2021年5月2日

5       200句

黙礼の跡見かへるや朧月  柳之

おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
木々は息深めて月の朧かな 野口香葉 遠嶺 200807
けだもののまなこ光るや朧の夜 村田文一 遠嶺 200807
梅若の塚の朧や能楽堂 高橋宏行 遠嶺 200807
朧夜や肩身の狭き厄の神 柴田佐知子 200807
朧夜の更けて人影吉野山 石垣幸子 雨月 200807
浅き夢見果てゐるごと朧月 山口天木 雨月 200807
夕日濃く海原染めて島朧 水野節子 雨月 200807
行き交へる航海の灯の朧かな 水野節子 雨月 200807
本郷の坂ゆるやかや朧の夜 石原光徳 酸漿 200807
朧夜のおぼろに溶けて古き絵馬 吉原一暁 200808
見送りを背中に感じ夜の朧 山中宏子 200808
子規虚子を偲ぶ上野の月朧 安原葉 ホトトギス 200808
人生は差し引き零の朧かな 瀧青佳 ホトトギス 200808
朧夜の瞬き淡き島明り 山根正巳 ホトトギス 200808
朧夜の父に補聴器贈りけり 柴田佐知子 200808
朧夜の森のひそひそ話かな 竹内悦子 200808
街朧ガラスに映る身のかけら 鶴見遊太 200808
残さるる栂の一樹や朧月 三谷道子 万象 200808
昨夜の雨上りて今朝の朧なり 家塚洋子 酸漿 200808
笑顔よき友身罷れり夕朧 家塚洋子 酸漿 200808
縄電車縄になりゆく朧かな 貝森光洋 六花 200808
峡暗し吉野の六日月朧 安原葉 ホトトギス 200809
東京の夜景に小さき朧月 安原葉 ホトトギス 200809
朧月しばらく峡の空渡る 今井千鶴子 ホトトギス 200809
城深き静けさに入り朧なる 久永つう 六花 200809
朧夜の猫の匂ひの石だたみ 浅井敦子 万象 200810
約束の朧の海へいつ連れむ 伊藤白潮 200811
山の湯の溢れ朧となりにけり 片山博介 春燈 200812
朧夜のやがて声なす師の遺墨 柴崎英子 200901
朧夜の大熊猫は戦士めき 北島和奘 風土 200901
六日月朧の闇を抜けてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200904
さすらへる如く朧の山路行く 稲畑汀子 ホトトギス 200904
朧夜の時間過ぎゆくこと忘れ 稲畑汀子 ホトトギス 200904
朧夜の庭に心を放ちけり 稲畑汀子 ホトトギス 200904
月朧うすうすと色置きし雲 稲畑汀子 ホトトギス 200904
うす衣をまとひはじめし月朧 稲畑汀子 ホトトギス 200904
天心にありて満ちたる月朧 稲畑汀子 ホトトギス 200904
快晴の今宵は満ちて朧月 稲畑汀子 ホトトギス 200904
星侍りたるより月の朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 200904
朧夜の音のひとつにオルゴール 安藤利恵 春燈 200904
推敲の出口遠のく朧の夜 布川直幸 200904
臍の緒の切れて気付きし朧かな 中島玉五郎 200904
マシュマロのつまみ加減も朧かな 北川英子 200904
瓦斯燈の火屋の朧となりにけり 山田六甲 六花 200904
朧夜の病舎に青き非常口 黒澤登美枝 200905
手すさびの折鶴あまた朧の夜 黒澤登美枝 200905
古代より来し石舫の朧かな 中島玉五郎 200905
本堂の真上にありし朧月 武田漣 炎環 200905
首傾ぐ電気スタンド朧の夜 新井いづみ 炎環 200905
祝ぎ事に一日を使ひ夕朧 薪豊子 馬酔木 200905
朧より現るる漁船に人の影 薪豊子 馬酔木 200905
朧夜の迫り出してくる大首絵 小澤克己 遠嶺 200905
狛犬が吽と呑み込む朧かな 柳川晋 200905
朧夜を覚まし走りの空荷貨車 能村研三 200905
ドライ・アイもて朧月仰ぎけり 西川保子 春燈 200905
揚子江出入りの舟や月朧 高木典子 雨月 200905
惜しまれつブルートレイン朧の夜 桂敦子 200906
朧夜のブルートレイン撮るチャンス 北尾章郎 200906
曽根崎を切狂言や夜の朧 水原春郎 馬醉木 200906
花入の耳の聡きも朧の夜 伊丹さち子 馬醉木 200906
朧月法界定印結跏趺坐 高橋将夫 200906
朧夜を戻り来生家消えてをり 水野恒彦 200906
さまよへる眼がふたつ朧月 水野恒彦 200906
膜一枚のあはひにありし朧なり 雨村敏子 200906
