2       200句

三日月や地は朧なる蕎麦畠   芭蕉

おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
朧月十に足らざる山家の灯 菊池共子 円虹 200108
逢へさうで逢へぬ月日や朧月 菊池共子 円虹 200108
ネッシーがカバに変身春朧 成定紋子 船団 200109
南の海にかたまる朧かな 岡井省二 200110
朧夜の膝に休ます刺繍の手 山下由理子 200111
石蹴りの石捜しおり朧なり 倉本マキ 船団 200111
朧月脱いでも着てるような人 津田このみ 船団 200111
春朧月に星に空に願いを 朝倉晴美 船団 200111
うつろふは朧の旦暮白き花 竹市悠紗 京鹿子 200112
言ひ訳の言葉飲み込む夜の朧 井尻妙子 京鹿子 200201
朧夜の淡海の宿の日記かな 平田紀美子 風土 200201

 祝句叡子、あやさん出版記念

引き寄せてつなぐ記憶や朧の夜

稲畑汀子 ホトトギス 200202
迷子居の文字朧より現世に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200204
邂逅や朧の月日引き寄せて 稲畑汀子 ホトトギス 200204
朧月孤高の闇でなかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 200204
帰路といふ力を抜きぬ朧月 稲畑汀子 ホトトギス 200204
駅を出て街の灯抜けて星朧 稲畑汀子 ホトトギス 200204
序文書き直す朧の夜の更けて 稲畑汀子 ホトトギス 200204
人形の髪伸びてをる朧かな 唯野まり 200204
髪染めの後ろめたさや朧の夜 能村研三 200204
朧夜やかしこと書いてペンを措く 山田暢子 風土 200204
海朧水屑人魚となる夜かな 朱間繭生 銀化 200204
朧深すぎて明日が見えぬなり 中村房枝 六花 200204
「暮六つ」の灯のともりたる朧かな 片山由美子 200205
観覧車朧の人を降ろしけり 櫛原希伊子 百鳥 200205
発禁本抱へて朧月夜かな 市川英一 遠嶺 200205
朧かな雄プラグ雌コンセント 山田六甲 六花 200205
路地朧救急車音近くで止む 阿部範子 200205
朧なる竿に雫の光りゐし 木野本加寿江 火星 200205
佐渡朧船におけさの流れ初む 望月友子 雲の峰 200205
われをわが追つ手と思ふ朧かな 田村はじめ 銀化 200205
朧夜の体内で鳴る着信音 結木桃子 銀化 200205
灯を点し船戻り来る朧かな 中野菊子 春耕 200205
点滴の黄から白に月朧 藏本博美 ぐろっけ 200205
朧夜の酔ほのかなり草津節 塩見育代 200206
宙天の星座迷宮夜の朧 白髭美佐子 200206
湯の花を掬ひて朧月夜かな 田中聡子 遠嶺 200206
水際の一羽動かず夕朧 橋本良子 遠嶺 200206
鯉はねしあとの朧よ父亡きなり 鈴木恭子 200206
みづうみの波音小さし月朧 上田尚義 雲の峰 200206
朧夜の目玉剥きゐる陶狸 上田尚義 雲の峰 200206
朧夜のヘアピン鉄の匂ひして 林裕子 風土 200206
川すぢを稚魚のぼりゆく朧かな 川井政子 風土 200206
さきの世と後の世つなぐ朧かな 川井政子 風土 200206
毀たれし湯屋の瓦礫の闇朧 黒坂綾子 200206
ジキル氏とハイド氏のゐる朧かな 近藤喜子 200206
朧夜を打ちたる大き尾鰭かな 加藤みき 200206
朧夜の大江戸怪奇画帖なり 瀬川公馨 200206
すたすたと朧を急ぐ尾つぽかな 嵯峨根鈴子 火星 200206
夕朧点りてゐたる我が家の灯 川上美穂子 酸漿 200206
病みてただ妻頼りをり朧月 小浦遊月 酸漿 200206
山荘の風呂は別棟月朧 武政礼子 雨月 200206
垣間見し虚子の旧居の庭朧 萩谷幸子 雨月 200206
朧夜や野鍛冶の音の絶え間なし 鎌田茂 春耕 200206
朧よりはみ出す犬のありにけり 篠原俊博 銀化 200206
担懐に腰の曲がりて朧月 谷村比呂未 銀化 200206
沖の灯は鯛の浦なる松朧 橋本澄子 200206
方形に舞台灯る朧の夜 高橋さえ子 200206
貝や菜や更けて厨の朧濃し 佐藤佐代子 200206
朧夜に殺気いささか残りゐし 泉田秋硯 200207
出鱈目な唄もよからう朧なら 泉田秋硯 200207
足摺岬の朧になじみ灯も海も 永井雪狼 200207
朧夜の折目ゆるびし千羽鶴 平野静 京鹿子 200207
岬果に人軽くなる朧かな 芝川百合子 京鹿子 200207
朧夜や歪む目いくつピカソの絵 近藤暁代 馬醉木 200207
漁火の沖に月あり朧かな 平田紀美子 風土 200207
