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おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
草朧後姿の消えやすし 湯川雅 ホトトギス 201009
四月馬鹿ならぬ訃報や月朧 嶋田摩耶子 ホトトギス 201009
朧なるものばかりなり通夜の灯に 岡安仁義 ホトトギス 201011
朧夜や土偶の巫子の歩きだし 伊藤希眸 京鹿子 201011
逝きし人遺されし人月朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
朧夜の虚実問はるることとなる 稲畑汀子 ホトトギス 201104
朧夜の受話器置きたるそぞろかな 稲畑汀子 ホトトギス 201104
みよし野の夜の怪朧々にて 稲畑汀子 ホトトギス 201104
むささびの飛びしと朧夜の山路 稲畑汀子 ホトトギス 201104
山の冷纏ひ朧の星を見に 稲畑汀子 ホトトギス 201104
人生を全うしたる朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 201104
旅先に届きし朧夜の訃報 稲畑汀子 ホトトギス 201104
遺言は感謝ばかりと聞く朧 稲畑汀子 ホトトギス 201104
折鶴に息吹きこみし夜の朧 コ田千鶴子 馬醉木 201104
むささびの俄に過ぎる朧月 山田六甲 六花 201104
夜帳をうすく被へる朧かな ことり 六花 201104
乗合の舟繋がれて朧月 ことり 六花 201104
海ほたる朧の中の入日かな 須賀敏子 あを 201104
朧月空が好きなるあかんぼう 佐藤喜孝 あを 201104
街朧吊り下げらるる不発弾 阪本哲弘 201105
しなやかに猫の入りたる朧かな 外川玲子 風土 201105
ドラム打つマドロス人形朧かな 近藤幸三郎 風土 201105
決着は朧の中でつくものよ 高橋将夫 201105
朧月伐折羅大将相緩ぶ 松本峰春 春燈 201105
タイマーの声高を倦む朧かな 中村恭子 201105
朧夜の湯葉のからまる箸の先 宮内とし子 201105
赤き灯の最終バスの来る朧 宮内とし子 201105
賞詞受く以下同文といふ朧 秋葉雅治 201105
朧月影踏みもまたおぼろかな 中山純子 万象 201105
夕朧をとこの拾ふみなし貝 浜口高子 火星 201105
朧かな餃子のやうな豚の耳 戸田春月 火星 201105
朧夜の塗り薬もて母つつむ 柴田佐知子 201105
化粧せぬ日の多くなり夕朧 高倉恵美子 201105
惑ふとは橋の朧を渡ること 川上久美 ろんど 201105
語るほどの過去もなかりき朧の夜 松岡和子 201106
麻酔効く二つ三つ四つ朧なり 山口キミコ 201106
一木の円空仏や灯の朧 林八重子 馬醉木 201106
繊月の切つ先にぶる朧かな 宮野照子 馬醉木 201106
心音も海馬も朧月の中 吉村摂護 201106
帯解きて猫背にもどる朧かな 田代貞枝 201106
自問して朧月夜へ眉を上ぐ 風間史子 201106
朧夜のわしづかみせし花がつを 浜口高子 火星 201106
通し土間抜けて祇園の朧なる 松山直美 火星 201106
鳴き真似に猫の振り向く朧月 西村節子 火星 201106
朧夜の息づくものを八方に 水野恒彦 201106
一通の文ゆだねたる朧の夜 近藤きくえ 201106
鉦の音に朧めきたる仏間かな 中貞子 201106
朧夜の屋台へ肩を触れに来る 服部郁史 京鹿子 201106
朧夜を袱紗づつみにして置かむ 酒本八重 201106
振りむかぬ別れもありぬ橋朧 河合とき 末黒野 201106
閂の音のことりと朧の夜 阪上多恵子 雨月 201106
大橋に点る灯りや月朧 有本勝 ぐろっけ 201106
天界に亡妻の道あり朧月 小島芦男 ろんど 201106
母の手を離してよりの朧かな 福永尚子 ろんど 201106
母の部屋そのままにあり夕朧 中島静子 酸漿 201106
抱卵の小鳥目瞑る夕朧 中島静子 酸漿 201106
朧夜の空耳海のこゑばかり 山田暢子 風土 201106
ふるさとに余震のつづく朧月 門伝史会 風土 201106
城あらば滅びのドラマ朧月 松岡和子 201107
朧夜の遠き鐘の音亡夫かとも 小林成子 201107
水仕終へ妻口遊む朧の夜 阪本哲弘 201107
泊船も埋立都市も朧かな 西面和子 201107
朧夜の応援弁士とまらざる 数長藤代 201107
