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浮くときも生れる水輪鳰    京極杞陽

  かいつぶり

作品
作者
掲載誌
掲載年月
遠ざかる櫓音おぼろや鳰の湖
石谷清武
馬醉木
199806
領域を確かむるかに鳰浮きぬ
稲畑汀子
ホトトギス
199812
鳰潜る水輪の小ささよ
皆川盤水
春耕
199901
水広きところに出でて鳰潜る
神蔵器
風土
199902
釣りの当り鳰に見とれて逃がしけり
金升富美子
199902
鳰見に教室が空つぽに
小澤克己
遠嶺
199903
二階建バスの来てゐる鳰の湖
夏秋明子
火星
199904
漂へる鳰にもしかず詞藻食み
中原道夫
銀化
199904
寒昴るんるん鳰の泳ぎだす
ほんだゆき
馬醉木
199905
日の帯を潜るたび鳰遠くなる
村田近子
遠嶺
199905
つがい鳰水輪のなかに水輪生み
佐々木峻
ヒッポ千番地
199905
潜りゆく鳰の早さや歩を早め
長屋せい子
馬醉木
199907
人伝は雨の水輪か鳰
田口満代子
海程
199909
長命寺湊の鳰に鴨飛来
大橋宵火
雨月
199911
鳰ひとつ寒露の水輪置きにけり
和田祥子
馬醉木
199912
真中てふさびしきところ鳰の浮き
櫨木優子
199912
鳰の潜きし間の冬用意
山尾玉藻
火星
199912
鳰の潜れるたびに日暮れけり
山尾玉藻
火星
200001
不忍の鳰潜るたび灯のふゆる
保坂加津夫
いろり
200001
忘年の隔たりにある鴨と鳰
山尾玉藻
火星
200002
潜きたる鳰に眼を凝らしけり
岸本久栄
雨月
200002
鳰の笛空へ放ちし沼の晴れ
坊城としあつ
円虹
200002
鳰潜り浮いては水の湧くごとし
小川昭江
200003
頭の芯の痛き寒さや鳰
大塚洋子
酸漿
200005
鳰潜り陵の影濃くなれり
柚口満
春耕
200010
まつ晝間の酒や鳰は潜るのみ
中原道夫
銀化
200012
老人になるも愉しき鳰を見て
中原道夫
銀化
200101
夕映えて声まろやかに鳰
小泉晴露
酸漿
200102
焼藷屋ゐて遠鳰の流れをり
高瀬哲夫
200102
鳰くぐり水輪を一つ残しけり
吉永すみれ
風土
200103
足らざるは潜つてをりし鳰の数
山本素竹
円虹
200103
わが思ふはじまりいつも鳰くるよ
岡井省二
200104
一円に一引く鳰の水ばしり
岡井省二
200104
酔うてゐてすとんと酔ふや鳰のこゑ
岡井省二
200104
剽軽の鳰は尻上げかいくぐる
中川濱子
ぐろっけ
200104
鳰の湖ガラスの鍵をポケットに
成定紋子
船団
200106
鳰の笛何か飲みたくなってをり
石橋翠
いろり
200107
メビウスの輪を抜けそこらじゆうに鳰
松永典子
船団
200107
羨しとも息長き鳰の水潜り
能村登四郎
羽化
200110
鳰の離ればなれや沼光る
小林修水
春耕
200201
鳰の湖どの鳰の吹く笛なりや
大石喜美子
雨月
200201
鳰潜り雨の水面のあるばかり
栗林眞知子
円虹
200201
鳰水にも磁界ありにけり
春川暖慕
銀化
200201
鳰棲む湖鳰棲まぬ湖日暮かな
山岡季郷
馬醉木
200202
航跡のうねりに遊ぶ鳰の群
古川利子
200202
きびきびと鳰きびきびと鳰の水脈
池尻足穂
雲の峰
200202
浮き出でし鳰に風ある逆毛立ち
今瀬剛一
200202
多摩川の蛇籠や鳰の羽繕ひ
柳堀喜久江
春耕
200202
棒状のあとの扇状鳰の水尾
小澤克己
遠嶺
200202
浮くたびに鳰が遠のき夕ざるる
藤井昌治
200202
補陀落の雅楽と聴きぬ鳰の笛
友田直文
200203
鴛鴛鳰も鴨に紛れて暮れゆけり
島すが子
200203
珊珊と玉鳴り鳰も加はりて
雨村敏子
200203
浮かび来る鳰の背に雪降り出せり
田中由喜子
馬醉木
200203
鳰のまた視線とめむと浮き上る
綿谷美那
雨月
200203
水中の寧けしと鳰浮みこず
高橋さえ子
200203
一枚の湖一点の鳰潜る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200204
潜りたる鳰に瑕つき冬の水
後藤比奈夫
ホトトギス
200204
鳰比良をさかさにして遊ぶ
足立浩一
200204
鳰潜りをり虹立ちてをり
男波弘志
200204
離れては相寄る鳰やさざれ波
伊藤月江
雲の峰
200204
鳰くぐる静寂は綾のモノトーン
辻田明
200204
風音を聞き分けて鳰潜きけり
鮎川富美子
200204
鳰潜り湖の鳥数読み難し
浜田南風
