滴 り 1     103句

滴りの時に大きく平泉    小島良子

滴り  山滴る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
滴りや湯殿の山の茂吉歌碑 皆川盤水 春耕 199807
滴りの光りて落つる石切場 井頭主水 黄鐘 199808
滴りのひと粒づつが青を帯ぶ 岡部玄治 199809
滴りの一瞬刃かと思ふ 益田風彦 199810
八月が割れて滴りせぬものか 深澤鱶 ヒッポ千番地 199905
良寛のいろはにほへと滴れる 深澤鱶 ヒッポ千番地 199905
滴りの風と降りたる山の駅 穴澤光江 花菜風 199907
滴りの涙こらへるやうに落つ 鷹羽狩行 199908
石仏たれを待つやら山滴る 河村泰子 ぐろっけ 199908
廃坑道昼なほ暗く滴れる 永野多佳子 ぐろっけ 199908
滴れる廃坑道の籠電車 永野多佳子 ぐろっけ 199908
したたりや国のはじめの島一つ 関根洋子 風土 199909
滴りを灯が輝やかす洞浄土 林翔 199909
滴りの一粒指に貰ふかな 大関靖博 199909
いつまでも友は滴り見てをりし 小林優子 酸漿 199910
山滴る我ら日の丸弁当派 神野祥子 海程 199910
水汲みにん永遠に滴る佐渡廃鉱 松崎鉄之介 199910
滴りの(さんずい)巌を削ぎにけり 水内慶太 銀化 199910
鑿の音いまに伝へて滴れり 鷹羽狩行 199911
三拍子ときには破調滴れり 田中みちよ 199911
滴りのいつか忍び音殉難碑 山岸治子 馬醉木 199911
滴りに四方より手の伸びて来し 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
ずつしりと竹の実垂れて滴せり 白鳥武子 酸漿 200001
滴りを誘ひ滴り濡れたがる 峯尾文世 銀化 200001
豊かなる阿蘇の滴り蝶が吸ふ 田中藤穂 水瓶座 200002
滴りやこの星青きひと雫 深澤鱶 ヒッポ千番地 200004
山路来て冬の滴り掬ひけり 屋代孤月 遠嶺 200005
滴りを集めて音となるところ 稲畑汀子 ホトトギス 200007
滴りのなほ崖伝ふもののあり 鷹羽狩行 200007
むすぶ手を穿つがごとき滴りよ 鷹羽狩行 200007
滴りや御影堂より人の群 小澤克己 遠嶺 200008
滴りの間をおくことを惜しまざる 鷹羽狩行 200009
滴りや蝶の白帆を地に立てて 生田恵美子 風土 200009
滴りの過去一切を忘じけり 掛井広通 200009
滴りに諸手のほてり治めたり 東芳子 酸漿 200010
滴りのやぐらの奥に五輪塔 中村洋子 風土 200010
掌に受くる黒部へ落ちる滴りを 阿部寒林 200010
滴りを五つ数へてしまひけり 深澤鱶 火星 200103
讃美歌がとぎれ隧道滴りぬ 品川鈴子 ぐろっけ 200106
白川茶発祥地なり山滴る 桑垣信子 いろり 200107
滴りて千種なる名となりゆけり 豊田都峰 京鹿子 200107
釣果ありなし藍股引の滴れる 中原道夫 銀化 200107
岩石のしたたりに森邃くなる ほんだゆき 馬酔木 200107
一山の意志あるごとく滴れり 外川玲子 風土 200108
滴りや次の滴りすぐふとり 能村登四郎 200108
滴りや胸を豊かに観世音 押切安代 200109
滴りにきこゆる永久の息づかひ 岩田育左右 遠嶺 200109
滴りやへつりの洞に積む小石 木村コウ 酸漿 200109
滴りを十まで数へ立ち上る 村田美穂子 百鳥 200109
滴りや世界遺産の森しづか 岡田万壽美 俳句通信 200109
滴りや奥の夕づく神の杜 竪ヤヱ子 俳句通信 200109
古伊萬里の無銘の皿や山滴る 川端実 遠嶺 200110
滴りて舌噛みさうな神祀る 成澤桂助 百鳥 200110
山滴るコロラトゥーラの鳶の声 櫻井康敞 200110
父の忌の地梨に胸を滴らす 皆川盤水 春耕 200110
滴りや木目の著き仁王門 池内淳子 春耕 200110
神を掴み指ことごとく滴れる 伊藤格 200110
酸素吸ひ深山の滴り思ひをり 田所節子 200110
考ふるいとまなきほど滴れる 中本憲巳 200111
滴りにネクタイ結ぶ男かな 星野早苗 船団 200112
滴りや「君」と刻まる遭難碑 今城知子 船団 200201

