笹 鳴 1    375句

笹鳴に逢ひたき人のあるにはある    三橋鷹女

笹鳴  笹子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
笹鳴きや吊せば傾ぐ背広なり
保坂加津夫
会者定離
199900
笹鳴の来しと思へばすぐ去りぬ
皆川盤水
春耕
199901
笹鳴に遅れだしたら追いつけず
相原左義長
海程
199902
海鳴りと笹鳴交互摩文仁なる
酒井ひろ子
199902
正面は伽藍うしろに笹鳴ける
中原道夫
銀化
199902
福袋笹鳴詰めて出來あがる
中原道夫
銀化
199902
笹鳴の小さな尻尾見てしまふ
柳生千枝子
火星
199903
笹鳴の来てみる西片学者町
鈴木とおる
風土
199903
笹鳴や遍路早発つ坊の宿
市橋進
春耕
199903
笹鳴きの三四郎池や人絶えて
保坂加津夫
いろり
199904
笹鳴きを間近に朝の厨かな
渋沢小枝
いろり
199904
笹鳴は梅の小鳥と違ふらし
川崎不坐
火星
199907
笹鳴や刻を豊かに写経して
金國久子
青葉潮
199907
笹鳴きや匙でつぶして離乳食
原田町子
199908
笹鳴きの強き音に父藪に入る
皆川盤水
春耕
199909
笹鳴やはや閉ざされし山の荘
稲畑汀子
ホトトギス
199911
笹鳴きと見れば笛吹く子の通る
折原あきの
船団
199912
笹鳴をひかりのこゑとして置ける
峯尾文世
銀化
200001
笹鳴やこんなゆっくりした午後も
山田弘子
円虹
200002
笹鳴やつんぼの墓の一つあり
神蔵器
風土
200002
笹鳴や森のむかうに直哉邸
朝妻力
俳句通信
200002
笹鳴くや学校坂のよだれ石
白鳥武子
酸漿
200003
笹鳴の舌を何處かで洗ひをる
中原道夫
銀化
200003
笹鳴や護符の貼られし農具小屋
唐沢静男
春耕
200003
笹鳴に夫恋地蔵子も抱きて
本橋怜加
冬牡丹
200003
笹鳴に廃寺の蔀開けにけり
辻のぶ子
雲の峰
200003
笹鳴に視線ちらばるたのしさよ
海輪久子
円虹
200004
笹鳴や朝より眼濡れてをり
小澤克己
遠嶺
200004
笹鳴きや五重塔を巡りては
宮澤さくら
遠嶺
200004
笹鳴の姿見たいといつも思ふ
澤本三乗
200004
笹鳴に豆短冊を截つてをり
小山森生
200004
笹鳴や心許りの喜捨をせる
松本康司
銀化
200004
笹鳴や母の昼湯につきあひて
大和田鏡子
俳句通信
200004
笹鳴や土に膝つく墓仕へ
岡本眸
200005
笹鳴や山裾深く遊歩道
中川晴美
俳句通信
200101
笹鳴の来て居ることも耳打ちす
村越化石
200101
枯山はすなはち寝釈迦笹鳴けり
神蔵器
風土
200102
笹鳴や祠の中に朱の鳥居
関根洋子
風土
200102
笹鳴や木洩れ日淡き萱の御所
上田尚義
俳句通信
200102
笹鳴や半ば埋れし道標
上田尚義
俳句通信
200102
笹鳴や綴づべき稿を膝の上
鷹羽狩行
200103
笹鳴や生絹に入るる裁鋏
川井政子
風土
200103
笹鳴や百観音の観自在
安陪青人
雨月
200103
笹鳴を繕ふ木工用ボンド
彌榮浩樹
銀化
200103
笹鳴や雲厚き日の朝の山
伯井茂
春耕
200103
笹鳴に洗ひし臼の据ゑらるる
浜口高子
火星
200103
告ぐることなき思ひあり笹鳴に
