春 灯(しゅんとう) 2       123句

まことより嘘が楽しや春灯下   吉屋信子   吉屋信子句集

春灯  春ともし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春燈や磐石と見る硯石 瀧春一 常念 200606
春燈や拡大鏡の文字うるむ 淵脇護 河鹿 200606
春燈の窓のひとつに母老いし コ田正樹 河鹿 200606
春燈の窓のひとつに母病めり コ田正樹 河鹿 200606
点滴に片腕とられ春灯下 木原紀幸 河鹿 200606
イナバウアー出来る出来ない春灯下 高根照子 200606
春灯下心通はす師の百句 橋本昭子 四葩 200606
片頬になにかを詰める春灯下 富沢敏子 200606
春灯や蕪村遺愛の硯箱 木暮剛平 万象 200606
春灯の吸ひ込みて閉づ手術室 北川英子 200607
春灯の広がりながら消えにけり ことり 六花 200607
一斉にめくる楽譜や春灯下 高橋笛美 ホトトギス 200610
春灯下紫煙も祝ぎの香を持てり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200703
春灯を明るうせよと師の笑顔 稲畑廣太郎 ホトトギス 200704

 飯田龍太氏を偲ぶ

高塔下また春燈下君在りし

林翔 200704
春灯やお吉使ひし櫛簪 木暮剛平 万象 200705
春燈や正子全集十五巻 橋添やよひ 風土 200705
春灯下子の耳たぶの亡夫に似て 平居澪子 六花 200705
春燈や女のゑみに牙を見つ 小澤克己 遠嶺 200706
春燈や古き夢二の詩集選む 横山迪子 六花 200706
春燈や眞砂女嫌いと云ふ人と 芝宮須磨子 あを 200706
春燈や身軽になりし広辞苑 赤座典子 あを 200706
春灯下土偶の顔のわれに似て 村松紅花 ホトトギス 200707
トランペットいよよ妖しき春灯下 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
御披露目はこの春灯の下でこそ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
春灯の明るさ加へ学ぶ昼 稲畑汀子 ホトトギス 200804
春灯を山のごとくに豪華船 米山喜久子 200805
春灯やジャズの洩れくる煉瓦館 米山喜久子 200805
春灯や栞の紐の濃紫 米山喜久子 200805
春灯に誘はれて入る酒処 中村悦子 200805
春灯を鏤め杜の造形美 宮田香 200806
春灯に痴漢注意の札立ちぬ 北尾章郎 200806
春灯や往時を偲ぶ大茶釜 原島ふじ子 遠嶺 200806
春灯や肉屋の肉の間の鉤 大島翠木 200806
春灯や母の名足に新生児 森山暁湖 万象 200806
お見舞の筆ままならぬ春灯下 山口速 200807
春灯の額の歪みを直しけり 東良子 遠嶺 200807
春灯下微動だにせぬ青頭 松本文一郎 六花 200807
春灯下眠る吾子抱く妻ありて 山根正巳 ホトトギス 200808
春燈の煌々たるに病衣替ふ 岡本眸 200904
春燈のいつまで灯る子等の部屋 須藤トモ子 200905
傘寿の賀を享く春燈の能勢の郷 山下青坡 200905
春灯の一つは我を待つ灯とも 大沼まり子 200905
春灯や商人宿の勝手口 小山徳夫 遠嶺 200906
春灯や寄木造りの釈迦如来 芳賀雅子 遠嶺 200906
春燈になまめく緋鯉真鯉かな 鈴木阿久 200906
対岸はギリシア春灯うるみけり 樺山翠 雨月 200907
点滴の光りては落つ春灯下 山口まつを 雨月 200907
春燈に明治の写真着くづれて 小林玲子 ぐろっけ 200907
春燈や蝋涙の形ごつごつと 有賀昌子 やぶれ傘 200907
春灯や虚子漱石の文机 河野美奇 ホトトギス 200909
春灯の書架のヘルマンヘッセかな 岬雪夫 201003
春灯下先づ福音書開くより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201003
春灯の下謀進みゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201004
生きてゐるしるし春灯玄関に 田中藤穂 あを 201005
心中の秘佛春燈の厨子の中 狭川青史 馬醉木 201006
春灯下脳トレ効果信じつつ 和田郁子 201006
春灯や江戸小咄の続き読み 丸山治男 末黒野 201006
春燈というため息の漏れだせり 貝森光洋 六花 201006
春灯のひとつがひとりまたひとつ 鎌田悟朗 ろんど 201006
春燈は雨の鐵路のむかう側 佐藤喜孝 あを 201006
春燈や時々止る観覧車 赤座典子 あを 201006
春燈下下五の措辞に執心し 岡佳代子 201007
春灯や一つ埋まらぬ遺族席 安食守 201007
招かれて傘寿のうたげ春灯下 山下青坡 201007
春灯の暗きに珈琲運ばるる 小林愛子 万象 201007
春燈やピンクの窓のケアホー厶 萩原渓人 やぶれ傘 201008
一字削一字加へる春燈下 布川直幸 201103
春灯に聖書の文字華やげり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201104
額縁売るどれにも春灯はめこみて 豊田都峰 京鹿子 201105
ぽつぽつと春灯昭和期の団地 古屋元 201105
春灯や半迦菩薩の足の裏 西山美枝子 酸漿 201105
春燈や窓の数だけ窓の色 中本吉信 201106
春燈や薩摩切子の酒しづく 高瀬史 馬醉木 201106
春灯を大事に抱へ一家族 酒本八重 201106
菩薩像春灯の影浴び在し 大橋敦子 雨月 201106
春灯に集ふ贅沢余震なほ 山本浪子 風土 201106
春燈に礼言ふことも震災後 中山皓雪 201107
春灯の港倉庫に次々と 岡田満喜子 ぐろっけ 201107
春燈の一滴を足す備忘録 山中志津子 京鹿子 201108
春灯下ポーズをとりて眼鏡選る 岡谷栄子 201108
窓すべて春灯ともす中華楼 中村則夫 やぶれ傘 201110
紐引けば春灯点りたる素直 吉田希望 201205
春灯を波間にゆらす屋形船 川井素山 かさね 201205
宵闇に浮かぶ春灯二つ三つ 青木英林 かさね 201205
春灯や孫とたはむる白髪妻 吉田博行 かさね 201205
春灯や海辺の道の靄おぼろ 菊地崇之 かさね 201205
春燈や夫の葬りにきれいどこ 白石善子 雨月 201205
一湾の春灯つなぐ首飾り 松本周二 かさね 201206
前を行く人春燈の門へ消ゆ 廣畑忠明 火星 201206
春灯のちらほら見ゆる散居村 小林美登里 かさね 201207
春灯や食ぶるに惜しき京干菓子 小倉正穂 末黒野 201208
面会了の春灯ひとつ点されて 酒井秀郎 返り花 201211
春灯下魂宿る遺墨かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
華やげる春灯点したるよりは 稲畑汀子 ホトトギス 201304
よき知らせ聞かせたまひぬ春灯下 稲畑汀子 ホトトギス 201304
マンションの百の春灯にじみをり 黒澤登美枝 201305
フェリー航く波間に春灯落しつつ 大橋伊佐子 末黒野 201306
春灯に被さる夜明け始まりぬ 市川伊團次 六花 201306

