おぼろ 2    200句

おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
街おぼろ若き日の書肆見当らず 勝亦年男 200308
義弟死すなりたまさかのおぼろ月 岩上とし子 200309
六万年ぶりの火星に月おぼろ 平松かをる 六花 200312
橋おぼろ身丈のうしろすでに過去 山元志津香 西の峰 200401
おぼろかなまつすぐ駅へ下戸同士 藤原照子 余韻 200403
雨上りおぼろの星を蔵す空 稲畑汀子 ホトトギス 200404
紋どころ見せぬ黄門おぼろ池 鈴鹿仁 京鹿子 200404
蓮池の呟いてをるおぼろかな 岡本眸 200404
おぼろ夜の月のいたずら人違ひ 橘沙希 月の雫 200404
月おぼろ長距離バスの発着所 梅村達子 帆船 200405
句の道の老いても尽きぬ星おぼろ 河西みつる 草の花 200405
沖遠く動かぬ巨船夕おぼろ 木下節子 雲の峰 200405
沢風のくぐる葛の橋おぼろ 久保一岩 雲の峰 200405
海おぼろなり前世とも来世とも 伊藤白潮 200405
杉玉をおぼろの芯に闇育つ 西川織子 馬醉木 200405
光背なき大仏拝し夕おぼろ 大橋敦子 雨月 200406
尊皇も佐幕も城の花おぼろ 密門令子 雨月 200406
おぼろ濃き沃野眼下に五丈原 須賀遊子 200406
おぼろ夜の城牆に凭り胡弓聞く 須賀遊子 200406
山おぼろ陽に浮き立てる磨崖仏 佐藤和子 200406
使徒のごと自販機並ぶおぼろかな 高千夏子 200406
水琴窟の音階探るおぼろかな 遊橋恵美子 風土 200406
おぼろ夜の弔歌にも似て波の音 平子公一 馬醉木 200406
来し方の禍福もおぼろ今おぼろ 木村風師 馬醉木 200406
おぼろ夜の他郷へ橋が掛かりをり 小野恵美子 馬醉木 200406
看取る身に雑音多しおぼろ月 窪田粧子 馬醉木 200406
航跡の弧の白じろと湾おぼろ 窪田粧子 馬醉木 200406
夜桜や彼方に月のおぼろなる 大内恵 酸漿 200406
一灯をかかげておぼろ育てゐる 豊田都峰 京鹿子 200406
ひともしておぼろをあつくしてをりぬ 豊田都峰 京鹿子 200406
鰕蔵や河原崎座の月おぼろ 林日圓 京鹿子 200406
煩悩の出口をふさぐおぼろ月 丸井巴水 京鹿子 200406
草庵に鉄鉢ひとつ夕おぼろ 小澤克己 遠嶺 200406
おぼろ夜の独り暮しに悔い残り 伊藤光子 ぐろっけ 200406
来すぎしか朧おぼろの京の路地 安原葉 ホトトギス 200407
満潮に金印の島おぼろなり 中村房子 馬醉木 200407
花おぼろ太夫寄進の吉野門 川勝春 馬醉木 200407
おぼろ月母の迎へを待つ子かな 村田美穂子 百鳥 200407
おぼろ夜やてのひらにある赤珊瑚 谷村幸子 200407
洞穴の出湯に沈めば島おぼろ 豊田都峰 京鹿子 200407
山頭火おぼろに味取観世音 角直指 京鹿子 200407
西南役おぼろに死者に懺悔なし 角直指 京鹿子 200407
川いくつ渡りて帰路の月おぼろ 堀田恵美子 雨月 200407
御柱を曳き出す岳のおぼろかな 密門令子 雨月 200407
おぼろ夜の寝酒のはずが眼の冴えて 長沼三津夫 200407
受話器から訃報それから沖おぼろ 若泉真樹 瑠璃 200407
男らも紅き唇花おぼろ 星加克己 ぐろっけ 200407
おぼろにもいくつかのいろうすべにも 八田木枯 夜さり 200409