保坂加津夫
いろり
200104
笹鳴や波をあやして舫ひ舟
磯田富久子
200104
笹鳴へ夫は眼鏡をはづしけり
伊藤多恵子
火星
200104
笹鳴やふところ深き東慶寺
鈴木とおる
風土
200104
笹鳴きに乳を離せし赤子かな
ロツキイ
六花
200104
笹鳴や耳の冷たき雑木山
多摩茜
春耕
200104
黙祷にはじまるミサや笹鳴ける
那須淳男
馬醉木
200105
笹鳴いて鳴いて杞陽忌二十年
千原叡子
円虹
200201
笹鳴や日照雨に光るぶな一樹
朝妻力
雲の峰
200201
笹鳴や片葉の葦の共倒れ
斎藤道子
馬醉木
200202
笹鳴や祠に布をまきつけて
植松美根子
200202
笹鳴や茅厚く葺く写真館
原茂美
雲の峰
200202
笹鳴や柩に入らぬ山の晴れ
神蔵器
風土
200202
笹鳴の磯山一里海瞬く
代田青鳥
風土
200202
金堂のそびらの山に笹鳴けり
野口みどり
酸漿
200202
初時雨笹鳴る音の森に満つ
花岡豊香
酸漿
200202
笹鳴の庭に来てゐるいく日かな
東芳子
酸漿
200202
笹鳴や崩れしままの登り窯
大塚禎子
春耕
200202
笹鳴にせかれて起きし根深汁
関根チヨ
春耕
200202
夕方の笹鳴美濃といふところ
青山丈
200202
笹鳴や神丘晴れといふ起伏
豊田都峰
京鹿子
200202
笹鳴の名所の松を讃へ鳴く
大橋敦子
雨月
200203
笹鳴や誰にも告げぬ誕生日
大野英美
風土
200203
笹鳴や旅に剃らねば頬すすけ
鷹羽狩行
200203
笹鳴や片手囲ひに香聞けば
伊藤洋子
200203
笹鳴や仕切り細かき切手箱
伊藤洋子
200203
笹鳴きや揃へて刺繍糸の色
池谷市江
200203
笹鳴きをききもらすまじ山晴れて
橋本美奈子
雲の峰
200204
笹鳴やきのふのとげのまだ抜けず
柿沼盟子
風土
200204
笹鳴に話の接ぎ穂遮ぎられ
栢森定男
あを
200204
笹鳴やうかうか切らす常備薬
高橋さえ子
200204
笹鳴や籠に溢れし文反故
足立幸信
200205
笹鳴や慈母観音の頬ゆるぶ
佐藤ナオ子
遠嶺
200205
笹鳴きや嬰児目覚め母求む
平松かをる
六花
200205
笹鳴や使はぬ井戸の水豊か
田所洋子
雨月
200205
笹鳴や樟の梢の湿りたる
鳴海清美
六花合同句集
200205
笹鳴や土の匂へる遊歩道
寺田きよし
酸漿
200206
四阿を出て笹鳴に逢ひにけり
柏木去孔
200206
笹鳴きの三時の日射し濃かりけり
宮原みさを
花月亭
200208
笹鳴や遠き日ざしに湖しづか
田邊英夫
円虹
200301
笹鳴の日ねもす届く草の庵
田邊英夫
円虹
200301
野辺おくりとは笹鳴を聞くことか
梅村すみを
200301
笹鳴や大師御廟のうしろより
田中佐知子
風土
200302
笹鳴や杉の木片の匂ふ径
宮内とし子
200302
笹鳴や中ふくらみし朱の柱
山口マサエ
雲の峰
200302
笹鳴や今朝六十の顔を剃る
出口一点
百鳥
200302
笹鳴やてりかげる日を菊にみる
渡辺友七
あを
200302
川床に冬日はんらんし笹鳴けり
渡辺友七
あを
200302
笹鳴や武雄あらはる心地して
加藤富美子
200303
膝かばひつつゆく日和笹鳴ける
永見博子
酸漿
200303
笹鳴や園への道の九十九折
小石秀子
酸漿
