ぶらんこ     159句

ぶらんこを昔下り立ち冬の園    三橋敏雄

ふらここ  鞦韆  ぶらんこ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ぶらんこが罠のようにある秋霖
南村健治
船団
199902
溥儀住みし故宮の裏にぶらんこ鳴る
松崎鉄之介
199906
ぶらんここぎすぎて畳屋のようなり
宮崎斗士
海程
199907
ぶらんこの横ゆれほどな別れかな
須山つとむ
船団
199909
ぶらんこに漕がず孤独の十七才
平松薫
六花
200008
ぶらんこを漕いで泪の乾きけり
川畑良子
200105
ルノアール展ぶらんこの絵を賞でつ
宮津昭彦
200105
ぶらんこの子の背未来へ押しやりぬ
長島恵吉
遠嶺
200106
ぶらんこ漕ぐすこし気分が楽になり
中村立身
百鳥
200106
ぶらんこへ爪先立ちの順待つ児
柳未央
いろり
200107
秋時雨鳥のぶらんこ買ひにけり
奥田筆子
京鹿子
200202
いま泣きし子がぶらんこの宙を蹴る
宇都宮滴水
京鹿子
200202
ぶらんこの漕ぎあがるたび蓮枯るる
岡本眸
200203
引越してゆくぶらんこを乗り捨てて
望月周
百鳥
200206
ぶらんこの余震しばらく続きをり
櫂未知子
銀化
200206
ぶらんこを漕ぐたび影の伸び縮み
藤原かかし
200207
ぶらんこを降りて寸劇披露かな
松本欣子
百鳥
200207
腰掛くるだけのぶらんこ鳥渡る
隅田恵子
雨月
200302
ぶらんこの下にまだある水たまり
長谷川守可
百鳥
200306
漕ぐとなく漕ぐぶらんこの空青し
河本美智雄
築港
200307
ぶらんこの子や水筒を弾ませて
隈部郁子
200307
ぶらんこの下に窪みや日短し
金子つとむ
雲の峰
200402
ぶらんこを原色に塗り春を待つ
今瀬剛一
対岸
200403
ぶらんこを降り鉄棒に身を曲げる
加藤白狼子
築港
200405
ぶらんこを漕ぎ「イエスタディ」ワンスモア
次井義泰
200406
ぶらんこを飛び出しさうに漕ぐ子かな
菅龍一
百鳥
200406
友の子のぶらんこ押すに妬心湧く
杉谷文江
200406
膝に孫乗せてぶらんこ弛く漕ぐ
花房敏
ぐろっけ
200407
譲る気のなきぶらんこを高く漕ぐ
柴田佐知子
200408
ぶらんこにたむろしてゐる同窓生
戸栗末廣
火星
200408
ぶらんこのすぐに飽きたる子守かな
戸栗末廣
火星
200506
ぶらんこの綱眞新し幼稚園
長崎桂子
あを
200506
ぶらんこを漕ぐ子が待つや父と母
横尾恵子
200507
ぶらんこをやつとこげたり立ちしまま
樋野恵美子
築港
200507
ぶらんこは急かずあわてず刻きざむ
岩崎憲二
京鹿子
200507
順を待つ目がぶらんこを漕いでをり
勝田公子
200508
ぶらんこを漕ぐルノワールの絵のやうに
高橋あゆみ
200510
ぶらんこや好きな子の背を強く押し
田中春生
200512
ぶらんこを揺らして少し泣いてゐる
田口武
さうぢやなくても
200602
ぶらんこのほんとのかげがそらにあり
小澤克己
遠嶺
200604
ぶらんこに暫し遊びし尉と媼
波田美智子
火星
200605
ぶらんこやかつて映画に志村喬
神谷孝子
対岸
200605
ぶらんこのひとつ揺れをり草朧
清水節子
馬醉木
200607
ぶらんこを漕いで地球の端揺らす
峯桜子
遠嶺
200607
明日香路やぶらんこ毛虫鼻先に
山下佳子
200608
ぶらんこに腰掛けて待つ同窓生
戸栗末廣
火星
200609
ゆくりなくぶらんこに乗る秋日和
井上幸子
酸漿
200612
金装いぶらんこ毛虫京の路地
中野英歩
八千草
200701
忍者似のぶらんこ毛虫着地何処
中野英歩
八千草
200701
公園のぶらんこ晩くまで軋む
柳生千枝子
火星
200705
ぶらんこや言ふこときかぬ子の眉目
今井千鶴子
ホトトギス
