おぼろ 3   213句

おぼろ  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
おぼろより鉦の聞こゆる和讃かな 雨村敏子 200801
学生の街おぼろなる街がある 石井智也 200801
おぼろ夜や魚板と槌と睦みあひ 鷹羽狩行 200804
猫おぼろ石もおぼろに明日香村 坪内稔典 稔典句集U 200804
おぼろ夜のどの木も濡れてゐたりけり 岡本眸 200804
別れきし身をおぼろ夜にまかせをる 岡本眸 200804
湖おぼろ地蔵千体畑中に 片岡久美子 200805
なかんづく末廣亭の路地おぼろ 飛鳥由紀 200805
潮の香や近くて遠き島おぼろ 相沢有里子 風土 200805
食べられるため殖えプランクトンおぼろ 北川英子 200805
夢あまた見ては夢追ふ花おぼろ 工藤義夫 馬醉木 200805
地袋に仕舞ふ風鎮おぼろの夜 谷村幸子 200805
湧水を青竹に受くおぼろかな 浜口高子 火星 200805
草おぼろにじむことなき母の燭 豊田都峰 草の唄 200805
江ノ島は丸い島なり海おぼろ 吉成美代子 あを 200805
夕おぼろ灯影ゆらめく宿場町 笹井康夫 200806
天守より望む比良なり湖おぼろ 小林成子 200806
花おぼろ真水が海へ入るとき 林昭太郎 200806
灯台の光軸確か海おぼろ 松嶋一洋 200806
海坂のおぼろなる日や雛飾る 田中佐知子 風土 200806
老女どち防火訓練おぼろおぼろ 金澤明子 200806
切株も仏に見えし吉備おぼろ 白神知恵子 春燈 200806
朧夜のおぼろが胸に入り込む 竹下昌子 200806
沈下橋を犬わたりくるおぼろかな 大崎紀夫 やぶれ傘 200806
おぼろなり鳰の杭立つ夕月夜 笹井康夫 200807
臨終の夫を看取りておぼろの夜 西澤さち女 ホトトギス 200807
湖おぼろ花朧なり五色飴 雨村敏子 200807
砂もてる遊行も影もおぼろにて 雨村敏子 200807
抜き足のらせん階段星おぼろ 飛鳥由紀 200807
木の洞に二礼二拍手しておぼろ 杉浦典子 火星 200807
仏頭は花のおぼろの芯めきて 豊田都峰 京鹿子 200807
真直ぐてふ古代山陽道おぼろ 川崎光一郎 京鹿子 200807
おぼろ濃くして内定の一慶事 大畑善昭 200807
妻居ねば秒音溢る夜のおぼろ 渡邉友七 あを 200807
朧夜のおぼろに溶けて古き絵馬 吉原一暁 200808
一枚の闇をおぼろにする桜 稲畑汀子 ホトトギス 200904
退会の詫状重し星おぼろ 布川直幸 200904
枕絵のをんなおぼろの貌をして 橋本正二 200904
おぼろ夜の視覚聴覚ゆるびけり 塩路隆子 200905
メールして乗り越す駅のおぼろなり 鈴木照子 200905
白狐伝のこる温泉町の夕おぼろ 田下宮子 200905
高層の灯ともし頃や湖おぼろ 小澤菜美 200905
春おぼろ病床父の夢の中 青木典子 炎環 200905
襟足に当つる剃刀おぼろの夜 林千鶴子 炎環 200905
昏睡の五臓をゆする声おぼろ 中山皓雪 200905
竹叢の囲む廟所や夕おぼろ 小林共代 風土 200905
おぼろ夜の文体いはば朦朧体 辻直美 200905
宇宙船の見守る大地花おぼろ 宮田香 200906
おぼろ夜のおぼろ飲み干す食前酒 犬塚李里子 200906
麩屋町の角のおぼろに僧と会ふ 杉浦典子 火星 200906
海化して陸の億年おぼろ湧く 千田百里 200906
おぼろ夜の厨に残る酢の匂 高橋あさの 200906