おぼろとはかぶくものとぞ白襖 八田木枯 夜さり 200409
月おぼろ痒きところへ手がゆかず 八田木枯 夜さり 200409
手毬唄ところどころがおぼろなり 大串章 百鳥 200502
講演の原稿おぼろ朧かな 稲畑汀子 ホトトギス 200503
嬰を抱ける海女の胸元初おぼろ 矢澤壽美 200504
丘の木の稍をゑがく月おぼろ 阿部ひろし 酸漿 200504
おぼろ闇魔法使ひの杖さがす 宇都宮滴水 京鹿子 200504
朧月おぼろの傘に星ひとつ 山田六甲 六花 200504
月よりも更におぼろに星添へる 藤浦昭代 ホトトギス 200504
月おぼろ開眼を待つ句碑寝かせ 能村研三 200504
月おぼろ金箔残る大佛塔 須賀允子 万象 200505
おぼろ夜の雌峰まされり筑波山 中村翠湖 馬醉木 200505
わが脚の鰭となる夜か海おぼろ 西村梛子 馬醉木 200505
嵯峨野歩きおぼろの鐘にしめくくる 荒井書子 馬醉木 200505
トネリコの気息ありけるおぼろかな 栗栖恵通子 200505
丘にいま見よ朧月おぼろ星 阿部ひろし 酸漿 200505
自販機が罐を転がす夕おぼろ 西屋敷峰水 河鹿 200506
心までおぼろなり南無鬼子母神 平子公- 馬醉木 200506
兜煮の口元おぼろなりしかな 高橋将夫 200506
二度読んで二度目も笑ふ文おぼろ 田村園子 200506
家訓とて今はおぼろよ木守柿 中野英歩 八千草 200506
終列車車庫へ入れられおぼろ濃し 宮川典夫 200506
繍帳を拝す尼寺灯のおぼろ 岡部邦枝 200506
喪帰りのネクタイを解く夕おぼろ 長沼三津夫 200506
おぼろ夜の爪切ることも旅用意 前田陶代子 200506
おぼろ夜や菜の花畑に陽が落ちて 林生子 200506
針穴のおぼろ嘆きし母を恋ふ 尾辻のり子 河鹿 200507
春の月おぼろおぼろと蟹ほそる 中元英雄 河鹿 200507
金魚田も餌を撒く人も夕おぼろ 城孝子 火星 200507
古都おぼろ豊かな胸の仏達 三浦如水 ぐろっけ 200507
おぼろ夜の猫の五行詩猫新聞 玄内栄 帆船 200507
月おぼろライトアツプの藤の花 福田栄子 帆船 200507
おぼろ夜や師の声ことに優しかり 大竹淑子 風土 200507
通天閣おぼろに浮ぶ二上山 梅原美子 200507
沖おぼろ一寸法師の船が航く 伊藤希眸 京鹿子 200507
鐘おぼろ読めぬ梵字に掌を合はせ 岸本久栄 雨月 200507
銃声で終はる舞台や月おぼろ 甲斐よしあき 百鳥 200507
立ち止まり歩きおぼろの夜の嬉し 神谷瑛子 百鳥 200507
振りむけば知らぬ人なり月おぼろ 柿澤喜三郎 百鳥 200507
おぼろ夜の一人の月を抱きしむる 松本安弘 六花 200507
来る人と去る人閻魔堂おぼろ 福山至遊 200507
経緯儀の焦点おぼろ達治の忌 鈴掛穂 200508
吊橋は峡の堅琴月おぼろ 長谷川春 200508
おぼろ夜の波に別の世思ひをり 江崎成則 栴檀 200508
朧よりおぼろへ消ゆる終電車 江崎成則 栴檀 200508
白き巨船おぼろに遠し青春も 柿澤喜三郎 百鳥 200508
おぼろ夜の猫と眼が合ふ不覚かも 森津三郎 京鹿子 200508
月朧花おぼろなる橋ゆきき 葛馬房夫 雨月 200508
大山の裾をおぼろの伯備線 玉川悠 遠嶺 200509
水おぼろ首あぐる馬の唇鳴りぬ 瀧春一 菜園 200509
内陣のおぼろ翁の篭りあと 横井博行 万象 200510
端居しておぼろおぼろと童歌 服部早苗 200510
