春 愁 3     100句

春愁の身にまとうものやはらかし   桂信子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春愁の始まりごはんおかわりす 木村みかん 200301
春愁やすぐにほつるる束ね髪 刈米育子 200302
姿見を拭く春愁の息かけて 品川鈴子 ぐろっけ 200303
春愁や書かねばならぬ稿置きて 稲畑汀子 ホトトギス 200304
春愁と思ひ寝不足とも思ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200304
春愁や時間は吾を置き去りに 稲畑汀子 ホトトギス 200304
春愁てふ余白なかりしひと日かな 鷹羽狩行 200304
春愁をひとまづ措きてさがしもの 赤座典子 あを 200304
春愁や子のセーターを夫の着て 村上田鶴子 風土 200304
春愁や媛陵の裾たもとほり 朝妻力 雲の峰 200304
春愁や言うてならぬを病みし子に 茂木妙子 雲の峰 200304
春愁やレンブラントの自画像も 伊藤白潮 200304
春愁ののたうつ軌跡心電図 宮入河童 200305
白鯉を寄せ春愁を深うしぬ 伊藤白潮 200305
春愁ののんどひくひくしてをりし 小林正史 200305
春愁や縫ふあてもなき服地買ふ 豊田博子 築港 200305
春愁の河馬を見てをる女かな 滝本香世 百鳥 200305
春愁や待合室の少年像 吉良君子 帆船 200305
春愁や船に似し雲ゆつくりと 祐森省造 雲の峰 200305
春愁や書架の柱にかすり傷 岬雪夫 200305
春愁や土器を埋めて去りし人 竹内弘子 あを 200305
真珠湾春愁しろく横たはる 堀内一郎 あを 200305
春愁や臓器の中に隠しごと 須賀敏子 あを 200305
春愁や合掌のまま豆双葉 安藤しおん 200305
春愁や右岸には日の当りをり 曽根治子 銀化 200305
春愁や引くことの無き湖の波 舩越美喜 京鹿子 200305
春愁のふと船影によぎられて 長沼三津夫 200305
春愁や薄紙に透く和三盆 ほんだゆき 馬醉木 200306
二度三度点眼逸れて春愁 楯野正雄 200306
春愁の古代住居の点さるる 瀬戸悠 風土 200306
春愁や父の蔵書の配列に 能村研三 200306
何事もなくて春愁深くせり 坂本俊子 200306
搖り椅子を立つ春愁の日曜日 岩上とし子 200306
春愁や拾ひし貝のどれにも疵 川村紫陽 200306
春愁や鱶食う前と食うた後 堀義志郎 火星 200306
春愁の深みに人の声遠し 大橋麻沙子 雨月 200306
春愁の解けて安堵の受話器置く 竹下昭子 ぐろっけ 200306
春愁や古鏡に映る旅の顔 市ケ谷洋子 馬醉木 200307
春愁や狐の色に髪染めて 利根川妙子 200307
眼帯をかけて春愁美人なる 山中宏子 200307
息吸つて止めて春愁撮られけり 杉本光 200307
春愁や旧き画廊へ足の向き 木場田秀俊 200307
箱を出て眉に春愁能の面 丹生をだまき 京鹿子 200307
春愁や五体の衰微止まらず 名越夜潮 円虹 200307
しゃぼんの泡立て春愁の手を洗ふ 江木紀子 雨月 200307
堂守の春愁顔に鐘打てる 萩谷幸子 雨月 200307
うすれゆく春愁弥陀に向き合ひて 萩谷幸子 雨月 200307
春愁や日ごとに山のふくらめる 塩田博久 風土 200307
春愁の納経机に般若経 平田紀美子 風土 200307
やかなけり我が春愁の袖たもと 堀内一郎 あを 200307
春愁の地に張り付きし海月かな 藤森万里子 百鳥 200307
春愁や沈みし村の模型地図 川瀬さとゑ 雲の峯 200307
春愁の傘の雫を振りにけり 竹内悦子 200307
春愁や掛けあるままの中折れ帽 高松由利子 火星 200307
咽元にかたまつてゐる春愁 小島みつ代 200307
春愁や似顔絵描きの並びたる 江坂衣代 百鳥 200308
春愁や指にからませ栞ひも 馬場公江 200310
春愁を片目達磨と領ちけり 武井玲子 八千草 200310
春愁やペンで綴りし猟日記 小林優子 酸漿 200401
春愁や鍾愛の人堂守に 安西静 帆船 200404
常磐木の春愁の黙濃かりけり 岡本眸 200404
春愁や虚空をつかむ仁王像 橘沙希 月の雫 200404
酔ひさめしのちの春愁宴あと 鈴木照子 200405
春愁や素顔をかくす深帽子 橋本靖子 200405
春愁や潮引きし砂踏めば鳴き 北川英子 200405
おもひきり捨てて春愁紛らはす 熊倉志津 200405
春愁の息を留める喉仏 三好智子 200405
春愁を留め置きけりホッチキス 高田令子 200405
人込みに春愁の手を引かれけり 大和あい子 百鳥 200405
春愁や尻ポケツトの鍵重く 鎌田幸彦 築港 200405
春愁や水面見詰むる人魚像 川浪広子 築港 200405
春愁や鴨は羽搏ちを繰返し 水原春郎 馬醉木 200405
春愁や灯の切れ目なき街に来て 遠藤とく 200406
草原に寝て春愁のいま旺ん 中尾公彦 200406
ペリカンの春愁の顔貰ひけり 清水ミツコ 200406
春愁や日がな電燈下の書見 大橋敦子 雨月 200406
春愁にもはや縁なき齢かな 山口速 200406
ゴビ灘のヒッチハイクに春愁湧く 松崎鉄之介 200406
春愁やうまのはなむけ渡し来て 藤井良子 200406
夜の駅出て春愁を持ち帰る 山田暢子 風土 200406
春愁や古き旅籠の刀疵 辻本善一 築港 200406
春愁や吾の前ゆくわれの影 ほんだゆき 馬醉木 200406
春愁や小瓶に仕舞ふビーズ玉 藤井明子 馬醉木 200406
春愁やうす味に湯葉炊きあげて 高木千鶴子 酸漿 200406
マヨネーズ春愁にかけてしまふ 佐藤喜孝 あを 200406
春愁のまなうら虹のごと暗し 渡邉友七 あを 200406
喧騒を遠くに春愁離れざる 岩谷正子 百鳥 200407
春愁の調律のまだ続きをり 国包澄子 築港 200407
春愁や正座をくづしても真昼 柴田佐知子 200407
春愁を一掃したる汽笛かな 小林朱夏 200407
「天下三分」の出師表に春愁湧く 牧悦子 200407
春愁湧く亜麻色なせる兵馬俑 牧悦子 200407
春愁や大き孔雀の飼はれゐる 水野恒彦 200407
もらい物のように春愁ふところに 貝森光大 六花 200407
春愁やだみ声に暗く朝鴉 佐野布娑 雨月 200407
春愁もビーフと共に焼きにけり 北川キヨ子 200407
春愁のうたた寝にさへ夢を見て 長沼三津夫 200407
春愁の女しやがみて古書漁る 岩渕彰 遠嶺 200407
春愁の色子にありて母になし 保田英太郎 風土 200407
春愁やくさやの茶漬けさらさらさら 岩瀬満里子 草の花 200407
春愁 →4      

 

2021年2月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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