小鹿坂も一撲の鐘もおぼろかな 鈴木静恵 春燈 200906
耳朶にくる月昇る音おぼろかな 嶋一洋 200906
マヨネーズ並ぶ上段おぼろかな 笠真木 炎環 200907
おぼろ夜のおぼろを楯に打明ける 田原陽子 200907
言問てふ橋の名が好き水おぼろ 柴田良一 雨月 200907
水郷のおぼろに消えてゆきし舟 柴田良一 雨月 200907
帰したくなき子の帰る背のおぼろ 園多佳女 雨月 200907
下より上りの速き船おぼろ 和田照海 京鹿子 200907
杉風の別墅や隅田川おぼろ 和田照海 京鹿子 200907
沖おぼろ手旗信号ならひをり 村田冨美子 京鹿子 200907
来し方もこれより先も花おぼろ 吉田もと子 200907
おぼろ夜や花咲爺とすれ違ふ 岩垣子鹿 ホトトギス 200908
天心の鵤寺のおぼろかな 中島陽華 200908
近江商人行き来の里曲夕おぼろ 井口初江 酸漿 200908
花おぼろフリー切符の途中下車 松井千鶴子 200908
灯ともりて瀬戸大橋と船おぼろ 吉原一暁 200909
句朗読六十年の虚子おぼろ 竹下陶子 ホトトギス 201001
おぼろ夜の打ち違へたる句点かな 村田冨美子 京鹿子 201001
そこだけの浜灯台のおぼろかな 豊田都峰 土の唄 201002
灯のおぼろその暈うちのたゆたひに 豊田都峰 土の唄 201002
船の灯の揺れて近づくおぼろかな 片山由美子 201003
朧より生れておぼろに還る君 稲畑廣太郎 ホトトギス 201004
亡き父も海もおぼろのここ宗谷 源鬼彦 201004
沖おぼろ六点鐘の灯かひとつ 豊田都峰 京鹿子 201004
おぼろ夜の光芒地球の端をゆく 吉弘恭子 あを柳 201004
おぼろなり夜気淡あはと沈みける 笠井清佑 201005
公達の翳やおぼろの能舞台 西川織子 馬醉木 201005
庭に出て同じおぼろの中に月 鷹羽狩行 201005
八文字踏みて八橋はなおぼろ 小澤克己 遠嶺 201005
柳おぼろ手兒奈入水の跡といふ 大坪景章 万象 201005
停泊の檣灯おぼろの芯もやう 豊田都峰 京鹿子 201005
鐘おぼろ会話途切れし旅の人 北尾章郎 201006
反り深き東寺の塔のおぼろなり 清水侑久子 201006
おぼろ夜の図星トランペット鳴れり 中島陽華 201006
伽羅の香の縮緬おぼろ月夜かな 中島陽華 201006
ナースコールボタンを渡し去るおぼろ 北川英子 201006
夕おぼろ消えゆくものに白熱灯 宮内とし子 201006
湾おぼろ澪も潮目も分かちなし 上谷昌憲 201006
一生もいつときも瞬湖おぼろ 北川孝子 京鹿子 201006
松あはれおぼろによはひひそめをり 中野英伴 春燈 201006
四方の山空に溶けゆくおぼろかな 伊藤憲子 201007
おぼろ夜や暖簾かざせる京ことば 五十嵐勉 201007
孤り居といふはおぼろに縛さるる 小形さとる 201007
酒蔵のおぼろや土間に人のこゑ 近藤紀子 201007
そつけなき父子の別れ辻おぼろ 藤岡紫水 京鹿子 201007
朧おぼろ樟千年の肌かな 土居通子 ろんど 201007
紬織る祖谷の深きに灯のおぼろ 山本康夫 201007
渡岸寺の観音おぼろ八頭身 伊地知冶江子 201007
波音のほかは届かず橋おぼろ 山崎靖子 201007
おぼろ夜のふたみに合はぬ貝合せ 妹尾貞雪 春燈 201007
草おぼろ波打つてゐる鹿の腹 城孝子 火星 201007
おぼろ夜の息づくごとき能の面 久保山満末 201008
おぼろ夜や木の香放ちて仏彫る 中村外紀子 万象 201008
