春 昼 3       200句

春昼といふ大いなる空虚の中   富安風生   古稀春風

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春昼の闇に顔無き鎧かな 大島英昭 やぶれ傘 200804
春昼のガラスレリーフに天使翔ぶ 木村茂登子 あを 200804
春昼や中仙道のとばつくち 鈴木榮子 春燈 200805
春昼や鶏の高鳴く小学校 小林馨 万象 200805
春昼や覗けば暗き矢倉仏 大西裕 酸漿 200805
春昼やカフェに流るるビートルズ 山下佳子 200806
春昼や象の花子の大欠伸 小野麻利 200806
春昼やゆつくりと鳴る大時計 川村紫陽 200806
春昼の四劫の内の欠伸かな 荒井和昭 200806
春昼の廃船に咲く黄花かな 天谷翔子 火星 200806
春昼や鳶は平らを保ちづめ 伊藤トキノ 200807
春昼の足だけ見える写真館 嶋津治夫 200807
春昼の家並かき分け荒川線 五十嵐章子 200807
フラミンゴ春昼の恋声高に 木内徴子 万象 200809
春昼や足踏みミシン四拍子 藤原千代子 万象 200810
春昼や総身とろけて鳩と化す 鈴鹿仁 京鹿子 200904
春昼の人の気配のなき仏間 竹貫示虹 京鹿子 200904
春昼のだらだら坂に散る花粉 赤坂恒子 船団 200009
春昼や香車軽々直進す 常田創 200905
記憶にも春昼倦まぬ百度かな 竹内悦子 200905
春昼や遠忌の法話なごやかに 長谷川翠 馬酔木 200905
春昼の身へ彷徨の帯を巻く 小澤克己 遠嶺 200905
春昼の潮にたゆたひ舫ひ舟 呉屋菜々 万象 200905
春昼や頬杖に載す顔一つ 天野みゆき 風土 200905
春昼のトロンボーンに弱音器 千田百里 200905
春昼の真ん中にゐて犀の角 本多俊子 200906
春昼の主が病めば薔薇もやむ 小澤克己 遠嶺 200906
春昼やテレビの奪ふ小半時 中山静枝 200906
春昼や足折り眠る園の鹿 阿部悦子 酸漿 200906
春昼の煙突煉瓦造りかな 天野美登里 やぶれ傘 200906
春昼の平積み高き本屋かな 天野美登里 やぶれ傘 200906
春昼のしんと心臓外科病棟 荒井千佐代 200906
春昼や両面コピー束厚し 高田令子 200907
春昼や墨絵に色の立ちにけり 中田禎子 200907
春昼の亀の手足の泳ぎけり 坂口夫佐子 火星 200907
春昼の眠りむさぼる合格子 栗田武三 ぐろっけ 200907
春昼の王妃のルビー魔を兆す 小林玲子 ぐろっけ 200907
春昼に口溶け早き和三盆 小林玲子 ぐろっけ 200908
春昼の口ばかりなる木魚かな 梶浦玲良子 六花 200908
春昼の階段家の中を貫く 八田木枯 晩紅 200908
春昼の釉薬あまた研尋す 林日圓 京鹿子 201003
春昼の灯りてゐたる軒行灯 天谷翔子 火星 201005
春昼のあまりにしづか過ぎにけり 植田利一 春燈 201005
春昼の大時計よりファンファーレ 矢野みはる 201006
春昼の木戸銭寺に落語かな 森田節子 風土 201006
春昼や石塊のごと眠る鴨 阿部悦子 酸漿 201006
春昼や化粧の手順語りをり 永田あき 酸漿 201006
春昼の客を見送り門を掃く 小川玉泉 末黒野 201007
春昼やもの言はぬ夫帰り来し 小池正子 末黒野 201007
春昼を刻む屋外大時計 大島英昭 やぶれ傘 201007
春昼の猫に移りし欠伸かな 池園二三江 春燈 201007
春昼や機場の隅に大鏡 小林愛子 万象 201007
春昼や湖面静かに城山湖 近藤てるよ 酸漿 201007
春昼の部屋を灯せばなほ暗く 芝尚子 あを 201007
一別の語や春昼のホテルの灯 田中臥石 末黒野 201008
