秋刀魚 3     205句

江戸の空東京の空秋刀魚買ふ  摂津幸彦   ザ・歳時記

作品
作者
掲載誌
掲載年月
たて塩を控え目にして秋刀魚焼く 中村悦子 200811
未来など考へてをり秋刀魚焼く 殖栗歩 炎環 200811
秋刀魚食ぶ季節到来称へつつ 前川千恵子 雨月 200811
新秋刀魚二分の一の夫婦なり 宇佐見正 200811
のつけから酒とこゑかけ初秋刀魚 千田敬 200811
軒低く古りし居酒屋秋刀魚鮨 森理和 あを 200811
舟着に大き秋刀魚を焼きゐたり 水原春郎 馬醉木 200812
歳時記を片手に秋刀魚焼く夕べ 横山さくら 春燈 200812
馴染みしか年金くらし秋刀魚焼く 吉村さよ子 春燈 200812
秋刀魚焼く春夫の詩を口遊み 廣見知子 200812
秋刀魚焼くふつふつと湧くエネルギー 加藤峰子 200812
秋刀魚食ふ煙のやうな腸を食ふ 添田勝夫 炎環 200812
秋刀魚焼くグリルの中の火の遊び 山田暢子 風土 200812
一人住む日々是好日秋刀魚焼く 井口ふみ緒 風土 200812
秋刀魚焼く匂の中の少女かな 藏本博美 ぐろっけ 200812
秋刀魚焼く六分四十五秒八 中原幸子 船団 200901
灯ともして尾は秋刀魚にもあなたにも 中原幸子 船団 200901
秋刀魚干しゴルフの賞に贈りけり 佐藤健伍 200902
剣ならば切れ味のよき秋刀魚かな 松本周一 200911
秋刀魚食ふ日本男子の本懐と 塩路隆子 200912
七輪に目黒の秋刀魚並びけり 森下康子 200912
秋刀魚焼く時折海の青弾け 泉田秋硯 200912
男手に秋刀魚を焼きて凱歌挙ぐ 楯野正雄 200912
大皿に姿勢正しき秋刀魚かな 伊藤靖彦 200912
秋刀魚焼き焦げ目懐かし遠き日々 伊藤靖彦 200912
ラマダンの便り届きぬ青秋刀魚 野崎タミ子 炎環 200912
秋刀魚鯵開きにしたる思ひかな 中野京子 200912
百噸の秋刀魚を揚げる大船渡 岩下芳子 200912
還らざる四島一望初秋刀魚 柴崎甲武信 春燈 200912
大漁の船傾ぎ合ふ秋刀魚漁 入澤正 春燈 200912
晩年を諾ふ秋刀魚焼きにけり 安藤利恵 春燈 200912
秋刀魚焼く妻に大根おろすわれ 塩田博久 風土 200912
熊野路のかがやく海や秋刀魚鮨 坂上香菜 201001
縁者なき土地に三十年秋刀魚焼く 小西和子 201001
海遠き峠暮らしや秋刀魚焼く 磯崎清 201001
群青の空より青き秋刀魚焼く 上月智子 末黒野 201001
七輪に脂垂らしてこそ秋刀魚 山崎青史 ろんど 201001
焼秋刀魚背すじ一本主張する 鎌田悟朗 ろんど 201001
わが妻の定番料理焼き秋刀魚 荒木甫 201001
尊厳を崩さぬやうに秋刀魚焼く 相良牧人 201001
秋刀魚買ふしろがねの水したたらす 石田きよし 201001
秋刀魚焼く逆縁生きし母たりし 横山義恭 201001
トロ箱の秋刀魚の氷まみれなる きくちきみえ やぶれ傘 201001
褻の日々の穏やかなりし秋刀魚焼く 冨松寛子 201002
ダンボール秋刀魚分け合ふ米邦人 伊吹之博 京鹿子 201002
どの皿も秋刀魚の身幅には余る 柴田佐知子 201002
ガスの火に秋刀魚一尾を斜めに置く 青木朋子 201002
秋刀魚干す空が茜に染まるまで 今井春生 201002
仏間まで秋刀魚の煙流れけり 川崎よしみ 201002
浜の宿朝より秋刀魚焼いてをり 安原葉 ホトトギス 201006
江戸城を疲れさせたる秋刀魚かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
