4       200句

海に入りて生れかはらう朧月   高浜虚子  五百句

おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
戒名の二十一文字朧かな 神蔵器 風土 200606
朧夜や数へつ下りる駅の階 徳丸峻二 風土 200606
朧夜に兎生れし声すなり 佐藤よしい 風土 200606
屋根獅子の蹴上げし月の朧かな 近藤幸三郎 風土 200606
夕朧青葉の笛の鳴りさうな 林いづみ 風土 200606
天馬逸りて朧をのぼりゆく 水野恒彦 200606
木の匙に掬ふ朧とヨーグルト 雨村敏子 200606
修道女ふはと過ぎたる朧かな 岩月優美子 200606
ハナハトマメマス前頭葉朧 篠田純子 あを 200606
てすさびの折鶴の羽朧月 芝尚子 あを 200606
朧月猫すり寄りて何か乞ふ 早崎泰江 あを 200606
海豚の死推理の果ては朧にて 泉田秋硯 200607
周航歌消えたる空の朧かな 永井雪狼 200607
ぶらんこのひとつ揺れをり草朧 清水節子 馬醉木 200607
橋わたる手のひらひらと夕朧 石田厚子 馬醉木 200607
朧夜や豪華客船碇泊中 藤原繁子 春燈 200607
花街の石畳路地月朧 渡邊泰子 春燈 200607
朧より足鰭提げし男現る 千田百里 200607
朧夜の入江にかしぎ舟屋の灯 佐々木よし子 200607
朧の夜糟糠の文字捨てにけり 田原陽子 200607
朧夜の影円かなる東山 柴村郁子 遠嶺 200607
朧かなモーツアルトの子守歌 鈴木久香 遠嶺 200607
古りし身の影を供とし朧月 鈴木久香 遠嶺 200607
行灯に明かりまとはる朧かな 渡辺隆 遠嶺 200607
カナリヤの声透きとほる朧かな 南保芙美子 遠嶺 200607
吾妻橋朧駒形橋朧 大島寛治 雨月 200607
遠山は影絵のごとく朧なる 綿谷美那 雨月 200607
夜の朧寡婦の暮しに慣れねばと 村生翠 雨月 200607
目も口も朧となりて地蔵尊 あさなが捷 200607
茅屋根の昔を偲ぶ朧月 村越化石 200607
耳鳴りは寂しき調べ朧の夜 中山恵子 四葩 200607
旅のもの食みては朧深くせり 木内憲子 200607
火の山の影うすくして月朧 中元英雄 河鹿 200608
朧月天保銭で払ひます 小堀寛 京鹿子 200608
燭いくつ上げてみほとけなほ朧 長山あや ホトトギス 200609
烏賊墨を味噌汁に溶く夕朧 山内なつみ 万象 200609
旅疲れ少し異国の月朧 安原葉 ホトトギス 200610
人形の繃帯ほどく朧かな 前田貴美子 万象 200610
護摩壇に注連縄張らる夕朧 佐々木よし子 200610
鵜に似たる白き装束泛く朧 佐々木よし子 200610
朧夜の時計を三度たしかむる 片山タケ子 200701
祝酒湖の朧に溶かしゆく 松本鷹根 京鹿子 200701
波音の交響曲となる朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 200703
かの日より忘れぬ月日亭朧 稲畑汀子 ホトトギス 200703
高からぬ古都の山々道朧 稲畑汀子 ホトトギス 200703
宿朧山路にかかりはじめけり 稲畑汀子 ホトトギス 200703
波朧太平洋の夜明け来し 稲畑汀子 ホトトギス 200703
邂逅の句碑は朧の海を見て 稲畑汀子 ホトトギス 200703
帰路の齟齬語り尽くせぬ朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 200703
朧夜とせぬも仕事の枷ありし 稲畑汀子 ホトトギス 200703
うたひつつ美女と朧の螺旋階 山下佳子 200703
奈落へと美女をいざなふ夜の朧 山下佳子 200703
又一人庭に出てみる朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 200704
星朧雲に動きのあることを 稲畑汀子 ホトトギス 200704
朧月舐めらば溶けるかもしれぬ ことり 六花 200704
朧かな抱き合ふたびにゼロになる ことり 六花 200704
月朧水おぼろなり櫂の音 宇田喜美栄 200705
朧夜の金銀箔を惜しみなく 水野恒彦 200705
引潮を待つて杭打つ朧かな 百瀬七生子 海光 200705
朧月無口でゐたき日もありて 和田政子 200705
鎌倉の深き朧夜原節子 くらたけん 200705
褒められて置物一つ朧の夜 村越化石 200705
故郷を想ひ朧に籠りをり 村越化石 200705
