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おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
点されでガレの壺ある朧かな 瀬戸悠 風土 201304
の墨の朧となりにけり 小幡喜世子 ろんど 201305
ボヘミアングラスをひとつ朧月 山田暢子 風土 201305
てのひらに萩焼まはす朧かな 井上淳子 火星 201305
朧夜の微酔月面歩行かな 千田百里 201305
夕潮に中州も消えて朧月 川井素山 かさね 201305
ひと棹を挿して朧を分けゆけり 浜口高子 火星 201305
金箔の面テの朧月夜かな 水野恒彦 夢寐 201306
西行を地図にてたどる朧かな 林いづみ 風土 201306
鉄塔の頭を出して朧かな 大日向幸江 あを 201306
玩具めく峡の駅舎や朧の夜 阪本哲弘 201306
朧夜や欲得も無き余生たる 前田美恵子 201306
朧夜の地下に眠れるワインかな 野澤あき 火星 201306
朧夜の生まれくるものかぎりなし 水野恒彦 夢寐 201306
朧夜の歌はひとりに唄ふべし 熊谷ふみを ろんど 201306
朧月明石大橋暗く染め 岡野安雅 かさね 201306
朧より曳き出したる撞木なり 水野恒彦 夢寐 201306
海朧忘れられなき日の近し 宮崎高根 201306
児の嘘にストーリーあり春朧 竹田ひろ子 ろんど 201306
朧なる原風景の故山かな 北尾章郎 201306
朧月夜病衣の袖に風少し 鶴岡紀代 春燈 201306
朧夜のマヌカン首をなくしけり 原田達夫 201306
玻璃の床より朧夜の街灯り 伊東和子 201306
本船に艀近づく朧かな 大橋伊佐子 末黒野 201306
家系図をたどる指先朧の夜 塙誠一郎 201306
仏頭の面差しおぼろ朧かな 寺田すず江 201306
水の無き谷の底まで朧かな 渡真利真澄 万象 201306
波暮れて入江をつづる朧の灯 尾崎みつ子 雨月 201306
往還に喪の家二軒夕朧 渡真利真澄 万象 201306
湯の花に心身浸れる朧月 中貞子 201306
影追ひて犬の散歩や月朧 岡野安雅 かさね 201306
拘りしあれもこれもが朧の夜 赤座典子 あを 201306
一木の階かかる朧かな 土居通子 ろんど 201306
朧夜の港の宿の奥深し 米田文彦 かさね 201307
夜の朧漂ひゐたる熱の姑 柿本麗子 千の祈り 201307
朧の夜おぼろ心で歩きをり 田中浅子 201307
朧夜や詩集の隅を三角に 丸井巴水 京鹿子 201310
朧梅の実の太りたる梅雨晴間 内海保子 万象 201310
朦朧体寄せ来る雲に梅雨の月 田尻勝子 六花 201310
朧なる由良の水面や渓深し 稲岡長 ホトトギス 201310
昨日とは打つて変つて月朧 安藤虎酔 かさね 201311
虚子との世朧に我も老いけ心し 木村享史 ホトトギス 201311
指で問ふ妻に答ふる朧かな 藤丸誠旨 春燈 201312
原潜の灯も漁火も朧なり 田中貞雄 ろんど 201403
朧月家路華やぐところかな 稲畑汀子 ホトトギス 201403
皆には内緒の私花朧 稲畑汀子 ホトトギス 201403
友見舞ひ来たる旅路の朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 201403
時間とは過ぎ易きもの朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 201403
片附かぬ仕事溜りてゆく朧 稲畑汀子 ホトトギス 201403
指の背になづる土偶は朧の夜 井上石動 あを 201403
わが俳句人生朧あるがまま 稲畑汀子 ホトトギス 201403
なほつづく滞在朧なる家路 稲畑汀子 ホトトギス 201404
どことなく街濡れてゐて月朧 吉成美代子 あを 201404
朧夜やはぜて切れたる三の糸 井上石動 あを 201404
朧夜の空出来上る吉野山 稲畑汀子 ホトトギス 201404
