春 月 1      200句

春月や印金堂の木間より   蕪村

春の月  春月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
指先に春月のせて銀座行く 市川英一 遠嶺 199808
春月に頭を挙げて誦へけり 小澤克己 遠嶺 199905
春月の澄めり鏑木清方忌 高橋銀次 風土 199906
春月の中天にあり深呼吸 長谷部雉子 199907
強がって桃色春月泣かされる 内山いちえ 海程 199907
光背をかかげ春月海を出る 金國久子 青葉潮 199907
春月の空にも宵のありにけり 栗津松彩子 ホトトギス 199908
春月や軽い殺意の人と逢う 北原武巳 船団 199909
鳥籠に春月入つて来たりけり 鳥居真里子 船団 199909
仮面おいて春月を見上げてる 中林明美 ヒッポ千番地 200003
春月や棟上げ前の木の香る 武岡東西 俳句通信 200004
女湯の乳房いろいろ春月夜 三宅やよい 玩具帳 200004
春月の大川に誘はれたり 加藤みき 200005
春月や名のある星を従へて 小澤克己 遠嶺 200005
旅ひとり春月に窓のぞかるる 和田敏子 雨月 200006
春月や憑かれしごとき靴の音 八木愁一郎 ぐろっけ 200006
春月の影は相似て母娘たり 安田登志子 ぐろっけ 200006
春月やもう妹の住まぬ町 山田弘子 円虹 200007
春月を掬う遊びして別れ 吉川真実 海程 200101
春月や百歩の距離に子等の家 菅谷たけし 200101
峨眉山に春月出づる庵かな 小澤克己 遠嶺 200104
春月に輪ゴムをとばす回復期 那須淳男 馬醉木 200105
くちびるに春月の熱ありにけり 油津雨休 海程 200105
春月に鱗をなぞる人魚かな 延広禎一 200106
春月や分離しはじむ泥と水 小田さやか 船団 200106
春月の海に濡れしか重く出づ 川名将義 銀化 200106
糸杉に春月据はる林棲期 小形さとる 200107
春月の細るにまかす独り酒 小澤克己 遠嶺 200205
春月の不夜城若き漢たち 三沢蘭 遠嶺 200205
春月の落ちしばかりの丘明り 阿部ひろし 酸漿 200205
春月や屋上に檜露天風呂 北村香朗 京鹿子 200206
鵜の川に春月いつかなかりけり 市場基巳 200206
春月やしかと空也の舌の上 水野恒彦 200206
春月の影翌檜にまはりたる 加藤みき 200206
春月のてくてく鰻の寝床かな 梶浦玲良子 六花 200206
春月の輪郭濡るる雑木山 有働亨 馬醉木 200207
春月に濡れゆく句碑となりぬべし 海輪久子 円虹 200209
春月やこの細道をよしとせり 小澤克己 遠嶺 200210
大いなる暈に春月ありにけり 佐藤冨士男 ホトトギス 200210
春月の未明ともなふ星一つ 阿部ひろし 酸漿 200303
春月や樹木の肌のうすみどり 助口弘子 火星 200304
頭を挙げて春月頭を垂れて故郷 小澤克己 遠嶺 200305
春月や定年の夫出迎へに 神原操 雨月 200305
春月の裾に来てをり黄領蛇さとめぐり 栗栖恵通子 200305
手に手添へ妻春月の方を指す 木村風師 馬醉木 200306
春月や愚行と知りつ歩くのみ 加藤峰子 200306
春月やオンザロックの崩るる音 森ふみ子 遠嶺 200307
春月の窓陶然とワルツの夜 奥村鷹尾 京鹿子 200308
鶏鳴いて春月高くありにけり 関口八郎 200308
昼春月我もなりたや宙ぶらりん 中野英歩 八千草 200309
春月へ無人の馬車の発ちゆけり 小山徳夫 小春の山河 200401
春月にならむと今宵そだつ月 阿部ひろし 酸漿 200403
川の面に春月重き別れかな 清水房夫 帆船 200404
一湾の春月海をすみかとし 大島翠木 200405
温泉の街に春月はづみ上りけり 片山喜久子 雨月 200405
春月や嬰のはづみし声届く 石山初枝 遠嶺 200405
藁葺に春月かかる峡の里 印牧緑 築港 200405
父の忌や春月星を従へて 西野通代子 築港 200405
春月浮く棉蒔く畑に張りし水 松崎鉄之介 200406
春月に捧ぐも透かぬ夜光杯 松崎鉄之介 200406
春月を真上に加賀の大寺かな 辻恵美子 栴檀 200406
二月堂法会春月浴びながら 河合佳代子 栴檀 200406
春月の下を線路の点検車 川瀬さとゑ 雲の峰 200406
春月を見したかぶりを寝ぬるまで 中村克久 雲の峰 200406