200304
笹鳴の影ちらちらと移る藪
檀原さち子
酸漿
200304
心耳はや笹鳴捕へたる歩幅
中原道夫
銀化
200304
笹鳴の朝のひかりを待ちきれず
山口啓介
百鳥
200304
笹鳴や水辺にものを焚きし跡
影山わこ
百鳥
200304
笹鳴や土蔵の崩れそれもよし
阿部正枝
絵具箱
200304
笹鳴は耳の迷路に入りしまま
池田充子
銀化
200305
笹鳴や朝日載りたる土饅頭
鹿野佳子
200305
躙り入るとき笹鳴きをそびらにす
久保東海司
200312
笹鳴や今日こそ書かむ文ふたつ
佐々木悦子
帆船
200401
午後の陽に用心深く笹鳴けり
岩上とし子
200402
笹鳴のうつそみを恋ひ篠の奥
福嶋千代子
200402
笹鳴や古園の奥に径尽きて
遠方靉
遠嶺
200403
笹鳴や安国論寺の裏の山
小林優子
酸漿
200403
笹鳴や郷燭の垣を隔てをり
東芳子
酸漿
200403
笹鳴きや黄色い壁の家が建ち
山田六甲
六花
200403
笹鳴や鳥居の続く九十九折
清水千代子
草の花
200403
笹鳴や文字のうすれし農事メモ
加藤サヨ子
築港
200403
笹鳴きや木彫仏画の薄埃
林友次郎
遠嶺
200404
笹鳴きや見返り阿弥陀如来像
加藤京子
遠嶺
200404
笹鳴いて井筒に暗き口ひとつ
淵脇護
河鹿
200404
笹鳴きや日差しのロココ調のとき
近藤喜子
200404
笹鳴や正子の書棚大たわみ
神蔵器
風土
200404
笹鳴に裁ち間違へて了ひけり
中田みなみ
200404
笹鳴を聞かむに風の音ばかり
田所洋子
雨月
200405
山門をくぐる一歩に笹鳴ける
綿谷美那
雨月
200405
笹鳴のしばらく居りし隅櫓
木野本加寿江
火星
200405
笹鳴きや茶室一日閉ざされて
入野田千寿子
200405
笹鳴に石の屯ろす城趾かな
三関浩舟
栴檀
200405
笹鳴や母の目覚の早かりき
清水雅子
栴檀
200405
笹鳴きの移りしあとの笹の揺れ
秀島みよ子
栴檀
200405
笹鳴や鋳型を茶釜転げ出る
岡村葉子
栴檀
200405
笹鳴けり同心番所裏手にて
高梨水青
築港
200405
笹鳴のすぐ側にいる札所道
中川美代子
ぐろっけ
200405
淋しさの中のやすらぎ笹鳴ける
綿谷美那
雨月
200406
笹鳴や貧乏ゆすり止めもせず
山田耕子
京鹿子
200407
笹鳴きに耳聡く居る尾根の径
橘澄男
山景
200408
笹鳴に開く如庵の白障子
野村かおり
栴檀
200409
笹鳴や箒目は火に集まりぬ
中尾公彦
200501
山号の文字の金箔笹鳴けり
高野美佐子
雲の峰
200501
笹鳴や礎石を残す矢倉門
萩原みどり
雲の峰
200501
笹鳴が洩れ日を撒いて藪の中
鷹羽狩行
200501
笹鳴きや鬼役の子の忍び足
安藤ヒサ子
河鹿
200502
笹鳴やめりはりのなき枝移り
中山純子
万象
200502
笹鳴きに立ちて名前を聞かれけり
今瀬剛一
対岸
200502
笹鳴きの庭に広ぐる設計図
山本耀子
火星
200502
笹鳴やあま味効かせる塩加減
櫻井白扇
春燈
200502
笹鳴や手入届きし寺の庭
片野美代子
酸漿
200503
産土の杜の深きに笹鳴ける
増田敏子
築港
200503
笹鳴と覚し一声聞くしかと
青垣和子
雨月
200503
笹鳴を仏と同じ日の中に
足立典子
