落椿 3       142句

蟻穴を出て落椿々々    川崎展宏

落椿  椿落つ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
不思議なる空間ありぬ落椿 竹下昌子 200805
菩提寺に径狭まりて落椿 岸はじめ ぐろっけ 200805
落椿曼荼羅絵図をさながらに 小澤菜美 200806
水際で止つてをりぬ落椿 湯川雅 ホトトギス 200806
落椿なほなほ妍を競ひ合ふ 泉田秋硯 200806
魂のまだぬけきらぬ落椿 森佳子 遠嶺 200806
野良猫のついぞ失せしか落椿 西田敏之 ぐろっけ 200806
落椿人行き交ひてをりにけり 井上信子 200806
機械室出て落椿落椿 戸栗末廣 火星 200806
落椿仏足石を飾りけり 菊池由惠 酸漿 200806
落椿入江の波にたゆたへり 柳田和子 酸漿 200806
転々とある落椿康成忌 浅田光喜 絵巻物 200806
落椿どうにもならぬ程赤し 野路斉子 200806
落椿掻きよせゐたる人の足 十川たかし 200807
忌を修し無情の輪廻落椿 吉田裕志 200807
落椿踏むまい踏絵拒否ごころ 宮入河童 200807
走り根は燈のひとつに落椿 瀬島洒望 やぶれ傘 200807
古き代の血の記号とし落椿 稲岡長 ホトトギス 200808
落椿象山の間の暗きかな 稲岡長 ホトトギス 200808
表裏表表や落椿 蔦三郎 ホトトギス 200808
つゞきたる音のたしかに落椿 浅井青陽子 ホトトギス 200808
落椿残して帰る女寺 谷岡尚美 200808
つづけざま音のありたる落椿 浅井青陽子 ホトトギス 200809
門前に踏みつぶされし落椿 ことり 六花 200903
落椿象の小川にほとりして 稲畑汀子 ホトトギス 200904
磯道の深きへ誘ふ落椿 植田桂子 馬醉木 200904
落椿うかと踏みたるよりの鬱 片桐てい女 春燈 200904
雨よりも日のむごたらし落椿 岡本眸 200903
突風に向き変へしのみ落椿 山田六甲 六花 200904
直弼の墓のほとりや落椿 浅野恵美子 酸漿 200904
色艶をいつまで残す落椿 坂本幸子 酸漿 200904
月華殿続く石段の落椿 阿部悦子 酸漿 200904
ここよりは通行止めよ落椿 松岡和子 200905
落椿踏まねば墓に近づけず 佐藤信子 春燈 200905
落椿流人の墓の苔むして 石原節子 春燈 200905
落椿とはひそやかに華やげる 山田天 雨月 200905
落椿よちよち歩く男の児 阿部泰子 春燈 200905
落椿踏みし蹠を持ち歩く 浜口高子 火星 200906
落椿いきいきとして手から掌へ 加藤季代 万象 200906
戦争も戦後も遠し落椿 松下千恵子 春燈 200906
たましひの蘂いきいきと落椿 安達風越 雨月 200906
會釈してはて誰ならむ落椿 芝尚子 あを 200906
手箒にいのちの重さ落椿 冨松寛子 200907
安寿塚埋めつくして落椿 山田春生 万象 200907
落椿紅のなだれる本丸跡 品川鈴子 はらから 200911
掃きながら集めてゐたる落椿 ことり 六花 201002
黒々と雪に埋もるる落椿 ことり 六花 201002
天帝へ飽くなき思慕や落椿 塩路隆子 201004
石棺の蓋の湿りや落椿 森清尭 末黒野 201004
流転せし疵よ河口の落椿 山田六甲 六花 201004
富士仰ぐ沼津アルプス落椿 須賀敏子 あを 201004
慶喜の無念思ひつ落椿 鈴木阿久 201005
落椿べたべた下総国分寺 大坪景章 万象 201005
咲ききつて昨日は遠し落椿 都丸美陽子 春燈 201005
切通し抜けて夕日の落椿 吉村さよ子 春燈 201005
落椿渦巻く川の蒼みをり 小山紫乃布 末黒野 201005
落椿錆びぬ古刹の石畳 小澤淳子 201005
落椿つくばひの水溢れしめ 窪田粧子 馬醉木 201006
落椿乙女てふ色失はず 四條進 201006
雨あとの小草に坐る落椿 大坪景章 万象 201006
落椿蘂の奥処に陽の至る 安藤久美子 やぶれ傘 201006
落椿まるく染まりし浄土かな 竹内悦子 201006
落椿その時だけのかはいさう 頓所友枝 201006
落椿十一面さまへ詣でたり 落合絹代 風土 201006
落椿走り根に来て止まれる 和田崎増美 雨月 201006
戒名に紅の字のあり落椿 陶山泰子 ぐろっけ 201006
落椿重なり合うて色たがふ 井上淳子 火星 201006
真紅なほ余生自負せる落椿 塩路五郎 201007
たましひのまだ抜けきらぬ落椿 中村文夫 201007
紅白の色の豊かさ落椿 北村香朗 京鹿子 201007
曲水に筏組みたる落椿 廣瀬雅男 やぶれ傘 201007
連れ立つといふもあるべし落椿 相良牧人 201007
落椿闇退けてゐたりけり 涼野海音 火星 201007
両の手に溢れんばかり落椿 加藤恵子 万象 201007
蹲踞の底に灯りぬ落椿 武司琴子 ぐろっけ 201007
落椿しばし花瓶の横に置く 筒井八重子 六花 201007
落椿捨身の彩の潔し 和田照子 201008
一善の心にさせた落椿 丸山佳子 京鹿子 201008
