春 愁 8     189句

けふも富士見えず春愁とは云はめ   西山葉子   暖流

作品
作者
掲載誌
掲載年月
窓ごしに空見る日々や春愁 原田小芝 春燈 201403
春愁や髪を伸ばして老いゆくも 原田小芝 春燈 201403
髯剃つてゐて春愁の顔を切る 丸山佳子 京鹿子 201404
春愁を払ふボルドー十本目 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
春愁や立体映画味気なく 丸山佳子 京鹿子 201404
春愁や聴き手少なき辻説法 庵原敏典 末黒野 201404
春愁や若き恙と聞けば尚 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
春愁やスウプに余る鶏の骨 竹内弘子 あを 201404
春愁の針娘ばかりのしづけさよ 丸山佳子 京鹿子 201404
春愁といへど縫ふ針意のまゝに 丸山佳子 京鹿子 201404
春愁といふ逃道のあることを 稲畑汀子 ホトトギス 201404
忙しき生活春愁寄せつけず 稲畑汀子 ホトトギス 201404
喪ごもりに春愁深くなりゆくも 佐藤淑子 雨月 201405
春愁や武将の位牌ある客間 和田郁子 201405
春愁や発着列車きりもなや 能村研三 201405
春愁や波に影さす人魚姫 石倉千賀子 ろんど 201405
春愁や乳白肌の藤田の画 橋本靖子 201405
春愁や人の動きに光る塵 甲州千草 201405
春愁も水に投げ込みたる釣師 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
春愁の身を立て直す赤を着て 阪上多恵子 雨月 201405
春愁の菜箸少し長すぎし 望月晴美 201405
終電といふ春愁の捨てどころ 安居正浩 201405
鍋磨きあげて春愁うすれたる 柴田佐知子 201405
色粘土捏ねて千切つて春愁 豊田信子 201406
鐘撞きて春愁といふトンネル抜けた 篠田純子 あを 201406
春愁を抱き単線に乗りにけり 山本丈夫 201406
春愁を断ち切る術のなかりしも 片岡良子 雨月 201406
春愁や薬の嵩を子には秘め 落合晃 201406
春愁や押せぱ玩具のパンダ鳴き 松本三千夫 末黒野 201406
春愁や右の荷物を左手へ 河村啓花 ろんど 201406
春愁や阿修羅は眉を寄するまま 塩路五郎 201406
春愁の肘をのせゐる膝がしら 戸田春月 火星 201406
春愁の若き僧侶や髪を剃る 大日向幸江 あを 201406
春愁のふと折鶴を飛ばしけり 林達男 京鹿子 201406
春愁に胸三寸は狭すぎる 松田都青 京鹿子 201406
網棚に残す春愁旅の人 山本丈夫 201406
春愁や梁より下がる四耳の壷 呉屋菜々 万象 201407
春愁や夜汽車の窓は雨もよひ 森田利和 201407
春愁や鳴き砂を踏み旅終る 水野恒彦 201407
春愁や反省猿の手の欲しき 松本文一郎 六花 201407
春愁や笑みを秘めたる観世音 柴田久子 風土 201407
春愁や取り戻したき日の数多 岩月優美子 201407
春愁や砂に埋まる捨てバイク 齊藤眉山 末黒野 201407
春愁や吾にも孤立無援の日 宮崎左智子 201407
春愁やシニアグラスと呼ぶ眼鏡 林昭太郎 201407
春愁やはずみで押した削除キー 高橋将夫 201407
春愁の象食みながら脱糞す 半田稜 ろんど 201407
春愁のエアポケットにあるやうな 荒木澤子 201407
座椅子くるりと春愁の持ち時間 甲州千草 201407
春愁を紙飛行機にして放つ 佐々木紗知 京鹿子 201408
春愁や母国はるかの異人墓地 嵐弥生 末黒野 201408
春愁や長き手紙の嘘ひとつ 木暮陶句郎 ホトトギス 201408
春愁や手紙一通書きあぐね 高橋照子 雨月 201408
雑踏にあり春愁という隙間 古川忠利 ろんど 201408
春愁を米研ぐ水と流しけり 酒井靖子 ろんど 201409
春愁や励ましくれし師の遺墨 岡安仁義 ホトトギス 201410
春愁や緋目高ぱつと散らす影 上原重一 201405
春愁や飛び石なかば立ち止る 小山和男 京鹿子 201501
春愁やエレベーターにある鏡 成宮紀代子 201504
春愁の手で触れてみるゆるぎ石 能村研三 201504
稿債を減らし春愁消えてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201504
予定立て難き事情が春愁に 稲畑汀子 ホトトギス 201504
春愁に縁なき仕事抱へをり 稲畑汀子 ホトトギス 201504