朧月賢治の詩を詰んじる 安井和恵 201107
指をもてなぞるはり戸の朧月 遠山みち子 201107
朧夜の魚より融ける絵蝋燭 宇都宮敦子 201107
林立の島の起重機夕朧 黒滝志麻子 末黒野 201107
被災地の友の安否や朧月 菅野日出子 末黒野 201107
人声も荷を積む船も朧かな 泉和美 末黒野 201107
施錠して又たしかむる朧の夜 倉内和子 末黒野 201107
羽衣の松に朧の波の音 大木清美子 201107
海に向き佇む人や月朧 小嶋恵美 春燈 201107
朧夜の火傷の指を冷やしけり 藤原若菜 春燈 201107
朧夜やコンビナートの眠らぬ灯 能美昌二郎 201107
神苑の池に下り来る朧月 奥田茶々 風土 201107
艦船の交はす汽笛も朧かな 山本町子 風土 201107
励ましは淡きがよろし花朧 吉田克美 ろんど 201107
出港の汽笛鳴りをり船朧 奥村真人 雨月 201107
月朧おぼろに父のデスマスク 水野恒彦 201107
佛堂の貌のひとつが朧なり 西村純太 201107
ビッグバンの記憶が潜んでゐる朧 柳川晋 201107
大地震ありたる夜半の朧月 今井千鶴子 ホトトギス 201108
お天守といふ朧世へ迷ひ込む 古賀しぐれ ホトトギス 201108
津波来て草生す屍浜朧 松嶋一洋 201108
朧月どぶろくならべ翁かな 小堀寛 京鹿子 201108
句ごころといふ朧なるものいとし 長山あや ホトトギス 201109
朧月外人墓地に低吟す 北村香朗 京鹿子 201110
飛鳥仏白鳳仏のみな朧 河内桜人 京鹿子 201110
朧夜の触るるものみな音を生み コ田千鶴子 花の翼 201111
地下深度増ゆ新線の朧かな 能村研三 201203
三塔の見ゆる桟橋月朧 北郷和顔 末黒野句集 201203
朧にて明日安曇野は霜予報 松田泰子 末黒野句集 201203
漁火を朧の底にワイン酌む 八城洋子 末黒野句集 201203
東京に夜が戻りて月朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
はかりごととは密にして朧の夜 稻畑汀子 ホトトギス 201204
朧月峰に沈めて吉野山 稻畑汀子 ホトトギス 201204
み吉野の朧月夜を更かしけり 稻畑汀子 ホトトギス 201204
災害の出口の見えぬ朧月 稻畑汀子 ホトトギス 201204
花朧み吉野の旅終りたる 稻畑汀子 ホトトギス 201204
月朧脱ぎつついつか中天に 稻畑汀子 ホトトギス 201204
真夜覚めて西へ傾く朧月 稻畑汀子 ホトトギス 201204
六甲の嶺に鎮めて月朧 稻畑汀子 ホトトギス 201204
庭のもの咲き替りつつ朧かな 稻畑汀子 ホトトギス 201204
被災地に心寄せ合ふ朧かな 稻畑汀子 ホトトギス 201204
朧夜にかかりし電話よりのこと 稻畑汀子 ホトトギス 201204
又一人幽明異にせし朧 稻畑汀子 ホトトギス 201204
帰路は目に飛び込んで来し月朧 稻畑汀子 ホトトギス 201204
二列車を通過待ちせる駅朧 能村研三 201204
朧月若草山にあがりけり 山路紀子 風土 201204
肌で聴くロックギターや月朧 上月智子 末黒野 201204
空つぽの舟屋のぞきし朧かな 坂口夫佐子 火星 201204
夢うつつ朧の一夜過ごしけり 金田和代 かさね 201205
景徳鎮の童子笛吹く夜の朧 野坂民子 馬醉木 201205
山頂に近き畑の朧かな 高倉和子 201205
夕朧机上に平家物語 神田恵琳 春燈 201205
朧月夫婦で歩く小買物 高橋泰子 201205
朧てふ影と語りぬいのちかな 西村純太 201205
月尖りゐても朧をまぬがれず 山田六甲 六花 201205
引込み線の痕跡今に朧濃し 能村研三 201205
朧濃しはたと忘るる夫のこと 辻直美 201205
判読もあり朧夜の宗教書 湯橋喜美 201205
羊羹のずしりと黒し朧の夜 林昭太郎 201205
一茶来よ今宵すみだの朧月 町山公孝 201205
一村は生絹の中や朧月 天野みゆき 風土 201205
葛菓子のさいころ形の朧にて 井上信子 201205
総髪の男と別れ朧の夜 荒木甫 201205
朧夜や人へ合図のクラクション 近藤牧男 六月 201206
折鶴に息吹きこみて朧の夜 森下康子 201206
人生に引き算もあり春朧 松岡利秋 かさね 201206
軍服も軍靴も朧月夜かな 神谷耕輔 201206
堂守の帰る足音月朧 野坂民子 馬醉木 201206
