芙 蓉 1          298句

呪ふ人は好きな人なり紅芙蓉    長谷川かな女

酔芙蓉  芙蓉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
花芙蓉遠流の島に式内社
松崎鉄之介
199811
花芙蓉妻の病状軽からず
末益冬青
俳句通信
199910
白芙蓉をりをり風のたちにけり
大和田鏡子
俳句通信
199910
花芙蓉その日その日を遣り直す
斎藤珠子
遠嶺
199912
元寇の使者弔ひて芙蓉咲く
三村禮子
酸漿
199912
赤児泣く窓が隣に白芙蓉
松永典子
船団
199912
気にかかる人の裏木戸白芙蓉
鳴海清美
六花
199912
金銀を芙蓉の花のようにあつかう
阿部完市
海程
199912
弟の忌の墓参の道の白芙蓉
松崎鉄之介
200001
しばらくは芙蓉の白に遠くゐる
櫻井多恵
200002
裏方のせはしさ見せず紅芙蓉
田中藤穂
水瓶座
200002
真っ白な朝の芙蓉と茹玉子
田中藤穂
水瓶座
200002
芙蓉咲く形だけなら要らぬ人
尾上有紀子
わがまま
200002
知らぬふりするもいたはり白芙蓉
辻享子
ヒッポ千番地
200003
芙蓉底紅捲き上げて秘む髪の丈
本橋怜加
冬牡丹
200003
小恙に芙蓉の数を私す
かとうゆき
銀化
200010
朝酒に白ワイン住し紅芙蓉
林翔
200010
洋館の窓両開き芙蓉咲く
斉藤小夜
風土
200011
爪の色明るく乾き芙蓉咲く
宮川みね子
風土
200011
芙蓉咲く信濃に西行戻り橋
林裕子
風土
200011
藤村に知の風もらふ花芙蓉
小澤克己
遠嶺
200011
水音の高き軒先白芙蓉
山田禮子
遠嶺
200011
「夜明け前」に石の文鎮花芙蓉
水野あき子
遠嶺
200011
巴里よりのはがきかぐはし花芙蓉
三崎由紀子
遠嶺
200011
爽涼の日々あらたなる花芙蓉
倭文ヒサ子
酸漿
200011
絵筆とる心きざしぬ咲く芙蓉
梅田秀子
酸漿
200011
萎ゆるとも芙蓉は艶を見するかな
堀田清江
雨月
200011
凋落を見てみぬふりの花芙蓉
武田菜美
銀化
200011
白芙蓉アンテナ多き軒つづき
伯井茂
春耕
200011
芙蓉咲く風も途絶えし過疎の村
池内せつ子
六花
200012
白芙蓉子を擲ちし手の写経なす
武藤嘉子
木椅子
200102
退院の十九日振り芙蓉咲く
松崎鉄之介
200109
こころよきことのふしぎに芙蓉咲く
岡井省二
200109
眺め入るそこうすみどり白芙蓉
阿部ひろし
酸漿
200110
稲村ヶ崎小学校の紅芙蓉
平田紀美子
風土
200111
西湖に見し芙蓉の眼路の高さかな
松崎鉄之介
200111
仰ぎ見る芙蓉佳人の面影失せ
松崎鉄之介
200111
誰そ住むや紅芙蓉咲く冠木門
佐久間俊子
200111
高々と日はありながら芙蓉閉づ
浜麻衣子
六花
200111
明星をこころに仰ぐ花芙蓉
浜麻衣子
六花
200111
渾身の仕舞ひ芙蓉といふべかり
中原道夫
銀化
200112
花芙蓉風嫋々と過ぎゆける
梅田実三郎
円虹
200112
石坂の灯のなき路地の花芙蓉
小澤克己
遠嶺
200112
点前座の少女見守る花芙蓉
祐森彌香
遠嶺
200112
この人が息子の嫁か花芙蓉
岩松八重
六花
200206
紅芙蓉婉然として雨に酔ふ
宮原みさを