春愁や世相いのちのかろがろし 鈴木セッ 201505
黄楊の櫛もて春愁をほぐしけり 千田百里 201505
寄せ返るさざ波のごと春愁は 秋葉雅治 201505
古民家に座す春愁の置きどころ 宮内とし子 201505
震度3ほどを春愁とや言はん 竹内弘子 あを 201505
春愁か黄身時雨のひび細かきを 小林愛子 万象 201505
春愁のマグニチユードとベクレルと 高橋将夫 201506
春愁や夕暮れに聴くブラームス 田中信行 201506
春愁や古きアルバム拡げゐて 服部珠子 雨月 201506
春愁や読めて書けない文字のごと 岡本瑛子 京鹿子 201506
友だちの春愁早く消しなさい つじあきこ 201506
バンドネオン聞こえて春愁深くなる 太田沙良 201506
春愁の箱をあけたら箱また箱 武智由紀子 201506
春愁の指に吸いつく金魚かな 火箱ひろ 201506
春愁やサティの楽をくり返し 小林愛子 万象 201506
春愁の人無く廻る木馬かな 田中佐知子 風土 201506
春愁の顔して歩く土手の道 松嶋一洋 201506
春愁を水族に見てきたる 佐藤喜孝 あを 201506
春愁や螺旋階段のぼり詰め 田村園子 201506
春愁や街の午鐘の遅れがち 千田百里 201506
眉太く引く春愁を晴らさんと 七田文子 201506
言ふこととすること違ふ春愁 高橋将夫 201507
志野焼の仄かな紅や春愁 中林晴雄 201507
春愁を秘むるまなざし阿修羅像 松井志津子 201507
餡を煮る春愁の息ふつふつと 田所節子 201507
春愁やモジリアー二の長き首 遠藤逍遙子 風土 201507
白砂を踏む春愁の影を濃く 松本三千夫 末黒野 201507
春愁を残し女房の一人旅 松嶋一洋 201507
春愁の耳鳴り大きくなる小部屋 和田政子 201507
春愁を断つや蛇口を固く締め 白神知恵子 女坂 201508
美容院へ春愁少し置いて来し 白神知恵子 女坂 201508
春愁の沁みし雑布しぼり切る 松田都青 京鹿子 201508
赤んぼに微笑みてみる春愁 志方章子 六花 201508
春愁や内ポケットの備忘録 浦川哲子 201508
春愁や引けばきしみて躾糸 久布白文子 馬醉木 201509
春愁のとどのつまりの大あくび 八木健 八木健俳句集 201509
春愁を水族館にみてきたる 佐藤喜孝 あを 201512
春愁のスイッチオフにして帰る 火箱ひろ 船団 201512
何となくゴリラに逢ひたくなる春愁 吉田孝江 京鹿子 201601
ぷちぷちをプチプチしたる春愁 甕秀麿 201602
春愁の砂漠三日月仰ぎおり 渡辺節子 201602
塩ひとつまみ容るれば消ゆる春愁か 細川洋子 201604
水琴窟の音の記憶や春愁 小川流子 201604
春愁や庭の草木に触れもして 小野喬樹 馬醉木 201605
さりげなき一語に和み春愁 錫木妙子 馬醉木 201605
太刀魚の春愁といふ立ち姿 能村研三 201605
岩あらば岩となる魚春愁 宮内とし子 201605
傍目には春愁と見ゆ翻車魚は 千田百里 201605
春愁の声とも鳩の鳴いてをり 田所節子 201605
鳥探しゐる春愁の望遠鏡 田所節子 201605
腕組めば胸の隠るる春愁 甲州千草 201605
春愁や勾玉ねむる小抽斗 沼田巴字 京鹿子 201605
春愁や纏うてゆるきものばかり 柴田佐知子 201605
蜂蜜の張力ほどの春愁 加藤峰子 201605
歩巾異なる春愁の湖畔かな 中山皓雪 201605
帳尻の合はぬ絆や春愁ひ 西川みほ 末黒野 201605
街灯の一つ消えゐし春愁 門間としゑ 末黒野 201605
真昼野に春愁の影ついて来る 水野恒彦 201605
春愁や心折れしと思ふとき 佐藤淑子 雨月 201605
春愁ふ胸に浮くもの沈むもの 本多俊子 201606
春愁ふ紅唇しかと古仏かな 岩月優美子 201606
春愁の動き出したるローカル線 篠藤千佳子 201606
春愁ビジネスホテルの開かぬ窓 坂本徹 201606
春愁や水族館の回遊魚 鈴木鳳来 春燈 201606
書架の狭間に触れ行く背や春愁 吉村さよ子 春燈 201606
春愁の張りつめてゐる洋酒瓶 高木晶子 京鹿子 201606
家具おほかた猫脚春愁きはまりぬ 木戸渥子 京鹿子 201606
春愁の心の襞に潜みけり 安斎久英 末黒野 201606
春愁や母の一字の重きこと コ田千鶴子 馬醉木 201606
春愁や適はぬ北の旅を恋ひ 鈴木漱玉 馬醉木 201606
春愁や花百本を活けてなほ 小林愛子 万象 201607
春愁や象舎の前に献花台 田上幸子 万象 201607
春愁は打ち砕くべし鍬握る 足立良雄 201607