200707
一人乗りぶらんこが好き夕茜
相沢有理子
風土
200707
ぶらんこを漕ぐ友のみな帰るまで
鈴木朋魚
200708
ぶらんこにピアス光らせ若きパパ
紀川和子
200805
ぶらんこを高漕ぐ空に溶けたくて
柳生千枝子
火星
200806
手花火にぶらんこの板浮みけり
山尾玉藻
火星
200808
ぶらんこの揺れを残して誰もゐず
鶴岡加苗
200809
ぶらんこや猿の人間ウォッチング
小泉貴弘
筑波の道
200811
ぶらんこを並んで漕いで仲直り
嶋田摩耶子
ホトトギス
200811
赤錆びのぶらんこに父待たせをり
吉岡一三
200812
犬抱きて乗るぶらんこや恵方道
中田みなみ
200903
ぶらんこの誘惑残業終へし道
常田創
200904
ぶらんこを飛び出したがる膝小僧
山田六甲
六花
200904
ぶらんこへ駆けてゆく子よ躓くな
加古みちよ
火星
200906
ぶらんこに坐せば来し方傾れきし
山崎靖子
200906
伸び縮みぶらんこを漕ぐ人影の
隅田恵子
雨月
200906
ぶらんこの揺れの残れり宵の庭
山荘慶子
あを
200906
ぶらんこのたましひ飛んでポルトガル
相良牧人
200908
ぶらんこの靴の空色霜日和
永田二三子
酸漿
201004
ぶらんこにだれへともなく歌ふなり
蘭定かず子
火星
201005
ぶらんこを喜ぶ少女盲なり
石川元子
酸漿
201006
ぶらんこや鉄の鎖の握り跡
遠藤実
あを
201006
ぶらんこの声太陽の上にあり
鈴木照子
201007
ぶらんこの子等振れ幅を競ひ合ふ
渡邉孝彦
やぶれ傘
201008
ぶらんこにぬくもり置いて家路かな
山口天木
雨月
201012
ぶらんこに揺らさず座る昼の月
成田美代
201105
車椅子では乗れぬぶらんこ見てをりぬ
成瀬櫻桃子
櫻桃子選集
201105
天国行きぶらんこに娘は手を振れり
成瀬櫻桃子
櫻桃子選集
201105
ぶらんこの太陽けつて戻りけり
浅木ノヱ
春燈
201106
帰る雁ぶらんこ揺るるまま暮るる
久保東海司
201106
子の心中探るぶらんこ共に漕ぎ
山中宏子
201107
もひとつのぶらんこ揺れてゐる月下
城孝子
火星
201107
ぶらんこ高いきれいな空気吸うてくる
十川たかし
201107
ぶらんこの少し捩るる戻りぎは
細野恵久
ぐろっけ
201203
ぶらんこの筑波を蹴つて止まりけり
本多游子
春燈
201204
ぶらんこに忘れたきこと揺しけり
荒井書子
馬醉木
201204
ぶらんこを降りむ翼をたたみけり 荒井千佐代 201206
ぶらんこにセールスマンの昼餉かな 塩田博久 風土 201206
ぶらんこに踏んばって立つ児の眼線 石田かし子 ろんど 201207
鳥の目が欲しくぶらんこ起ち漕ぎす 富川明子 201306
ぶらんこに乗れば記憶の空ばかり 本間羊山 風土 201306
空中のぶらんこ渡るピエロかな 堺昌子 末黒野 201306
近畿一円今日はぶらんこ揺れている 中谷仁美 船団 201306
ぶらんこを飛び降りて行く犬のもと 小山陽子 やぶれ傘 201306
ぶらんこをこいでる夜のホームレス 篠田純子 あを 201405
ぶらんこを漕ぐ正面に男山 涼野海音 火星 201406
ぶらんこを天まで漕いで兵となりし 鳥居美智子 ろんど 201406
後を追ふかにブランコの揺れつづく 笠井敦子 201407
母待ちのぶらんこ宇宙遊泳す 川村文英 ろんど 201407
子ら帰り園のぶらんこ風が乗る 堀井英子 雨月 201407
ぶらんこに掛けて寛ぐ昼下り 池田節 春燈 201407
ぶらんこの子に一しきり桜散る 出口貴美子 雨月 201407
尺蠖の空中ブランコ見てゐたり 瀬川公馨 201408
ぶらんこの誘惑残業終へし道 常田 創 璦別冊 201408
天道に下るぶらんこ秋津洲 岡田一夫 201410
還暦やぶらんこ高く高く漕ぐ 鈴木みのり 201412