花月亭
200208
庭先のたつた一輪紅芙蓉
木村幸子
帆船
200210
初咲きの白芙蓉あり朝日さす
小松鈴子
酸漿
200210
住み古りし我が家芙蓉の咲き初めし
河中透水
雨月
200210
芙蓉咲く窯場に粗き薪の山
深川知子
雲の峰
200210
解決といふ一事あり白芙蓉
福井鳳水
円虹
200211
沢音のすがしき夕べ白芙蓉
今井松子
遠嶺
200212
山門や淡き面影白芙蓉
石山民谷
遠嶺
200212
武家屋敷黒き板塀白芙蓉
木村敦子
築港
200212
夕映にどこかが濁る花芙蓉
直江裕子
京鹿子
200212
白芙蓉東司のありか隠しをり
谷口知子
火星
200212
紅芙蓉暮るる誰とも話さぬ日
藤原照子
200212
白芙蓉ややに夕風立ちにけり
滝川あい子
雨月
200212
夕なづむ芙蓉の白し風の盆
長沼三津夫
200212
婚ドレス選びも佳境芙蓉咲く
鎮田紅絲
200309
芙蓉咲く父に病変ありし日も
水原春郎
馬醉木
200310
早朝の庭に芙蓉の咲くを見る
兼子栄子
酸漿
200310
そのかみの寮歌懐し花芙蓉
若山実
雲の峰
200310
日は西に早や白芙蓉萎れゐて
上石哲男
築港
200310
芙蓉咲く死後も一歳上の妻
神蔵器
風土
200311
わが齢諾ひゐたり白芙蓉
斉藤小夜
風土
200311
おんころろ念仏三昧白芙蓉
柴田由乃
風土
200311
胸突坂下りて芙蓉の白さかな
平田紀美子
風土
200311
まだ見えぬ上座の客や白芙蓉
伊藤一枝
酸漿
200311
芙蓉咲く門に猛犬注意とあり
府川みよ子
200311
出風(だしかぜ)や蕊のかげ濃き白芙蓉
岩下芳子
200311
花芙蓉むかし酒屋の噴井あと
大堀鶴侶
雨月
200311
底抜けのやうな青空花芙蓉
田中千枝子
対岸
200311
白芙蓉友の面影偲ばるる
田中清子
遠嶺
200311
この辺で力抜けよと白芙蓉
高木嘉久
200312
あめつちに星韻満ちて花芙蓉
小澤克己
遠嶺
200312
夜明けまで憑かれ歩きを風芙蓉
小澤克己
遠嶺
200312
嬰の夢のせて揺るるや紅芙蓉
鈴木清子
遠嶺
200312
写さるるときの笑顔や紅芙蓉
小澤克己
遠嶺
200401
サイン入りCD夜の恋芙蓉
小澤克己
遠嶺
200401
機嫌よき嬰児の目覚め白芙蓉
清水明子
遠嶺
200401
花びらに大気の重さ白芙蓉
青砥真貴子
200401
お相撲は阿吽の世界白芙蓉
本山卓日子
京鹿子
200404
微笑みも言葉のひとつ花芙蓉
橘沙希
月の雫
200404
町角にアメリカ芙蓉咲かせあり
河中透水
雨月
200409
白芙蓉出さぬ手紙をしたたむる
林裕子
風土
200410
梲高き町割の路花芙蓉
井之目貢久
対岸
200410
白芙蓉焔のこころ鎮みゆき
谷榮子
雨月
200410
白芙蓉挨拶しかと律儀な子
亀井幸子
築港
200410
参道やあざやかに咲く紅芙蓉
兼子栄子
酸漿
200411
残照に萎えゆく終(つい)の白芙蓉
朝妻力
雲の峰
200411
芙蓉花蝶寝転びて蜜を吸ふ
篠田純子
あを
200411
白芙蓉歌劇の女みな死ねり
片山タケ子
200412
紅芙蓉既に暮れたる麓かな
北嶋美都里
200412
芙蓉咲き軍鶏の雄叫び幾声ぞ
田中峰雪
雨月
200412
訪へば友は留守なり白芙蓉
田宮勝代
酸漿