朧梅の香に噎ぶまで近寄りぬ 河野亘子 馬醉木 201404
花朧川に沿ふ道曲る道 稲畑汀子 ホトトギス 201404
朧かな無くせしものも得しものも 宮井知英 201404
朧夜を来て壜の蓋あけてやる 鳥居おさむ 末黒野 201404
稜線の消えて朧の星一つ 稲畑汀子 ホトトギス 201404
農機具を洗ふ小川や鐘朧 池谷鹿次 末黒野 201404
考への二転三転して朧 稲畑汀子 ホトトギス 201404
地球といふ乗合舟や朧なり 平松うさぎ 201404
みよし野の旅はや遠く朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 201404
バチカンに新たな一歩鐘朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
シナリオの序破急読みて朧濃し 能村研三 201404
正体の見えぬを恐れ町朧 吉田政江 201405
たましひのあそびせむとや月朧 神蔵器 風土 201405
貪婪な口をもちたる朧かな 瀬川公馨 201405
老いてゐるらし朧夜を歩く猫 藤井美晴 やぶれ傘 201405
海苔の香の残る揚げ舟朧濃し 石田厚子 馬醉木 201405
抱き人形片目で眠る朧かな 松山三千江 春燈 201405
鳴呼八十路快調不調の朧月 長谷仁子 春燈 201405
妹にしばらく会はず朧かな 高倉恵美子 201405
朧夜の地下深きよりエレベーター 林昭太郎 201405
「鳴虎図」の水呑むさまや朧なる 和田郁子 201405
座にしばし舞台はねたる身の朧 植村一雄 201405
二タ言三言貌が朧となりゆける 雨村敏子 201405
もう点かぬ古き灯台月朧 藤井美晴 やぶれ傘 201405
遺墨なる「常楽我浄」朧月 田中藤穂 あを 201405
地獄てふ酒場にぽつと朧の灯 千田百里 201405
古本の旧仮名滲む朧かな まつのたく ろんど 201406
古代湖の息づきひそめ朧の夜 小澤菜美 201406
見詰むるに夫の遺影の朧かな 上村富美子 雨月 201406
月朧何でんかんでんもらふ癖 高貴美子 201406
早食いの彼の正体知る朧 笹村恵美子 201406
吉田山朧三高逍遙歌 山本喜朗 雨月 201406
神将に伽藍の隅の朧かな 佐藤信子 春燈 201406
春朧埴輪の馬に穴六つ 笹村恵美子 201406
朧夜や妻となりたる影法師 根岸善行 風土 201406
朧夜の声を抑へる電話かな 中山静枝 201406
朧夜の水晶みがく占ひ師 杉山哲也 馬醉木 201406
朧夜の残り香淡し昇降機 泉和美 末黒野 201406
朧月師の面かげを追ひ求め 中島知恵子 雨月 201406
朧映す卑弥呼の魔鏡ありにけり 近藤紀子 201406
朧なる孤峰の裾も朧なる 成田美代 201406
裏みちとなれる灸治の門朧 伊東和子 201406
手探りにポケットの鍵朧の夜 藤見佳楠子 201406
万華鏡のぞく山姥谷朧 武智由紀子 201406
師の文の束が掌にあり灯の朧 中原吟子 雨月 201406
彼岸会へいさ帯留は朧銀 池端英子 ろんど 201406
噺家に酔うて朧を深くせり 森岡正作 201406
音の無し朧の夜の街眠り 三川美代子 201406
陪塚を噛む榎の根朧なる 西村節子 火星 201406
ゴーストの為せる曲聴く朧の夜 粟倉昌子 201406
歳月を重ね朧の仲となり 江島照美 201406
雨上がる夜更けの月のやや朧 岡田香緒里 やぶれ傘 201406
蜘蛛族の棲みし葛城朧なる 南光翠峰 馬醉木 201406
語尾はねて水売られたり朧の夜 鴨下昭 201407
戸締りの手を止め仰ぐ朧月 服部珠子 雨月 201407
嫌はるる亀虫の増殖朧 鈴木初音 201407
対岸の蕪村句碑の辺朧にて 大橋晄 雨月 201407
慶弔のはじめこの度はと朧 柴田佐知子 201407
どつぷりと有馬の赤湯月朧 大橋弘子 末黒野 201407
客引きを軽くかはして朧月 和田紀夫 201407
神鈴の緒の吹かれゐる朧かな 松井倫子 火星 201407