秋刀魚焼く夫婦阿吽の思ひにて 増田一代 201011
店先の高値の秋刀魚睨み行く 横山さくら 春燈 201011
行列の目黒の秋刀魚匂ひ立つ 池田光子 201011
旬なれど秋刀魚高値に食べられず 泉秀行 201012
百円の札につられて秋刀魚買ふ 内藤庫江 末黒野 201012
水揚げの香りをのせて秋刀魚くる 池田光子 201012
秋刀魚買ふ若きの刺青見てしまふ 園部早智子 ろんど 201012
揃ふ夕餉秋刀魚にレモン香らせて 中原吟子 雨月 201012
秋刀魚焼く子供の頃は炭だった 鎌倉喜久恵 あを 201012
旬なるも少しこぶりの秋刀魚焼く 立川タカ子 酸漿 201012
海の色裏返しては秋刀魚焼く 熊川暁子 201101
黒焦げの秋刀魚の骨の白さかな 太田良一 末黒野 201101
食べきつて骨美しき秋刀魚描く 中島ひろし 末黒野 201101
秋刀魚焼く備長炭と七輪で 中田寿子 ぐろっけ 201101
結局は秋刀魚となりし夕餉かな 大橋伊佐子 末黒野 201102
底力出し復興を秋刀魚漁 長崎桂子 あを 201110
誇らしく来歴語る秋刀魚の目 村田望 201111
火の荒ぶ音して煙る秋刀魚かな 羽賀恭子 201111
秋刀魚食ふ刹那あなたが嫌になり 宮崎左智子 201112
七輪に燠をつよめて秋刀魚焼く 渡辺安酔 201112
胃癌とは違ふと思ふ秋刀魚焼く 田中臥石 末黒野 201112
親潮の脂のりたる秋刀魚焼く 塩見治郎 雨月 201112
秋刀魚買ふ震禍の話絶えもせず 北尾章郎 201201
北斗背にくるむ秋刀魚の二つの尾 大島翠木 201201
褪せ暖簾間半めし屋の焼秋刀魚 山口郁子 末黒野 201201
秋刀魚焼く師系白潮午次郎 山本無蓋 201201
北の海より秋刀魚のとどく命なが 中山皓雪 201201
腹わたは君へあげると秋刀魚食ぶ 中田寿子 ぐろっけ 201201
魚屋に胴を持たるる秋刀魚かな きくちきみえ やぶれ傘 201201
焼き立ての尺の秋刀魚の長き皿 安藤久美子 やぶれ傘 201202
ちらし見て今日は秋刀魚と決めにけり 松本善一 やぶれ傘 201202
すぐ食べよと燻る秋刀魚出されけり 岡崎伸 遠眼鏡 201203
忘れたかそれはよかった初秋刀魚 中原幸子 船団 201203
秋刀魚食べ春夫の心惟みる 大橋晄 雨月 201211
秋刀魚食み語りし友ら黄泉国 酒井秀郎 返り花 201211
秋刀魚焦げみやこの隅の宴かな 長島清山 かさね 201212
秋刀魚焼くいまも捨てざる現場主義 成田美代 201212
秋刀魚焼く臭ひ隠さぬ隣家かな 仁平則子 201212
うんちくの落語に及ぶ初秋刀魚 井上淳子 火星 201301
魚屋に胴を持たるる秋刀魚かな きくちきみえ やぶれ傘 201301
春夫の詩口ずさみつつ秋刀魚焼く 大橋伊佐子 末黒野 201301
明け暮れて一人ぼっちの秋刀魚やく 足利鉾子 ぐろっけ 201301
道の駅焙り過ぎなる秋刀魚鮨 堀志皋 火星 201301
初秋刀魚一尾が余る齢なり 足利ロ子 ぐろっけ 201302
奥のもの大きく見ゆる秋刀魚買ふ 箕輪カオル 201302
据え膳の否応なしの焦秋刀魚 梁瀬照恵 ぐろっけ 201303
大振りの秋刀魚燻らせ炉端焼 粟倉昌子 201311
竜巻も豪雨も話題秋刀魚食ぶ 中原敏雄 雨月 201311
秋刀魚焼く匂ひにくぐる赤暖簾 安藤虎酔 かさね 201311
秋刀魚焼く今日も昨日の繰り返し 中原敏雄 雨月 201311
初秋刀魚待ちゐて夕餉豊かなり 佐藤健伍 201311