昆布つけて水の糸引く夕おぼろ 田所節子 涼しき嵩 200511
庖丁に羊羹吸ひつく夕おぼろ 楠原幹子 白卓布 200602
浜おぼろ一歩一歩に砂鳴かせ 楠原幹子 白卓布 200602
その先は蘭奢待あるおぼろかな 安岡房子 200604
街道のおぼろ濃し司馬遼太郎 秋葉雅治 200604
楢山も月もおぼろの夜なりけり 阿部ひろし 酸漿 200604
部屋部屋の灯も庭の灯もおぼろなる 安陪青人 雨月 200604
犀川や川の向うの橋おぼろ 山田六甲 六花 200604
青き猫いらかを越ゆるおぼろ月 淵脇護 河鹿 200605
災難の人偲びたるおぼろ月 片山茂子 遠嶺 200605
着信音おぼろおぼろの夜なりけり 加藤みき 200605
おぼろかな角隠してふ被りもの 戸田春月 火星 200605
町騒の波音めけるおぼろかな 岡本眸 200605
魚焦がし我に返りぬ夕おぼろ 藤原照子 200605
若き姉もヘチマコロンもおぼろかな 千田百里 200605
魚に湯をさつとかけたる夕おぼろ 田所節子 200605
おぼろ夜の柱時計に螺子くれて 淵脇護 河鹿 200606
父征きし記憶おぼろに霾ぐもり 田畑時男 河鹿 200606
桐箱の臍の緒過ぎし歳おぼろ 坂井法 200606
おぼろ夜や耳にやさしき京言葉 綱徳女 春燈 200606
月おぼろ小萩茶碗のややいびつ 太田慶子 春燈 200606
わたつみの声に耳貸すおぼろかな 増田大 春燈 200606
口紅の斜めに減りて月おぼろ 佐山苑子 遠嶺 200606
ふくらんで水平線のおぼろかな 遠山みち子 200606
葺替の寄附の芳名おぼろかな 真角多賀子 対岸 200606
星おぼろ無垢の骨壷抱きしめる 池田かよ ぐろっけ 200606
おぼろ夜や佐渡のみやげのひねり餅 岡本敬子 万象 200606
句の業の身を責むおぼろ月夜かな 長沼三津夫 200606
討ち死にもおぼろや寺に血天井 荻野嘉代子 春燈 200607
心搏に電池の力借るおぼろ 北川英子 200607
マントラの謎のおぼろに札所寺 角直指 京鹿子 200607
露天湯は空あるばかり夕おぼろ 山田をがたま 京鹿子 200607
草おぼろ一本道をもどり来る 竹下昌子 200607
自転車を押してたどれり月おぼろ 久保栞 200607
黙読の師句に声出るおぼろの夜 長沼三津夫 200607
外に出でて忽ちおのが影おぼろ 十文字慶子 200607
石仏によく似し顔や月おぼろ 瀧澤白絣 遠嶺 200608
綾とりの橋をくづせば父おぼろ 村田冨美子 京鹿子 200608
おぼろ月家の中から犬のこゑ 佐藤喜孝 あを 200608
二尺余の鱸釣り上ぐ川おぼろ 河島瑞子 万象 200609
お互いにおぼろの中の露天風呂 小田知人 ぐろっけ 200609
息差しを秘めし祇園のおぼろ月 田中きよ子 酸漿 200609
おぼろ夜や雨の匂ひのコート脱ぎ 伊藤奈津 200702
月おぼろわれらが地球動きをる 檜山哲彦 万象句集 200703
東入ル西入ル京の月おぼろ 水原春郎 馬醉木 200704
夫託す救急車待つおぼろ月 鈴木竹 200704
お隣の猫に好かれておぼろ月 池崎るり子 六花 200704
一湾のおぼろに漁舟呼び合へり 松本幹雄 馬醉木 200705
月朧水おぼろなり櫂の音 宇田喜美栄 200705
解体のビルの妖気や月おぼろ 中野さき江 春燈 200705
何もせぬ独りの贅やおぼろ月 和田政子 200705
おぼろ夜の黒き鬣妙義山 河口仁志 200705
