春 愁 9     100句

けふも富士見えず春愁とは云はめ   西山葉子   暖流

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春愁の影ひく若きアスリート 平沢恵子 春燈 201805
春愁につく銀色の栞紐 辻美奈子 201805
嵩うすき乳房押ふる春愁 細川洋子 201805
追鰹して春愁を断ち切りぬ 平松うさぎ 201805
春愁や掌と掌にはさむ名もなき草 伊藤希眸 京鹿子 201806
春愁や音を刻まぬ掛時計 能村研三 201806
春愁くるむ森の匂ひのバスタオル 大川ゆかり 201806
パレットの原色春愁のゴッホ つじあきこ 201806
父よ母よ春愁の巴里日記 辻水音 201806
森の香の湯船に溶けて春愁い 火箱ひろ 201806
春愁を連ね明るき終電車 火箱ひろ 201806
パン生地をこねて丸める春愁も 宮野了子 201806
何か居る何も居ないよ春愁い 森有子 201806
春愁や縁の柱に背をあづけ 森清堯 末黒野 201806
春愁や浮桟橋の軋む音 岡野里子 末黒野 201806
春愁や御徒町にて指輪売る 須賀敏子 あを 201806
春愁やかもめの脚のはがね色 森なほ子 あを 201806
老いといふ春愁に似て非なるもの 田中藤穂 あを 201806
言の葉の欠片ちりばめ春愁ふ 水野恒彦 201807
春愁や己がこころの狭かりし 岩月優美子 201807
サンド・バッグ打つ春愁のをみなかな 中西恒弘 201807
春愁の壁はボールを跳ね返す 鈴木光影 201807
春愁や妻の蒐めし虚の箱 片山博介 春燈 201807
春愁や米寿近づき食細る 大口堂遊 春燈 201807
見えにくき辞書の細字も春愁ひ 佐津のぼる 六花 201807
春愁や風に転がる紙コップ 谷口一献 六花 201807
春愁や魚は一と世をみひらきて 山内碧 201807
乾びたる海星を拾ふ春愁 川内谷育代 馬醉木 201808
息吸つて止めて撮らるる春愁 金子正道 京鹿子 201808
弔事ありて春愁いよよ膨らみぬ 大橋晄 雨月 201808
春愁が酒を薄めてをりにけり 立村霜衣 ホトトギス 201808
春愁や風にささくれたる水面 木暮陶句郎 ホトトギス 201809
春愁やクレパスで描くハートチョコ 松永啓子 船団 201809
春愁をふくらはぎだけ知っている 松永啓子 船団 201809
春愁や壁画の中に棲む鳥も 大沢美智子 201901
春愁の切り取り線の切れぬまま 石原孝人 京鹿子 201901
太平記読む春愁の喫茶店 楠本和弘 201902
煉瓦塀のひとつ抜けいる春愁 篠田純子 201902
春愁や筆は重たきものと知る 石川りゅうし 201902
春愁の目差吉田茂像 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
春愁や来るべき人の来ぬ忌日 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春愁はワイン三本あれば解け 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春愁を吹き飛ばしたる朝餉かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春愁や卒寿の齢身に重く 山内四郎 春燈 201905
春愁や昔燈台ありし岬 駒井でる太 馬醉木 201906
春愁やいづくに住むも仮の宿 鷹崎由未子 春燈 201906
春愁や波に流離ふ鳥の羽根 向井芳子 春燈 201906
春愁やワインボトルの底の窪 千田百里 201906
春愁の歩幅にいそしぎの歩幅 浅田光代 風土 201906
春愁のポケットからミルクキャラメル つじあきこ 201906
春愁や黄味の片寄る茹で卵 松本三千夫 末黒野 201906
春愁と違ふ憂ひや恙妻 田中臥石 末黒野 201906
春愁や空より深き海の藍 加藤静江 末黒野 201906
春愁の欠片も見えぬ別世界 赤座典子 あを 201906
春愁や敵も味方も夫ひとり 北元多加 馬醉木 201907
春愁や金平糖に角六つ 秋津令 201907
春愁の軸足すこし替へてみる 菊池和子 京鹿子 201907
春愁や紅茶に沈む角砂糖 岡野里子 末黒野 201907
春愁や紺青の海静もりて 丸山千穂子 末黒野 201907
春愁の心均せる東慶寺 丸山千穂子 末黒野 201907
春愁や片付かぬものあちこちに 小池桃代 末黒野 201907
春愁や吸取紙は文字を吸ひ 小原紀子 末黒野 201907
春愁や政子の匣の櫛毛抜 小原紀子 末黒野 201907
芯の無き春愁に芯一忌日 湯川雅 ホトトギス 201908
春愁や染井吉野も高齢化 大久保白村 ホトトギス 201908
欄干に凭れ春愁とはいかぬ 伊藤隆 201908
春愁や適塾柱の刀疵 井上和子 201909
思ひ出せぬ名前のやうに春愁 高倉和子 201909
ひとり居のワイン春愁甘やかす 田丸千種 ホトトギス 201909
春愁を口にするより消えてをり 水田むつみ ホトトギス 201909
小石蹴り春愁の中入りこむ 佐藤恭子 あを 201909
春愁や墓の墓場の供養かな 朧潤 船団 201912
春愁を払ふ講師は野分会 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
春愁といふ希望への序曲かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
旅疲れ癒え春愁の残りたる 稲畑汀子 ホトトギス 202004
癒えられしことに春愁なかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 202004
春愁の消えて歓迎する心 稲畑汀子 ホトトギス 202004
春愁なんぞと夫買うてくる花いっぱい 赤座典子 あを 202005
春愁といふ引く波の残す泡 宮内とし子 202005
春愁やチョコを銀紙越しに割り 千田百里 202005
春愁や画鋲外れし世界地図 鈴木愛子 202005
もやしの根とり春愁を深めをり 田中藤穂 あを 202005
春愁やジュゴンの水の薄濁り 森なほ子 あを 202005
春愁の逆さに返す砂時計 杉原かほる 202006
春愁の籠れる窓は嵌め殺し 能村研三 202006
春愁の底を無心の深海魚 伊藤希眸 京鹿子 202006
姉作る人形達に春愁あり 平居澪子 六花 202006
春愁を形にすれば阿修羅像 林昭太郎 202006
春愁やウイルス避くる蟄居の身 是松三雄 末黒野 202007
春愁を忘るる夜の文庫本 及川照子 末黒野 202007
春愁の真只中の膝がしら 菊地光子 202007
鏡拭いて春愁の顔のこりけり 浅木ノヱ 春燈 202007
春愁や旧き映画を観て過ごす 田中信行 202007
ぽろんぽろんと春愁のピアノかな 近藤喜子 202007
ビル風のロダンの像や春愁 太田良一 末黒野 202007
またひとつ予定を消すや春愁 玉川利江 末黒野 202007
ふと猫に見据えられをり春愁 石田朝子 末黒野 202008
春愁や凪ぎて動かぬ遠白帆 森清信子 露の堂 202008
春愁や持つて行きばのなき不安 水田むつみ ホトトギス 202008
春愁 →10

 

2021年3月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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