 ひとり文芸ミュージカル「三毛子」推薦文

春灯下一歩に明治香りたる

稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
待つ顔をグラスに映す春灯下 湯川雅 ホトトギス 201307
春灯を囲めば明日の会のこと 稲畑汀子 ホトトギス 201403
春灯には人住むならひひとり旅 竹貰示虹 京鹿子 201403
春灯を囲めば明日の会のこと 稲畑汀子 ホトトギス 201403
春灯や机一つの駐在所 今井弘雄 春燈 201404
春灯下永久に消えざる面差しに 稲畑汀子 ホトトギス 201404
春灯下男は涙見せぬもの 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
なごり惜しとて春灯に集ひたる 稲畑汀子 ホトトギス 201404
教育に關スル勅語春燈下 定梶じょう あを 201405
いちはやく春灯点しかすみけり 神蔵器 風土 201406
外郎はむかし薬や春灯 戸田春月 火星 201406
春灯カーテンコールが終はらない おーたえつこ 201406
春灯硬直の腕ほどけゆく たかはしすなお 201406
空のバス春灯乗せて発車せり 神戸やすを 201406
光源氏あらはれさうな春灯 織田高暢 201406
花風踊はなふうからじ艶めく春灯 呉屋菜々 万象 201407
春灯壺屋に買ひしパナリ壺 福島せいぎ 万象 201407
春燈やひらけば香る古都の菓子 福永みち子 馬醉木 201407
春燈や夜のはじまる紺暖簾 上塚弘子 ろんど 201407
川波の襞ごとに在り春灯 和田紀夫 201407
独り言思はず洩らす春灯 野村鞆枝 京鹿子 201408
大航海時代の地図や春灯す 中村洋子 風土 201409
句会場出来て春灯点りけり 稲畑汀子 ホトトギス 201503
春灯→ 3      

 

 

2021年4月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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