1       200句

大はらや蝶の出てまふ朧月   丈艸   炭俵

おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
朧夜の木馬の瞼重くなる 山田弘子 春節 199503
傷心は映さぬ朧夜の鏡 山田弘子 春節 199503
俎に叩くものあり朧の夜 山田禮子 きらら 199800
線香の灰こぼれゐる朧かな 竹内悦子 199805
ネオンサイン街に減りたる朧かな 中根美保 風土 199806
明日香朧馬子・入鹿の影そちこち 松崎鉄之介 199806
朧夜の汽笛交して航路閉づ 田守としを 馬醉木 199807
孟宗の切り口乾く朧かな 小菅佳子 199807
牛の背にかかりてをりし朧かな 小菅佳子 199807
両手で顔被う朧月去りぬ 金子兜太 海程 199808
一休の一打が欲しい朧朧 田中空音 海程 199808
金粉の袖に附いたる朧かな 竹内悦子 199808
メディア演じた男置き去る朧月 寒野紗也 船団 199811
パワーショベル峡の朧を汲みにゆく 松永史子 船団 199811
吹きもどし朧ひと掻きして戻る 松永史子 船団 199811
やはらかきものにみみたぶ朧の夜 岡部玄治 199901
朧夜や隣家を訪ふに畦つたひ 久崎富美子 199901
立話して別れ来し朧かな 久崎富美子 199901
陸橋が朧をまたぐ鍛冶屋町 三宅やよい 船団 199903
み吉野の朧に灯る雨意深し 稲畑汀子 ホトトギス 199904
吉野山闇に沈めて朧の灯 稲畑汀子 ホトトギス 199904
雨止んでゐるやゐざるや朧の夜 稲畑汀子 ホトトギス 199904
箔打の朧を叩きのめすとも 中原道夫 銀化 199904
朧夜のたてがみたてて鎮墓獣 戸田悠 銀化 199904
夜の爪きつて朧となりしかな 海老沢雨梗 風土 199905
朧夜の面の中より狐貌 小澤克己 遠嶺 199905
龍穴に丹砂ありしと朧なる 延広禎一 199905
朧夜の筆は立たせて仕舞ふもの 能村研三 199905
朧夜をゆつくりポストまで歩く 堀田知永 俳句通信 199905
朧夜や褥にややの間のありぬ 亀丸公俊 銀化 199905
朧夜や谷戸に灯もらす箸作り 大森井栖女 馬醉木 199906
朧夜の把手代りの穴なりし 西田孝 199906
朧夜の破(や)れ目をとこの通ひ路は 青山茂根 銀化 199906
鈴つけて朧の中を行くひとり 村越化石 199906
朧月ゆきたく無いなコンサート 松沢久子 いろり 199906
供華絶えし軍馬の墓の朧なる 角直指 京鹿子 199906
渡し跡にいしぶみのある朧かな 吉田島江 火星 199906
朧夜はそこはかとなく宇治十帖 長谷川史郊 馬醉木 199907
手伸ばせば死が掴めさう夕朧 林翔 199907
ひたひたと波うち寄する朧かな 竹内悦子 199907
寒くて眠れぬ月は朧の山泊やまどま 金子兜太 海程 199907
焼玉のひびく漁港や月朧 足立登美子 春耕 199907