春昼の公園に降る天気雨 天野美登里 やぶれ傘 201008
春昼の羅漢五百が好き勝手 安居正浩 201105
春昼の城址に聞こゆ太鼓の音 上原光代 酸漿 201105
春昼や臼挽唄は母で絶え 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
春昼や仔牛反芻繰り返し 山田節子 万象 201105
春昼や行くあてのなき旅プラン 竹内悦子 201106
春昼や眠気ざましの流行はやり 宮田香 201106
春昼やプラネタリウムに星を見て 阪上多恵子 雨月 201106
春昼や赤紙太りの仁王燃ゆ 久染康子 201106
春昼の柩にとどく水の音 戸栗末廣 火星 201106
春昼や耳掻さがす小抽出 浅木ノヱ 春燈 201106
春昼を一喝したる震度七 大木清美子 201106
春昼のひとりに開く昇降機 乙坂きみ子 末黒野 201106
春昼や机の上の阿弥陀仏 本多俊子 201106
春昼の循環バスに乗りにけり 天野美登里 やぶれ傘 201107
春昼の陵深き黙の中 椋本一子 雨月 201107
春昼や力み抜けずに歯科の椅子 荒井千瑳子 201107
春昼の頭より入る秘仏の間 戸栗末廣 火星 201107
母の忌や本堂冷えといふ春昼 和田照海 京鹿子 201107
春昼の地震千年の多胡碑揺れ 鈴木 石花 風土 201107
春昼の目移りたのし菓子ビュッフェ 嶋田摩耶子 ホトトギス 201108
春昼や庭石の影もたれ合ひ 熊切光子 末黒野 201108
春昼や路地に鍛冶屋の槌の音 稲垣佳子 末黒野 201108
象さんの真うしろにゐて春昼 吉弘恭子 あを 201110
春昼や饒舌すぎる鳩時計 コ田千鶴子 花の翼 201111
春昼や風のやうなる魚の影 志方章子 蟋蟀 201203
春昼や浅き水際に白き鷺 紀川和子 201204
春昼の庭咲くものも散るものも 稻畑汀子 ホトトギス 201204
春昼や額に眼鏡置き忘れ 小池清司 かさね 201205
春昼の患者の多きはやり風邪 金田和代 かさね 201205
春昼やねこふんじやつた途切れがち 中田禎子 201205
春昼の記憶にちちの荼毘の煙 荒井千佐代 201205
春昼や思ひ出消ゆる感熱紙 高橋将夫 201206
エスケープ愉し春昼の保健室 岡澤田鶴 201206
春昼の闇のいちめん猫科の目 佐々木紗知 京鹿子 201206
春昼のうづ潮青く白くかな 天野美登里 やぶれ傘 201206
春昼や規則正しき鑿の音 亀井紀子 201207
春昼の木の橋渡り駄菓子買ふ 大西八洲雄 万象 201207
春昼の永代橋を行き帰り 井村和子 万象 201207
春昼の木々透く湖の光かな 藤原若菜 春燈 201207
春昼の起重機微動だにせずや 小山繁子 春燈 201207
春昼の潮の目くきと彼方まで 加藤みき 201207
春昼の村に鉦の音野辺送り 鎌田慶子 ろんど 201207
春昼や水裏返しゐる水車 柴田良二 雨月 201207
春昼や隣家にピアノ調律師 福田房子 末黒野 201207
春昼の空地に猫と紙皿と 大崎紀夫 やぶれ傘 201207
春昼の花印つけ退院日 樋口みのぶ 201210
子が嫁さば春昼琴の音も断たむ 安住敦 春燈 201212
春昼の仕事のはざま旅仕度 稲畑汀子 ホトトギス 201304
春昼やのどを鳴らして膝の猫 今泉あさ子 末黒野 201304
春昼や忿怒のゆるぶ不動尊 片岡久美子 201305
春昼の見る人のなき草野球 佐藤喜仙 かさね 201305
春昼の膝に謎とき文庫本 コ田千鶴子 馬醉木 201305
春昼の指もて何を数へむか 水野恒彦 201305
春昼の片耳に入れ艶ばなし 太田昌子 馬醉木 201306
春昼の貝の舌伸び厨隅 窪田粧子 馬醉木 201306
