8       200句

おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
摩天楼孤高忘るる朧の夜 峰崎成規 201605
鏡の中の時計を見てる夕朧 小嶋洋子 201605
入港す島けぶるとも朧とも 田川美根子 201605
見とどけてよりの逢瀬を朧にす 丸井巴水 京鹿子 201605
朧夜の岩に食ひ入る佛たち 山本則男 201605
朧夜の不意に眞砂女の割烹着 井上信子 201605
終列車見送る影の朧かな 柴崎富子 春燈 201605
昏れ急ぐ影より朧はじまりぬ 岩月優美子 201605
鬼瓦朧に見ゆる夜なりけり 後藤マツエ 201605
円卓の老酒まはす朧の夜 根橋宏次 やぶれ傘 201605
朧夜の触れてみたきは鯉の髭 水野恒彦 201606
朧夜の玉子スープの透けにけり 吉田政江 201606
老兵と気付かず生きて朧かな 能美昌二郎 201606
朧夜の家のまはりを歩きけり 三上程子 春燈 201606
朧なる通夜に無官の名刺出す 丸井巴水 京鹿子 201606
中空の魔女の爪めく月朧 大政睦子 京鹿子 201606
朧夜や語りかけくる埴輪の眼 芝田幸惠 末黒野 201606
余生とはまだ先の事月朧 福田禎子 末黒野 201606
朧夜や暫し心を委ねたし 中谷未知 末黒野 201606
朧夜の中に蹴りたる小石かな 本間せつ子 末黒野 201606
薄刃庖丁研ぎ光らせて夜の朧 玉置かよ子 雨月 201606
記紀の世へ踏み入るかとも夕朧 間宮あや子 馬醉木 201606
千体の御仏千手の朧かな 久布白文子 馬醉木 201606
朧夜や暗渠となりし泪橋 萩庭一幹 馬醉木 201606
太閤の世へと水脈曳き舟朧 古賀しぐれ ホトトギス 201607
城囲みビルてふ空の陣朧 古賀しぐれ ホトトギス 201607
陣太鼓朧の海へ打ち込めり 福島せいぎ 万象 201607
朧夜の湯の香引き摺る下駄の音 谷口直樹 万象 201607
並木みち何か鳴いてをり朧 井上信子 201607
小面の一瞬鬼女となる朧 加藤峰子 201607
くちずさぶソルヴェーグの唄海朧 山口ひろよ 201607
経文に句読点なき朧かな 足立良雄 201607
経文に句読点なき朧かな 足立良雄 201607
逝きし子の蹤き来る思ひ月朧 鈴木漱玉 馬醉木 201607
サーファーの海鳥めける夕朧 小林陽子 201607
読終へて自問自答や朧月 深川敏子 春燈 201607
国生みの島を包める朧かな 堀井英子 雨月 201607
島の灯のまたたきて点く朧かな 落合絹代 風土 201607
洩るる灯のみな朧なる家路かな 松本三千夫 末黒野 201607
時もたぬ波くりかへす朧かな 黒滝志麻子 末黒野 201607
朧夜や配水管のひとりごと 松田泰子 末黒野 201607
さなきだにうるむ老いの眼朧月 森清堯 末黒野 201607
橋朧むかしむかしを古き地図 安藤久美子 やぶれ傘 201608
朧夜や遠く読経の聞こえくる 秋山信行 やぶれ傘 201608
朧夜の髪湿りきぬ浜通り 森清信子 末黒野 201608
月朧雲もおぼろに宿の玻璃 安斎久英 末黒野 201608
送り出て残る静寂や朧月 加藤静江 末黒野 201608
異郷にて仲麻呂となる朧月 伊吹之博 京鹿子 201608
一湾の朧曳きゆく舟一つ 吉田順子 201608
真夜中の猫は朧を食べてゐる 有松洋子 201608
このごろは朧三昧わろたわろた 中島陽華 201608
古図の毛馬淀の堤の草朧 山田夏子 雨月 201609
物の怪を鎮め吉野の夜の朧 木村享史 ホトトギス 201610
み吉野の朧を人か獣か 木村享史 ホトトギス 201610
ボヤという子猫のなまえ朧月 寺田良治 船団 201612
朧の夜われにも欲しき心柱 栗原公子 銀の笛 201612
朧夜やみよし野星に包まれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201701
島影に軋む艪音も朧の夜 河野由美 馬醉木 201701
夫在れば金婚式や朧月 渡辺やや 風土 201701
朧夜の夫にあづける角ひとつ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201703
消えさうに消えさうにあり朧月 稲畑汀子 ホトトギス 201704
齟齬も又朧と承知してしまふ 稲畑汀子 ホトトギス 201704
又逢へて朧ならざる月日あり 稲畑汀子 ホトトギス 201704
生涯の朧の日々にある忌日 稲畑汀子 ホトトギス 201704
ほつほつと過去語り出す人朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
