滴り 2     149句

滴りにうながされては滴れる    三村純也

滴り  山滴る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
滴りを含む唇より風の満ち 鈴鹿仁 京鹿子 200308  
山滴る次の旅もう約しをり 伊藤白潮 200308  
滴りの山一つ越え母の里 亀井幸子 築港 200308  
旅一夜明けて仰げる山滴る 宮津昭彦 200309  
延命水汲みたる洞の滴れる 岡田有峰 築港 200309  
滴れる水琴窟の玉の音 伊藤政子 築港 200309  
青響となりゆくまづは滴りて 豊田都峰 京鹿子 200309  
滴りを集めて刻む水時計 中田寿子 ぐろっけ 200309  
深吉野の川すきとほり山滴る 朝倉治美 200310  
滴りを巖の鼓動と思ひけり 岡野俊治 遠嶺 200310  
千年の黙屋久杉の滴れり 富川明子 200310  
滴りや岩屋文珠に白羽の矢 阿波谷和子 雲の峰 200310  
並び落つもの滴りと滴りと 蔦三郎 円虹 200310  
滴りにあるかなきかの水の色 荒井和昭 200310  
滴りのしるき絶壁岩煙草 松岡路石 対岸 200310  
あめつちのひと粒として滴れり 長沼三津夫 200310  
滴りや古墳の壁画火色秘め 鷹羽狩行 200407  
夜に入る黒髪山の滴りも 柴田佐知子 200408  
滴りの斧入れらるる木霊かな 中野京子 200408  
滴りや険しき崖に観世音 石田野武男 万象 200408  
滴れる山も仏も大和かな 渡辺周子 雲の峰 200408  
山滴る中に鎮座す石祠 村越化石 200408  
海蝕の洞に滴る山清水 岸川素粒子 万象 200409  
滴りや片頬欠けし磨崖仏 乗鞍三彦 春燈 200409  
耐へ耐へて知床はいま滴れり 秋葉雅治 200409  
滴りの間合山河を大きくす 安藤しおん 200409  
滴りの次の滴り山椒魚 松井倫子 火星 200409  
滴りに己が齢を数へけり 大串章 百鳥 200409  
滴りの幽冥界をくぐりきし 平田倫子 百鳥 200409  
滴りや湯宿へ渡る吊小橋 高野美佐子 京鹿子 200409  
山滴り晴ればれと日のありにけり 大橋敦子 雨月 200409  
前屈みで入る穴大師滴れり 望月喜好 200409  
ビーカーの一目盛ほど滴れり 吉田明子 200409  
いつよりの滴り奪衣婆の後ろ 田中藤穂 あを 200409  
胸板を濡らして崖の滴れり 鷹羽狩行 200410  
滴りの記憶を映す水の玉 石塚ゆみ子 遠嶺 200410  
滴りの音して洞の真くらがり 西口鶴子 遠嶺 200410  
滴りの独り言など聞いてをり 飛山ますみ 遠嶺 200410  
山歩き滴りあれば歩を留め 河合佳代子 栴檀 200410  
滴りや観音の名の磨崖仏 河合佳代子 栴檀 200410  
滴りの色みどりなる信濃かな 高橋あゆみ 200410  
滴りは山のつぶやき吐息とも 有島夛美 河鹿 200411  
滴りの岩根におはす地蔵尊 松山佐治彦 河鹿 200411  
滴りを身ぬちに聴けり師の一書 浜田はるみ 遠嶺 200411  
滴りを山の語部かと思ふ 渡部節郎 200411  
滴りや洞に籠れる石仏 遠野萌 200411  
滴りの旅の果てなるわたつうみ 中谷喜美子 六花 200411  
滴りへ誰が置きしかミニカップ 浅井よしみ 八千草 200501  
火山脈末端の峰滴れり 小林呼溪 200507  
山滴る標高千に足らざれど 伊藤白潮 200507  
滴りに依代貼るや岩供養 林和子 万象 200507  
脇道の谷戸の岩窪滴れり 能村研三 200507  
滴れる山より生れ星の渦 中野京子 200508  
滴りの大音響をたなごころ 鷹羽狩行 200508  
滴りの山にはぐれし美術展 小林成子 火星 200508  
山滴る楸邨筆の芭蕉句碑 辻恵美子 栴檀 200508  
滴りのときにつながり柳の井 今瀬剛一 対岸 200508  
御仏の多き会津の山滴る 松崎鉄之介 200508  
滴つてけもの息づく古戦場 淵脇護 河鹿 200509  
滴りの山に貼りつき家の建つ 高橋芳子 火星 200509  
滴りやあかえぞまつに天狗住む 竹内悦子 200509  
蛇の目の大きさであり滴れる 今瀬剛一 対岸 200509  
禿山の裏に廻れば滴れり 辻兎夢 200509  
もののけの潜む森行き滴れり 清原彰子 河鹿 200510  
滴りの音間近なる籠り堂 師岡洋子 ぐろっけ 200510  
滴りの当たりしシャツの透きにけり 菅野啓子 百鳥 200510  
滴りや坂を登りて文学館 金川眞里子 百鳥 200510  
滴りや古城を下る石畳 得田武市 河鹿 200510  
滴れる大磐石を押し上げて 岩垣子鹿 ホトトギス 200511  
貝化石の壕の天井滴れり 椙山正彦 200511  
滴りや慈母観音へ石を積む 小島とよ子 遠嶺 200511  
滴れる回峰行の崖の道 池田加代子 風土 200511  
顔打つ滴り鑿岩の響いんいんと 瀧春一 瓦礫 200606  
滴りの中に祈りの膝を折る 高倉和子 200606  
滴りや山の動脈瘤ひそか 掛井広通 200607  
