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おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
栞して朧の夜を区切りけり 斉藤マキ子 末黒野 201906
寺に鳴るグランドピアノ庭朧 和田慈子 末黒野 201906
言の葉の孵化するを待つ朧の夜 林昭太郎 201907
朧月万葉恋歌読み返す 石川東児 201907
わたしだけの翼たたんで朧の夜 波戸辺のばら 201907
朧夜や静の海は凪いでるか 火箱ひろ 201907
声持たぬものの朧ろに溶けやすく 直江裕子 京鹿子 201907
朧月朗読の子の声うるみ 黒滝志麻子 末黒野 201907
三更へ歓談つづき朧月 黒滝志麻子 末黒野 201907
月朧雲よりこぼれ落ちさうに 今橋眞理子 ホトトギス 201908
酔ひ痴れてみたき日のあり朧月 岡田史女 末黒野 201908
朧夜の梨棚白く色こぼす 稲田延子 やぶれ傘 201908
朧夜の白蛇のごとき波頭 大西乃子 201909
朧夜や木の香に沈む木地師村 柴崎富子 白地 201909
ハミングの音包み込む朧月 佐藤日和太 船団 201910
朧月プリンはなめてから食べる 静誠司 船団 201910
月朧「生活習慣病ですねん」 山本真佐子 船団 201910
巨人に丸巨人に角花朧 わたなべじゅんこ 船団 201910
宴会の朧豆腐よ春の宵 青木朋子 201911
娘の逝きて早や一と年の朧かな 大橋晄 ホトトギス 201911
朧夜のアンモナイトの動き出す 佐藤千恵 京鹿子 202001
朧月都市の休日見下して 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
一年といふ歳月も朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 202004
悼みつつ過ぎゆく月日朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 202004
病む友も朧の月日過ぎゆける 稲畑汀子 ホトトギス 202004
朧夜や旅に泊つ人帰る人 稲畑汀子 ホトトギス 202004
朧夜の眠りの浅き旅疲れ 稲畑汀子 ホトトギス 202004
旅終へて朧に過ぎてゆく月日 稲畑汀子 ホトトギス 202004
迷ふ筈なき道迷ひたる朧 稲畑汀子 ホトトギス 202004
稿債に向へば朧なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 202004
一日の朧の時間過ぎ易く 稲畑汀子 ホトトギス 202004
都落ちせねばならぬか月朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
契約の今年で終りたる朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
朧より一片落ちてくる吉野 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
決断といふ朧夜の現かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
朧夜や菩薩のごとく母のゐる 田中美恵子 202004
嫁ぐ子の打明け話灯の朧 コ田千鶴子 馬醉木 202004
舟入りの舟の触れ合ふ朧かな 山崎正子 202004
朧月海の重さおもひをり 佐藤喜孝 あを 202005
日の朧水のおぼろや鯎棲む 佐藤恭子 あを 202005
朧夜をひと匝りして帰り来よ 能村研三 202005
朧夜の大きく振るる心電図 柳橋繁子 202005
画仙紙にぺーパーナイフ入れ朧 横尾かんな 202005
朧夜の信号やがて点滅へ 天野美登里 やぶれ傘 202005