能を観て帰る道玄坂おぼろ 河口仁志 200705
一願や風が後押す鐘おぼろ 鈴鹿仁 京鹿子 200705
草おぼろ一村を守る神祠 鈴鹿仁 京鹿子 200705
溶けさうで溶けぬおぼろなる反感 荻野千枝 京鹿子 200705
発掘の野に渡り来る鐘おぼろ 石垣幸子 雨月 200705
隠れ死や猫に月日のおぼろなる 坂本丹荘 遠嶺 200705
紙雛面輪おぼろに立ち給ふ 川合八重子 酸漿 200705
歳月を負うて倉河岸月おぼろ 成川和子 200705
おぼろ夜の前をゆく人小町の忌 佐藤喜孝 あを 200705
月の夜の桜おぼろや寝惜しめる 鎌倉喜久恵 あを 200705
春おぼろ昔闊歩の朴歯下駄 水原春郎 馬醉木 200706
信ずれば亀の声とも月おぼろ 西村梛子 馬醉木 200706
おぼろ夜のポストはみだす回覧板 森ひろ 馬醉木 200706
伊根おぼろ舟屋に淡き灯を連ね 山本康夫 200706
笠森観音高きに組みて春おぼろ 鈴木榮子 春燈 200706
笠森観音十一面の春おぼろ 鈴木榮子 春燈 200706
つかのまの亡夫の笑顔夢おぼろ 岡野ひろ子 200706
足白しななくりの湯の春おぼろ 中島陽華 200706
短命の子規の書に癒ゆおぼろかな 高橋道子 200706
月おぼろ動く歩道に人つらね 相沢有理子 風土 200706
釣舟の沖の一艘湖おぼろ 笹倉さえみ 雨月 200706
一声のあとはなきまま宮おぼろ 豊田都峰 京鹿子 200706
おぼろ月天の渚を独り占む 宇都宮滴水 京鹿子 200706
おぼろ浜次の一歩も濡れにゆく 宇都宮滴水 京鹿子 200706
おぼろかな仏足石を踏みし跡 笹村政子 六花 200706
砂浜をあるく鳥ゐるおぼろ月 鈴木多枝子 あを 200706
花嫁の荷を出し広間おぼろかな 篠田純子 あを 200706
子が顔を出しておぼろの達磨船 藤井昌治 200706
里山に娘の色香おぼろ月 松嶋一洋 200707
信号もネオンもおぼろ呑屋街 松嶋一洋 200707
石礫おぼろの芯に当りたる 高橋将夫 200707
おぼろ夜や心残りの硯買ひに 木下もと子 200707
おぼろ月猫に門限なかりけり 中村碧泉 ぐろっけ 200707
月おぼろ明日は白内障手術 大橋晄 雨月 200707
望遠鏡にのぞく金星おぼろなる 加地芳女 雨月 200707
渡来仏に会ふ昂りや湖おぼろ 出口賀律子 雨月 200707
船頭を継ぐ子に花のおぼろかな 村上美智子 雨月 200707
歳月は流るるばかり花おぼろ 村上美智子 雨月 200707
おぼろ夜の身の浮きゆける昇降機 長沼三津夫 200707
岬とも島とも海の灯のおぼろ 灘秀子 200707
おぼろ夜の灯りのつきし懺悔室 岬雪夫 200708
月おぼろ父の香残るめくら縞 木田秀子 200708
切っ先ををさめ三日月おぼろなり 中島知恵子 雨月 200708
湖おぼろ行き交ふ船も四囲の嶺も 中島知恵子 雨月 200708
鎌倉のひとりの家路星おぼろ 山田弘子 ホトトギス 200709
汐騒の絶えずおぼろの月上る 柳生千枝子 火星 200709
今日の日を見送る隅田川おぼろ 渡邊千枝子 馬醉木 200710
次郎吉も猫もねむれる墓おぼろ 藤井寿江子 馬醉木 200710
切株の樹液は泪月おぼろ 平野きぬ子 八千草 200710
おぼろ→ 3      

 

2021年4月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。