山滴る賢治の国を讃ふべし 伊藤白潮 200607  
滴りや線刻羅漢五百体 伊藤白潮 200607  
滴りを受く手の窪の生命線 菊地光子 200608  
滴りや嗣治の「裸婦」透けるほど 荻野嘉代子 春燈 200608  
滴りに手拭しぼる登山道 長島恵吉 酸漿 200608  
千年の緑滴る金剛杵 奥村邦子 200609  
マニキュアの人差し指を滴りに 天谷翔子 火星 200609  
滴りの刻ふくらみて来りけり 関根洋子 風土 200609  
滴りの果ては漓江や二胡の声 奥田弦鬼 風土 200609  
地底湖に完き闇や滴れる 奥田弦鬼 風土 200609  
滴れりイーハトーブの青時間 大畑善昭 200609  
悠然と眺む南山滴れり 松崎鉄之介 200609  
香炉峰滴れど寺の鐘聞かず 松崎鉄之介 200609  
鸛を育む郷の山滴る 石田砧女 200609  
山滴る弘法大師生誕日 山田夏子 雨月 200609  
滴りやこの一瞬に誰か消え 中田みなみ 200609  
滴りの一音づつの風清し 鈴鹿仁 京鹿子 200609  
したたりや羅漢の目鼻やうやくに 笠井敦子 200609  
峡ひとつ滴りにあり悉く 坊城俊樹 ホトトギス 200610  
滴りの砲台山へ登りけり 青柳雅子 春燈 200610  
岩座の滴りに星匂ひけり 谷村幸子 200610  
暗闇へ滴りつづけ岩育つ 加藤みき 200610  
銀山の案内滴りをりにけり 深澤鱶 火星 200610  
滴りを配して水琴窟の音 綿谷美那 雨月 200610  
万畳の岩のまなかを滴れり 河内桜人 京鹿子 200610  
山中に一つの祠滴れり 鈴木石花 風土 200610  
滴する紫陽花切りて供華とせり 並木重助 酸漿 200610  
滴りを己が鼓動と見て迅し 長沼三津夫 200610  
二十世紀多漿の指を滴りぬ 鈴木榮子 春燈 200612  
かたまりて滴つてゐる曼珠沙華 高倉和子 200612  
滴りの時間見詰めるやうに落つ 後藤立夫 ホトトギス 200701  
滴りのとくとくと落ちつつと落つ 竹下陶子 ホトトギス 200701  
滴りや衿元ボタンかけ直す 中島英子 八千草 200701  
滴りに左右目くばせ鍾乳洞 中島英子 八千草 200701  
ごけ落す滴り18金 平野きぬ子 八千草 200701  
滴りや洞の地藏のもらい泣き 平野きぬ子 八千草 200701  
一山の滴りやがて大海に 上間和子 八千草 200701  
滴りに水のふくらむまあひあり 松原三枝子 万象合同句集 200703  
滴りに岩息づいてをりにけり 竹下陶子 ホトトギス 200704  
人間をゆっくりと見て滴れる 中原幸子 以上、西陣から 200705  
山滴る七百号を礼讃し 大橋敦子 雨月 200707  
滴りを掛け合つてゐる夫婦かな 延広禎一 200708  
万緑や夜もみどりを滴らす 竹内悦子 200708  
絡み合ふ崖の細根や滴れり 中山皓雪 200708  
滴りや薄目のままの摩崖仏 松波とよ子 春燈 200708  
実の付きて雌株棡木ゆずりぎ滴れる 藤木祥治 春燈 200708  
滴りへ出す大きな掌小さな手 大西八洲雄 万象 200708  
滴りや真暗がりなる岩屋仏 金子知代 万象 200708  
滴りの音の中なる旧居跡 中谷葉留 万象 200708  
鎌倉に五十六谷滴れり 下山田美江 万象 200708  
滴りのひとしづく欲しもの忘れ 富川明子 200708  
大岩に滴りの筋曲りをり 柴田佐知子 200708  
滴りへ器のごとく両手かな 小城綾子 200709  
滴りや誰言ふとなき暗がり坂 中山純子 万象 200709  
宇宙樹の元に滴りありにける 栗栖恵通子 200709  
滴りの池に百ある岩の影 竹中一花 200709  
滴りや直会の神酒ふるまはれ 瀬戸悠 風土 200709  
湖となる富士の滴りありにけり 今井弘雄 春燈 200709  
滴りの巌を打つたび巌新た 林昭太郎 200709  
休憩の区切りを次の滴りまで 中田みなみ 200709  
千年の滴り一途なる窪み 近藤喜子 200710  
風集まりて滴りの不動尊 近藤きくえ 200710  
この山の滴りすべてみどりかな 長崎桂子 あを 200709  
滴りの間遠のかなた少年期 小山田子鬼 200710  
滴りにふくべの器置いてあり 水谷ひさ江 六花 200710  
滴りの真珠つらねて岩の肌 小川今日哉 200711  
滴りを集めし手水清めたり 岡田章子 ぐろっけ 200711  
滴りに迦陵頻伽の音色かな 奥山絢子 風土 200801  
滴りの尽きることなき地球かな 近藤喜子 200802  
滴りに双手を浄め神参り 中村悦子 200807  
滴りや人は死ぬとき魂吐いて 小澤克己 遠嶺 200807  
美しき滴り青し満地球 伊藤憲子 200808  
耳をすませば滴りの太りきし 天谷翔子 火星 200808  
滴りや岩屋の奥を透しみる 石原光徳 酸漿 200808 滴り 3→

 

2020年8月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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