春愁をリュックに詰めて山歩き 左京信雄 201607
長電話春愁つひにまぎれざる 河前隆三 馬醉木 201607
春愁の息吹きかけて拭く鏡 馬屋原純子 馬醉木 201607
春愁の半旗や仏蘭西大使館 高橋和女 春燈 201607
ひと文字の墨の濃淡春愁 佐藤まさ子 春燈 201607
春愁やピアノ一音度を外し 堀井英子 雨月 201607
春愁や時くりかへす砂時計 大石喜美子 雨月 201607
春愁や波音のこの優しさに 根岸善行 風土 201607
春愁のまぶたの上の眉を引く 木林いづみ 風土 201607
春愁や油絵の具を盛り上げて 中根美保 風土 201607
春愁やひとつ残りし銀の匙 宮川みね子 風土 201607
春愁のはめればまはる指輪かな 落合絹代 風土 201607
塗り残した白いところが春愁 直江裕子 京鹿子 201607
春愁の最中の地震に落ち着きを 杉山はつ江 京鹿子 201607
光より影にこころを春愁ひ 近藤喜子 201607
春愁の捨て場となりぬ水たまり 熊川暁子 201607
春愁や夕べ鏡を拭いてをり 犬塚李里子 201607
春愁をしまふ巾着真田紐 鈴木庸子 風土 201608
春愁の面持ち秘むるまなこかな 安斎久英 末黒野 201608
真二つに割れぬ割り箸春愁 金子正道 京鹿子 201608
チョコレート三粒春愁治療薬 田丸千種 ホトトギス 201609
春愁は風雅のまことかも知れず 竹下陶子 ホトトギス 201609
春愁や出しては戻す棚の本 鈴木七雄 末黒野 201609
聖書研究会最年長の春愁 井上正子 童女 201701
春愁や貝が小さな蝦を吐き 中田みなみ 桜鯛 201701
春愁を解く満開でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
春愁や橋は名残りの名をとどめ 沼田巴字 京鹿子 201704
伸びに伸びたる爪をみてゐて春愁 佐藤淑子 雨月 201705
炎なるゴッホのタッチ春愁ふ 岩月優美子 201705
うつむいて背は口ほどに春愁 高橋道子 201705
春愁を置いてゆきたる兄のこゑ 江澤弘子 201705
振り向きて空耳と知る春愁 コ田千鶴子 馬醉木 201705
春愁は子規の机に座してより 永淵恵子 201705
望郷も春愁も似たもの同志かも 小野寿子 201705
句点打つ度の頬杖春愁 森清堯 末黒野 201705
春愁や己励ます紅をさし 斉藤マキ子 末黒野 201705
若きくすしに命あづけて春愁ふ 村上美智子 雨月 201706
春愁や子規絶筆の墨かすれ 尾崎みつ子 雨月 201706
春愁やたしかに伸びる爪と髪 森なほ子 あを 201705
室あらば閉込めたきは春愁 赤座典子 あを 201705
防潮堤ばかり六年春愁ふ 七郎衛門吉保 あを 201705
女神像眉に秘めやか春愁ひ 鈴鹿仁 京鹿子 201706
零れ落つ旅の情(なさけ)や春愁 藤岡紫水 京鹿子 201706
春愁の奥へ奥へと女坂 村田あを衣 京鹿子 201706
羽衣のやうな薄雲春愁 森清信子 末黒野 201706
春愁やノートの端に友の名を 安斎久革 末黒野 201706
春愁や満艦飾の鉢並べ 平居澪子 六花 201706
春愁の金属疲労にも似たり 楠原幹子 201706
春愁も裏階段も螺旋状 千田百里 201706
春愁の苦さまぎらすエスプレッソ 内山照久 201706
春愁やほつとする嘘罪な嘘 望月木綿子 201706
鯉に手をたたき春愁遠ざくる 七田文子 201706
春愁やひよこに鶏冠ちらと生え 近藤喜子 201706
暮れてキリンは春愁のシルエツト 有松洋子 201706
御仏は少年のほほ春愁 藤田美耶子 201706
掛軸を替へ春愁をたたみけり 佐藤保子 馬醉木 201707
春愁やつのなし栄螺てふ銘菓 松本三千夫 末黒野 201707
春愁や泡吹きて飲むカプチーノ 黒滝志麻子 末黒野 201707
春愁や水際のいつも立つところ 川田暢子 風土 201706
春愁や居間にあれこれつめ込んで 亀井紀子 201706
黙のまま箸置く二人春愁 河崎國代 春燈 201707
春愁や時計の針の止まりし夜 山田佳乃 ホトトギス 201708
春愁をごましてゐる瞳かな 湯川雅 ホトトギス 201708
何もせぬ疲れに似たる春愁ひ 高倉和子 201707
春愁の喉見せて蹄く羊かな 高橋和女 風紋 201709
春愁の髪を重しと思ひけり 立村霜衣 ホトトギス 201709
春愁 →9      

 

2021年3月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。