機音のとほのく機の町朧 鈴木石花 風土 201407
寝ねにゆく鹿の足並朧月 山田美恵子 火星 201407
甕棺に榊の残る朧かな 宮井知英 201407
朧夜や待たされて盃重ねをり 柴崎富子 春燈 201407
朧夜や形見の箱に紅珊瑚 野坂民子 馬醉木 201407
朧夜の鍵穴一つ鍵ひとつ 成田美代 201407
朧なり箸にも棒にもかからざる 柳川晋 201407
桜折るをみなを見たる朧かな 中尾安一 火星 201407
落ちつかぬ朧や掘削工事中 浜口高子 火星 201407
お品書きに名物もやし朧月 鎌田悟朗 ろんど 201407
七七忌修しまゐらす庵朧 山田夏子 雨月 201407
花はみな風葬と言ふ朧かな 松田都青 京鹿子 201407
漱石の「こころ」読み終へ朧月 伊藤純子 201407
房総の朧を運ぶ一輌目 高野春子 京鹿子 201407
母のもの少し焼きゐて朧かな 高倉和子 201407
秒針を命の音と聞く朧 小川流子 201407
山城の浮かび上りし朧月 杉浦一子 万象 201407
能面の朱唇つぶやく朧の夜 水野恒彦 201407
坂の町おぼろ師の窓また朧 樺山翠 雨月 201407
尖塔のイルミネーション朧なる 松山直美 火星 201407
点滴の滴一滴の朧かな 久布白文子 馬醉木 201407
江ノ島のせまりて磯の朧かな 大坪あきら 万象 201407
浦島伝説残りて宮居朧なり 森脇貞子 雨月 201407
こくこくとひとり呑む酒朧の夜 萩原幸子 璦別冊 201408
玉砕の日や横須賀に朧の灯 丸井巴水 京鹿子 201408
看の字は手と目を重ね朧かな 田代貞枝 201408
朧月橋の一つの歩道橋 熊谷ふみを ろんど 201408
回送の寝台車過ぐ朧かな 涼野海音 火星 201408
亡き姉と同じ名のひと月朧 青木朋子 201408
朧より鳥語零るる淡路島 西川みほ 末黒野 201408
戦跡の時のはざまの朧かな 宮城勉 万象 201408
喪帰りの子等との家路月朧 吉田きみえ 末黒野 201408
タンカーの著き明かりや月朧 上月智子 末黒野 201408
湖朧浮城よりのふれ太鼓 北田せい子 京鹿子 201408
檣灯の一つ一つの朧かな 石黒興平 末黒野 201409
朧月吉野の招く一過客 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
名鐘は撞かず朧の月明り 小山和男 京鹿子 201501
朧夜の切りたくなくて長電話 稲畑汀子 ホトトギス 201504
ふり返り惜しむ帰路あり花朧 稲畑汀子 ホトトギス 201504
みよし野の旅終へしこと朧なる 稲畑汀子 ホトトギス 201504
庭に降りては人朧月朧 稲畑汀子 ホトトギス 201504
日輪が朧にありて吉野山 稲畑汀子 ホトトギス 201504
朧夜の訃報諾ひをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201504
明日の旅思ひ朧の月仰ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 201504
藁屋根の空家を照らす朧月 大谷治男 ろんど 201504
朧夜のひとごゑ包む水の音 鳥居おさむ ろんど 201504
聴きとれぬままの相槌夕朧 福本すみ子 201504
平成の世に城といふ朧かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
医の道をすすみて老の朧かな 水原春郎 馬醉木 201505
春朧かすかに開く記憶の扉 後藤眞由美 春燈 201505
朧夜をブルートレイン走り尽く 能村研三 201505
福島忌月は朧を深めけり 平松うさぎ 201505
峡の灯の二つ三つ四つ初朧 佐川三枝子 201505
大木の傷より朧生まれり 有松洋子 201505
月朧弁財天へ橋渡る 藤井美晴 やぶれ傘 201505
朧月新宿駅へ坂上る 丑久保勲 やぶれ傘 201505
夢殿に立てば満ちくる朧かな 水野恒彦 201506