島朧音先立てて通ひ船 木村火伸 200705
古き世の朧月夜や奈良七寺 奥山絢子 風土 200705
朧夜の抱かば細き肩ならむ 小澤克己 遠嶺 200705
遠山の朧となりて暮れにけり 大西裕 酸漿 200705
朧かな道を横切る山の水 山田六甲 六花 200705
通夜の灯を探す河内の朧かな 大山文子 火星 200705
庭を這ふカクテルライト古寺朧 北尾章郎 200706
煩悩はしつこく去らで朧の夜 石岡祐子 200706
夢多き頃のシャンソン朧月 木村幸 200706
鐘の音の重なる城下朧月 東福寺碧水 万象 200706
ルノワールに一辺倒や春朧 呂秀文 春燈 200706
神木の秀にかかりたる朧かな 雨村敏子 200706
何か匂ふ眉間に近き朧かな 天野きく江 200706
どつと湧く背ナの朧に押されをり 中野京子 200706
朧夜や映画終へても席立たず 加藤峰子 200706
門川の音の消えたる朧月 岩木茂 風土 200706
寝返りの朧の闇の広さかな 奥田茶々 風土 200706
鐘抜けて鐘のかたちの夕朧 小澤克己 遠嶺 200706
朧月川湯の宿に横座り 川畑はるか 遠嶺 200706
童ともなりて朧の八十路かな 村越化石 200706
重箱を四角く包む朧かな 丸山照子 火星 200706
ラーメンの笛街を練り夜の朧 淡地和子 雨月 200706
兄葬り仰ぐ浪速の月朧 池田倶子 雨月 200706
なにもかも朧のなかにゐて円し 宇都宮滴水 京鹿子 200706
朧かな旅行鞄のふくらみも 高倉和子 200706
タクシーに道迷はれてゐて朧 野路斉子 200706
この坂を登れば母校夜の朧 上林孝子 200706
たらちねの試歩の手を引く朧かな 室井千鶴子 200706
白粥を母に参らす夕朧 室井千鶴子 200706
桐の芽のほぐれしと見る朧かな 瀧春一 200706
朧月揚げてレトロの湯宿かな 中山勢都子 200707
天平の国分寺跡草朧 勝原文夫 春燈 200707
山朧スイッチバックの軋む音 山本とく江 万象 200707
朧月震うて魚は卵生む 河崎尚子 火星 200707
朧月目覚めし刻の養命酒 木野本加寿江 火星 200707
朧から返つてきたる木霊かな 高橋将夫 200707
朧から戻つてこないブーメラン 高橋将夫 200707
一匙の朧を隠し味とせり 高橋将夫 200707
ふかぶかと女人を容るる塔朧 中野京子 200707
ピーナツを割りぬ二佛となる朧 近藤喜子 200707
高砂を口ずさみゆく朧かな 堀口希望 200707
濡れてゐる全身朧夜のマリア 篠藤千佳子 200707
合流の大利根となる夕朧 中谷葉留 風土 200707
朧夜の北ウイングに待ち合はす 中村洋子 風土 200707
生簀籠ぽかりぽかりと月朧 今井松子 遠嶺 200707
朧夜や塩と砂糖を描き分けて 宮澤さくら 遠嶺 200707
朧夜のダンス教室の放課後 高橋道子 200707
朧夜の鴟尾の中なる心柱 服部早苗 200707
栄転も一つの別れ朧の夜 仙石君子 雨月 200707
夕月も満つる潮も朧なり 丸田安子 酸漿 200707
花街や朧につづく吊提灯 平島利男 酸漿 200707
言葉さへ要らぬ夜となる朧月 坂本知子 酸漿 200707
垣間見る雲の彼方の朧月 牧原佳代子 酸漿 200707
朧夜の影もつものに波ころし 松原ふみ子 200707
朧夜の露天湯シャガールの魚めく 岸田爾子 200708
昇りつつ月は朧を脱ぎゆけり 長山あや ホトトギス 200708
鉄臭き街の朧夜なりしかな 竹中一花 200708
理髪店のサインポールや朧の夜 中上馥子 春燈 200708
糠床の香をひろげゐて朧の夜 池田倶子 雨月 200708
命みなつながつてゐる朧かな 瀧青佳 ホトトギス 200709
街燈の同じ距離おき坂朧 千手和子 馬醉木 200710
またもとの道へ出でけり夜の朧 粕谷澄 馬醉木 200710
花崗岩積み出す島の朧かな 川口崇子 万象 200710
朧夜の瀬音にかすかなる腐臭 金井充 百日紅 200711
朧夜の噛み応へある貝の紐 安居正浩 200801
朧月酌めば李白の心かな 網野月を 200801
朧夜やラジオの流す「千の風」 峰尾秀之 200802
遠ざかる夜間飛行の灯の朧 寺本妙子 200802
老妓にも情ありけり月朧 若江千萱 雨月 200803
輪郭の爪の先まで朧なる ことり 六花 200803
亡骸に残る微笑み月朧 ことり 六花 200803
幕降りて朧月夜を仰ぎをり ことり 六花 200803