ゆるゆると仕手の袖泣く夕おぼろ 乗光雅子 雨月 201008
ゆらゆらとおぼろの闇に余震かな 尾形照夫 投稿 201103
ラジオより安否情報おぼろの夜 鷲見たえ子 201105
めぐり来る湯守の手燭おぼろなり ほんだゆき 馬醉木 201105
闇おぼろ幾重拭ひて「生きてゐる」 能村研三 201105
停電におぼろ包みの街の黙 能村研三 201105
朧月影踏みもまたおぼろかな 中山純子 万象 201105
放射能飛びはじめたるおぼろかな 篠田純子 あを 201105
瓦斯灯にゴンドラ舫ふおぼろの夜 宮田香 201106
おぼろ夜に非常口灯青白き 粟倉昌子 201106
人ごゑの思はぬ近さ浜おぼろ 堀田順子 馬醉木 201106
水面におぼろを嗅げる河馬の昼 浜口高子 火星 201106
対岸の十字架高きおぼろかな 西村節子 火星 201106
いくたびも眼こすりぬおぼろおぼろ 加藤みき 201106
おぼろ夜の紐のありかを確かむる 熊川暁子 201106
静脈に針がちかづくおぼろかな 上谷昌憲 201106
おぼろの夜今宵も錠は掛けずおく 岩永充三 201106
ジャグジーヘからだ委ねておぼろなり 五十嵐章子 201106
この星の時に激しや海おぼろ 大橋晄 雨月 201106
麦畝の直線見事末おぼろ 泉田秋硯 201107
天燈鬼ささぐは遠きおぼろの灯 豊田都峰 京鹿子 201107
卑弥呼てふ謎なぞ遊び草おぼろ 田畑耕之介 京鹿子 201107
藤壺へ差し潮いたるおぼろかな 大崎紀夫 やぶれ傘 201107
会釈して去りゆく姿夕おぼろ 仙石君子 雨月 201107
停電の空のおぼろや月かかげ 家塚洋子 酸漿 201107
鳶の弧のおぼろの空を眠らする 安武晨子 201108
「故郷」を歌ひ眼前おぼろなる 細野恵久 ぐろっけ 201204
浦の灯の小粒にならび波おぼろ 市川玲子 馬醉木 201205
おぼろより出でておぼろの中にをり 遠山みち子 201205
合戦に馳せし水軍海おぼろ 片岡久美子 201206
屈葬の形に目覚め鐘おぼろ 荒井千佐代 201206
おぼろ夜の酢を噛み飛鳥人ごこち 千田敬 201206
尖塔点滅蛇行の川のおぼろめく 渡辺輝子 201206
観音の頬にふれざる指おぼろ 柳生千枝子 火星 201206
身を反らせ漁るおぼろの浅蜊舟 浜口高子 火星 201206
夜は石に還る地蔵や星おぼろ 松本三千夫 末黒野 201206
客一人おろすおぼろの路線バス 辻芳子 馬醉木 201207
鯉泳ぐ応挙の板戸おぼろかな 中村洋子 風土 201207
おぼろかな水の中より竜神祠 中田みなみ 201207
小振りなる白鳳鐘のおぼろかな 豊田高子 万象 201207
シンボルの獅子像吠ゆるおぼろかな 宮田香 故郷 201207
あやまちと気づかぬ恋のおぼろかな 中野英伴 春燈 201207
おぼろの夜身に抱くランゲルハンス島 菅谷たけし 201207
心眼に大和三山夕おぼろ 藤原照子 201207
おぼろ夜の震度5髪のぬれしまま 藤原照子 201207
朧よりおぼろへ走り京の水 古賀しぐれ ホトトギス 201208
国境を越え人悼む声おぼろ 大木さつき ホトトギス 201208
おぼろなる沼のいづこか鳰の声 内田郁代 万象 201208
おぼろ夜の噴水たかき逢瀬あり 北崎展江 くりから 201209
石投げて沼のおぼろを引き寄せり 布川直幸 201304
夜咄の円窓の間のおぼろなる 佐用圭子 201305
捨舟の艫綱ゆるきおぼろかな 石橋邦子 春燈 201305