雨月
200503
笹鳴と人の気配の鎌倉山
鎌倉喜久恵
あを
200503
笹鳴いて義士碑はどれも影濃くす
淵脇護
河鹿
200503
笹鳴に雲の仕業の照り曇り
上石哲男
築港
200504
笹鳴を捜す眼の定まらず
青木民子
酸漿
200504
笹鳴きへふりむきざまの女かな
大島翠木
200504
笹鳴や火焚ひたきの宮を下り来て
中川晴美
雲の峰
200504
待たされてをり笹鳴きに目を細め
伊藤佳代
対岸
200504
笹鳴や朱印いただく列につく
塩田博久
風土
200504
笹鳴や海を背にして磴昇る
柿沼盟子
風土
200504
眦を笹鳴の羽根かすめけり
清水公治
200504
笹鳴や衛士詰所の叢あたり
金山藤之助
200504
笹鳴や郵便受けに陽のさして
服部早苗
200504
笹鳴きを待つたのしみのありにけり
阿部正枝
遠嶺
200504
笹鳴や木地師ひたすら椀を彫り
山口順子
200505
笹鳴や供花より小さき観世音
石丸恭子
馬醉木
200505
雪吊の縄の中より笹鳴けり
石丸恭子
馬醉木
200505
笹鳴を墓の蕪村に相伴す
内藤静
風土
200505
笹鳴きに覚めて朝とも日暮とも
原田竜子
河鹿
200505
笹鳴や茶席にほのと和菓子の香
筏愛子
200507
笹鳴や日射やうやく池面にも
田中美智代
200508
みささぎの森の笹鳴しばし聴く
阿部ひろし
酸漿
200512
木道に笹鳴と靴音和せり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200601
笹鳴や隅のめくれし荒筵
吉田明子
200601
笹鳴を確かむる息つめにけり
田中喜久子
酸漿
200601
笹鳴や日の淡ければ影もまた
糸井芳子
200601
笹鳴や軒端に壺の干されあり
蘭定かず子
火星
200602
つつましき夢二の墓や笹鳴ける
夏目満子
酸漿
200602
笹鳴きのしきりに夫の忌を修す
相沢有理子
風土
200602
笹鳴や木洩れ日させる玉藻池
三関浩舟
栴檀
200602
象頭山の風に笹鳴近づき来
中村房子
馬醉木
200603
笹鳴きのあたりひとしほ闇溜る
三好千衣子
200603
くせとなる朝のコーヒー笹鳴けり
木野本加寿江
火星
200603
笹鳴きの崋山旧居の真昼かな
古賀勇理央
百鳥
200603
笹鳴の杉の陰なる雑木かな
山田六甲
六花
200603
笹鳴や城址の薬研堀深し
吉原理夫
対岸
200603
笹鳴きや山畑いつか捨てられし
関口英子
河鹿
200604
笹鳴や竜骨晒す造船所
片田千鶴
馬醉木
200604
笹鳴の楪を行く女かな
大島翠木
200604
笹鳴や小さき椅子を畳みたる
浜口高子
火星
200604
漸くに初笹鳴の近付けり
中島伊智子
酸漿
200604
笹鳴と教へられても音不思議
渡辺暁
酸漿
200604
虚子聴きし笹鳴かとも耳立つる
落合絹代
風土
200604
笹鳴に籠居の一日暮れてゆく
久保田雪枝
雨月
200604
笹鳴や細目に開く書院窓
浅見画渓
馬醉木
200605
笹鳴や蒔絵かく筆そつと措き
高島鶏子
馬醉木
200605
笹鳴きや誰ぞ訪なひの予兆なる
池本敏恵
春燈
200605
笹鳴や蔵の白壁日当りて
阿部正枝
遠嶺
200605
事もなく明けし庭木に笹鳴ける
瀧春一
常念
200606