ぶらんこが木枯し一号乗せている 古川忠利 ろんど 201502
銀杏散るかつて此処にはブランコが はしもと風里 船団 201505
杖ついて来てぶらんこを漕いでゐる 柴田志津子 201505
知らぬ児がそつとぶらんこ押しくれし 白神知恵子 女坂 201508
孫膝にぶらんこ大きく揺らしをり 松嶋一洋 201508
アロエの花あァぶらんこを漕ぐちから 津波古江津 船団 201508
ぶらんこの影と白雲木の花 藤井美晴 やぶれ傘 201509
ぶらんこの下の凹みの湿りゐる 大崎紀夫 虻の昼 201510
ぶらんこに片足かけてベニインコ ふけとしこ 船団 201512
泣いて来る子にぶらんこを譲りけり 柴田志津子 201605
鳥一羽ぶらんこ蹴つて飛びにけり 中田禎子 201606
ぶらんこを蹴つてしばらく若返る 樋口英子 201606
ぶらんこにゐても携帯電話かな 齋藤厚子 201606
ぶらんこをちぐはぐに漕ぎ分かれけり 小泉貴弘 春燈 201608
ブランコの激しく動く昼下がり 出口誠 六花 201608
螢袋夜のブランコに座す男 北川孝子 京鹿子 201611
送り盆夜のぶらんこ少し漕ぐ 岸洋子 201612
遠雷や風の漕ぎ出すブランコの 大日向幸江 あを 201707
稲妻や空のぶらんこ揺れ止まず 岡本尚子 風土 201711
ぶらんこや姉が弟の背を押し 大畑善昭 201805
少年よ翔ベブランコは字宙船 山田くみこ 201806
永久歯生え初むぶらんこ高くたかく 栗原公子 201807
ぶらんこの少女朝より光こぐ 中村風信子 馬醉木 201807
高く漕ぐぶらんこのふと恐くなる 湖東紀子 ホトトギス 201810
極楽やなあとぶらんこにお尻 中原幸子 船団 201811
ぶらんこに乗れば近づく空のあり 稲畑汀子 ホトトギス 201904
誰もゐぬぶらんこ乗つてみることに 稲畑汀子 ホトトギス 201904
ぶらんこに会話行つたり来たりして 稲畑汀子 ホトトギス 201904
わが世代ぶらんこならば志村喬 千田敬 201904
ぶらんこや一人の音のゆき戻り 斉藤マキ子 末黒野 201904
ぶらんこに土煙のりぶうらぶら 加藤みき 201905
少年に乗れとぶらんこ揺らぎをり 土井三乙 風土 201906
大臀筋使へば高くぶらんこは 辻水音 201906
ぶらんこを漕ぐ度頭上下に 安齋正蔵 やぶれ傘 201908
ぶらんこに水平線のゆらめけり 藤生不二男 六花 202005
雨の公園ぶらんこは風が乗り 岡野里子 末黒野 202006
ぶらんこの漕げば月日のさかのぼる 藤生不二男 六花 202006
ぶらんこや寺に双子のベビーカー 土井ゆう子 風土 202007
ぶらんこのひと日空かずに夕桜 柿沼盟子 風土 202007
ぶらんこを飛び降り譲る男の子 秋千晴 202007
ぶらんこの冷たく匂ふ雨後の園 近藤真啓 春燈 202007
きまぐれに旅のぶらんこゆらしけり 木村梨花 春燈 202007
ブランコを囲む柵なら腰かけて 渡邉孝彦 やぶれ傘 202007
ぶらんこ三台水溜り三つ 角野良生 202010
ぶらんこのゆるるにまかせ鳥を聴く 倉澤節子 やぶれ傘 202105
母を待つ子やぶらんこに浅くゐて 平沢恵子 春燈 202106
ひとり漕ぐ夏ぶらんことて自粛して 松本峰春 春燈 202111
鳥獣人物戯画のひとりの夏ぶらんこ 松本峰春 春燈 202111
夜のぶらんこ大人にもある反抗期 小林陽子 202205
ぶらんこに揺れてゐるのは「これから」 直江裕子 京鹿子 202206
ぶらんこを落ちし児へ姉駆け寄りぬ 田中とし江 202208
家出半日ぶらんこにゆられけり 大西乃子 202212
ぶらんこをこれでもかやと空高し 堺昌子 末黒野 202212

 

2023年4月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。