春月の燻る日なり西行忌 柴田孤岩 草の花 200406
春月や生かされて友眠るのみ 高倉恵美子 200407
春月に祝のこころ託しけり 宮津昭彦 200504
おもひきや春月のぼる藪のひま 水原秋櫻子 馬醉木 200504
春月や湾は弧を張ること忘れ 安藤しおん 200505
春月を掬ひ故郷を忘れむか 小澤克己 遠嶺 200505
春月の今出でくるぞ見るがよし 長崎桂子 あを 200505
こころ浮くやう春月のほつかりと 平子公- 馬醉木 200506
春月や詩は朗々と誦ふべし 小澤克己 遠嶺 200506
春月を鞠としたりき龍の舞 延広禎一 200506
春月の沖に出てをる遊行かな 栗栖恵通子 200506
春月や何か動きし薮の中 近藤喜子 200506
春月や山手線に終点なし 近藤牧男 春燈 200506
春月へ菩薩踊りの手がなびく 田辺博充 200506
春月のゆれつつのぼる窓辺かな 岩田都女 風土 200506
春月や浚渫船に人の影 佐藤佐代子 200506
春月や祥月命日従へて 矢島久栄 200507
春月やわが身朧となつてをり 石川英利 百鳥 200507
乳離れの子に春月の抱き重り 辻美奈子 200604
丘の上に春月が夜ををしみをり 阿部ひろし 酸漿 200604
忘れ物増え春月の上りくる 三橋泥太 遠嶺 200605
春月やワイン転がす舌の上 新井佐知子 遠嶺 200605
カメノテに春月あかしあかしかな 加藤みき 200605
春月やもつとも遠きおもて裏 辻直美 200606
春月とパスタを銀の匙の上 栗栖恵通子 200606
都心の高層春月更に離れ浮く 瀧春一 瓦礫 200606
瑕瑾なき春月に明日信じけり 椋本一子 雨月 200606
春月や小児科病棟にも兎 長田等 200607
春月や亡き夫いつも我とあり 吉田陽代 200607
春月のくつきりとある余寒かな 佐原正子 六花 200607
春月を上げて武蔵の大欅 神蔵器 風土 200607
春月の上り病棟静かなり 瀧澤白絣 遠嶺 200608
上弦の春月の浮く露天の湯 北村香朗 京鹿子 200608
春月や明日が今日となる時報 梁瀬照恵 ぐろっけ 200609
龍太亡き山河春月欠けはじむ 伊藤白潮 200704
鴨の海春月に色出で来たり 百瀬七生子 海光 200705
アヴェ・マリア春月海に満ちわたり 益本三知子 馬醉木 200706
大いなる春月母の忌日かな 亀田やす子 万象 200706
春月や夜のどこかが香りゐて 中嶋昌子 春燈 200706
春月のきざはしとなる棚田村 豊田都峰 京鹿子 200706
春月に籬つゞきの暗さかな 瀧春一 200706
春月や山肌に浮く大の文字 山本とく江 万象 200707
春月やまつすぐ渡る舟に乗る 安原ときこ 遠嶺 200707
春月や解かしてゐたる八丁味噌 竹中一花 200708
春月のこぼれてゐたりジエノサイド 瀬川公馨 200708
傾けば春月さらに母情濃き 木村風師 馬醉木 200710
生くべしと春月われを歩ましむ 木村風師 馬醉木 200710
母の忌の春月おそく出でしかな 土屋啓 馬醉木 200710
春月のジグソーパズル紺の海 石井智也 200801
ゼスキリスト春月濡れて上がりけり 定梶じょう あを 200804
春月の愛媛県人楕円形 坪内稔典 坪内稔典句集U 200804
春月や黄金の波の盛り上がる 前田美恵子 200805
春月やわが一枚の影とある 中野京子 200806
春月下乾く束子の存在感 定梶じょう あを 200806
悲しみの吾に春月惜しみなく 西澤さち女 ホトトギス 200807
高麗の春月赤く出でにけり 富沢敏子 200807
春月にたゆたふ貝か骨片か 荒井千佐代 200807
春月が照らふこの谿跳べとこそ 定梶じょう あを 200807
ゆるゆると春月微酔いろに出づ 北川英子 200904
春月夜魚屋の道濡れてをり 新井いづみ 炎環 200905
春月や白洲正子の白き衿 谷岡尚美 200905
春月やカレーライスとナプキンと 竹内悦子 200906
春月の笑うたやうな大癋見 西村純太 200906
春月へ父の梯子をかけてみむ 辻美奈子 200906
春月を産みて鎮まる東山 杉本薬王子 風土 200906
春月に鱗びかりの棚田かな 長戸路子 春燈 200907
虚心坦懐春月に身を晒し 川口襄 遠嶺 200907
春月を機窓に長き旅終ふる 樺山翠 雨月 200907
春月や岩をちこちの忘れ潮 齋藤厚子 200909