笹鳴きは妻を呼ぶらし草城忌
山元志津香
八千草
200607
笹鳴や世間話を日暮れまで
漢隆司
八千草
200608
笹鳴やあくがるるものとみに減り
渡邉友七
あを
200612
笹鳴や知略尽せし出城址
長谷川閑乙
馬醉木
200702
笹鳴りの止まぬ夜の明け初雪す
松原智津子
万象
200702
笹鳴の水辺に踏める砂袋
蘭定かず子
火星
200702
笹鳴の谷に水質検査員
蘭定かず子
火星
200702
笹鳴や縁下に榾貯めおかれ
田中佐知子
風土
200702
笹鳴や関跡に人入り来ぬ
森高武
風土
200702
笹鳴くや阿僧祗(あそうぎ)といふ数のこと
小形さとる
200703
笹鳴や籾殻に足沈みたる
浜口高子
火星
200703
笹鳴におもてをあげず石坑馬
角直指
京鹿子
200703
笹鳴のとび交ふさまや障子ごし
鎌倉喜久恵
あを
200703
笹鳴きの向かへてくれし山の墓
羽賀恭子
200703
笹鳴や寺と社へ磴別れ
高橋千美
京鹿子
200704
笹鳴に夕日大きくなりにけり
城孝子
火星
200704
笹鳴やCT画像異状なく
波田美智子
火星
200704
笹鳴や簾に小さき靴干され
楠原幹子
200704
笹鳴に近き三和土にもてなさる
吉田明子
200704
佇めば杉の茶屋跡笹鳴ける
東芳子
酸漿
200704
北条の嘗て山城笹鳴けり
渡邊紅華
酸漿
200704
笹鳴きやのど飴どれもガラスめく
後條さと子
200705
海照つて笹鳴き続く日なりけり
宇田喜美栄
200705
笹鳴きや伏せて陰乾し露地草履
大川冨美子
ぐろっけ
200706
笹鳴きの転がり落つる山の裾
木内美保子
六花
200706
笹鳴や火桶にあぶる絵具皿
瀧春一
200706
笹鳴やふと考への躓きぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200712
笹鳴の来てゐる庭と知らされし
稲畑汀子
ホトトギス
200712
笹鳴の来てゐる辺り人の声
稲畑汀子
ホトトギス
200712
笹鳴の所在明かさぬ葉ずれかな
稲畑汀子
ホトトギス
200712
みささぎの深き木漏日に笹鳴けり
阿部ひろし
酸漿
200712
笹鳴にハーブの目覚めゆく朝
稲畑廣太郎
ホトトギス
200801
笹鳴きのつたなし父と縁うすく
成瀬櫻桃子
春燈
200801
笹鳴や山半眼に句碑の立つ
神蔵器
風土
200801
笹鳴の奥は縞なす日矢すだれ
渡邉友七
あを
200801
風の日は風の底にて笹鳴けり
西口万佐子
200801
笹鳴や生家に今も竈神
ほんだゆき
馬醉木
200802
笹鳴のきてゐるたしか法然院
宮川みね子
風土
200802
滝の道店閉されて笹鳴けり
佐々木しづ子
酸漿
200802
湯煙の中に笹鳴聞えけり
大内恵
酸漿
200803
笹鳴きに合唱返す幼稚園
藤井佐和子
200804
竹林に日射し柔らぎ笹鳴けり
内田妙子
酸漿
200804
笹鳴や裁ち板にをく黄八丈
吉田明子
200805
笹鳴きや夫の渡せし丸太橋
藤井佐和子
200805
笹鳴きがうれし快便がうれし
小形さとる
200805
笹鳴きの翔つたと言つて立ち上がる
犬塚芳子
200805
笹鳴や背戸に陽のある昼下り
廣瀬雅男
やぶれ傘
200805
編物のリズムたのしや笹鳴ける
筏愛子
200806
笹鳴の珠なる声を藪囲ひ