飯櫃に飯たつぷりと朧月 加藤みき 201506
鐘朧参道脇の杙に拠る 近藤紀子 201506
朧夜の潮のみちひき父のこゑ 杉原ツタ子 201506
朧夜ややさしき嘘を許されよ 吉田順子 201506
夢はおぼろ朧の中にまことあり 寺田すず江 201506
和歌の浦の松籟濤声月朧 栗山恵子 雨月 201506
花朧分水嶺のある村に 碇天牛 雨月 201506
酔臥とは甦る死や朧月 松崎雨休 風土 201506
朧夜の旧家の灯す絵蝋燭 臼井珊瑚 201506
朧夜にハーモニカ聞ゆ童歌 長崎桂子 あを 201506
朧より抜け来て黒き貨車となる 松田泰子 末黒野 201506
古新聞出すや朝の朧月 飛田典子 末黒野 201506
臍帯納筥に母の字夜は朧 来海雅手 201506
「閉ぢます」と老踊陶舗の夕朧 能村研三 201506
朧夜や海峡またぐ橋灯り 円城寺清 201506
包丁に峯と刃のあり海朧 田中とし江 201506
大阪の夜を流して川朧 木暮陶句郎 ホトトギス 201507
朧夜や丸盆ひとつありにける 雨村敏子 201507
何処より琵琶の音低く月朧 岩月優美子 201507
真夜中の猫は朧を食べてゐる 有松洋子 201507
来し方は朧となりぬ余白の美 江島照美 201507
かなしめば渓声とよむ灯の朧 渡部良子 馬醉木 201507
子規しのぶ球場跡や草朧 中村紀美子 春燈 201507
間を置きつ質す愛称街朧 藤沢秀永 201507
宇治橋を渡りてよりの朧かな 鈴木庸子 風土 201507
異国語の電話が歩く朧かな 遠藤逍遙子 風土 201507
花舗しまふ水の音して朧月 松田泰子 末黒野 201507
父母が居て夫が居し日の朧かな 大橋伊佐子 末黒野 201507
露天湯や朧に点る里曲の灯 西川みほ 末黒野 201507
虚子恋ひの杞陽を恋うて館朧 千原叡子 ホトトギス 201508
鼎談に杞陽偲びし朧かな 千原叡子 ホトトギス 201508
忘れたき人の訃を聞く朧かな 白神知恵子 女坂 201508
楽になる涙もありて朧かな 高倉和子 201508
白湯で飲むカプセルひとつ朧の夜 有賀昌子 やぶれ傘 201508
シャンパンの炭酸弾けゐる朧 有賀昌子 やぶれ傘 201508
客待ちのタクシーの列朧月 高橋均 やぶれ傘 201508
朧夜の小骨うとまし魚汁 比嘉半升 万象 201508
朧夜のイブモンタンに針を置く 中林明美 船団 201508
一片の花びら白し手の朧 浦川哲子 201508
酔い心地増して家路や朧の夜 中川のぼる 201508
磐座の名を戴きて石朧 古賀しぐれ ホトトギス 201509
朧夜を水の袋のやうに猫 林昭太郎 201510
朧夜の出雲へ向かふ列車かな 篠藤千佳子 201510
朧夜や悲劇の帝偲ぶ森 稲畑汀子 ホトトギス 201601
朧夜のすぐになくなる眼鏡拭き 秋月祐一 船団 201512
朧夜や月光仮面の何処から 杏中清園 船団 201512
木星の衛星並ぶ朧かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
地下街を出て林立のビル朧 布川直幸 201603
降り出して音となるまで朧の夜 伊藤通明 201603
句心と女心と朧月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201604
朧月にも月蝕のありぬべし 稲畑汀子 ホトトギス 201604
朧月皆既月蝕見えぬ空 稲畑汀子 ホトトギス 201604
励まむと思ふばかりや朧月 稲畑汀子 ホトトギス 201604
朧夜の一口に足る寝酒かな 能村研三 201604
眼鏡はづせば自由はこんなにも朧 辻美奈子 201604
月朧そのうち人は空に溶け 沼田巴字 京鹿子 201604
朧月や薬袋を抱き帰る 吉村摂護 201604
日本画の朦朧体や春近し 森高武 風土 201604
朧→ 8      

 

2021年5月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。