200412
芙蓉咲き古都の名もまた芙城なる
梶井和呼
酸漿
200412
雨戸繰る響きに芙蓉はたと落つ
遠藤とも子
ぐろっけ
200501
芙蓉白しつひにやまひにうち勝てる
久保田万太郎
春燈
200507
紅芙蓉引き立ててゐる空の青
大橋敦子
雨月
200510
白芙蓉遠くまで掃かれ朝の馬場
大磯幸子
河鹿
200510
向ひ合ふ仲好しの路地芙蓉咲く
松崎鉄之介
200511
日の移り木の陰となる白芙蓉
伊藤一枝
酸漿
200511
真白なる芙蓉咲きをり湖の道
塚本泰子
酸漿
200511
亡き母に晩年はなし芙蓉咲く
高倉恵美子
200511
夕焼を握りしめたる花芙蓉
木内美保子
六花
200511
さはやかに先島芙蓉咲く港
中里信司
酸漿
200512
白芙蓉拭き込まれたる長屋門
玉川悠
遠嶺
200601
芙蓉のしろ木槿の白に夕ささる
矢田邦子
栴檀
200601
朝ごとの芙蓉の数を楽しみに
舩越美喜
京鹿子
200601
頭を下げて芙蓉の花をくぐりけり
飯田角子
酸漿
200601
和宮拝領人形白芙蓉
奥田弦鬼
風土
200601
雨の朝も芙蓉の花を数へけり
水戸部敏意
栴檀
200603
一と夏の汗の背廣や白芙蓉
瀧春一
常念
200606
白無垢の一本立てり白芙蓉
滝沢伊代次
万象
200608
禅の語の簡素なりけり白芙蓉
小澤克己
塩竃
200608
野分前の日照雨の過ぎし紅芙蓉
伊丹さち子
馬醉木
200610
大らかに風うけとめて芙蓉さく
谷村幸子
200610
酔ひはじむ芙蓉駅前英語塾
吉田明子
200610
芙蓉咲く達麿居職の十二代
菅谷たけし
200611
花芙蓉やさしく一日始まれり
高村洋子
遠嶺
200611
今年咲く芙蓉に思ひ馳せにけり
窪田米子
遠嶺
200611
雀らは跳ねころびをり芙蓉咲く
蓮尾あきら
風土
200611
養生の幾日や芙蓉咲きのぼり
坪井洋子
200611
芙蓉咲くまだ宿題の残る子に
宮田千優
京鹿子
200612
放つてはおけず芙蓉をのぞきけり
倉持梨恵
200612
老刀自と語る窓辺の白芙蓉
山本漾子
雨月
200612
彷彿の君の顔セ花芙蓉
山田夏子
雨月
200612
広き苑に雨に揺れをり紅芙蓉
大井彌雨
雨月
200612
風に傷みやすきくれなゐ芙蓉咲く
西千代恵
雨月
200612
庭一ぱい我がもの顔に芙蓉咲く
小松サチコ
ぐろっけ
200612
別れ来て萎む芙蓉を見てをりぬ
荒井千佐代
200612
追憶の中に母あり白芙蓉
蒔田しをん
200701
儚げの極みに吹かれ白芙蓉
滝川あい子
雨月
200701
境内の掃き浄められ芙蓉咲く
加藤北天
雨月
200701
船つきしころの石垣花芙蓉
高橋千美
京鹿子
200701
リハビリの芙蓉の道を一歩一歩
高倉恵美子
200704
ひぐらしや蘂ほのかなる白芙蓉
阿部ひろし
酸漿
200709
刈られても刈られても咲く芙蓉かな
松崎鉄之介
200710
白芙蓉士族の生を誇りとし
谷榮子
雨月
200710
門先に白芙蓉咲き杣の留守
谷榮子
雨月
200710
姫鏡見えて海女小屋花芙蓉
田下宮子
200711
案じをり明けの芙蓉のゆれほどに
山崎靖子
200711
花芙蓉一ト日一途のいのちかな
鈴木撫足
春燈
200711
束の間に風のそよぎて花芙蓉
及川澄江
風土
200711
数咲きし芙蓉に雨の上りけり