水上れんげ
200806
笹鳴にせせらぎに歩をすすめけり
鈴木直充
素影
200811
その中に笹鳴秘めて鳥語降る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
笹鳴と気づきしときははや遠く
稲畑汀子
ホトトギス
200812
笹鳴の止みたる藪に雨の音
十川たかし
200901
笹鳴や女のしなふハイ・ヒール
神蔵器
風土
200902
笹鳴や一村消ゆる役場跡
鍋島広子
万象
200902
笹鳴や大家の墓所の名刺受け
岩井泉樹
春燈
200902
笹鳴をしかと又待つこころ大
青垣和子
雨月
200902
笹鳴や廃鉱跡の鉄の門
辺見狐音
炎環
200903
笹鳴に真間の大楠きらめけり
大坪景章
万象
200903
笹鳴や禅堂裏の篁に
今井松子
遠嶺
200904
笹鳴や尺に足らざる木歩の碑
鈴木鳳来
春燈
200904
昼月や笹鳴の影せはしなき
柴崎富子
春燈
200904
朝夕に笹鳴く宿や枇杷の花
種田利子
春燈
200904
笹鳴や梢の上に残る月
名取袿子
200904
笹鳴や平群の葬の列にをり
石脇みはる
200904
将軍の鴨場の跡や笹鳴けり
門伝史会
風土
200904
笹鳴や茶具を清めし一呼吸
新井みゆき
炎環
200904
笹鳴や古墳を抱くまろき丘
安達風越
雨月
200904
笹鳴に心遊ばせ椅子に凭る
川崎良平
雨月
200904
笹鳴や自分のためのお赤飯
大山文子
火星
200904
笹鳴や父の愛せし萩茶碗
波田美智子
火星
200904
雑踏をはなれきし路地笹鳴ける
安原葉
ホトトギス
200905
笹鳴の庭のつづきに親しかり
数長藤代
200905
笹鳴きや障子の穴を日の洩れて
岩木茂
風土
200905
笹鳴や御陵のしんと衛士の留守
西村しげ子
雨月
200905
笹鳴のしかと聞こえし山の晴
井上静子
200906
笹鳴や日差あまねく御幸山
坂本節子
200908

 祝「笹鳴」五十年

半世紀重ねし未来笹鳴ける

稲畑汀子
ホトトギス
200909
笹鳴を聴かんと耳をすましけり
近藤豊子
雨月
201002
笹鳴に漉き舟の水均しけり
蘭定かず子
火星
201002
肩よせて憩ふ二人に笹鳴ける
内藤順子
酸奬
201002
笹鳴の声の往来やすり硝子
遠藤実
あを
201002
笹鳴や低い石垣まだ跳べる
福田漣
201003
笹鳴きの途切れとぎれや風の中
戸田澄子
末黒野
201003
枝移る笹鳴きに目を凝らしけり
堺昌子
末黒野
201003
笹鳴や水辺を歩く女影
小澤克己
遠嶺
201003
笹鳴きや肝いたはれの舌打ちか
荒井和昭
201003
笹鳴のはじめもの音なりしかな
相良牧人
201003
笹鳴や供花匂ひたつ波郷の墓
山田春生
万象
201003
笹鳴や末寺に祀る童子仏
金山雅江
春燈
201003
笹鳴を聞かざるままに山居暮れ
浅井青陽子
ホトトギス
201004
笹鳴やみくじの筒を振りをれば
山本静子
201004
笹鳴のそこここの多摩郡かな
高埜良子
春燈
201004
夫に従きゆくこの道や笹鳴ける
井口初江
酸漿
201004
笹鳴や一人になると句は生れ
藤井啓子
ホトトギス
201005
笹鳴の主のいづこや日の眩し
新堀満寿美
末黒野
201005
笹鳴きや日の差す杜のひとところ