200205
鳰遊ぶ岸辺を間近湯に浸る
内山和江
200212
喪ごころを曳きずつて来し鳰の湖
伊藤白潮
200301
波荒き竹簀に鳰の寄り添へり
大串章
百鳥
200301
辛酸を舐めて浮かびぬ鳰の皃
中原道夫
銀化
200301
湖のいろはむらさき鳰のこゑ
雨村敏子
200302
鳰鳴きて淡海に偲ぶ人のあり
熊岡俊子
雨月
200302
鳰浮き埋立ては未完成
金森教子
雨月
200302
潜る鳰へ息つめてゐる我がゐる
堀田恵美子
雨月
200303
水よりもさざ波が好き鳰
小倉行子
風土
200303
鳰とても悲しきときは潜るなり
泉田秋硯
鳥への進化
200303
人の目にかかはりはなし鳰潜る
蓮尾あきら
風土
200304
急きて落つ夕日に鳰がまたも鳴く
安達風越
雨月
200304
鳰水の真ん中制しけり
工藤ミネ子
風土
200305
鳰鳥の水尾追ひかけし日差しかな
植木戴子
200305
冴返る阿毘蘿吽欠鳰のこゑ
西村純
200306
鳰くるり天地替へして潜りけり
尼嵜太一郎
ぐろっけ
200308
鳰浮いて沼の光を集めたる
江木紀子
雨月
200312
水面脹るもぐりしままの鳰
吉弘恭子
あを
200312
照り翳るうわなべこなべ鳰鳴けり
朝妻力
雲の峰
200312
百歳の彼方は鳰か菱食か
市場基巳
200312
潜るたび浮くたび鳰の遠<なる>
橋本五月
200312
潜りても浮きても鳰の一羽きり
橋本五月
200312
月光のあそび柄なり鳰
岡井省二
省二全句集
200312
鳰どりの水うらがへしうらがへる
黒田咲子
200401
鳰浮きて水輪ひろぐる日和かな
大畠政子
雨月
200401
散り込めるものにいつより鳰のこゑ
藤田あけ烏
草の花
200401
鳰のごと潜き涙を隠したし
小山徳夫
小春の山河
200401
鳰どりに夢の一字の戻りたる
高橋将夫
200402
さざ波の弾み貰ひて鳰潜る
小橋末吉
対岸
200402
鳰波紋二つは重ならず
藤井美智子
対岸
200402
双眼鏡きょろりと鳰の眼のありぬ
石原勢津子
雨月
200402
鳰ひとつの水輪の天地なる
豊田都峰
京鹿子
200402
鳶鳴きて湖の小皺を鳰ならす
松本鷹根
京鹿子
200402
潜りゐる数はさておき鳰の数
佐藤真次
200402
浮き沈む鳰を散らして船行けり
小林れい
酸漿
200402
鳰一羽浮きて隠沼動きけり
泉田秋硯
200403
旧正の水を走りし鳰
山尾玉藻
火星
200403
鳰潜き空をきれいにしたりけり
城孝子
火星
200403
鳰浮きて見よ宍道湖の夕映えを
山本喜朗
雨月
200403
鳰鳥は昇る朝日の卵とも
林翔
200403
葦間波語尾を確かに鳰拠れり
松本鷹根
京鹿子
200403
鳰見むと一途になりゐたり
冨田正吉
200403
さざなみを押し広げては鳰の声
藤井圀彦
200404
身はすでに流れにまかせ鳰
市場基巳
200404
ゆく年の鳰ひろびろと沖に浮く
市場基巳
200404
浮かびては親しき湖面鳰
松本淳子
対岸
200404
鳰の湖盧原枯るる渚かな
大堀鶴侶
雨月
200405
残照の大河に鳰の一と番
安達風越
雨月
200405
雪崩予報水位回復鳰の湖
大堀鶴侶
雨月
200406
倒立の鳰夕映えの真只中
安達風越
雨月
200406
鳰鳴くや日暮の淀に風荒び
安達風越
雨月
200406
鳰かづく満濃池の田水引く
羽田岳水
馬醉木
200408
鳰啼くをひねもすあやす観世音
小野寺節子
風土
200409
澄む水と鳰の鈴声陵繞る
手島靖一
馬醉木
200412
舟にゐて耳のあとさき鳰のこゑ
雨村敏子
200501
手こぎ舟のうらうらと揺れ鳰
近藤きくえ
200501
翁面のとうとうたらり鳰
中野京子
200501
鳰潜る八幡堀に往来の舟
長村雄作
栴檀
200501
鳰沈む一羽につづく二羽三羽
淵脇護
河鹿
200502
昏れがての雨にをりけり鳰のうみ
竹内悦子
200502
ゴムまりの弾みにも似て鳰浮上
岡崎桂子
対岸
200502
鳰の浮くまで耳は風切るばかり
安嶋都峯
対岸
200502
水底はもう暗きはず鳰の湖
浅田浦蛙
対岸
200502
日曜画家鳰の動きに動きけり
橋本之宏
風土
200502
鳰潜り元の水面となりにけり
橋本之宏
風土
200502
寧日やあらぬところに鳰の浮き
成井侃
対岸
200503
虹の輪へ三たび潜きし鳰
丸山照子
火星
200503
幾度も御破算鳰を数へゐて
隅田享子
200503
鳰潜き広がりゆける波紋かな
山内陽子
万象
200504