飲み明かす春月に身を潤ませて ことり 六花 201003
左舷灯かかげて春月の沖 豊田都峰 京鹿子 201004
眼底の春月透かし見るごとく 相良牧人 201005
春月や振子にのりて夢の国 近藤きくえ 201005
春月に波をはなるるうしほの香 安武農子 201005
漁船みな陸へ春月やや歪み 松本三千夫 末黒野 201006
春月に呼べば来さうな島ひとつ 上谷昌憲 201006
寺屋根の反りに春月大きかり 本多正子 雨月 201007
露天湯の淡き春月掬ひけり 岡野輝子 万象 201008
春月やこの世はみ出る紐栞 鳥羽夕摩 京鹿子 201009
生み落とされて春月のみづみづし 辻美奈子 201104
春月や週間過ぎし地震の跡 笠井清佑 201105
春月を枕に遠野物語 栗栖恵通子 201105
手短に閑話休題春月昇る 大島翠木 201105
春月をいただく海の暗さかな 齋藤厚子 201106
終バスか春月ついてゆきにけり 定梶じょう あを 201106
一周忌大き春月拝しけり 尾野奈津子 春燈 201107
春月や鍵なき部屋の坊泊り 宮内とし子 201107
春月や水惑星の海ふくれ 田所節子 201107
重さうに春月昇る那智の嶺 高地勝峰 馬醉木 201108
春月となりて現れ来りけり 高浜虚子 雨月 201112
春月の水より離れ水に浮く 福永尚子 ろんど 201205
春月や川面を点す屋台の灯 河合とき 末黒野 201206
祝宴へぬつと春月婚の庭 北尾章郎 201207
春月のかぼそき家の潮かな 西田孝 ろんど 201207
大いなる春月電線に引っかかり 定梶じょう あを 201204
万葉の春月傾く阿騎野かな 上野進 春燈 201305
春月を雲に託して酒肆に入る 千田敬 201305
春月の桃色ぼかしヨイトマケ 延広禎一 201306
春月へゆく階段の急勾配 菅野雅生 ろんど 201306
春月の影は力を含みけり 市川伊團次 六花 201306
春月や子の全身のよく撓ふ 辻美奈子 201404
雪道の果春月の触るるやに 林陽子 万象 201405
春月を眉毛あかるく歩ましむ 山田六甲 六花 201405
刃を渡る蝶きらめきて春月下 林達男 京鹿子 201406
春月や女体に在す畝傍山 水野恒彦 201406
春月に触れてこれよりわが時間 岩田裕江 ろんど 201406
春月や古希を跨ぐも一弾指 杉本薬王子 風土 201407
往き帰り春月を背に子等を訪ふ 東秋茄子 京鹿子 201407
春月のころがつてゐる厠窓 鴨下昭 201405
春月やパスタをさまる銀の匙 広渡敬一雄 201504
これよりは春月なるぞ膨らかに 安立公彦 春燈 201505
春月や皓々と地に影生るる 犬塚李里子 201505
戸一枚開け春月は暈の中 栗山恵子 雨月 201506
春月や腕は潮のにほひして 中島悠美子 京鹿子 201506
春月や土手に佇む人のゐて 白石正躬 やぶれ傘 201506
春月の道をひとりで帰る猫 佐藤恭子 あを 201506
靴べらを渡す春月称へつつ 甲州千草 201506
春月の前をよぎりし夕鴉 白石正躬 やぶれ傘 201508
春月をご飯の上に置いてみる きくちえみこ 港の鴉 201510
春月の空のべつたりしてゐたり きくちえみこ 港の鴉 201510
満月のまだ春月と言ひがたく 飛高隆夫 万象 201606
春月の昇るや水の匂ひして 黒滝志麻子 末黒野 201607
春月や目で音を聞くべートーヴエン 高橋将夫 201705
春月の光芒硬し湖の上 松本三千夫 末黒野 201705
病窓に春月巡りきたりけり 斉藤マキ子 末黒野 201705
ねむる児に添ふる母の手春月夜 本間せつ子 末黒野 201706
春月や青鷺すこし向きを替ふ 増田幸子 万象 201707
春月や水噴くさまに大欅 大沢美智子 201804
無為徒食して春月を戻りけり 高村令子 風土 201806
春月の船と一緒に揺れてをり 高倉和子 201807
小さくてクラシックで春月で 梨地ことこ 船団 201811
春月に挿す簪の珊瑚玉 コ田千鶴子 馬醉木 201904
春月にさそひ出されて湖の上 村上美智子 雨月 201905
金泥の春月マタイ受難曲 斉藤玲子 馬醉木 201906
春月へ外階段の一歩かな 岡本尚子 風土 201907
春月の松撫でながら上がりけり 山田六甲 六花 202004
春月 →2

 

2021年3月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。