こんがりと焼けた秋刀魚に酢橘かな 丸山酔宵子 かさね 201311
一塩が海の色濃く初秋刀魚 葉山彰 ろんど 201311
遅かりし目黒の秋刀魚匂ひのみ 橋本修平 かさね 201312
玄関に居坐る猫や秋刀魚焼く 仁平則子 201312
針金で縛る七厘秋刀魚焼く 瀧春一 花石榴 201312
秋刀魚焼く匂ひや雨の路地となり 藤丸誠旨 春燈 201312
夫留守の焦がしし秋刀魚食ひにけり 兼久ちわき 馬醉木 201312
鳥さへも訪うてくれぬ日秋刀魚焼く 能勢栄子 201401
一日の仕事を終へて秋刀魚食ふ 中井弘一 201401
新秋刀魚入歯を余し食ひにけり 松本文一郎 六花 201401
秋刀魚焼くぎつくり腰は完治せず 石川裕美 ぐろっけ 201401
夕暮の赤子泣く路地秋刀魚の香 佐藤弘香 ろんど 201401
初秋刀魚塩は赤穂にこだはりて 河合とき 末黒野 201401
母と子のそれぞれ独居秋刀魚焼く 平居澪子 六花 201401
切れさうな釧路の秋刀魚届きけり 大村かし子 万象 201401
二年半ぶりの大漁初秋刀魚 西垣順子 201401
角皿の秋刀魚の太く一文字 杉本裕子 末黒野 201402
やすやすと齢を加へ初秋刀魚 戸栗末廣 201402
詩がなんだ俳句がなんだ秋刀魚食え 火箱ひろ 船団 201403
空白の某月某日秋刀魚焼く 東英幸 船団 201403
やすやすと齢を加へ初秋刀魚 戸栗末廣 201405
氷塊の中から秋刀魚抜きにけり 広渡敬雄 201411
つくづくと秋刀魚の長し喜寿となる 関根揺華 201411
秋刀魚焼き家族の揃ふ夕餉かな 土井久美子 201412
秋刀魚焼く北国街道木賃宿 橋本榮治 馬醉木 201412
義歯ぴたり秋刀魚の味の一段と 小川玉泉 末黒野 201412
豊漁の朝網秋刀魚混じりをり 小川玉泉 末黒野 201412
夫焼きし皿を選びぬ初秋刀魚 新井八重子 末黒野 201412
二合半をかるく越えたり初秋刀魚 林紀夫 春燈 201412
秋刀魚よそふ尺一寸の有田焼 村高卯 201412
ケーキ屋の裏口で焼く秋刀魚かな 岩下芳子 201412
秋刀魚焼くはみ出してをる頭(かしら)かな 谷岡尚美 201412
初秋刀魚苦味の好きな共白髪 渡辺和夫 ろんど 201412
介護食の秋刀魚骨抜き焼目無し 折橋綾子 201412
秋刀魚焼くひとり居世事にうとくなり 水野節子 雨月 201412
焦げている秋刀魚もパンも恋人も 粟津さくら 201412
口元のすずしき秋刀魚買ひにけり 井上淳子 火星 201412
秋刀魚焼く煙も立たず味気なし 稲岡長 ホトトギス 201501
初秋刀魚塩辛声の市場かな 宮崎高根 201501
紺青の皿に秋刀魚の海恋へり 石橋公代 春燈 201501
ふるさとの待ちし秋刀魚を持参せり 佐藤健伍 201501
大阪の秋刀魚腹より蒲焼きに 柳川晋 201501
日本の味を焦がして秋刀魚焼く 熊川暁子 201501
七輪の燠にふる里初秋刀魚 佐瀬晶子 ろんど 201501
包みまで突き破りたる秋刀魚かな 栗原京子 201503
文化の日赤飯買ひ来て秋刀魚焼く 増田甚平 ろんど 201503
秋刀魚の詩口ずさみつつ焼く女 千原叡子 ホトトギス 201503
秋刀魚の目おのが煙の中にあり 戸栗末廣 201503
ケーキ屋の裏口で焼く秋刀魚かな 岩下芳子 201508
秋刀魚の解剖お箸のメス揮ひ 八木健 八木健俳句集 201509
柳刃の使ひごこちや初秋刀魚 岡尚 風土 201511
患うて子の家に食ぶ初秋刀魚 黒滝志麻子 末黒野 201511
焼秋刀魚買うて一人の夕餉かな 大橋晄 雨月 201511