 郡上八幡

山迫り朧を吸へる水の町

柴田朱美 京鹿子 199907
宅配の漢抱きくる夕朧 平野静 京鹿子 199907
パン種のふくらむ厨夕朧 高田幸枝 199907
渦潮をまたぎ海橋朧なり 前田青紀 馬醉木 199908
朧なる日と花時計むかひあふ 中杉隆世 ホトトギス 199908
石窟に遺りし碑文たゞ朧 桑田青虎 ホトトギス 199908
朧月金色の鯉泳ぎ出る 白倉智子 ヒッポ千番地 199908
波音も遊船の灯も朧なる 藤木竹志 馬醉木 199909
来ては去る山雨に池の灯の朧 大久保白村 ホトトギス 199909
過ぎし日の半ばは朧月夜かな 田中麻千子 六花 199909
朧くる死神の髪花うけて 森ひさ子 船団 199909
朧夜の自慰青白き一行詩 北原武巳 船団 199909
雲と泥まざりて廿し朧月 能勢京子 船団 199909
終章の20世紀や鐘朧 三池泉 船団 199909
子規庵に漱石・左千夫・虚子朧 折原あきの 船団 199909
悌を又引き寄せて花朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 199910
安房の灯の見えて機窓の朧濃し 白井剛夫 199911
長湯して夜の朧を濃くしたり 能村登四郎 芒種 199911
浴室に朧の夜気を少し入れ 能村登四郎 芒種 199911
夜気にやや朧はじまる匂ひせり 能村登四郎 芒種 199911
川筋に住むゆゑ朧庭にくる 能村登四郎 芒種 199911
頭を振って脳たしかむる朧の夜 能村登四郎 芒種 199911
足の爪ひっそり伸びる朧月 小枝恵美子 ポケット 199911
フルトヴェングラー朧に透き通り 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
秘め事をぱたんと閉じて朧かな わたなべじゅんこ 船団 199912
朧夜のこわれものなりわたくしも 津田このみ 月ひとしずく 199912
朧夜の猫に目礼されるかな 津田このみ 月ひとしずく 199912
朧夜の破れ目をとこの通ひ路は 青山茂根 銀化 200001
朧夜のすんなり誘ひさそはるる 鈴鹿百合子 京鹿子 200001
麻酔覚む身ぬち朧の湧くごとし 川村紫陽 200002
朧夜のくる影のみな吾子に見え 田中藤穂 水瓶座 200002
琴川の笛吹川へ入る朧 田中藤穂 水瓶座 200002
橋渡り生家朧へ戻しける 田中藤穂 水瓶座 200002
朧夜や口笛で吹くカンツォーネ 杉良介 200004
丸ビルの再建といふ朧かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200004
体内に石持ちてをり朧なり 加藤真起子 火星 200004
翁面はづせば朧おぼろかな 竹内悦子 200004
朧月石高く積み人住みぬ 舘林志津子 俳句通信 200004
べろという玩具をあます朧月 三宅やよい 玩具帳 200004
陸橋が朧をまたぐ鍛治屋町 三宅やよい 玩具帳 200004
朧月人手に渡りたる地にも 品川鈴子 ぐろっけ 200004
獅子独活の丈の朧となりにけり 山尾玉藻 火星 200005
岸の辺にいくたりかをる朧かな 石脇みはる 200005
非凡という橋が一本朧月 市野記余子 海程 200005
父の名の由来をさぐる朧の夜 能村研三 200005
露天湯にひとり眺むる朧月 斉藤富久子 遠嶺 200005
人ごとのやうに齢とる朧かな 河合城太 銀化 200005
朧夜の鏡の中の能衣装 稲田眸子 「絆」 200005
旅終えて深夜の帰宅朧月 小川花久 いろり 200005
子ら去りし静けさに居る朧かな 山本潤子 いろり 200005
朧夜の根菜のごと泣く嬰児 塩見恵介 虹の種 200005
送り出て兄とバス待つ朧の夜 山田京子 俳句通信 200005
行終へし火屑の匂ふ朧の夜 渡辺政子 俳句通信 200005
寺の名も常寂光と鐘朧 福井鳳水 円虹 200006
故里の古城のほとり朧なり 小泉晴露 酸漿 200006
隧道の中に尽く村朧かな 小林輝子 風土 200006
全山の音を消したる星朧 有山光子 遠嶺 200006
こりこりと骨食む朧月夜かな 山田禮子 遠嶺 200006
妻なにか言へり朧の夜とおもふ 渡辺昭 200006
いつの間に畳みし呑み屋路地朧 曽根久順 200006
朧夜の丹田に置く掌 田畑幸子 火星 200006
朧なる黒瞳の出来し蝌蚪の紐 久保龍 200006
井の底の水の朧を汲みにけり 桑田真佐子 200006
朧なり木の根に茶殻捨てに出て 桑田真佐子 200006
藁束ね牛の背こする朧かな 中島陽華 200006
朧夜の宿曜経と保命酒 延広禎一 200006
初島の影の深さよ朧月 大橋克己 俳句通信 200006
朧夜の釣灯籠の小さき揺れ 堀田知永 俳句通信 200006
満月も人棲める灯も朧かな 和田敏子 雨月 200006
吸はるるごと朧の底に寝落ちたる 和田敏子 雨月 200006
靖国に目を閉ぢ朧なる人よ 江木紀子 雨月 200006
大車輪なりし師の稿月朧 桑垣信子 いろり 200006
言ひかけて言葉を探す朧かな 柴田美佐子 いろり 200006
無惨やな修正済みの朧月 土井田晩聖 銀化 200006
朧にて覗き穴よりのぞき合う 小倉喜郎 船団 200006
温泉の町の朧に更けてゆきにけり 水田清子 200006
書き終へて庭に降り立つ朧かな 水田清子 200006
塗椀に蛤沈む朧かな 塩田博久 風土 200007
朧夜や「マタイ受難曲」聞きに行く 島田和子 風土 200007
外国のついてきてゐる朧月 大村真佐子 遠嶺 200007
まんばうのぽつと浮かんでゐる朧 杉浦典子 火星 200007
朧夜の道はゆつくり歩むべし 加古みちよ 火星 200007
朧より朧へ帰る魞の船 大東二三枝 200007
遺されて膝を抱く夜の朧かな 福山悦子 円虹 200007
応へなき終の髭剃る灯の朧 福山悦子 円虹 200007
押印も朧一生の絵巻かな 武井清子 200007
供華囲む通夜の遺影や月朧 関ただお 200007
三面鏡の右は泣きがほ夜の朧 塩貝朱千 京鹿子 200007
来し方やいくさの一事他は朧 酒井抱一 200007
少し酔ひ朧の奥が見たくなり 島崎晃 遠嶺 200008
朧夜の銀の懐中時計かな 市川英一 遠嶺 200008
謝罪馴れして朧なり霞みなり 植田郁一 海程 200008
朧より曳き出したる撞木なり 水野恒彦 200008
金箔の面ての朧月夜かな 水野恒彦 200008
神曲の善知鳥翔けりし朧かな 延広禎一 200008
一人消え一人現る朧道 大島ウメ 六花 200008
懐かしのシネマに泣きし朧かな 塩路隆子 精鋭選集 200008
花朧追想の吾娘身ほとりに 梅田実三郎 ホトトギス 200010
初蝶の触覚のびる朧月 中林明美 船団 200010
朧濃し常おぼろなるわが眼にも 木村風師 馬醉木 200101
夕朧子の住む町の地図を買ひ 緑川啓子 馬醉木 200101
腫瘍摘出真昼朧もみな消え去り 金子皆子 海程 200102
涙も尿も想いも熱き朧かな 金子皆子 海程 200102
サントリーホール朧に近づけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200103
朧夜の口笛止みてすれちがふ 泉田秋硯 月に逢ふ 200103
葉芽花芽遺伝子操作月朧 吉弘恭子 あを 200103
又一つ原稿依頼受く朧 稲畑汀子 ホトトギス 200104
逆縁の悲しみ秘めし朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 200104
雨いつか上り雲間の朧月 稲畑汀子 ホトトギス 200104
朧月かかり鎮もる記念館 稲畑汀子 ホトトギス 200104

