春 愁 1     100句

春愁の長鼓を打てる妓生かな   朴魯植  ホトトギス

春愁  春うれひ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
春愁の鏡を拭ひ何為さむ 井田実代子 雨月 199805  
春愁や螺子に雌雄のあることも 内田美紗 船団 199811  
春愁をコピーにとれば魚の顔 南村健治 船団 199811  
春愁や樹間に赤き電車過ぎ 前田陶代子 199901  
春愁を灯の無き家に持ち帰る 品川鈴子 ぐろっけ 199903  
美は眉にあり春愁の眉にあり 鷹羽狩行 199904  
紐噛んで抽斗ときに春愁す 丸山佳子 京鹿子 199904  
鏡中の目がわれを見し春愁 樋口英子 朝桜 199904  
きつぱりと髪切り春愁とも違ふ 樋口英子 朝桜 199904  
春愁の唇盗られしは夢なのか 保坂加津夫 いろり 199904  
春愁や小さき声のひとりごと 渋沢小枝 いろり 199904  
生きている限り春愁つきまとい 伊藤一歩 いろり 199904  
春愁やデッサンを食パンで消し 鷹羽狩行 199905  
春愁のきつかけ間違ひ電話より 原山幸子 199905  
春愁をそつと置き去る試着室 佐野美恵子 199905  
春愁の分析に取り掛かりをり 黒川南無観 円虹 199906  
春愁やひげ剃るわれのしわ増えて 保坂加津夫 いろり 199906  
春愁は直立歩行よりのこと 河合城太 銀化 199906  
春愁や紛ひ宝石首に下げ 吉岡久江 火星 199906  
春愁の散りくるものを諾ひぬ 小島みつ代 199906  
春愁や巨き魚板の打ち凹み 長谷川史郊 馬醉木 199907  
咲き満ちてより春愁の深まりぬ 今井松子 遠嶺 199907  
春愁の午後は水飲みゐたりけり 嵯峨根鈴子 火星 199907  
春愁はたまらなく痒い耳朶 小堀葵 海程 199907  
馬をして春愁水呑み場の砥石 小堀葵 海程 199907  
春愁やヨガの姿勢の懺悔めき 谷添睦子 199907  
認めたくなき春愁にありにけり 山田夏子 雨月 199907  
春愁のさざなみまかせ鴨浮かみ 高橋さえ子 199907  
知り人も噂も増えて春愁 小林玲子 ぐろっけ 199907  
春愁や曲線多き仏の画 永井みどり 199908  
春愁や別れの雨は止むまじく 三村純也 ホトトギス 199909  
深爪や春愁の魚さわぎおり 吉田透思朗 海程 199909  
春愁の丸い石など捜すふり 墨谷ひろし 船団 199909  
春愁や埴輪の口のうす笑い 鶴濱節子 船団 199909  
春愁の解体をして可燃ゴミ 松永典子 船団 199909  
春愁を紐で括った参考書 朝日彩湖 船団 199909  
夫一人子供が二人春愁ふ 近藤千雅 船団 199909  
春愁をハローキティーの便箋に 田中桜子 船団 199909  
春愁や子に逆らひしこと悔いし 川崎克 ホトトギス 199910  
春愁をたとふればすり硝子かな 千田百里 巴里発 199911  
春愁をひらりと躱し鰻食ふ 能村登四郎 芒種 199911  
春愁に似て非なるもの老愁は 能村登四郎 芒種 199911  
米櫃を春愁の手がならしけり 能村登四郎 芒種 199911  
春愁や対称にならぬ肖像画 わたなべじゅんこ 船団 199912  
逆立ちをして春愁の血を正す 津田このみ 月ひとしずく 199912  
春愁を四角に詰めて電車かな 津田このみ 月ひとしずく 199912  
春愁のぶらり画廊へムンクの画 松下幸恵 六花 200002  
春愁や生年月日のなき人形 宇都宮滴水 京鹿子 200003  
春愁やなりゆきまかせのねこのひげ わたなべじゅんこ 鳥になる 200003  
旅愁春愁嗄れの男歌 品川鈴子 ぐろっけ 200003  
書き上げて春愁消えてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200004  