「てにをは」に躓く夜の朧かな 安田優歌 京鹿子 202005
小面の憂ひかすかや月朧 菅野日出子 末黒野 202005
着信音消して朧をすれ違ふ 平松うさぎ 202006
朧おぼろ歌ひ上ぐかに逮夜経 大沢美智子 202006
大橋の真中より先朧かな 永田万年青 六花 202006
約束の改札出れば朧月 永田万年青 六花 202006
春朧規則正しく寝る魚 つじあきこ 202006
ロボットの律儀な掃除朧かな おーたえつこ 202006
朧夜の交番の灯は煌煌と 萩原渓人 やぶれ傘 202006
酔漢と擦れ違ふ路地朧月 石黒興平 末黒野 202006
足場用の黒きネットや朧月 滝口洋子 末黒野 202006
朧夜の回るともなき観覧車 浅嶋肇 やぶれ傘 202006
朧夜の窓よりピアノ四重奏 美濃律子 202006
朧夜のすぐ逃げたがる抱き枕 波戸辺のばら 202006
開門の鐘の朧や大伽藍 橋添やよひ 風土 202006
朧の夜海に太古の響きあり 林昭太郎 202006
釣舟の櫂たたまれて月朧 岡本尚子 風土 202007
朧夜の水車吐き出す水の嵩 橋添やよひ 風土 202007
病棟に妻のこし来る朧の夜 秋山信行 やぶれ傘 202007
隠りゐる日々の長さや朧月 岡田史女 末黒野 202007
朧夜や膝より出づる太郎冠者 柴田佐知子 202007
終息の見えぬコロナも朧かな 石橋みどり 202007
接吻(キス)をするその瞬間の朧月 出利葉孝 202007
偲ぶ人増ゆるばかりや春朧 廣畑育子 六花 202007
打ちつけに母の声きく朧かな 笹村政子 六花 202007
この道に出合ひのあるや朧月 河ア國代 春燈 202007
お茶の葉を蒸らす二分や花朧 大槻春美 202007
朧夜やひらがなのごと眠りける 阪倉孝子 202008
漫ろ行くガス灯の街月朧 高木邦雄 末黒野 202008
朧へと朧へと人消えてゆく 藤井啓子 ホトトギス 202009
現身や愛染かつら朧めく 中島陽華 202009
振り向かぬ後ろ姿の朧かな 湖東紀子 ホトトギス 202009
朧夜や宿の長押に槍二本 田中とし江 202010
散紅葉浮かべ「朧の清水」かな 岡本尚子 風土 202102
賀状書く顔の朧なひともあり 小池一司 やぶれ傘 202103
大江戸に広ごる闇や朧月 稲畑廣太郎 ホトトギス 202104
コンサートホール無人の朧影 稲畑廣太郎 ホトトギス 202104
朧夜や一人暮しといふ自由 稲畑汀子 ホトトギス 202104
朧月いつもの帰路を仰ぎつつ 稲畑汀子 ホトトギス 202104
朧夜の仏壇に飯供へけり 渡邊孝彦 やぶれ傘 202105
朧夜や川をへだつる街灯り 三代川玲子 春燈 202105
句点打ち生るる余白月朧 岡野里子 末黒野 202105
風紋の砂丘の空や月朧 高木邦雄 末黒野 202105
屋敷神の朱の濃き鳥居月朧 長尾タイ 末黒野 202105
終電てふ遠き記憶も朧かな 能村研三 202105
朧の夜記憶の中のくねり道 能村研三 202105
本文と凡例行き来して朧 井原美鳥 202105
地に伏してのぞき見したる朧月 秋川泉 あを 202105
月朧波の上なる溶鉱炉 楠本和弘 202105
朧めくみんなどうしてゐるのだろ 中西厚子 202106
旅半ば終息点の朧めく 中西厚子 202106
誰もゐぬ笑ひ声だけ朧の夜 井上静子 202106
いくつもの別れの果ての朧月 石田静 202106
朧夜の火星に水の記憶あり 広海あぐり 202106
月朧志ん朝逝きてふた昔 金光浩彰 202106
此処に生きる特養七番街朧 中里よし子 春燈 202106
朧夜や五百羅漢のさざめごと 大西由美子 春燈 202106
寺々の寺町通り鐘朧 今村千年 末黒野 202107
表札に父の名いまも朧月 岡田史女 末黒野 202107
朧夜の青き灯はるか観覧車 竹内涼子 末黒野 202107
光源はかの世にありぬ朧月 河嵜祐二 202107
