙蓉そろそろ行きつけの店へ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200808
酔芙蓉末弟にまで老少し
長谷川翠
馬醉木
200810
待つひとのなくておわらや酔芙蓉
神蔵器
風土
200810
紹興酒作る水郷酔芙蓉
梶井和呼
酸漿
200810
酔へばまた悲しき唄を酔芙蓉
田中芳夫
200811
酔芙蓉路地の棋戦の終りけり
永船みどり
200811
酔芙蓉つひの一花を霧の中
水原春郎
馬醉木
200811
酔芙蓉気ままな会話のつづきをり
三井つう
炎環
200811
酔芙蓉湖へと抜くる風の中
三橋泥太
遠嶺
200811
もういいの過去を平らに酔芙蓉
及川木栄子
200811
酔芙蓉色出し切つて落ちにけり
舛田初恵
酸漿
200811
何んでも屋の前のバス停酔芙蓉
守屋井蛙
酸漿
200811
酔芙蓉褪めたる恋の色に似る
荒井和昭
200811
生きるとは演じ切ること酔芙蓉
石田きよし
200811
囁けるほどの夕風酔芙蓉
高村令子
風土
200811
集りて大方は寡婦酔芙蓉
田中藤穂
あを
200811
手回しの充電ラジオ酔芙蓉
鈴木勢津子
200812
むらさきの僧の法衣や酔芙蓉
及川澄江
風土
200812
昼すでに酔深めをり酔芙蓉
石井邦子
酸漿
200812
高々と酔豊かなり酔芙蓉
坂井和子
酸漿
200812
酔芙蓉そろそろ暇申さねば
松野睦子
遠嶺
200901
煩悩のつまづきもあり酔芙蓉
薗田英治
遠嶺
200901
かりそめの恋やもしれぬ酔芙蓉
上原榮子
京鹿子
200901
酔芙蓉なごりの花の落ちにけり
上藤八重子
酸漿
200901
ほのと色賜ばるや句座に酔芙蓉
池田倶子
雨月
200902
日の暮れの日のあるうちの酔芙蓉
鷹羽狩行
200909
さう呼ぶにふさはしきもの酔芙蓉
杉良介
200909
ほどほども酩酊もよし酔芙蓉
布川直幸
200910
待つといふことには慣れず酔芙蓉
神蔵器
風土
200910
夕風のなすがままなり酔芙蓉
西川保子
春燈
200910
精一杯生きて晩年醉芙蓉
木村茂登子
あを
200910
散る刻を知りつつ咲くや酔芙蓉
中沢三省
風土
200911
朝戸出に先づは仰ぎて酔芙蓉
醍醐季世女
200911
散るに凝る酔芙蓉とは粋芙蓉
太田具隆
春燈
200911
夕風がすこし萎れて酔芙蓉
遠藤真砂明
200911
酔芙蓉夕べは赤いリトマス紙
七種年男
200911
酔芙蓉白極めたる雨の朝
中里信司
酸漿
200911
青空に浮び真白に酔芙蓉
中里信司
酸漿
200911
酔芙蓉薄暮の風に酔ひてをり
大澤洋子
酸漿
200911
醉芙蓉ランチに早も御機嫌に
長崎桂子
あを
200911
酔芙蓉恥ぢらひ色に紅をさす
藤見佳楠子
200912
きらめきつ風にもまるる酔芙蓉
日山輝喜
200912
酔芙蓉をんなに失せし差恥心
柴崎甲武信
春燈
200912
未だすこし存へたき日酔芙蓉
折橋綾子
200912
酔芙蓉に酔ひの色出て夕べ来る
中條睦子
万象
200912
妻起きて見よ酔芙蓉二十輪
小川玉泉
末黒野
200912
酔芙蓉グラスワインにカンツオーネ
松田延子
風土
200912
秘めごとの一つも欲しき酔芙蓉
松田延子
風土
200912
熟寝して目覚め清しき酔芙蓉
三村武子
酸漿
200912
酔芙蓉朝日に酔もなく咲けり
池部久子
酸漿
200912
朝の日に目覚めて白し酔芙蓉
石井邦子
酸漿
200912
恋の唄覚えてゐたり酔芙蓉
大西まりゑ
酸漿
200912
酔芙蓉酔ふこともなく台風過
河野冨美子
末黒野
201001
朝なな出で立ち白き酔芙蓉
石田きよし
201001
隔つ世の武者の隠れ家酔芙蓉
藤本一城
201001
庭影のひとつとなりし酔芙蓉
天野美登里
やぶれ傘
201001
酔芙蓉かたへに猫のよりそひぬ 滝沢伊代次 万象 201009
