鞦 韆     74句

鞦韆のさゆらぎ止まぬ我が庭の芭蕉卷葉に細し春雨  萩原朔太郎

ふらここ  鞦韆  ぶらんこ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
廃校のきしむ鞦韆漕ぎにけり
阪上多恵子
雨月
199906
鞦韆を降りていまはのきはと謂ふ
中原道夫
銀化
200005
鞦韆や栄転左遷なき身にて
山本喜朗
雨月
200108
鞦韆の風に触るるや夕日中
稲辺美津
遠嶺
200205
鞦韆の影揺れかへす水たまり
桑田眞佐子
火星
200205
にはたづみ鞦韆雲の上にこぐ
島貫アキ子
銀化
200206
夜の鞦韆心病む子の声聞ゆ
関薫子
百鳥
200207
鞦韆に漕がず暮れゆく老二人
酒井康正
百鳥
200207
鞦韆や我が童心を掻き立てる
鈴木昭子
帆船
200207
山上の鞦韆蹴れば魑魅魍魎
佐藤喜孝
青寫眞
200304
黒潮を引きて鞦韆戻りけり
高畑信子
遠嶺
200305
鞦韆や時を無くせし母つれて
田中由喜子
馬醉木
200306
鞦韆を高々と漕ぎ親離れ
上トヨ子
雲の峰
200406
鞦韆やブッセの空へ届くまで
垣尾美智子
200407
鞦韆や四十路の夢をひき寄せて
白井墨絵
遠嶺
200408
鞦韆をゆらして老を鞣しけり
八田木枯
夜さり
200409
母の呼ぶ声鞦韆の見捨てられ
柳生千枝子
火星
200505
鞦韆や独り遊びの転校生
中山勢都子
200507
鞦韆になに思ふとなく揺られをり
高倉恵美子
200508
鞦韆やモノラルの音セピア色
赤座典子
あを
200604
何するでなく鞦韆に老ひとり
加瀬美代子
200605
泣きながら鞦韆高く漕ぐ子かな
内海良太
万象
200606
鞦韆に乗りて少女は風となる
藤井啓子
ホトトギス
200608
鞦韆の子は青空の高さまで
藤井啓子
ホトトギス
200608
魔女となるつもり鞦韆大揺らし
須出紅三郎
200703
鞦韆をまたはじめから母校かな
中山純子
万象
200705
鞦韆に座して錘のやうにゐる
千田百里
200705
揺らすでもなく鞦韆の二人かな
西口万佐子
200706
鞦韆や恋文バスケットに秘めて
鈴木榮子
春燈
200707
鞦韆を漕ぐや零せし夢いくつ
栗原公子
200707
鞦韆の子に大いなる湖と空
今井妙子
雨月
200707
人気なき鞦韆おそふ花吹雪
上藤八重子
酸漿
200707
鞦韆に手を触るるさへ眩暈癖
山田夏子
雨月
200708
鞦韆や春の山彦ほしいまま
水原秋櫻子
馬醉木
200804
考へてをり鞦韆をまだ漕がず
樋口英子
200807
鞦韆むこの世の用をいたすべく
関根誠子
炎環
200906
鞦韆の哲学めける真昼かな
高橋道子
200906
鞦韆や今日は茄子の馬車を駆り
竪山道助
風土
200907
鞦韆に座し考へる人となる
福島茂
200907
鞦韆やきらりきらりとペンダント
水谷洋子
200908
鞦韆に心許なき返事かな
山口ひろよ
200909
鞦韆の揺れて揺れざる恋心
稲畑廣太郎
ホトトギス
201004
鞦韆や夕方の星揃ひたる
加藤みき
201005
鞦韆漕ぐ地の果空の果
代田青鳥
風土
201005
こころ決まりて鞦韆を離れけり
樋口英子
201006
鞦韆を漕ぐぞ影法師付いてこい 小林朱夏 201108
羽化登仙の鞦韆を数へ待つ 小島禾汀 春燈 201205
鞦韆を蹴りあげて穹ゆらぎをり 水野恒彦 201306
鞦韆や不協和音の隣りあふ 宇都宮敦子 201306
鞦韆や鷹女にならひ耳隠し 中村紀美子 春燈 201405
鞦韆を揺らしてくれる孫がをり 高橋将夫 201405
鞦韆を揺らして遠きひとのこと 川村文英 ろんど 201407
鞦韆のリズム違へて影ふたつ 堀田順子 馬醉木 201506
子ら去りてより鞦韆をそつと漕ぐ 落合絹代 風土 201507
鞦韆や人妻奪ふ恋をして 小谷一夫 201508
鞦韆を漕ぎゐていづこへも行かず 大矢恒彦 201605
夕星を見るに鞦韆高う漕ぐ 松本峰春 春燈 201606
鋭角に鞦韆をこぐ喧嘩のあと 吉田葎 201705
鞦韆の加速夕日を蹴り上ぐる 丸井巴水 京鹿子 201706
鞦韆や楽譜を繰りし父と子と 伊吹之博 京鹿子 201706
鞦韆やだれもいぬのに揺れてをり 後藤マツエ 201707
鞦韆漕ぐ老の残んのいのち漕ぐ 山本喜朗 雨月 201806
鞦韆に御居処はめ込むをみなかな 藤生不二男 六花 201806
誰もゐない鞦韆ゆらしゐるは誰 近藤喜子 201807
鞦韆をためらふ齢となりにけり 高倉和子 201807
鞦韆の風生まれけり御下げ髪 石澤昭代 京鹿子 201907
母よりも高く鞦韆をんなの子 松本三千夫 末黒野 201907
鞦韆の影の静けさ疫下の街 安立公彦 春燈 202007
鞦韆漕ぐ想ひの届く高さまで 渡辺若菜 春燈 202007
鞦韆で君居る空に分け入るや 渡部恭子 202009
鞦韆を昭和の空で漕ぎにけり 山本則男 202010
鞦韆漕ぐ異国の船をぽんと蹴り 高倉和子 202112
鞦韆を大きく漕ぎて別れけり 能村研三 202205
鞦韆のまだ揺れ残る夜六時 篠田大佳 あを 202205
鞦韆や空押し上ぐるスニーカー 平木三恵子 やぶれ傘 202207
母の手が背に鞦韆の戻るたび 野中みのり 202302

 

2023年4月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。