さざ波へ突つ込みし鳰遠く浮く
加藤季代
万象
200504
好き好きと言はねば鳰はうなづかず
市場基巳
200504
みづうみの杭の長短鳰沈む
淵脇護
河鹿
200504
鳰潜く怺ふることのあるごとく
岡本眸
200504
鳰いつも暖かく聴く死のはなし
市場基巳
200505
潜るにも浮くにも見合ふ番鳰
中山砂光子
200505
鳴き交す鳰の声あり雪しまく
安達風越
雨月
200505
御破算で願ひましては鳰の岸
梶浦玲良子
六花
200505
鳰一、三、十二まだ見えん
寺門丈明
あを
200505
種浸す農水池に鳰の声
平田安生
風土
200507
魦舟入り来て鳰のちりぢりに
池田倶子
雨月
200507
あれ鴎いや鳩鴉鳰
稲畑廣太郎
ホトトギス
200512
福耳の見つむや鳰の輪を残し
大島翠木
200602
浮御堂鳰の浮巣を秘中の秘
安住敦
春潮
200602
夕日中まぶしき鳰となりにけり
西岡啓子
春潮
200602
退屈のさらさら鳰のまた潜く
足立典子
雨月
200602
尾を引きて日の暮を鳴く鳰の声
足立典子
雨月
200602
あげし声のみこみて見る鳰
高木千鶴子
酸漿
200603
たまたま鳰つるべ落しの満濃池
市場基巳
200604
月輪の幾重なりけり鳰
栗栖恵通子
200604
身の底に残る吹雪の鳰の声
安達風越
雨月
200604
暮れきらぬ水面に小さし鳰
竹内弘子
あを
200605
火恋し鳰に眴せしたのちは
市場基巳
200606
通し鳰器用に生きて堂の距離
鈴鹿仁
京鹿子
200606
雨上がり鳰の浮巣に偽装なし
石堂絹子
河鹿
200608
いぢめつ子いぢめられつ子鳰潜る
梅村すみを
200702
飲み残すきつねの蕎麦湯鳰の湖
鈴木榮子
春燈
200702
鳰浮くを待つアナログの我なりし
岩月優美子
200702
夕づきし湖に遊べり鴨と鳰
横川泰子
酸漿
200702
潜りて`潜りても鳰此の世かな
神蔵器
風土
200703
何もかも捨て夕映えの鳰
橋本良子
遠嶺
200703
退屈な昼の灯台鳰潜る
石橋萬里
ぐろっけ
200703
別々の目が別々の鳰捉ふ
湯川雅
ホトトギス
200704
鳰省二に会ひし貌をして
延広禎一
200704
風除けの立木に寄れば番鳰
黒田咲子
200704
鳰一羽天守の影を乱しけり
前田忍
火星
200704
驚いてまた貌をだす鳰
柴田佐知子
200704
鳰潜りそのまま湖の暮れなづむ
高橋さえ子
200704
鳰潜くメタセコイヤの映る池
岡田章子
ぐろっけ
200705
鳰の巣に池の盛衰ありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200706
鳰の恋夕暮るるまで聞いてをり
山田六甲
六花
200706
鳰のゐるかそけき音に池枯れぬ
瀧春一
200706
筆太き影の一字や鳰
延広禎一
200802
うかと口走り鳰の潜りけり
近藤公子
200802
繍の錦の水面鳰
中野京子
200802
得意中の得意と鳰の潜きけり
大橋敦子
雨月
200802
鳰くぐりてもブラジルは地球の裏
村松紅花
ホトトギス
200803
牛の影鳰の飛ぶ影近江かな
延広禎一
200803
鳰出でて塩蔵のかげ崩れたり
田中佐知子
風土
200804
鳰浮くを暫し待ちをり老夫婦
波田美智子
火星
200804
鳰のこゑ淡海の暮色深まれる
谷岡尚美
200804
湖波の生れ返照の鳰
川口襄
遠嶺
200804
燦爛と波潜り出て対の鳰
岡有志
ぐろっけ
200806
水底は母のふところ鳰
中田禎子
200808
鳰潜る比叡颪の加勢して
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
波寄せて寄せて距離ある鳰の湖
稲畑汀子
ホトトギス
200812
鴛鴦に水を譲らず鳰
山田六甲
六花
200901
鳰潜ぐたびわがこころ丸くなり
城孝子
火星
200902
鳰目を凝し見る池の面
鈴木多枝子
あを
200902
竜宮へ水輪残して鳰
山本雅子
馬醉木
200903
鳰もぐるだけ見てすぐに帰りけり
久津見風牛
200903
念佛の自然に口から鳰の里
久津見風牛
200903
鳰潜き暮色俄や余呉の湖
水谷芳子
雨月
200903
ふり返り鳰浮きくるを確かめて
松本正生
やぶれ傘
200903
鳰浮かべ湖の鈍色雪来るか
中川すみ子
200904
鳰潜り思はぬ方へ浮上かな
中川すみ子
200904
残さるるもののひとつに鳰の水輪
飯塚洋
遠嶺
200904
耳朶に験よき気配鳰のこゑ
延広禎一
200904