堂おぼろ汲めども尽きぬ大茶釜 門伝史会 風土 201305
おぼろ夜や高架を浮いて行く電車 佐野ときは 201305
火渡りの燠に水打つ夕おぼろ 西村節子 火星 201305
射的屋のネオン近づくおぼろかな 大崎紀夫 やぶれ傘 201305
おぼろ夜の油紙もて出刃包む 原友子 201305
おぼろ夜や最上階のバー灯り 岡汀子 馬醉木 201306
仏頭の面差しおぼろ朧かな 寺田すず江 201306
生飯台の乾びてをりし夕おぼろ 浜口高子 火星 201306
おぼろ夜の父の鳴らせしレジスター 藤田素子 火星 201306
潮の香を曳いておぼろの汽笛の尾 福永尚子 ろんど 201306
おぼろよりぬけてひとつの灯を得たり 豊田都峰 京鹿子 201306
おぼろめく底にひとつの灯の想ひ 豊田都峰 京鹿子 201306
三叉路の先はおぼろにクルス村 堀田恵美子 雨月 201306
おぼろ夜の車の鍵の鈴の音 白石正躬 やぶれ傘 201306
ベレー帽ふり向くおぼろ亡夫ならん 池田かよ ぐろっけ 201307
朧の夜おぼろ心で歩きをり 田中浅子 201307
浮御堂千体仏のおぼろなる 伊藤純子 201307
夕おぼろ古都を見下ろすタワーの灯 福本すみ子 201404
漁火も対岸の灯もおぼろにて 玉置かよ子 雨月 201405
人かげはおぼろの道を曲がりけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201405
夕おぼろ文具売場の位置変はり 田所節子 201405
お互ひに相手気遣ふおぼろの夜 北川英子 201405
おぼろ夜に声の明るき男女かな 林陽子 万象 201405
大方は亡きアルバムや花おぼろ 渕上千津 201406
月おぼろ水惑星の水濁り 田所節子 201406
真珠棚おぼろの波をかぶりをり 石川 倜子 馬醉木 201406
鐘おぼろ横町へすと消えにけり おーたえつこ 201406
緋毛氈抱へられけり月おぼろ 中島陽華 201406
友の家なくなってゐる町おぼろ 中原吟子 雨月 201406
火の中に薬師如来のおぼろかな 雨宮桂子 風土 201406
筆立に筆のなかりしおぼろかな 涼野海音 火星 201406
おぼろ夜やナイフフォークの音に更け 浜口高子 火星 201406
おぼろ夜の背後しんしん美女の翳 丸井巴水 京鹿子 201406
おぼろ夜の酸味ほどよき薔薇茶かな 相沢有理子 風土 201406
おぼろ月あれが最後の息だった たかはしすなお 201406
唐橋のおぼろ月夜や船溜 西本育子 ろんど 201406
牛鳴いて牛が応へて夕おぼろ 林昭太郎 201407
たもとほる飛鳥の里の鐘おぼろ 今井洋子 雨月 201407
鳳凰堂雲中菩薩のおぼろかな 雨宮桂子 風土 201407
七十路のこしかたおぼろ万華鏡 金森教子 雨月 201407
坂の町おぼろ師の窓また朧 樺山翠 雨月 201407
燈を低く書き足す日記おぼろ月 土屋草子 ろんど 201407
切羽へと続ける道のおぼろなる 平居澪子 六花 201408
保育器の穴を覗くや春おぼろ たかはしすなお 201409
おぼろかなバスコ・ダ・ガマの廟に佇つ 中村洋子 風土 201409
見えしとも見えざりしとも富士おぼろ 稲畑汀子 ホトトギス 201503
工事塀囲ひのおぼろ駅通路 田所節子 201504
通夜に行く時も帰りも月おぼろ 高橋 将夫 201504
おぼろ→4      

 

2021年4月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。