春昼の道使ひきる子の線画 湯橋喜美 201306
春昼や老人同志犬同志 荒木甫 201306
春昼や娘の記念日へ夫婦箸 平居澪子 六花 201306
春昼や谷中にのこる絵草紙屋 瀧春一 花石榴 201312
春晝や犬の寝息のきこえきて 山荘慶子 あを 201404
春昼や白一色の手術室 宮井知英 201404
春昼や怖づおづ通る事故現場 赤座典子 あを 201405
春昼の都電ゆるりと曲り来る 塙誠一郎 201405
春昼や魔法の利かぬ魔法瓶 安住敦 春燈 201406
春昼や水槽育ちの鯉の稚魚 渡辺若菜 春燈 201406
春昼の誰か消しゴムこする揺れ 山田まさ子 船団 201406
春昼や本屋大賞平積みに 金田けいし ろんど 201407
春昼や平らに時の過ぎてゆく 近藤喜子 201407
春昼の空をひろげし鳶の笛 大内マキ子 万象 201407
春昼や小さな虫のよく動き 井上春子 春燈 201407
春昼の頬杖をつくカウンター 柿沼盟子 風土 201408
春昼の琴の音したる路地も奥 平居澪子 六花 201408
舎利塔へ春昼の田を分けてゆく 堀内一郎 堀内一郎集 201412
春昼や難聴ですの札と乗る 赤座典子 あを 201504
春昼や電池の切れし腕時計 赤羽陽子 春燈 201505
春昼や足音砂に吸はれゐて 深川淑枝 201505
春昼の五重塔に烏啼く 藤井美晴 やぶれ傘 201505
春昼の父の形に凹む椅子 波戸辺のばら 201506
春昼の花のかをりの紙せつけん 青谷小枝 やぶれ傘 201506
春昼の公園の池浮子動く 渡邉孝彦 やぶれ傘 201506
五平餅食ぶ春昼の妻籠坂 田中臥石 末黒野 201506
春昼の少し止つてゐる時間 橋本くに彦 ホトトギス 201507
春昼の寺町通り猫の店 西川保子 春燈 201507
春昼や夫の机の捕虜日記 鶴岡紀代 春燈 201507
春昼の骨董店のタイプライター 高橋道子 201507
春昼やほんやり故国ペン落し 水谷直子 京鹿子 201507
春昼の港に空のドラム缶 大崎紀夫 やぶれ傘 201507
春昼の水跳ね散らし鯉の恋 小田嶋野笛 末黒野 201507
春昼や刷毛で掘り出す古代土器 菊池洋子 やぶれ傘 201508
春昼や犬だけが聞く音のある 近藤紀子 201508
春昼の仔豚十匹同じ顔 八木健 八木健俳句集 201509
春昼のポー鳴りわたる石切場 大崎紀夫 虻の昼 201510
春昼の浜の鳴き砂鳴きにけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
春昼の空地に猫と紙皿と 大崎紀夫 虻の昼 201510
春昼や猫のあくびの移りけり 吉宇田麻衣 201602
春昼や雨の家居もくつろげる 稲畑汀子 ホトトギス 201604
春昼の音なき画廊音なく去る 松井志津子 201604
春昼の水跳ね散らし鯉の恋 小田嶋野笛 末黒野 201604
電気屋が来て春昼の仏の間 中川句寿夫 あを 201604
春昼の灯台発射待つ構へ 松井志津子 201605
春昼やぶんがぶんがと手風琴 栗原公子 201605
春昼の刻を戻しぬ砂時計 相良牧人 201605
春昼の阿吽の猪よ摩利支天 竹内悦子 201605
春昼の航くとも見えぬ貨物船 永淵恵子 201606
春昼の音する池のにごりかな 吉村さよ子 春燈 201606
春昼や呟きやがてわらべ唄 那須禮子 春燈 201606
春昼の砂場の縁に泥だんご 青谷小枝 やぶれ傘 201606
春昼や鳥獣戯画の動き出す 平野みち代 201607
春昼や水晶玉の数珠もちて 雨村敏子 201607
春昼やあぎとのゆるぶ鬼瓦 阪倉孝子 201607
春昼のテレビにまたも同じ顔 木戸渥子 京鹿子 201608
春昼や土間にひそめる家の霊 磯崎啓三 風土 201609
