秋刀魚 1     100句

掃かれあり秋刀魚が落ちてゐたような    金子蛙次郎

秋刀魚  さんま

作品
作者
掲載誌
掲載年月
目と鼻の距離尖らせて秋刀魚なる 中原道夫 銀化 199811
一人にはいささか大き秋刀魚焼く 宇根綾子 遠嶺 199902
桝酒と真一文字の秋刀魚かな 鷹羽狩行 199911
朝市や海の色澄む秋刀魚の目 水原春郎 馬醉木 199911
スタジオの棟割長屋秋刀魚焼く 柿沼盟子 風土 199912
居酒屋の秋刀魚は皿をはみ出せり 小田道知 円虹 199912
秋刀魚食ひて夜の眠りの深さかな 松崎鉄之介 199912
ほどほどの火焔地獄の秋刀魚かな 櫂未知子 銀化 199912
反応式うかび秋刀魚を焼き損ず 伊藤重美 俳句通信 200001
秋刀魚焼くほかに工夫もあらぬげに 本城布沙女 雨月 200001
完熟の夕日燻らす秋刀魚かな 本城布沙女 雨月 200001
胎内にいのち育み秋刀魚焼く 藤井勢津子 200002
秋刀魚大漁岩壁どっと重くなる 田中藤穂 水瓶座 200002
秋刀魚焼く平成中高年層よ 三神あすか ヒッポ千番地 200005
ベランダの秋刀魚の煙とんでいけ 笠学 船団 200009
玉串をあげ出漁の秋刀魚船 吉田初江 春耕 200010
テレビ見て直ぐに欲がる秋刀魚かな 松沢久子 いろり 200010
秋刀魚船団戻り来潮路深く噛み 岩崎きゑ子 馬醉木 200011
船團を組み立ててゐる秋刀魚かな 中原道夫 銀化 200011
秋刀魚焼く煙をまとひ都電発つ 唐沢静男 春耕 200011
店先に秋刀魚輝き誘ひけり 林田加杜子 いろり 200011
秋刀魚ともいへぬ高値の初秋刀魚 谷村睦子 200012
釜石の朝の民宿秋刀魚焼く 倉堀たま子 風土 200012
火のしづく滴らせては秋刀魚焼く 川井政子 風土 200012
秋刀魚焼く裏も表も開け放ち 木内美保子 六花 200012
河涸れてアウトドアーの秋刀魚の香 中川濱子 ぐろっけ 200012
喜びとや沖遠く秋刀魚漁賑う 金子兜太 海程 200101
北国の光の秋刀魚買ひにけり 板倉勉 六花 200101
秋刀魚焼く仏頂面は地顔なり 中田征二 ぐろっけ 200101
ランボーは酸橘たっぷり秋刀魚かな 田中亜美 海程 200102
魚にもしょう油顔有り秋刀魚焼く 川副民子 船団 200105
秋刀魚船発つや笹竹みな立てて 富岡伸子 春耕 200109
秋刀魚焼く煙の中を訪ねけり 大串章 百鳥 200110
気仙沼秋刀魚の口の黄色くて 須賀敏子 あを 200110
死ぬ別れ生くる別れや秋刀魚焼く 林裕子 風土 200111
初物は少し小ぶりよ秋刀魚買ふ 桑久保奈美子 酸漿 200111
割箸の燃えだし秋刀魚焼きあがる 小泉豊流 酸漿 200111
秋刀魚焼く単身赴任八年目 大橋克巳 俳句通信 200111
秋刀魚焼き胎動殊に覚ゆると 杉本美智江 雨月 200112
秋刀魚焼く庇に夕日沈むかな 稲辺美津 遠嶺 200112
ケータイがカノン奏づる秋刀魚焼く 安部里子 あを 200112
チャップリンの映画見て来て秋刀魚焼く 内田和子 酸漿 200201
秋刀魚食ぶ苦き腸までも食ぶ 安陪青人 雨月 200201
魂の響き合ひ欲し秋刀魚焼く 辻由紀 雨月 200201
落日を海へ誘ふ秋刀魚かな 小田元 六花 200201
一番星仰ぐ家路や秋刀魚の香 古川利子 200202
夫買ひし秋刀魚を刺身つくりとす 二瓶洋子 六花 200202
隣から秋刀魚が焼けたとメールくる 尾上有紀子 船団 200202
一本の酒一匹の秋刀魚かな 宮原みさを 花月亭 200208
輝ける秋刀魚の一生焼きにけり 伊藤とら 雲の峰 200210
秋刀魚焼く叱つてくれる師匠ゐて 木田千女 200211