朧夜やみよし野星に包まれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
川幅といふ対岸の朧かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
手を挙げでわかれ別れや月朧 沼田巴字 京鹿子 201704
高階に住みて朧に漂へる 七田文子 201704
北辰の一途をほぐす朧の夜 峰崎成規 201704
差し潮や朧の底に清洲橋 峰崎成規 201704
朧夜は何かの気配窓開くる 宮田豊子 春燈 201704
火袋に魂の灯りし朧の夜 丸井巴水 京鹿子 201705
朧夜のガス燈ぽつり戀が浮く 丸井巴水 京鹿子 201705
野の宮は風音ばかり朧月 橋添やよひ 風土 201705
朧夜の湯の町をゆく下駄の音 今井妙子 雨月 201705
潮騒を枕としたる朧かな 岩月優美子 201705
母の湯呑友のエプロン朧にて 赤座典子 あを 201704
朧夜の船笛遠くそれつきり 平野みち代 201705
朧夜の昨日につづき死ぬ役者 足立良雄 201705
朧月度忘れといふ良き言葉 宮崎高根 201705
朧夜の痒いところに届かぬ手 石川充 馬醉木 201705
手の内は見せぬと朧深くせり 酒本八重 201705
別棟の夕餉に呼ばれ朧かな 吉田政江 201705
短調マイナーがよし朧夜のギターソロ 千田百里 201705
朧夜の木の家にある息遺ひ 細川洋子 201705
果実酒に果実の沈む朧の夜 林昭太郎 201705
朧夜のなかなか渡りきらぬ橋 林昭太郎 201705
屋根石に重さ加はる朧の夜 林昭太郎 201705
にはとりの声のくぐもる朧の夜 林昭太郎 201705
吾も獣いのちの森の朧嗅ぐ 森岡正作 201705
詩詠むは秘めごとに似て朧の夜 栗原公子 201705
朧夜の何かすり抜けゆく記憶 内山花葉 201705
朧夜や鰭あるごとく歩みゆく 大沢美智子 201705
逢うて見るスマホの友よ月朧 陳妹蓉 春燈 201705
橋渡る人の影ある朧かな 黒滝志麻子 末黒野 201705
観世音堂の朧に御座しけり 水谷文謝子 雨月 201706
朧夜の夫にあづける角ひとつ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201706
朧夜や長きホームの端にゐて 斉藤マキ子 末黒野 201706
帰り来たる東京すでに朧かな 亀卦川菊枝 末黒野 201706
舌先は朧の味を知つてをる 高橋将夫 201706
朧よりおぼろへ千夜一夜かな 山中志津子 京鹿子 201707
よき旅も果てて家居の月朧 安原葉 ホトトギス 201707
山の端を出でしよりはや朧月 江木紀子 雨月 201707
最終便湾を出でゆく夕朧 福岡かがり 雨月 201707
朧の夜トリュフはらはら削らるる 細川洋子 201707
牛乳を噛み噛み飲むや朧月 加藤みき 201707
洟かんで那の津流れの朧月 中島陽華 201707
まあいいかまあいいよ朧月ふんはり 有松洋子 201707
未来図にぼんやりと浮く朧月 犬塚李里子 201707
もどかしく電車待ちをり月朧 志方章子 六花 201707
朧夜のすれ違ふとき会釈され 永田万年青 六花 201707
春の月朧一枚羽織りけり 赤松赤彦 六花 201707
朧夜かなひしとかい抱く女紋 善野烺 六花 201707
点々と灯りて島の朧かな 吉野美智子 万象 201707
人といふ水の器や朧めき 川崎真樹子 春燈 201707
朧夜の夢で逢ひしは皆故人 永井惠子 春燈 201707
船笛の翳りて近し朧月 森清信子 末黒野 201708
なだらかなる御堂の甍月朧 加藤静江 末黒野 201708
約束はあつてなきもの朧月 岩田洋子 201708
伝説はおほかた怖し朧月 柴田志津子 201707
シャンソンのやうな出逢ひも朧かな 永淵惠子 201707
眼光を朧へ甲冑具足かな 田町千章 201707
朧とて春を≒かつぐ漁師妻 佐藤哲 万象 201708
朧夜の深爪しくと痛みけり 楠原幹子 201801
同窓誌うしろから読む朧の夜 加藤翅英 京鹿子 201801
朧夜の夢で逢ひしは皆故人 永井惠子 春燈 201803
財貨など触れぬ遺言朧濃し 能村研三 201804
朧濃し「小さくなつたねお母さん」 松井志津子 201804
会ふことは別れのはじめ朧月 沼田巴字 京鹿子 201804
みよし野の旅も朧となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201804
朧夜の思ひちがひといふことも 稲畑汀子 ホトトギス 201804
稿債をかかへて出掛けたる朧 稲畑汀子 ホトトギス 201804
称合ふライバルの背朧かな 赤座典子 あを 201804