神谷さうび
末黒野
201005
笹鳴や石さまざまに明日香村
篠田純子
あを
201005
笹鳴のほどけぬ糸のやうなもの
遠山みち子
201006
笹鳴きや帰りの径をゆつくりと
白石正躬
やぶれ傘
201006
笹鳴に思はずしやがみ息ひそめ
松村晋
ぐろっけ
201006
笹鳴は足下鳥語は梢より
稲畑廣太郎
ホトトギス
201011
笹鳴を聞き分けてゐる若さかな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201011
その中に笹鳴秘めて杜騒ぐ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201011
林中の光を紡ぎ笹鳴けり
岡本まち子
馬醉木
201101
亡き父の生誕百年笹鳴けり 田中貞雄 ろんど 201101
耳すまし笹鳴を聞く昼の畑 阿部文子 酸漿 201101
翁の水庵三畳笹鳴きぬ 土居通子 ろんど 201102
笹鳴の法然院もはかなごと 伊丹さち子 馬醉木 201103
笹鳴が聞ゆるといふ待ちに待つ 泉田秋硯 201103
笹鳴を吾が難聴も聞き得たり 泉田秋硯 201103
笹鳴や木つ端とばして仏彫る 山田春牛 万象 201103
唄好きな母に笹鳴けふも來る 丸山佳子 京鹿子 201103
年寄に用あるごとく笹鳴ける 戸栗末廣 火星 201103
笹鳴を娘の声と聞き墓に佇つ 細川コマヱ 雨月 201103
笹鳴や姥伝承の子守唄 栗山恵子 雨月 201103
竹林に笹鳴きのある日ありけり 鈴木幾子 酸漿 201103
笹鳴の疎林日差を集めけり 田中浅子 201104
笹鳴や締切り迫る吟行記 笠井清佑 201104
笹鳴や風収まりし雑木山 生田作 風土 201104
笹鳴のへだたりにあり仁王の眼 戸栗末廣 火星 201104
笹鳴のふたたび近き写経かな 乙坂きみ子 末黒野 201104
笹鳴の声しきりなる墓処 宮原悦子 雨月 201104
笹鳴やもう俳部屋を出でよとて 千田百里 201104
蹴轆轤に陶育つ間や笹鳴ける 泉田秋硯 201105
笹鳴や日のあふれゐる雑木山 大橋伊佐子 末黒野 201105
笹鳴きやふくら雀に帯結へば 中島霞 ぐろっけ 201105
笹鳴に耳預けつつ詣道 石井邦子 酸漿 201105
鎌倉や谷の笹鳴明らかに 浅野恵美子 酸漿 201105
笹鳴へ近づけば笹揺れてをり 網野茂子 酸漿 201105
笹鳴を聞きしと思ふ森の風 井上浩一郎 ホトトギス 201106
笹鳴を誘ひ出したるホルンかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201111
笹鳴きてゐると気づきしよりのこと 稲畑汀子 ホトトギス 201112
笹鳴きや三つ折れればもとの径 井原美鳥 201202
笹鳴や畑に人無き昼下り 伊藤純子 201203
笹鳴きを聞くや立山眩しき日 若島久清 万象 201203
笹鳴や一枚岩の橋渡る 鈴木一三 末黒野 201203
笹鳴や気付かぬほどの昼の月 松田泰子 末黒野 201203
歌編みし時雨亭址笹鳴ける 石田厚子 馬醉木 201204
笹鳴きに息をととのへ寺の磴 森清堯 末黒野 201204
笹鳴やひよいと手を上げ羅漢さま 永田圭子 ろんど 201204