永見嘉敏
酸漿
200712
芙蓉活く百も承知の一と日花
舩越美喜
京鹿子
200712
芙蓉咲くいちにちといふ重きもの
外川玲子
風土
200801
大きめの羽音寄せたる芙蓉かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200808
花芙蓉重き引戸の古梅園
稲見寛子
炎環
200810
大門はたまに開かれ八重芙蓉
品川鈴子
ぐろっけ
200810
芙蓉咲く思ひ出す日が章鬼の日
神蔵器
風土
200810
学園は真昼のチャイム花芙蓉
綿谷美那
雨月
200810
紅芙蓉弁天の道にあふれ咲く
阿部ひろし
酸漿
200810
紅芙蓉理想を捨てぬこころざし
竹内悦子
200811
さきがけの芙蓉の一花青き空
西氏宣子
遠嶺
200811
白芙蓉ははの遠忌に適ひ咲く
玉置かよ子
雨月
200811
それぞれに孫みな嫁ぎ白芙蓉
佐藤史づ代
雨月
200811
芙蓉咲く静けさにあり弁財天
鈴木幾子
酸漿
200811
曇日の弁財天や芙蓉咲く
青木陽子
酸漿
200811
朝涼や皆日に向きて芙蓉咲く
阿部悦子
酸漿
200811
白芙蓉老写真家はをみななりし
折橋綾子
200811
芙蓉咲き身近に人の死を悼む
松田延子
風土
200811
陶土搗く音の間遠に白芙蓉
渡辺昭
200811
禅林の一隅仄と花芙蓉
水船みどり
200812
蔵町に詩の碑花芙蓉
林友次郎
遠嶺
200812
白芙蓉王妃通りし石畳
岡田弘子
遠嶺
200812
白芙蓉咲きたる静寂只管打坐
落合由季女
雨月
200812
白芙蓉高みに咲きて日をこぼす
滝川あい子
雨月
200812
静かなる時を湛へて白芙蓉
北川とも子
ぐろっけ
200812
すれ違ふ人の会釈よ花芙蓉
飯田角子
酸漿
200812
花芙蓉力を抜きし昼さがり
稲岡長
ホトトギス
200901
医師の住む家は別棟芙蓉咲く
瀬島洒望
やぶれ傘
200901
昨日とは違ふ見方で白芙蓉
芝宮須磨子
あを
200909
よその芙蓉垣間見ること日課とす
中島和昭
春燈
200910
一日一句芙蓉を詠んで師に及ばず
中島和昭
春燈
200910
白芙蓉を愕かせたる風一陣
西川保子
春燈
200910
白芙蓉となりの紅に染まりしか
大坪景章
万象
200910
白芙蓉底うすみどり見せて咲く
阿部ひろし
酸漿
200910
会釈して過ぐる少女や花芙蓉
今泉あさ子
末黒野
200911
病む人の気丈なる笑み花芙蓉
谷岡尚美
200911
雨粒のひかりを掬ふ花芙蓉
寺田すず江
200911
羨めり昼の芙蓉の萎れほど
田村園子
200911
花芙蓉母の昼寝のさめやらず
三浦カヨ子
酸漿
200911
魁けて咲きし芙蓉の白さかな
林佳枝
酸漿
200911
残生をなほ慎まむ白芙蓉
岡本まち子
馬醉木
200912
猫の顔みせ紅芙蓉もて埋めつくす
上野昌子
春燈
200912
白芙蓉言葉かへすをつつしめり
乗鞍三彦
春燈
200912
白芙蓉海風かよふ庭も古り
水田壽子
雨月
200912
尼さまの経に傾げる芙蓉かな
五十嵐勉
201001
太陽の笑顔のやうな白芙蓉
林友次郎
遠嶺
201001
教会の白き窓枠花芙蓉
林友次郎
遠嶺
201001
白芙蓉蔀戸に日の温みあり
徳井節子
馬醉木
201001
芙蓉咲く紫式部産湯の井