朧夜や影を踏み合ふ死者生者 西村純太 201206
渡月橋誰と渡るや朧の夜 竹中一花 201206
朧夜のラジオの間合ひよき言葉 藤原照子 201206
碑の文字の舞ひたき夕朧 森岡正作 201206
朧夜の二十三区をめぐる水 林昭太郎 201206
鍵廻す独り身の家朧月 櫻木道代 ぐろっけ 201206
橋立の松の香のたつ朧かな 田中佐知子 風土 201206
朧へと寝台特急京都発つ 池田光子 風土 201206
閏日の朧に女集ひたる 當間シズ 万象 201206
朧夜のデッキブラシの立つてをり 杉浦典子 火星 201206
伯林ベルリンに一まい懸ける朧月 小堀寛 京鹿子 201206
亡父の捲くボンボン時計夜の朧 塩貝朱千 京鹿子 201206
朧夜の神鈴の緒の揺れゐたり 小泉欣也 ろんど 201206
町の灯を見下しをれば鐘朧 中野久雄 末黒野 201206
朧夜の鳥居の影や屋敷神 岩崎スミ子 末黒野 201206
「浮舟」のけふはここまで月朧 粟倉昌子 201207
湯ほてりの一歩に月の朧なる 米尾芳子 馬醉木 201207
俳句への道みちのくの道朧 古賀しぐれ ホトトギス 201207
一燭の朧の奥の観世音 古賀しぐれ ホトトギス 201207
行く道も戻る道とて朧かな 柳田晧一 かさね 201207
朧夜のふあとただよふポリ袋 前川明子 201207
湯の町の遠近ともる朧かな 鈴木静恵 春燈 201207
酔ひどれに通らぬ世俗朧月 森谷達三 春燈 201207
朧夜の舟ちちははの乗つてゐる 近藤喜子 201207
朧夜のゆきどころなき濠の水 山本耀子 火星 201207
花朧平和の鐘を撞いてみる 鶴巻誉白 ろんど 201207
月朧二十歳を祝ふろんどの輪 大西よしき ろんど 201207
上皇の遠流の島の朧なる 栗山恵子 雨月 201207
朧夜の竹林星を掃くばかり 松本三千夫 末黒野 201207
朧夜や写真に母の舞姿 野畑さゆり 201208
朧月青年麟麟のごとく寄る 吉田葎 201208
朧夜のスカイツリーに心柱 林昭太郎 201208
朧よりおぼろへ走り京の水 古賀しぐれ ホトトギス 201208
有朋の博文の影荘朧 古賀しぐれ ホトトギス 201208
快楽の果てはさながら朧にて 金子つとむ ろんど 201208
たまさかの都心に迷ふ朧かな 相良牧人 201208
夕朧かな南座の浅葱幕 飯塚ゑ子 火星 201208
飲めばみな涙となりて朧月 頓所友枝 冬の金魚 201209
春朧母に似て来し指の節 石井美智子 風土 201211
ビルの群朧にナース声高に 酒井秀郎 返り花 201211
花街に流る三味の音月朧 溝渕弘志 六花 201212
満天の星は朧を解きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201301

 石川笙児『馬込百坂』

大森に谷坂いくつ朧酔ひ

能村研三 201302
鐘朧きつねの面とすれちがふ 山口ひろよ 201302
夫恋の黄泉に届けよ朧の夜 神田恵琳 跫音 201303
粕汁のくもり眼鏡に妻朧 菊地崇之 かさね 201303
罫線なきノート開きぬ朧の夜 塩路隆子 201304
アニミズムには朧夜がよく似合ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
一切を省略したる朧かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
木星を潤ませ朧月夜かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
齟齬ありし日をふり返る朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 201304
朧夜の覚めて予定の走り出す 稲畑汀子 ホトトギス 201304
みよし野の朧の月日瞬く間 稲畑汀子 ホトトギス 201304
雨一と日快晴一と日草朧 稲畑汀子 ホトトギス 201304
朧夜の雨音消えてゐし目覚 稲畑汀子 ホトトギス 201304
月朧夜半に出てゆく一人かな 稲畑汀子 ホトトギス 201304
月朧うすうすと雲置き初めし 稲畑汀子 ホトトギス 201304
陸橋を力士の渡る朧かな 山尾玉藻 火星 201304
朧→ 7      

 

2021年4月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
2021年5月2日