学校の鉄棒に倚る朧かな 大山文子 火星 200906
チンドン屋と橋で別れし朧かな 松井倫子 火星 200906
大原女のリヤカー渡る水朧 大山文子 火星 200906
朧夜の松に巻きあるドンゴロス 垣岡暎子 火星 200906
下味の酒滲みきたり鐘朧 竹内水穂 火星 200906
砂風呂へ連れ立てる声朧なる 松井倫子 火星 200906
縄文の土偶のをみな朧月 鈴木朗月 万象 200906
朧夜や高き木椅子に足垂らし 井村和子 万象 200906
朧夜や白檀残し僧去りぬ 岡崎春菜 万象 200906
朧夜の臥して総身の透き通る 小澤克己 遠嶺 200906
師を憶ひ長嘯せむや朧夜は 千田敬 200906
朧湧き海は太古の景となる 松本圭司 200906
珈排の渦に音ある朧かな 掛井広通 200906
二つまで用足しあとの朧かな 佐々木みき子 200906
路地灯り荷風まぎれてゐる朧 星野晃夫 炎環 200906
忌仕度の硯の海の朧かな 岩木茂 風土 200906
川越はわがとなり街月朧 竹生田勝次 風土 200906
眠らねば逢へぬひとこふ朧月 丸井巴水 京鹿子 200906
神の田を四つ脚よぎる夕朧 禰寝瓶史 京鹿子 200906
朧月神を信ずる友明し 伊吹之博 京鹿子 200906
朧夜の吊り橋這つて渡りけり 卯木尭子 春燈 200906
朧夜や書斎机辺の魔法瓶 矢口笑子 春燈 200906
稿終えて有明の月朧なり 木原今女 ぐろっけ 200906
朧夜の港を歩く四漢よんおとこ 佐方敏明 ぐろっけ 200906
鐘の音の湖わたりゆく朧かな 森脇貞子 雨月 200906
新宿に潮滿ちてきし朧月 佐藤喜孝 あを 200906
どの猫も黒猫となる朧月 赤座典子 あを 200906
むかし風切符売る駅月朧 阪本哲弘 200907
朧なり小野小町の里といふ 能勢栄子 200907
船笛をのこし朧の沖へ消ゆ 泉田秋硯 200907
朧夜の鏡に映りし壺はるか 三井つう 炎環 200907
川べりにきびすを返す朧月 熊谷かをる 200907
真砂女在らず安房の海原朧濃し 佐橋敏子 春燈 200907
朧夜の月を眺めて安房の旅 赤羽陽子 春燈 200907
髪梳いて闇に身を置く朧かな 都丸美陽子 春燈 200907
艮の朧まとひて舟よばひ 栗栖恵通子 200907
若女深井の面テや鏡朧 西村純太 200907
朧夜の城門に入る駕籠一つ 小山徳夫 遠嶺 200907
朧夜を走る自転車魚のやう 笠置早苗 火星 200907
宇宙にも軌道のありて春朧 北村香朗 京鹿子 200907
言はれたらそんな気がする朧かな 藤岡紫水 京鹿子 200907
観劇の哀しき余韻月朧 彦坂ハツ子 200907
朧夜の眼鏡屋は灯にをさまれり 小林朱夏 200907
前山に灯るものなき朧月 廣瀬雅男 やぶれ傘 200907
谷の夜をわたる吉野の月朧 安原葉 ホトトギス 200908
散るものを水にうかべて池朧 矢田かずこ 200908
河川渺々対岸のビル朧にて 東野鈴子 雨月 200908
手を揮つて此処に別るる朧月 岡村一郎 200908
清盛忌過ぎし平家の里朧 大久保白村 ホトトギス 200909
月朧微かに雨意のありやなし 稲岡長 ホトトギス 200909
朧夜の溶けてゆくまで立っている 陽山道子 船団 200909
あの時はあれでよしとす朧かな 渡部節郎 転舵の渦 200911
投函の底打つ音も朧なり 鳳蛮華 200911
旅終へし帰路は別々にて朧 稲畑汀子 ホトトギス 201003
蒼く澄む渓流朧なる旅路 稲畑汀子 ホトトギス 201003
草朧野球の結果問ふまじく 稲畑汀子 ホトトギス 201003
何もかも朧なればと思ふ時 稲畑廣太郎 ホトトギス 201003
朧月や古備前に挿す松と梅 石脇みはる 201003
朧めく引込み線の名残り道 能村 研三 201003
推敲の軌跡を辿る朧かな 能村 研三 201003
朧夜の女と男の波止場かな 滝沢伊代次 万象 201003
二人消ゆ銀座の朧纏ひつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201004
朧より生れておぼろに還る君 稲畑廣太郎 ホトトギス 201004
朧月出てをりしかと問ふばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201004
水音の絶えて朧の庭となる 稲畑汀子 ホトトギス 201004
邂逅の如会ひ別れ朧の夜 稲畑汀子 ホトトギス 201004