金原登志子
馬醉木
201001
この時期の富士ならきつと白芙蓉
直江裕子
京鹿子
201001
六道の辻戸惑ふに紅芙蓉
池田倶子
雨月
201001
芙蓉花や江の電軒端かすめ行く
小野澤ゆたか
201001
文具屋のなかの暗さや白芙蓉
丑久保勲
やぶれ傘
201001
紅芙蓉締めずに仕舞ふ妣の帯
高橋泰子
201010
実を結びつつなほ咲けり紅芙蓉
阿部ひろし
酸奬
201010
上堂の法螺の音聞ゆ紅芙蓉
阿部ひろし
酸奬
201010
紅芙蓉弁天洞の奥暗し
阿部ひろし
酸奬
201010
花弁も広く咲き継ぐ紅芙蓉
阿部ひろし
酸奬
201010
脇寺の地蔵かくまふ芙蓉かな
伊庭玲子
201011
妹の月命日や芙蓉咲く
東芳子
酸奬
201011
弁財天ほとりを飾る花芙蓉
飯田角子
酸奬
201011
摩利支天祀らる鬼門芙蓉咲く
落合由季女
雨月
201011
芙蓉咲く乳房豊かでありし日も
福田漣
201012
たましひを匿ふための白芙蓉
柴田朱美
京鹿子
201012
白芙蓉身を持ち崩すやうに散る
柴田朱美
京鹿子
201012
散りぎわに肉声放つ紅芙蓉
柴田朱美
京鹿子
201012
足といふ足止めてゐる白芙蓉
前川明子
201012
仰山に芙蓉咲きしよ綾子の忌
山田春生
万象
201012
振り向いてふたたび会釈白芙蓉
森理和
あを
201012
精いつぱい今日をひと日と芙蓉咲く
阿部悦子
酸奬
201012
新しき朝を迎へ白芙蓉
中野京子
201101
純白の孤高極まり芙蓉閉づ
吉田美智子
末黒野
201101
白芙蓉ももとせまでもすこやかに
三谷道子
万象
201101
山羊鳴いて籬の角の紅芙蓉
藤井美晴
やぶれ傘
201101
白芙蓉夜は拳のかたちして
島谷征良
風土
201102
芙蓉の実雀来てをる六地蔵
竹内悦子
201102
思ふさま枝を川面へ紅芙蓉
小川玉泉
末黒野
201102
宝冠の蕾を解きし白芙蓉
高谷栄一
嵯峨野
201107
里帰り風の芙蓉の影を踏み
竹内悦子
ちちろ虫
201108
ほろにがきコーヒーの味花芙蓉 増田一代 201110
蜑路地に豆煮る匂ひ紅芙蓉 荒井千佐代 201110
いまだ見ぬこの家の人大芙蓉 佐藤喜孝 あを 201110
安き日や芙蓉の風に寄りかかる 田中貞雄 ろんど 201110
寺々の格を高めて白芙蓉 大橋晄 雨月 201110
花芙蓉ガラシヤは妻の鏡てふ 田下宮子 201111
全壊の家屋を守るや花芙蓉 西川春子 春燈 201111
紅は落ち白は散りぬる芙蓉かな 大坪景章 万象 201111
紅芙蓉暮るるに間なき鳰の湖 藤岡紫水 京鹿子 201111
酔ひ乱れつひぞ見ざりき白芙蓉 戸田春月 火星 201111
白芙蓉垣のうちより人のこゑ 藤井美晴 やぶれ傘 201111
地に落ちて萎え重なりし紅芙蓉 廣瀬義一 雨月 201111
白芙蓉日々の心経怠らず 田所洋子 雨月 201111
母のゐぬ庭の芙蓉の咲きつげり 園部早智子 ろんど 201112
紅芙蓉劇中劇に酔うてゐる 寺田すず江 201112
白日の寺生垣の白芙蓉 岡野里子 末黒野 201201
しなひては戻る芙蓉や夕野分 上月智子 末黒野 201201
白芙蓉ふたつ違ひの姉見舞ふ 松本正生 やぶれ傘 201202
夕日さし花閉じ初むる芙蓉かな 松本信子 かさね 201210