春昼の母を泣かすや死の病 宮崎洋 春燈 201612
春昼のごみ箱いつも待つかたち 早瀬淳一 船団 201701
春昼や都庁は天を目指すかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
春昼の空を突き刺す摩天楼 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
春昼の日差しを返す雪柳 湯上稔子 春燈 201805
春昼の華のやうなる海鮮丼 森岡正作 201805
春昼や学食いまも中二階 塙誠一郎 201805
春昼や刃を開き置く裁鋏 小宮山遠 201805
春昼をとろりと千手観音像 安藤久美子 やぶれ傘 201805
春昼の大使館へと入る鳩 小山陽子 やぶれ傘 201806
春昼の角より溶ける角砂糖 鷺山珀眉 京鹿子 201806
春昼や駱駝ゆつくり膝を折り 平居澪子 六花 201806
フィギュア決勝春昼のカーラジオ 笹村恵美子 201806
卒塔婆小町に春昼の闇の嵩 辻水音 201806
春昼の田に置き去りの耕転機 田中佐知子 風土 201806
春昼やグラスのワイン桜色 上月智子 末黒野 201806
春昼や黒潮の帯銀色に 岩田洋子 201807
春昼の待つともなしに待つメール 中原幸子 船団 201809
春昼に委ねし寡婦の掌の湿り 山中正己 船団 201811
春昼のドリアの塩がきつすぎる 津波古江津 船団 201811
春昼の鴎いよいよ純白に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春昼の河馬に会ふ稔典にあふ 浅田光代 風土 201904
春昼やミロの画集のあるカフェ 赤座典子 あを 201905
春昼や振子時計のゆるぶ音 大杉映美 馬醉木 201906
春昼にとろりとしぼり出されたる 中村嵐楓子 春燈 201906
春昼や不意に耳鳴りはじまりて 加藤みき 201906
春昼の水輪広ごる番鳥 田中美恵子 201906
春昼の影を落として飛ぶ鴉 土井三乙 風土 201906
春昼の電車胎内とはかくや 谷田明日香 風土 201906
ていねいすぎる春昼の理髪店 辻水音 201906
春昼や本を縛るに眉根寄せ はしもと風里 201906
超老犬また春昼を漂へり 笹村ルル 201906
春昼や気怠く回る観覧車 外山節子 末黒野 201906
春昼や散歩の道を少し変へ 斉藤雅子 末黒野 201906
春昼やちり紙交換ゆるゆると 森なほ子 あを 201906
春昼やスーツの行列ベーカリー 赤座典子 あを 201906
春昼やターレの乾く魚市場 卜部黎子 春燈 201907
春昼のダンス教習所より人 大崎紀夫 やぶれ傘 201907
春昼の掌でころがして団子虫 大崎紀夫 やぶれ傘 201907
春昼のドーナツの穴歪みゐる 天野美登里 やぶれ傘 201907
春昼や枕にしたる広辞苑 今村千年 末黒野 201907
春昼の潮の香の汽笛かな 及川照子 末黒野 201907
春昼のダイヤの乱れ狼狽へる 森美佐子 やぶれ傘 201908
春昼の時計の時刻みな違ふ 中島秀夫 王水 201909
春昼や赤子よく泣く新幹線 曽根富久恵 201909
春昼の大曼陀羅の前にゐる 中島陽華 201909
春昼や尻ふってチャボ走り出す 澤田蔦恵 船団 201910
春昼の眠気を醒ます一事かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
春昼の妻に内緒の白日夢 ふなかわのりひと 202005
春昼 →4      

 

2021年5月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。