朧夜の杜の朱塗の大門灯 宮澤さくら 遠嶺 200207
散り継いで散り敷いて花朧なる 坂中紀子 円虹 200207
骨揚げの箸のつまみし朧かな 嵯峨根鈴子 火星 200207
神饌のくさぐさの上の朧かな 桑田眞佐子 火星 200207
耳鳴りのやうな朧となりにけり 田村はじめ 銀化 200207
黒髪の枕に語る朧かな 市川伊團次 六花 200207
文出しにかけて行くなり朧の夜 吉田順子 200207
筑波嶺の男体女体朧の夜 池部久子 酸漿 200207
若き死を諾ひがたき夜の朧 かたべすみこ 200207
壁深く戻りて夜の朧言ふ 仲村青彦 200207
灯の暈の中まで朧父病めり 土田栄 200207
朧夜の一塊として父眠る 土田栄 200207
寝ることも旅とやことに朧の夜 土田栄 200207
朧夜はあの頃の唄ハーモニカ 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200207
スタジオの朧に立てば女優めき 刈米育子 200208
悩むときは悩むがよろし月朧 和田照子 200208
浄土宗浄土真宗朧かな 山路紀子 風土 200208
自動ピアノ眩く店を出て朧 湯浅夏以 遠嶺 200208
朧夜の螺子穴二つ大時計 鈴木良戈 200208
対岸はあやふきかたち朧月 柴田朱美 京鹿子 200208
飛石の五六歩先の朧かな 宮原みさを 花月亭 200208
犬を曳き曳かれて帰る朧かな 宮原みさを 花月亭 200208
はりまや橋行ったり来たりして朧 宮原みさを 花月亭 200208
着水と紛ふ空港朧かな 宮崎正 ホトトギス 200209
朧月とは敏感な月のこと 後藤立夫 ホトトギス 200209
朧夜のマオリの唄は恋の唄 山下佳子 200209
朧夜の厨に佇てば魚臭き 谷口蔦子 ぐろっけ 200209
沈み橋渡る人影さへ朧 佐藤冨士男 ホトトギス 200210
宵すぎの朧の月を祭りけり 阿部ひろし 酸漿 200211
朧夜の漢字の読めぬせいにする 木村みかん 200301
屋久島の杉百幹の朧かな 斉藤和江 帆船 200301
ふと彼女現はれしかと朧月 稲畑汀子 ホトトギス 200302
旅に覚め昨日の晴を消す朧 稲畑汀子 ホトトギス 200302
二人づつ消えし駅裏朧なる 師岡洋子 ぐろっけ 200302
人影のなき朧より呼ばれたる 泉田秋硯 鳥への進化 200303
朧影やつぱりあれは石だつた 稲畑廣太郎 ホトトギス 200304
朧影後醍醐帝は北を向き 稲畑廣太郎 ホトトギス 200304
花朧西行庵に年尾句碑 稲畑廣太郎 ホトトギス 200304
たちまちに過去を朧としたる日々 稲畑汀子 ホトトギス 200304
闇深き山路といふは人朧 稲畑汀子 ホトトギス 200304
見しといふ見ぬといふ影闇朧 稲畑汀子 ホトトギス 200304
初島の灯り初めたる朧かな 吉沢かねよ 帆船 200304
朧夜の仕舞ひ忘れしこころかな 石川千津子 銀化 200304
朧の夜急所教へずはぐらかす 笠松ゆき子 築港 200304
朧夜の我に定年見えかくれ 宮坂恒子 雪底 200304
朧夜のおぼろながらに道ひとつ 岡本眸 200304
五歳児とムソログスキー朧かな 中村恭子 200305
朧夜の畦に既視感つのりけり 中村恭子 200305
一椀の貝のにぎはひ月朧 山田禮子 遠嶺 200305
ふるさとの眠りふかぶか月朧 佐藤よしい 風土 200305
生駒線今も単線朧なる 塩川雄三 築港 200305
噺家とピエロと帰る朧かな 大串章 百鳥 200305
朧月模様の違ふ皿並ぶ 横瀬伸子 帆船 200305
朧月鉄の香残し列車過ぐ 朝妻力 雲の峰 200305
朧夜の模糊より生るる波頭 伊藤とら 雲の峰 200305
朧夜の耳の底ひに妻の声 池尻足穂 雲の峰 200305
夕朧ほのと浮舟供養塔 樋口多嬉子 雲の峰 200305
城崎の湯の香ゆたけし朧月 渡部義次 雲の峰 200305
朧夜の百物語あとひとつ 栗栖恵通子 200305
言の葉にきせたき衣の朧ほど 坂本京子 200305
逝くは行き交むはつるませて朧 柳川大亀 銀化 200305
訥弁の訥の途切れて夜の朧 小林一雨 銀化 200305
朧月くづさぬやうに運びをり 佐藤多恵子 銀化 200305
またひとり思ひ出びととなる朧 池田充子 銀化 200305
朧夜の山裾に張る風呂の水 浜口高子 火星 200305
朧かな土牛が筆の志野茶碗 藤井寿江子 馬醉木 200306
朧夜の湾にねむらぬドックの灯 刈米育子 200306
朧夜のハープの音色いま止みし 岩月優美子 200306
流木に睡る鳥どち朧かな 宇田喜美栄 200306
環となりつつ朧夜のけむりかな 雨村敏子 200306
朧夜の湯葉づくしとは物足りぬ 能村研三 200306