人形にふつと怖さを朧の夜 水谷昭代 202107
青き闇抱く竹林朧月 石原孝人 京鹿子 202107
二胡を弾くひとりは若き朧の夜 土井ゆう子 風土 202107
吉野へと思ひはせたる朧月 山田閏子 ホトトギス 202108
届き来し夕べの祈り鐘朧 水田むつみ ホトトギス 202108
案内図の町家のカフェや朧月 尾崎千代一 末黒野 202108
潮騒のタープのランプ朧月 伊藤鴉 末黒野 202108
皆集ひたる日を遠くして朧 山田佳乃 ホトトギス 202109
先頭車大きくカーブして朧 森祐司 202110
湯の町の朧の坂に下駄の音 山田正子 202112
パソコンの中のごみ箱朧濃し 大川ゆかり 202201
故郷の山懐かしや月朧 西谷恵美子 春燈 202204
凪の海朧の月を遊ばせむ 平松うさぎ 202204
朧夜や魚眼レンズのやうな街 小林陽子 202204
朧かな海人の末裔なる眼 山田六甲 六花 202204
朧夜の奥に真夜あり呼ばれける 阪倉孝子 202205
墨の香のなかに墨磨る朧の夜 林昭太郎 202205
海朧進化おぼろの深海魚 峰崎成規 202205
朧夜に一途な星を見失ふ 峰崎成規 202205
回送の電車去る音朧の夜 きくちきみえ やぶれ傘 202205
臨終まで幾許ありや月朧 沼田巴字 京鹿子 202205
朧夜や山を脱け出す磨崖仏 柴田佐知子 202205
月朧金婚過ぎの小旅行 齋藤久子 春燈 202206
流木の止まりし岸夕朧 小林共代 風土 202206
出航の後の埠頭の朧かな 内藤静 風土 202206
棘に刺されて血を噴く指や草朧 浜福恵 風土 202206
朧夜の電車の音の遠くより 小泉里香 やぶれ傘 202206
省略に韻文きらり朧月 植村蘇星 京鹿子 202206
朧夜や話の弾むブックカフェ 鈴木崇 202206
燈師といふ店のあり月朧 山岸明子 202206
トリミングサロンヘ犬とゆく朧 伊藤真代 202206
朧月ぶつきらぼうな文届く 綾戸五十枝 202206
朧夜の喩へ嘘が歩き出す 中村洋子 風土 202207
朧夜のワインムニエル舌鮃 林いづみ 風土 202207
止まり木に揺らすヒールや世の朧 林いづみ 風土 202207
糸杉の蒼き火を吹く朧の夜 岡本尚子 風土 202207
雑踏に波音をきく朧かな 岡本尚子 風土 202207
朧夜のからくり人形迫り上がる 森田節子 風土 202207
まが玉に宿る力や朧の夜 松本胡桃 風土 202207
手漕ぎ舟音軽々と朧の夜 黒滝志麻子 やぶれ傘 202207
上弦の朧月夜や庭に立ち 大庭美智代 やぶれ傘 202207
影さへも朧となりぬ瀬戸の島 道端齊 202207
偲ぶほど朧となりぬふるさとは 小川流子 202207
聞こゆるは瀬音ばかりや夕朧 小山閑人 春燈 202207
朧なる夜気震はせて遠汽笛 中村朋子 春燈 202207
今年早五人の逝きて星朧 櫻井理恵 春燈 202207
月朧夫の忌日は過ぎてゆき 木村瑞枝 やぶれ傘 202208
朧夜の手帖に読めぬ走り書き 小泉里香 やぶれ傘 202208
朧月筆が進んで夜が明けて 小巻若菜 やぶれ傘 202208
黄昏の出船入船海朧 今村千年 末黒野 202208
松朧芦屋の浜は汀子晴 古賀しぐれ ホトトギス 202209
横丁の奥へ奥へと鐘朧 神野未友紀 202210
朧月二階に上がるもんじや焼 田邑利宏 202210
珈琲を淹れる手際よ朧月 鈴木崇 202210
遠き日の李香蘭ゐて朧月 塙誠一郎 家系図 202211
神域は樟の闇なり朧月 吉田悦子 202302
天国は遠くて近し朧月 稲畑廣太郎 ホトトギス 202303
植菌の榾組まれたる朧かな 能村研三 202304
うちうちの母の弔上げ草朧 柿内清一 202304
朧→ 1

 

2023年5月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。