ふり返る道は日の中紅芙蓉 谷口俊郎 201211
かばかりの風にも揺るる花芙蓉 飯田ひでを 201211
利酒に芙蓉と共に酔ひにけり 片山喜久子 雨月 201211
芙蓉咲き終の棲処の二十年 川上恵子 雨月 201211
白芙蓉繰り戸の巾にさす朝日 中野京子 201211
芙蓉咲き風に甘えてゐるやうな 平子公一 馬醉木 201212
恙なく一ト日の芙蓉閉ぢにけり 小山繁子 春燈 201212
花芙蓉独り住まひを身ぎれいに 史あかり ぐろっけ 201212
数珠の手を芙蓉の風の過ぎにけり 戸栗末廣 火星 201212
紅芙蓉今日のこころの色となし 望月晴美 201301
紅芙蓉晶子生まれし堺なる 北村淳子 ろんど 201301
大輪のアメリカ芙蓉咲き咲けり 原田たづゑ 春燈 201310
花芙蓉朱の大輪は塀に沿ひ 田島昭久 かさね 201310
すれちがふ幼のえくぼ紅芙蓉 小柳千美子 かさね 201310
花芙蓉五輪この目で見たきもの 山崎真義 201311
調理場の湯気流れくる芙蓉かな 瀬戸悠 風土 201311
儚さを知らず芙蓉の紅さかな 岩月優美子 201311
窯開く朝といへり白芙蓉 大崎紀夫 やぶれ傘 201311
坂道のとば口の家紅芙蓉 丑久保勲 やぶれ傘 201311
瞑想の果ての魂白芙蓉 田中一美 ろんど 201311
うすやみのつつむやさしさ白芙蓉 浅木ノヱ 春燈 201312
白極む芙蓉にこころ洗はるる 小倉正穂 末黒野 201312
妻消えてよりの歳月芙蓉咲く 田村すゝむ 風土 201312
説経の「一日一生」芙蓉咲く 森田節子 風土 201312
身には水心に言葉白芙蓉 中野京子 201312
御目伏す弥陀に咲きつぐ白芙蓉 尾崎みつ子 雨月 201312
天寿とも思ひて送り白芙蓉 中野京子 201401
芙蓉萎ゆ没り日のいろを包みては 金子野生 京鹿子 201401
主逝き跡守る女僧紅芙蓉 村田とくみ ぐろっけ 201402
欣一忌伏屋につひの芙蓉咲き 山田春生 万象 201402
芙蓉さく末期は人を拒みけり 井浦美佐子 201403
戦時下は乳母といふ人白芙蓉 宮田香 璦別冊 201408
妻の眼に義母の悌花芙蓉 四條進 201409
濁流辺の芙蓉や白を全うす 北川英子 201410
空青し早くたびれし白芙蓉 大坪景章 万象 201410
即断を迫らるる目に白芙蓉 吉武千束 太古のこゑ 201411
白芙蓉父は横顔ばかり見す 木多芙美子 春燈 201411
庭園に今日を咲き満つ紅芙蓉 佐藤健伍 201411
紅芙蓉散りしも咲くも一トさかひ 宇野慂子 万象 201411
町工場の鎖クレーン紅芙蓉 丑久保勲 やぶれ傘 201411
芙蓉咲く誰かきさうな予感かな 上野紫泉 京鹿子 201411
夢二展の大正ロマン芙蓉咲く 田中淺子 201412
亡き句友の家解かれをり白芙蓉 石黒興平 末黒野 201412
惜しまるる芙蓉ひと日のいのちかな 門伝史会 風土 201412
山ひとつ動かして咲く芙蓉かな 杉本薬王子 風土 201412
芙蓉→ 2      

 

2021年8月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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