身ほとりに朧をさそふ猫のこゑ ほんだゆき 馬醉木 201805
万太郎旧居のともし朧かな 小泉貴弘 春燈 201805
朧夜の道違へれば旅に似て 能村研三 201805
朧夜の湯に振り洗ふ熊野筆 大川ゆかり 201805
朧の夜針を下ろせば楽の湧き 林昭太郎 201805
朧夜の包丁のみな定位置に 林昭太郎 201805
パエリアの烏賊の中空春朧 下村たつゑ 201805
エンドロールの長き合作朧の夜 下村たつゑ 201805
朧夜や小紋に合わす帯を選り 田中佐知子 風土 201805
朧夜の抜かれて太るコルク栓 根橋宏次 やぶれ傘 201805
朧夜の工事現場の駐車場 きくちきみえ やぶれ傘 201805
交番に届きし財布朧月 黒木東吾 やぶれ傘 201806
ミュージカル跳ね朧夜へ人を吐く 大島寛治 雨月 201806
秩父嶺の遥けき朧兜太逝く 山本喜朗 雨月 201806
朧夜の鏡にアガサクリスティ 塩貝朱千 京鹿子 201806
ドップラー音の突然過ぐる朧です 田尻勝子 六花 201806
朧夜の湯に振り洗ふ熊野筆 大川ゆかり 201806
さよならは朧始めのことばなり 大沼遊色 201806
ハロン湾拳骨もあり岩朧 七郎衛門吉保 あを 201805
憂鬱は幾何学模様朧月 たかはしすなお 201806
朧の夜スパンコールがさんざめき 辻水音 201806
朧夜をすれ違っているメールたち 波戸辺のばら 201806
桐箪笥ぷふーと閉まり朧かな 渡辺やや 風土 201806
月朧朽ちたるままの水車小屋 高村令子 風土 201806
海鳴りの遠く聞ゆる朧かな 黒滝志麻子 末黒野 201806
朧の夜出来皿をとり落とす 定梶じょう あを 201806
朧夜の麒麟の切手貼つてをり 竹内悦子 201807
ひとり寝の朧を抱き夢に入る 犬塚季里子 201807
葛藤をしばしあづけし朧月 藤田美耶子 201807
人生の道程未だ朧かな 前田美恵子 201807
七十路や鎧ふことなき朧かな 林いづみ 風土 201807
献杯のグラスにしづく朧の夜 栗原公子 201807
浮かびたる句を忘れゐる朧かな 本田保 春燈 201807
浜風に島のオラショを聞く朧 片山博介 春燈 201807
杉戸絵の象のうごめく朧かな 笹村政子 六花 201807
老いて顔ゆるり溶けゆく朧かな 松尾龍之介 201807
反魂香炷きたき朧月夜かな 宮井知英 201807
蘭鋳の夜の朧となりにけり 中島陽華 201808
かぐや姫と朧月夜の糸電話 平野多聞 201808
杖ついて水平線の朧かな 田中とし江 201808
幽明のあはひ吉野の朧かな 千原叡子 ホトトギス 201809
人生の只今朧月夜かな 後藤比奈夫 ホトトギス 201809
朧かな見果てぬ夢の夢を見し 赤松赤彦 六花 201809
磯岩のみな仏めく朧の夜 佐久間由子 201810
追悼の朧ならざる鐘を聴く 安原葉 ホトトギス 201810
星かくすほどでなけれど海朧 山田閏子 ホトトギス 201810
答合せして朧めく志望校 田所節子 田所節子集 201810
朧夜の浮力つきたる二重橋 上野紫泉 京鹿子 201901
念願の揺り椅子デッキに朧月 酒井たかお 201902
我がしとの尿瓶に鳴りぬ朧の夜 富永小谷 馬醉木 201905
朧夜の眠りそこねし指の先 市村明代 馬醉木 201905
工房のこけし揺らめく朧の夜 片桐紀美子 風土 201905
朧月母乳のやうな香りして 菊池和子 京鹿子 201905
没イチの時の長さや朧月 江島照美 201905
朧夜の火星地球を窺へり 犬塚李里子 201905
朧夜や御神火太鼓の乱れ打ち 赤座典子 あを 201905
三毛猫の夜会があるや朧月 秋川泉 あを 201905
観音のゆらりと月も朧にて 夏生一暁 馬醉木 201906
機音の一軒残る朧かな 市村明代 馬醉木 201906
朧にて夢のつづきは父の膝 田中由喜子 馬醉木 201906
晩節や朧おぼろの道踏みて 雨村敏子 201906
万里飛ぶ不死鳥の空朧かな 竹中一花 201906
月の沙漠歌ひたくなる朧月 竹村淳 201906
朧夜のビルの谷間や迷ひ猫 田中美恵子 201906
久々の煙草の香り月朧 大川ゆかり 201906
朧夜や紅茶に火酒を滴らせ 大沢美智子 201906
そこここに昭和の段差家朧 井原美鳥 201906
曖昧な君の背よ朧月 厚芝唯菜 京鹿子 201906
シャム猫の死んだふりして朧月 川島由紀子 船団 201906
朧夜の磯にただよふミントの香 辻水音 201906
朧騒がせ鍵穴を探ってます 近藤綾 201906
山越えて母の来てゐる朧かな 笹村政子 六花 201906
朧 →9      

 

2021年5月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。