火の中へ火を滴らせ秋刀魚焼く 林昭太郎 201512
存分に煙を上げて秋刀魚焼く 丸山允男 春燈 201512
どの店も値も丈みな同じ秋刀魚店 松田都青 京鹿子 201512
目黒より届く秋刀魚の海の色 谷岡尚美 201512
銚子ならよろしい今日もまた秋刀魚 大坪景章 万象 201512
家中に秋刀魚の匂ふ防災日 野畑さゆり 201512
秋刀魚焼く路次暮れてゆく匂ひかな 王岩 あを 201511
秋刀魚には石垣の塩ひとつまみ 須賀敏子 あを 201512
捌かれて背骨小骨や初秋刀魚 黒澤登美枝 201512
秋刀魚の骨型良く残る皿の上 吉野夢宙 201512
三陸の海の色なる秋刀魚焼く 大橋弘子 末黒野 201512
金網に煙る目黒の秋刀魚かな 及川信二 末黒野 201512
憂きことを忘れて食ぶる初秋刀魚 中春江 末黒野 201512
ただいまの声を合図や秋刀魚焼く 塚篤子 末黒野 201512
秋刀魚焼く火の色明くまた暗く 種田果歩 201512
酸橘来て秋刀魚の夕餉とはなりぬ 石井ケエ子 風土 201512
秋刀魚焼き文弱ひたに詩を欲りぬ 森脇貞子 雨月 201512
秋刀魚皆いけ面であり三匹買ふ 田原陽子 201601
細心は塩大胆に秋刀魚焼く 奥井あき 201601
海峡を越えし秋刀魚の太さかな 山本茂子 末黒野 201601
秋刀魚焼く煙の中に火の混じる 秋千晴 201601
七輪を食み出す秋刀魚焼きにけり 杉田春雄 風土 201602
秋刀魚焼く隣家と同じ匂ひたて 野村鞆枝 京鹿子 201602
初秋刀魚百年前もこの味や 藤波松山 京鹿子 201602
潮焼けの笑顔より買ふ初秋刀魚 野畑さゆり 201602
悪女とは美女であるべし秋刀魚焼く 天谷翔子 201602
水に漬く刃数本秋刀魚かな 田尻勝子 六花 201602
店頭に秋刀魚の光る裏通り 土井三乙 風土 201603
一合の酒と秋刀魚の刺身かな 能美昌二郎 201611
はらわたの苦味は履歴秋刀魚食ふ 峰崎成規 201611
初秋刀魚震災の港大賑はひ 東秋茄子 京鹿子 201611
朴訥の数へ唄なり秋刀魚売 佐藤山人 201611
船底に収まりきれぬ秋刀魚かな 亀井紀子 201611
初秋刀魚糶も手締めも浜訛 大内和憲 万象 201611
捥ぎて来し青柚たつぷり初秋刀魚 山口千代子 万象 201611
秋刀魚焼く煙にぽつぽつ降り始む 渡邊孝彦 やぶれ傘 201611
小津映画秋刀魚の味はほろ苦し 柴田ふさこ 201612
怒らせて火を怒らせて焼く秋刀魚 石田きよし 201612
焼秋刀魚色こんがりとマーケット 小池みな 末黒野 201612
初秋刀魚を肴に友と宴かな 鍋島武彦 末黒野 201612
大型のトランク真っ赤初秋刀魚 たかはしすなお 201612
サンクスで秋刀魚は買はず7でも 佐藤喜孝 あを 201612
秋刀魚みな口とがらせて焼かれけり 岩下芳子 201701
秋刀魚焼く独り者にて破滅型 山口ひろよ 201701
目玉まで塩を振らるる秋刀魚かな 小林朱夏 201612
秋刀魚焼く遺産争議に揺るる家 柴田佐知子 201701
古里は秋刀魚は干物で食べる物 大日向幸江 あを 201701
黄昏るるカレーの匂と秋刀魚の香 大日向幸江 あを 201701
秋刀魚煮る骨溶けるまで雨続く 伊藤希眸 京鹿子 201702
秋刀魚さんま銚子へ嫁きし娘の土産 佐藤山人 201702
秋刀魚→4      

 

2021年9月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。