悼 小林喜一郎様

鳰一羽残してゐたり筑後川

栗栖恵通子
200904
倒影の富士ゆるびなく鳰の笛
塩見治郎
雨月
200904
沼ねむし鳰の肉声沼に消ゆ
渡邊友七
あを
200905
宵闇や声上げて鳰潜りたる
浜口高子
火星
200912
稲ぼこりの向う鳰啼きにけり
浜口高子
火星
201001
ばらばらと潜り同時に浮きし鳰
長田等
201002
鳰潜き水面の空のゑくぼかな
小泉三枝
春燈
201002
鳰潜るけふあるわれに飽きもして
神蔵器
風土
201002
人の目の死角に鳰のさざなみす
中山純子
万象
201002
水上に鳰の浮沈の入れ替る
湯川雅
ホトトギス
201003
弾みつけもぐる鳰鳥夕茜
稲垣佳子
末黒野
201003
水底の浄土見にゆく鳰
堀正男
春燈
201003
鳰潜る無口の義母の車いす
松本文一郎
六花
201003
重たげな夕日へ潜り鳰
松本文一郎
六花
201003
鳰の群羽音残して飛び立ちぬ
難波篤直
201003
大寒の湖おだやかに鳰の群
木戸宏子
201004
鳰寄りて比叡の影乱す
石原光徳
酸漿
201004
鳰潜り水面の刻の止まりけり
古川敦子
末黒野
201005
鳰鳴きて潮入の池賑々し
網野茂子
酸漿
201005
鳰→ 2      

 

2021年12月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。