 『火口湖』序句

火口湖を蔵して山の滴れる

鷹羽狩行 200205
したたりやまたぎならひのお立ち酒 菅原康 風土 200207
滴りに耳もて鹿はおどろける 八染藍子 200208
滴りや眼にて巌谷を穿ちをり 小澤克己 遠嶺 200208
滴りに太古の光かがやかす 矢嶋みつ江 遠嶺 200208
山滴る奥宇陀へ道とりてより 熊岡俊子 雨月 200208
滴りを楽譜に乗せてみたきかな 渡部節郎 200208
滴りに光の重さ加はりぬ 渡部節郎 200208
滴りを耳奥深く秘蔵せり 細川洋子 200208
滴つてをり玉となり矛となり 芝川百合子 京鹿子 200208
滴りて大岩獅子の貌になり 中道錦子 200208
リスもゐてグリズリもゐて山滴る 吉成美代子 あを 200208
修羅潜りきし滴りの透明度 うまきいつこ 200209
山滴る湯槽の中の木椅子かな 柴田由乃 風土 200209
滴りを蕗葉に受けし音なりし 伊藤多恵子 火星 200209
大石筍千万年を滴りて 土肥屯蕪里 雲の峰 200209
滴れるプロメテウスの鎖かな 栗栖恵通子 200209
高千穂をかこみ山々滴れり 岬雪夫 200210
滴りの暗きに在す不動尊 西田円史 円虹 200210
滴りは舌にて享けるものなりけり 黒田咲子 200210
滴りに苔真青なる祠みち 小林光美 春耕 200210
誰彼ときて滴りに触れゆけり 河本順 200210
滴りや錆色岩に玉簾 赤座典子 あを 200210
山滴る緬羊舎には赤き屋根 北畠明子 ぐろっけ 200210
滴りの瞬き浄し遠浅間 岩田育左右 遠嶺 200211
霊域の冷を蹠に滴れり 高橋さえ子 200212
走り根も岩も階滴れり 川上昌子 200212
滴りや首欠くマリア地蔵尊 飛高隆夫 万象 200212
晴れ間見て滴の宿る芒取る 小林清之介 風土 200301
滴りの御身をつたふ磨崖仏 中村洋子 風土 200301
養生の母に滴る山のあり 高倉和子 200306
滴りのそこに源流ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200307
滴りと木洩日と手に受けしより 稲畑汀子 ホトトギス 200307
滴りにこれより深き山路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200307
滴りや大河の一部分として 稲畑廣太郎 ホトトギス 200307
男坂来て滴りに落ち着ける 稲畑廣太郎 ホトトギス 200307
念々といふ間をおいて滴れり 鷹羽狩行 200307
浄光菩薩目より鼻より滴りぬ 中村葉子 帆船 200307
滴りの音は鼓動の音に似て 塩川雄三 築港 200307
滴れる山ふところに尼老いし 青山悠 200308
滴りや風が届けし谿の音 稲辺美津 遠嶺 200308
風を聴く青滴りの掌の中に 鈴鹿仁 京鹿子 200308
滴り 2→      

 

2021年8月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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