鐘撞きて朧さざめく比良比叡 柴田近江 200306
朧にて肺活量を手計りす 井上信子 200306
煙出さぬ煙突増えし街朧 川村紫陽 200306
舗装終へし余熱ある道夕朧 金升富美子 200306
添水のおとやたらと高き朧かな 浜口高子 火星 200306
月朧寝はぐれどうし酒を酌む 筑紫次郎 雲の峯 200306
山門の柱の庇の朧なる 佐本英介 築港 200306
晩成や朧に泛ぶ灯の一つ 藤岡紫水 京鹿子 200306
野の朧突如忘れし夫の名 大井貞一 京鹿子 200306
父は霞みて母は朧に在します 大橋麻沙子 雨月 200306
朧夜に人を怖れてをりにけり 石川英利 百鳥 200306
生き死にを句に詠まむとて朧かな 泉田秋硯 200307
贅肉を貫禄といふ朧かな 苑田ひろまさ 200307
できる事して朧夜のテレビ見る 武田美雪 六花 200307
画面より人殺す音す朧月 武田美雪 六花 200307
もののかたちのくつろいで朧の夜 山口速 200307
抜き刷りの誤字の言ひ分朧月 禰寝瓶史 京鹿子 200307
新人に会釈をされし朧かな 小田道知 円虹 200307
浅草の雨に朧の吾妻橋 浜崎壬午 円虹 200307
庭に出て湖の朧を告げにけり 守屋井蛙 酸漿 200307
湖なぎて岸辺の桜朧なる 阿部たみ 酸漿 200307
恩澤や傷は些か朧月 宇垣みきえ 200307
おばんです朧をひいてすれ違ふ 酒本八重 200307
いにしへの結髪絵巻月朧 宮倉浅子 遠嶺 200307
朧夜のかねやすに買ふ小物入 仙田孝子 風土 200307
勾玉は胎児のかたち夜の朧 遊橋恵美子 風土 200307
朧夜のからくり箱に鍵しまふ 遊橋恵美子 風土 200307
明るさの地下を出でけり朧の夜 中野京子 200307
中座して鯉を見に立つ朧かな 高松由利子 火星 200307
月朧静かに更ける坂の町 水田清子 200307
縄を手に庭師の通る草朧 高橋さえ子 200307
豪邸の取り壊されて月朧 谷泰子 ぐろっけ 200307
キャビンよりみる朧月はや米寿 片渕清子 ぐろっけ 200307
朧夜や魔の手を伸ばす未知の菌 中村和江 ぐろっけ 200307
み吉野の山路阻みてゐる朧 河野美奇 ホトトギス 200308
一病にわが行く先の朧なる 吉村ひさ志 ホトトギス 200308
朧とはクラリネットの音色にも 吉村ひさ志 ホトトギス 200308
戸の猿の落ちる音聴く朧かな 近藤幸三郎 風土 200308
胡蝶蘭競ひ咲きをり朧の夜 増田八重 酸漿 200311
夫の樹へ妻の樹なびく朧川 松田都青 京鹿子 200401
丸ビルの高さに朧纏はりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200403
会へば又用の増えゐし朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 200403
七七忌近き朧の夜の電話 稲畑汀子 ホトトギス 200403
朧夜を抜けて一人の昇降機 稲畑汀子 ホトトギス 200403
柱ある家に帰りぬ朧月 中村房枝 六花 200403
峡谷の朧の底を歩きけり 須佐薫子 帆船 200403
朧夜の古き映画に夜更かしす 岡本眸 200403
満ちゆける月は朧でありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200404
花朧人居る如くなき如く 稲畑汀子 ホトトギス 200404
怖くない人数で行く夜の朧 稲畑汀子 ホトトギス 200404
雨降つてをりし朧の闇を見る 稲畑汀子 ホトトギス 200404
朧より抜け出して来し客となる 稲畑汀子 ホトトギス 200404
高層のビルの朧に峙てり 稲畑汀子 ホトトギス 200404
東京都千代田区といふ朧かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200404
ムツクリの震への悲し朧の夜 木村てる代 雲の峰 200404
原発のスイッチアナログ朧かな 篠田純子 あを 200404
一言を言ひそびれたる朧の夜 橘沙希 月の雫 200404
栗畑に井戸残りたる朧かな 大野信子 草の花 200405
寧楽山に霧がかりして朧なる 綿谷美那 雨月 200405

杉本光『山開』探梅の己を探す一日かなの句あり

朧夜に己探しの句業かな

能村研三 200405
朧夜やジェンダー論を醒めて聞く 加藤峰子 200405
朧夜の交信を絶つ象の耳 木村みかん 200405
名付け屋に人の入りゆく朧かな 山尾玉藻 火星 200405
朧→ 3      

2021年4月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。