朧夜の古ラジオにゐる伊馬春部 能村研三 200803
鳶の笛眼下に聞いて崖朧 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
朧月空の広さを曖昧に 稲畑汀子 ホトトギス 200804
月欠けて欠けて朧となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200804
花朧吉野の心問ふたびに 稲畑汀子 ホトトギス 200804
ふり返る月日は朧なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200804
XとYの関係春朧 雨村敏子 200804
朧夜の色たたなはる中にゐて 能村研三 200804
わが未生の家族写真や夜の朧 北川英子 200804
月朧わたくしといふかたちかな 大川ゆかり 炎帝 200804
湯煙の由布院朧夜となりぬ 紀川和子 200805
宮大工酔うて朧や東照宮 中島玉五郎 200805
まだ使ふ遺品のルーペ拭く朧 渕上千津 200805
朧夜の芯となるまで堂に在り 小澤克己 遠嶺 200805
悟るとは朧なりけり古机 小澤克己 遠嶺 200805
迎へられし真砂女の遺影朧の灯 植竹惇江 春燈 200805
山国を下る朧の水の音 村越化石 200805
鉄橋の列車待ちゐる朧かな 山尾玉藻 火星 200805
湖の魚食うべ朧となりにけり 杉浦典子 火星 200805
朧夜の双塔に影ありにけり 吉田康子 火星 200805
朧月憑かれしままの歩幅にて 丸井巴水 京鹿子 200805
朧夜の一枚あけてある雨戸 田中藤穂 あを 200805
夕朧ひと日終りの鴉啼く 杉本綾 200806
またひとつ消えたる昭和朧の夜 高根照子 200806
朧夜の音なく開く土蔵の戸 曷川克 遠嶺 200806
朧月教へ子打ちし蕎麦の味 岡田弘子 遠嶺 200806
むかし住みし家より声す夕朧 峰幸子 200806
真向かひし海岸線の朧かな 羽賀恭子 200806
本棚に本戻しをり朧の夜 斉藤小夜 風土 200806
朧より来て門札に顔寄する 徳丸峻二 風土 200806
闘牛のぶつかる音の朧かな 高橋将夫 200806
大宇陀に翁と出会ふ朧かな 石脇みはる 200806
くちづけのあとの唇草朧 天野きく江 200806
闇でなく光にもなき朧かな 中野京子 200806
潮騒の朧夜にとけゐたりけり 近藤きくえ 200806
恐竜を見てきしやうに朧の夜 近藤きくえ 200806
森ありて昼夜朧の棲むところ 村越化石 200806
追従のならず朧の大き背 山崎靖子 200806
朧夜のおぼろが胸に入り込む 竹下昌子 200806
朧夜の椅子に急いで立ちし跡 山尾玉藻 火星 200806
乗り継ぎの多き近江の朧なる 村上留美子 火星 200806
いくつ過ぐ水の松江の橋朧 山本喜朗 雨月 200806
漱石の子規見送りし城朧 山本喜朗 雨月 200806
二十年ぶりの再会朧の夜 山本漾子 雨月 200806
一点に絞れぬ思考朧の夜 山本漾子 雨月 200806
播磨路の西のはてなる朧かな 堀井英子 雨月 200806
妻子と出づる夜逃のごとし朧月 定梶じょう あを 200806
老桜の花芽ふくらむ朧かな 野口みどり 酸漿 200806
むささびのささやき合へり朧月 長田秋男 酸漿 200806
嫁ぎし子の部屋に佇む夜の朧 柴崎英子 絹の波 200806
幼児の指より眠る朧月 佐竹千代 やぶれ傘 200806
くらがりに牛の反芻星朧 定梶じょう あを 200806
茅葺や朧じめりの魔除鬼 石田厚子 馬醉木 200807
航ゆるく殉教の島朧なり 石田阿畏子 馬醉木 200807
朧夜の電波時計と電子辞書 岩垣子鹿 ホトトギス 200807
濃縮すれば水滴となる朧 高橋将夫 200807
湖おぼろ花朧なり五色飴 雨村敏子 200807
朧月浮かれ五郎助谷渡る 鈴木勢津子 200807
藍甕の重き匂ひや草朧 石田野武男 万象 200807
夕朧たれかすべりし草の跡 垣岡暎子 火星 200807
朧夜の歩幅の違ふ下駄の音 前田忍 火星 200807
朧夜のハーフムーンといふ酒場 渡邉美保 火星 200807
橋立の松の声聞く朧かな 大竹淑子 風土 200807
朧夜の苑の石橋濡れてをり 小山徳夫 遠嶺 200807
朧月人に生まれて人に死す 川口襄 遠嶺 200807
朧→ 5      

 

2021年4月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。