春愁や朝より届く長電話 稲畑汀子 ホトトギス 200004  
春愁や籠に芽をふくメークウィーン 山尾玉藻 火星 200004  
春愁のわたしに鯉がアイラブユー 丸山佳子 京鹿子 200004  
春愁やボタン一つを掛け違ふ 保坂加津夫 いろり 200004  
春愁や明日を手術と若き声 保坂加津夫 いろり 200004  
春愁もぶちこんじまえ紙袋 三宅やよい 玩具帳 200004  
春愁をなだむる酒と諾へる 武政礼子 雨月 200005  
春愁や黙して目刺し頭から 保坂加津夫 いろり 200005  
春愁の云えぬ小指を切ったこと 保坂加津夫 いろり 200005  
たましいを遠くとほくに春愁を 保坂加津夫 いろり 200005  
春愁や娘の気持解せぬまま 篠田三七子 いろり 200005  
春愁や夢の中まで聞き役に 山本潤子 いろり 200005  
春愁や不安を抱へ手術の日 松沢久子 いろり 200005  
春愁や胃袋捨てて神妙に 松沢久子 いろり 200005  
春愁の巨大なハンマーなる我は 塩見恵介 虹の種 200005  
春愁やビーナスの臍人魚の臍 塩見恵介 虹の種 200005  
春愁や首傾げゐる女人仏 朝妻真知子 俳句通信 200005  
春愁や視野はなれゆく島渡舟 塙三千男 馬醉木 200006  
ひと区切つきし春愁かも知れず 山田弘子 円虹 200006  
春愁の指抽出に噛まれけり 田中きよ子 酸漿 200006  
頬杖に置く春愁といふ重さ 鷹羽狩行 200006  
春愁や片方だけのイヤリング 島田和子 風土 200006  
春愁を言つてはをれぬ遅延稿 能村研三 200006  
春愁や風評のまだ収まらず 安井明子 200006  
春愁の灯には盃重すぎる 宇都宮滴水 京鹿子 200006  
春愁を入日の紅で沈ましむ 松本鷹根 京鹿子 200006  
春愁や横笛の像目を伏せて 阿波谷和子 俳句通信 200006  
春愁や一人に広き部屋の数 大平保子 いろり 200006  
学友を葬りて春愁はじまれり 小川花久 いろり 200006  
春愁や幸うすき人逝くと聞く 茂木とみ いろり 200006  
春愁や出世せし子は家継がず 相沢健造 いろり 200006  
春愁といふ水甕のごときもの 土井田晩聖 銀化 200006  
春愁や時代に生きて皆逝きぬ 久保田一豊 いろり 200007  
春愁の鉛筆みんなとがってるよ しおやきみこ 船団 200007  
春愁は積みあげし書の高さほど 武田ともこ ぐろっけ 200008  
春愁と言ひ疲れしと言はずをり 今井千鶴子 ホトトギス 200009  
おたぬきの尾を消し忘れ春愁 黒田さつき 船団 200009  
春愁の音なく割れるグラスかな 中原幸子 遠くの山 200010  
春愁や名画の中の目が百個 中原幸子 遠くの山 200010  
春愁のボタンが一つ雲がくれ しおやきみこ 船団 200010  
春愁や帽子の効用教えます 中林明美 ヒッポ千番地 200010  
春愁も老ゆれば淡き淡きもの 伊藤鯰子 ぐろっけ 200010  
銀食器落とす春愁かと思ふ 小嶋洋子 200101  
春愁やトレンチコートの内釦 小嶋洋子 200101  
春愁や羽根もて払ふシャンデリア 鷹羽狩行 200104  
春愁につながる紐やどれ切らむ 中原道夫 銀化 200104  
春愁や蕎麦運ばれてくるまでを 山野みどり 銀化 200104  
うたたねといふ春愁の抜けどころ 伊藤愛子 200105  
春愁や棚に殖えゆく常備薬 長尾康子 風土 200105 春愁 →2

 

2020年2月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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