笹鳴きの庭の隠れ所方二寸 岡山敦子 京鹿子 201204
笹鳴を聞きに泊りに来よと言ふ 西出しず子 雨月 201205
笹鳴の日ざしにかわく母のもの 城孝子 火星 201205
ふた月をギプス籠りに笹鳴けり 林美智 ぐろっけ 201206
笹鳴きの流れにそいて遠ざかる 金田けいし ろんど 201206
笹鳴やまだ明けやらぬ不動堂 秋山信行 やぶれ傘 201206
笹鳴きや嵯峨野に多き道しるべ 久保東海司 201207
笹鳴きや日の斑の踊る切通し 福田房子 末黒野 201207
笹鳴や西行堂へ細き径 坂上香菜 201301
笹鳴や京には京の数へ唄 水原春郎 馬醉木 201302
笹鳴や大仏は背の窓開けて 松本三千夫 末黒野 201302
笹鳴や陣取り合戦始まりぬ 井上淳子 火星 201303
笹鳴や延命水を汲みをれば 山田春生 万象 201303
笹鳴きの夕日に姿現しぬ 山田六甲 六花 201303
笹鳴や日の当たりをる妻の墓 新海英二 春燈 201304
笹鳴や山坂へ息ととのふる 西岡啓子 春燈 201304
笹鳴や野川しづかに力抜く 米山のり子 馬醉木 201304
笹鳴や分銅はさむピンセット 渡真利真澄 万象 201304
笹鳴や吉野山路をふと思ふ 安原葉 ホトトギス 201305
笹鳴きや無の字幾度写経筆 神戸京子 ろんど 201305
笹鳴に思はず杖を止めにけり 小川玉泉 末黒野 201305
笹鳴と合はす二拍子菜をきざむ 外山節子 末黒野 201305
妻恋ふは女々し女々しと笹鳴ける 木村享史 ホトトギス 201306
笹鳴か変哲さんのハモニカか 木村享史 ホトトギス 201306
身に慣じむ固き枕や笹鳴す 中山純子 万象 201306
笹鳴の所在の距離の縮まらず 稲畑汀子 ホトトギス 201312
笹鳴の冬ぬくければ初音せり 瀧春一 花石榴 201312
笹鳴やセメント塗りの崖の上 瀧春一 花石榴 201312
笹鳴や夢二の女首かしげ 植田桂子 馬醉木 201401
笹鳴や縁の下なる竹箒 山田六甲 六花 201402
笹鳴や黒羽城は櫓のみ 山田春生 万象 201402
笹鳴や谷戸に紛るる隠し径 渡辺若菜 春燈 201402
笹鳴を聞きつつめぐる如庵露地 大橋淳一 雨月 201402
笹鳴や母にはよきことのみ伝へ 神蔵器 風土 201402
笹鳴の追伸のごと鳴きにけり 沼田桂子 春燈 201402
笹鳴きの藪に響ける羽音かな 住田千代子 六花 201403
笹鳴の三分灯る寝釈迦かな 神蔵器 風土 201403
笹鳴は癒しのエステ行者道 田中貞雄 ろんど 201403
笹鳴や根曳峠の茶店跡 仙頭宗峰 万象 201403
笹鳴や掌いろの水掬ふ 町上杳 201403
笹鳴の次のこゑ待つあゆみかな 松田泰子 末黒野 201403
笹鳴の朝な朝なの身のほとり 数長藤代 201404
笹鳴やゆるる少女の耳かざり 清水節子 馬醉木 201404
笹鳴や木の根階なす谷戸の道 大橋伊佐子 末黒野 201404
笹鳴や無縁仏に童子の名 宮原悦子 雨月 201405
笹鳴や余寒を生きる者同士 菊谷潔 六花 201405
笹鳴きを耳にとらへて振り向かず 佐津のぼる 六花 201406
笹鳴 →2      

 

2021年1月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。