酔芙蓉今夜も赤き液体を 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
相聞に夕暮間近な酔芙蓉 遠藤実 あを 201009
お喋りな風と語らふ酔芙蓉 松嶋一洋 201011
心にも匂ひあるらし酔芙蓉 高橋将夫 201011
酔芙蓉情捨ててこそ見ゆるもの 安居正浩 201011
うす紅のうす紙のごと酔芙蓉 石原光徳 酸奬 201011
妻が居て今日も静かに醉芙蓉 遠藤実 あを 201011
李白てふ銘の酒なり酔芙蓉 和田森早苗 201012
酔芙蓉べーブリッジの潮ぐもる 佐藤いね子 馬醉木 201012
存分に日を受け今日の酔芙蓉 谷村幸子 201012
酔芙蓉けふを正しく了ひけり 浅木ノヱ 春燈 201012
刃こぼれのやうなる訣れ酔芙蓉 柴田朱美 京鹿子 201012
くるぶしの力を抜いて酔芙蓉 柴田朱美 京鹿子 201012
カルメンのステップ高く酔芙蓉 犬塚李里子 201101
紅芙蓉よりも紅濃く酔芙蓉 小川玉泉 末黒野 201101
工員の食後のベンチ酔芙蓉 丑久保勲 やぶれ傘 201101
酔芙蓉花の命に従へり 稲畑汀子 ホトトギス 201108
マドンナと云はれし友や酔芙蓉 中山静枝 201109
八十の肩を平らに酔芙蓉 神蔵器 風土 201110
遠雷や君ありし日の酔芙蓉 小田明美 春燈 201110
暮れてなほ空のみづいろ酔芙蓉 コ田千鶴子 花の翼 201111
さきがけの酔の淡さや酔芙蓉 水原春郎 馬醉木 201111
酔芙蓉程良き酔ひに終りけり 水原春郎 馬醉木 201111
曲折の心変りや酔芙蓉 田嶋洋子 春燈 201111
刻刻と浄土いろどる酔芙蓉 中田寿子 ぐろっけ 201111
下駄の音後よりくる酔芙蓉 高橋泰子 201112
枝先に明日咲く構へ酔芙蓉 小川玉泉 末黒野 201112
籠り居の垣根に一輪酔芙蓉 長瀬節子 ぐろっけ 201112
ゆふぐれは触媒のとき酔芙蓉 細川洋子 201112
妻の忌の一つ歳とる酔芙蓉 田村すゝむ 風土 201112
かぶらずに古びし帽子酔芙蓉 谷村幸子 201112
白妙の絹めき明けの酔芙蓉 小川玉泉 末黒野 201201
雨至り酔半ばなる酔芙蓉 小川玉泉 末黒野 201201
愛の字のかたちに萎む酔芙蓉 石田きよし 201201
思ひ出に措くうすべにの醉芙蓉 田中藤穂 あを 201112
酔芙蓉胸過るなり去りし庭 四葉允子 ぐろっけ 201201
酔芙蓉カーブミラーに誰かゐる 杉浦典子 火星 201201
石敷きの道は墓域へ酔芙蓉 渡邊孝彦 やぶれ傘 201202
酔芙蓉一睡の夢みちたれり 藤兼静子 201111
酔芙蓉遣らずの雨の降りだしぬ 北崎展江 くりから 201209
白も又燃ゆる色なり酔芙蓉 宮井知英 201210
入院す午前十時の酔芙蓉 神蔵器 風土 201211
酔芙蓉真白き朝を迎へけり 布施まさ子 風土 201211
昼の鐘紅はんなりと酔芙蓉 中野久雄 末黒野 201211
ふいと寄る風の抱きぐせ酔芙蓉 森岡正作 201211
花閉ぢてより色を増す酔芙蓉 矢野百合子 201211
雨の日の桃色止まり酔芙蓉 小川玉泉 末黒野 201211
風に酔ひ白雨に醒めし酔芙蓉 伊丹さち子 馬醉木 201212
初花の聖女と紛ふ酔芙蓉 安永圭子 風土 201212
たそがれて紅のこぼるる酔芙蓉 吉本淳 ぐろっけ 201212
酔芙蓉一つ落ちたり麻沙子の忌 大橋晄 雨月 201212
酔芙蓉所用すませし一と日なり 早崎泰江 あを 201212
昼すぎの日差し明るき酔芙蓉 藤井美晴 やぶれ傘 201301
白ワイン売る店の庭酔芙蓉 小林美登里 かさね 201301
酔芙蓉夕べの色に風立ちぬ 大橋伊佐子 末黒野 201301
朝刊を取るや真白き酔芙蓉 河合とき 末黒野 201301