 悼五十嵐播水様

一時代遠ざかりたる朧かな

稲畑汀子 ホトトギス 200104
対岸の花を朧にせし隅田 稲畑廣太郎 ホトトギス 200104
朧夜の柱に掛けし細鏡 小澤克己 遠嶺 200104
象を見し夜の朧や砂時計 雨村敏子 200104
人間の進化がすすむ朧の夜 能村研三 200104
耳鳴りを覚えて朧濃き夜かな 能村研三 200105
朧かな一と夜かぎりの海鼠飼ふ 神蔵器 風土 200105
蕪村展出でて朧を濃くしたり 神蔵器 風土 200105
朧夜の初乳にじみてをりにける 各務耐子 200105
甦る大津皇子や月朧 延広禎一 200105
朧夜の故人の笑みも三回忌 内山芳子 雨月 200105
風聞の夜目には見えて朧かな 峯尾文世 銀化 200105
期する夜へ朧をためておかうかな 峯尾文世 銀化 200105
朧夜に脱ぎて渦なす女のもの 蔵持柚 銀化 200105
スクランブル玉子上出来月朧 芝尚子 あを 200105
朧夜や少し痩せしとeメール 赤座典子 あを 200105
信楽の狸の歩く夜の朧 斉木永久 馬酔木 200106
春朧援助すべきか親として 桑原敏枝 いろり 200106
クラクション鳴らす音まで朧なり 桑垣信子 いろり 200106
乱歩の書貸して朧へ送り出す 小山徳夫 遠嶺 200106
父と子の尺八合奏朧月 阿部昭子 遠嶺 200106
水飴の箸のかたよる朧かな 粟栖恵通子 200106
花朧人の匂ひの残りたる 加藤みき 200106
朧夜の鴉泣くとも笑ふとも 成澤桂助 百鳥 200106
母見舞ふ道すがらなり月朧 小浦遊月 酸漿 200106
夕朧なる浮御堂遠拝み 岸本久栄 雨月 200106
半ば覚め半ば眠れる身の朧 村越化石 200106
乗り越しぬここは朧の七丁目 渡辺知美 銀化 200106
書に籠りをれば膝冷ゆ夜の朧 藤木竹志 馬酔木 200107
清少納言の世より続きし朧かな 吉原一暁 200107
朧夜の湯浴みは二代将軍か 田中干鶴子 200107
黒を着て忍者もどきや朧の夜 泉田秋硯 200107
朧夜が銅のメッキの顔でいる 齋藤一湖 海程 200107
崖より朧の鹿となりにけり 森猿彦 200107
天心の朧なりけり尉の顎 鈴木勢津子 200107
朧かな村に温泉湧き出せり 門伝史会 風土 200107
人気なき竜馬の二階月朧 橋添やよひ 風土 200107
一枚の木戸の隔ててゐる朧 山田弘子 円虹 200107
赴任の子見送つて来し朧かな 橋本佐智 円虹 200107
山寺の鐘の朧の天へ消ゆ 長山あや 円虹 200107
漁火はひとかたまりに朧かな 作山泰一 200107
人死して人を忘るる朧かな 掛井広通 200107
平面の馬場に朧の出没す 渡部ひとみ 船団 200107
東京へ近づく朧月夜かな 村田近子 遠嶺 200107
朧夜や海螢の灯ふり返る 神山喜美代 遠嶺 200107
光の海抜けてわが町星朧 神山喜美代 遠嶺 200107
朧夜や歌舞伎座の券二枚掌に 岸はじめ ぐろっけ 200107
朧湧きたをやかなりし夜の橋 能村登四郎 200108
朧→ 2      

 

2021年4月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。