ゆつくりと土塀溶けゆく落椿 鳳蛮華 201008
落椿そのまま置かれたる風情 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
土の上になほ凛として落椿 近藤きくえ 201103
箒目の流れに乗れり落椿 森岡正作 201104
落椿盆に載せたる紅さかな 篠原幸子 春燈 201105
火の色となりて流れへ落椿 松本三千夫 末黒野 201105
箒目の通る参道落椿 永塚尚代 ぐろっけ 201105
頬杖の江戸の石仏落椿 須賀敏子 あを 201105
落椿庭に嵩ます無住庵 廣瀬義一 雨月 201105
落椿海士の手になる土産物 苑実耶 201106
石段は磨崖仏へと落椿 苑実耶 201106
今生に音を残せし落椿 相良牧人 201106
落椿つまみし指のぬれにけり 杉浦典子 火星 201106
落椿をしべめしべに日の温み 井上淳子 火星 201106
肩先に金色の粉落椿 加藤みき 201106
諦めに似し沈黙や落椿 柴田朱美 京鹿子 201106
喪の家のいたるところに落椿 柴田朱美 京鹿子 201106
己が木の影におさまり落椿 清海信子 末黒野 201106
落椿浮くつくばひの水蒼し 小倉正穂 末黒野 201106
利休忌の雨に色濃き落椿 三輪温子 雨月 201106
里人の守れる妓王寺落椿 塩見英子 雨月 201106
落椿まだ聞き耳を立ててをり 野口喜久子 ぐろっけ 201106
嵩なして何を主張の落椿 中島讃良 ろんど 201106
手にとるや朱をつくしたる落椿 青木陽子 酸漿 201106
蔓ばらの棘にかかりし落椿 大坪景章 万象 201107
落椿容のままにくづれをり 藤井昇三 六花 201107
半分は土になりたる落椿 天谷翔子 火星 201107
落椿賑やかなりし大地かな 竹内悦子 201107
落椿鎮守の杜の木々の騒 赤松鈴江 京鹿子 201108
落椿泣くがごとくに野の仏 仲田眞輔 ぐろっけ 201108
いきいきと天を向きけり落椿 大場ましら 201108
海光の火山灰よなに散らばり落椿 熊切光子 末黒野 201108
落椿ころっと落ちる美学かな 岸田爾子 201109
堰を落ち椿一輪空を向く 内藤三男 ぐろっけ 201109
何事ぞ象の真紅の落椿 稲岡長 ホトトギス 201110
野宮の苔厚ければ落椿 コ田千鶴子 花の翼 201111
石庭に抜け穴のあり落椿 長谷川鮎 ぐろっけ 201202
バスに触れ旧街道の落椿 長谷川鮎 ぐろっけ 201202
海鳴りや砲台跡の落椿 牧はるか 末黒野句集 201203
山道に赤を敷き詰め落椿 岡本ヨシエ 末黒野 201204
落椿風にころがる気配なし だいじみどり 201205
古城下の遊里の跡や落椿 柴崎富子 春燈 201205
落椿少し流れて沈みけり 須賀敏子 あを 201205
尼寺に情念のいろ落椿 小山繁子 春燈 201206
ぽつぽつと朽つる築地に落椿 江島照美 201206
触れられてほしくない過去落椿 柴田朱美 京鹿子 201206
駄菓子屋のまだある路地の落椿 柴田朱美 京鹿子 201206
島の径絶え磯となる落椿 松本三千夫 末黒野 201206
生き生きと水盤せばめ落椿 外山節子 末黒野 201206
俳句かと笑ふ里人落椿 笹井康夫 201207
この光り灯台であり落椿 飯田ひでを 201207
落椿遊戯の器に拾はむと 近藤紀子 201207
落椿神代の水に廻りけり 城孝子 火星 201207
うつ伏せの横目で笑ふ落椿 鳥居おさむ 鳥居おさむの、背骨。 201207
金色の蕊全しや落椿 安斎久英 末黒野 201207
要塞は戦の名残り落椿 岡野里子 末黒野 201207
しばらくは根方に寄せて落椿 青木朋子 201208
一椿樹より一山の落椿 塩田博久 風土 201208
境内の一隅紅し落椿 稲垣佳子 末黒野 201208
落椿載せてペットの小さき墓 先山実子 ぐろっけ 201208
三四郎池にいちりん落椿 有賀昌子 やぶれ傘 201209
那谷寺は苔の寺なり落椿 北崎展江 くりから 201209
頑固なる急峻の城落椿 山田六甲 六花 201304
まばたきのこの一瞬の落椿 宮崎左智子 201305
路地庭の関守石や落椿 古川千鶴 かさね 201305
水ぎはといふしづけさの落椿 山尾玉藻 火星 201305
地の冷えにくれなゐ深め落椿 大崎ナツミ 雨月 201305
落椿残す昭和の弾薬庫 笠井清佑 201306
落椿清むる庭に紅とどめ 原田たづゑ 春燈 201306
ふる里や潮の香深く落椿 鶴岡紀代 春燈 201306
夜をこばむ法念院の落椿 戸栗末廣 火星 201306
露坐仏のまはり小暗き落椿 鈴木一三 末黒野 201306
池に浮く朱の瑞みづし落椿 森清信子 末黒野 201306
山道具残す廃屋落椿 坂根宏子 野山の道 201404
落椿→ 4      

 

2021年4月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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