酔芙蓉今朝は真白に知らぬふり 松本アイ ぐろっけ 201302
酔芙蓉はにかみてゐる乙女はも 中島知恵子 雨月 201302
入り際の夢ほの紅し酔芙蓉 福永尚子 ろんど 201310
一ち日の命を咲かす酔芙蓉 田村すゝむ 風土 201311
酔芙蓉妻亡き思ひ在る思ひ 田村すゝむ 風土 201311
酔芙蓉咲かす八尾は坂の町 田村すゝむ 風土 201311
妻に告ぐけさ酔芙蓉二十輪 小川玉泉 末黒野 201311
八十路経て燻る妬心酔芙蓉 古沢幸次 ろんど 201311
初花を届けにゆかむ酔芙蓉 田中藤穂 あを 201311
若人の語らふベンチ酔芙蓉 和田郁子 201312
酔芙蓉あしたの紅をほの見せて 滝澤千枝 春燈 201312
雨俄か酔ひ半ばなる酔芙蓉 小川玉泉 末黒野 201312
路地裏のはや夕づきぬ酔芙蓉 岡野里子 末黒野 201312
酔芙蓉あげて新米戴きし 田中藤穂 あを 201312
四つ角のカーブミラーに酔芙蓉 長久保郁子 かさね 201312
幼子の顔隠しをり酔芙蓉 石塚清文 やぶれ傘 201312
庭に来る猫の顔昏れ酔芙蓉 佐津のぼる 六花 201312
もの言わぬひと日の暮れて酔芙蓉 井上あき子 ぐろっけ 201312
宝塔へ野の風集め酔芙蓉 中井登喜子 201401
観音の伏目に在し酔芙蓉 岡野里子 末黒野 201401
酔芙蓉うすくれなゐの昼下り 田村すゝむ 風土 201401
放心の色となりたる酔芙蓉 宮井知英 201402
白つくし咲く酔芙蓉雨しとど 岡野里子 末黒野 201402
訃報の夜白きままなる酔芙蓉 岩上行雄 末黒野 201402
酔芙蓉生気ふはりと傾きぬ 本多俊子 光のうつは 201404
変心の傷は残さず酔芙蓉 あさなが捷 201407
フラダンスの衣裳えらびや酔芙蓉 茂木なつ 春燈 201411
一日の終の彩にぞ酔芙蓉 岡淑子 雨月 201411
酔ひ恥づるかに月明の酔芙蓉 小川玉泉 末黒野 201412
酔芙蓉月光に身を丸めをり 小川玉泉 末黒野 201412
米寿なる姉の息災酔芙蓉 新井八重子 末黒野 201412
ひととせは夢のまにまに酔芙蓉 水野恒彦 201412
酔芙蓉はや参道の暮れはじむ 川上久美 ろんど 201412
土に還り天へ還るよ酔芙蓉 田中藤穂 あを 201412
酔芙蓉萩ときそへる純子句碑 原田しずえ 万象 201412
酔芙蓉花のトンネルより夫婦 笹村恵美子 201412
酔芙蓉観音の御手秋涼し 笹村恵美子 201412
酔芙蓉濃く濃く萎みゆくピンク 笹村恵美子 201412
花びらの全し朝の酔芙蓉 田村すゝむ 風土 201412
雨後の空あつけらかんと酔芙蓉 石橋公代 春燈 201501
白くなる頃合わすれ酔芙蓉 三留早苗 201501
去年植ゑの花楽しめり酔芙蓉 小倉純 末黒野 201501
酔芙蓉すでにほろ酔機嫌なる 片山喜久子 雨月 201501
酔芙蓉しづかに色を変へにけり 近藤紀子 201501
廃屋の棄て切れずかな酔芙蓉 柳本渓光 ろんど 201501
酒蔵や橋の袂の酔芙蓉 北村淳子 ろんど 201501
駒寄せの半ばは朽ちて酔芙蓉 山田和 京鹿子 201501
酔芙蓉の並木低かり隠岐神社 赤座典子 あを 201501
出入りのかの酔芙蓉枯れてゐず 山崎靖子 201502
有終の美を惜し気なく酔芙蓉 落合由季女 雨月 201504
鉄柵の辻説法址酔芙蓉 佐渡谷秀一 対座 201505
咲き進む色に出にけり酔芙蓉 稲畑汀子 ホトトギス 201508
朝の雨上つてをりし酔芙蓉 稲畑汀子 ホトトギス 201508
酔芙蓉 →2      

 

2021年8月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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