秋刀魚焼く煙に捲かる艶ばなし 柴田雪路 200211
火達磨の秋刀魚を待てずコップ酒 泉田秋硯 200212
生涯の大根役者秋刀魚焼く 次井義泰 200212
潮騒の音ふりこぼす新秋刀魚 林和子 200212
秋刀魚大漁波止の鴎をよろこばす 藤原たかを 馬醉木 200212
潔く生きて死にたし秋刀魚焼く 矢野律子 200212
あかんべいの不況は物し秋刀魚どき 水島夜雨 京鹿子 200212
秋刀魚焼く火移り箸のせはしかり 水島夜雨 京鹿子 200212
流通の今昔ありて秋刀魚焼く 西岡残照 京鹿子 200212
銀ぶらや帰りつくなり秋刀魚焼く 鏡山千恵子 帆船 200212
油とれし紀州秋刀魚を我好む 二村蘭秋 雨月 200212
漁師妻馬穴に秋刀魚持ち帰る 石川元子 酸漿 200212
床にゐて世話を焼く妻秋刀魚焼く 松木清川 ぐろっけ 200212
初秋刀魚氷より出る口の先 今瀬剛一 対岸 200212
露地裏の店呼び声も活け秋刀魚 井上泰子 ぐろっけ 200301
秋刀魚焼く煙公害沙汰の世に 奥村鷹尾 京鹿子 200302
水揚げの秋刀魚の滑りあふひかり 藤井淑子 百鳥 200302
海流を濃くして秋刀魚南下軍 泉田秋硯 鳥への進化 200303
秋刀魚焼く煙に消防車の来たる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200309
秋刀魚焼く日や吉報のあるやなし 小澤克己 遠嶺 200310
秋刀魚喰ふ米岡さんに不義理して 山田六甲 六花 200310
秋刀魚喰ひ木の根まんぢゆう残しけり 山田六甲 六花 200310
百円の秋刀魚夫婦で分けにけり 八木葉子 酸漿 200311
針金を捲きし七輪初秋刀魚 宮原國夫 雲の峰 200311
不景気を口にせず焼く秋刀魚かな 塩路五郎 200312
昼食用にシェフひっそりと秋刀魚焼く 田中康雄 200312
柚子の香を先だて運ぶ初秋刀魚 成智いづみ 馬醉木 200312
秋刀魚買ふ鋼びかりの艶を買ふ 小林久雄 200312
秋刀魚焼きどうやら無事に一と日暮る 東野鈴子 雨月 200312
この秋刀魚刺身にせねば何にする 二瓶洋子 六花 200312
家人とは夫のこと言ふ秋刀魚焼く 小林朱夏 200312
端正に並ぶ秋刀魚のたけ同じ 田口たつお ぐろっけ 200312
朝市の海色深き秋刀魚買ふ 佐藤よしい 風土 200401
仲良しや潮目の秋刀魚膳の上 中島陽華 200401
銀の光頬ばる秋刀魚鮨 沖増修治 百鳥 200401
主役の名思ひ出せぬよ秋刀魚焼く 塩路隆子 200401
海の色搦め捕られて初秋刀魚 宮川秀穂 200401
それぞれに秋刀魚を買ひて嫁姑 愛甲厚子 200401
磐城より申し分無き秋刀魚着く 大塚民枝 酸漿 200401
金婚や秋刀魚が二本恙なし 平山風鳥 河鹿 200402
秋刀魚休漁船かけ上る水かげろふ 松井志津子 200402
漢字もて書き味のある秋刀魚かな 中村興人 酸漿 200402
余生とは力抜くこと秋刀魚喰ふ 九万田一海 河鹿 200403
秋刀魚焼く海一枚の裏おもて 遠藤和彦 遠嶺 200406
産業祭当りは秋刀魚つかみどり 増田幸子 万象 200409
大皿にはみ出すほどの秋刀魚かな 滝沢伊代次 万象 200410
厨ごと嫌ひでもなし秋刀魚截つ 土肥屯蕪里 雲の峰 200410
貧農は昔秋刀魚も食えずなり 八木葉子 酸漿 200411
秋刀魚ほめ会社罵る居酒屋に 森下賢一 春燈 200411
秋刀魚2      

 

2021年9月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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