星朧滞在長くなりし旅 稲畑汀子 ホトトギス 201004
朧夜の面影付けといふことを 片山由美子 201004
朧夜の朗読にある節まはし 能村研三 201004
人生は朧にをりぬ寿 前田美恵子 201004
煤けたるランプ朧に港町 塩路隆子 201005
ランタン祭果てて朧のみなと町 築城百々平 馬醉木 201005
朧夜の厨に貝の歩く音 吉田裕志 201005
身の内に鵺棲まひをる朧かな 延広禎一 201005
朧夜の鬼面の衆の乱れ打ち 竹内悦子 201005
聖一人吸うて朧の峠口 小形さとる 201005
吾ここに三世十方朧なり 冨松寛子 201005
朧夜や用水光りつつ走り 蘭定かず子 火星 201005
島原に門二つある朧かな 飯塚ゑ子 火星 201005
岸壁に巨船聳ゆる朧かな 塩田博久 風土 201005
鯉の水濁りて朧月夜かな 高倉和子 201005
朧夜の光を廻す観覧車 武田薫子 201005
をんな声近づいてくる朧の夜 西田史郎 201006
クレーンの高きに点し夕朧 和田慈子 末黒野 201006
湖底の少年兵の朧かな 鴨下昭 201006
あゝ朧失語自嘲し眺む桜かな 四條進 201006
朧の夜帰る家あり径のあり 田部なほ子 201006
朧夜の生まれくるものかぎりなし 水野恒彦 201006
濡れて立つ樫のぐるりの朧かな 小形さとる 201006
真相を薬味としたる朧かな 柳川晋 201006
切れ目なく二度の勤めへ朧月 能村研三 201006
錠剤に小さき文字ある朧かな 掛井広通 201006
隣家の明日は越しゆく朧月 峰幸子 201006
枝垂れ影の青春もどらぬ飛花朧 益田寿美子 春燈 201006
文楽のお染の口説き朧かな 末吉治子 春燈 201006
すきみ橋渡る足もと夕朧 海村禮子 春燈 201006
行人も雲も朧の御室道 水野節子 雨月 201006
能楽堂つつみし朧の夜は更けぬ 内藤秀子 201006
敷皮堂出てより朧身に添ひぬ 田中貞雄 ろんど 201006
朧吹き込む仕舞屋の縄暖簾 田中貞雄 ろんど 201006
部屋朧己の中のけもの道 大西順子 ろんど 201006
朧夜の看取りの粥に塩少し 佐藤弘香 ろんど 201006
口角は笑つてゐたよ朧月 永松輝美 ろんど 201006
火を投げしさまに入日や夕朧 佐藤美紀 ろんど 201006
朧夜のバイクをふかす同じ刻 長崎桂子 あを 201006
草朧父母連れ立ちてくるやうな 田中藤穂 あを 201006
滲みつつ田水に写る朧月 宮田香 201007
街朧昔の吾と擦れ違ふ 阪本哲弘 201007
瓦斯燈の朧に若き占ひ師 窪田粧子 馬醉木 201007
朧夜や琥珀色濃きブランデー 黒滝志麻子 末黒野 201007
朧夜の海綿水を吸うてをる 雨村敏子 201007
朧夜の夢食べてゐる鏡の間 松原仲子 201007
朧夜の客人まろうどとなり還らざり 寺田すず江 201007
一管の笛に後シテ朧かな 西村純太 201007
朧かな西行法師消息文 中村洋子 風土 201007
朧かな枯山水をつつみゆく 中村洋子 風土 201007
花朧蓮月棲みし草屋かな 橋添やよひ 風土 201007
まろやかな人声通る朧かな 秋葉貞子 やぶれ傘 201007
体温計いくたび振りし朧の夜 秋葉貞子 やぶれ傘 201007
朧夜の液晶画面に棲むイルカ 栗原公子 201007
きつかけは補聴器のこと朧の夜 和田満水 201007
新しき鞄朧に角張りて 本島むつみ ろんど 201007
朧おぼろ樟千年の肌かな 土居通子 ろんど 201007
朧夜の月読命よりの懸想文 福永尚子 ろんど 201007
宿探す京都は高き朧の灯 丸井冬星 201007
呼んでみむ戒名三たび星朧 山崎靖子 つつがなく暮れて朧に満月で 菊地瑩子 春燈 201007
真珠抱く貝の夢みる海朧 高橋和女 春燈 201007
生き急ぐことさてやめて星朧 藤原冬人 火星 201007
気安くて従姉妹どうしの朧の夜 上田明子 雨月 201007
須磨凪ぎて朧の月を浮べたり 和田一 雨月 201007
橋つなぐ淡路鳴門の朧かな 和田一 雨月 201007
月朧隠しおほせぬ女紋 前田美恵子 201008
沖待ちの檣灯滲む朧かな 石黒興平 末黒野 201008
朧気な余生を律す桐の花 田中貞雄 ろんど 201008
通るたび灯の点く路地の朧かな 堀内一郎 あを 201008
朧→ 6      

 

2021年4月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。