かいつぶり(かいつむり)    179句

淡海とは面妖な国かいつむり   八田木枯   俳句

  かいつぶり

作品
作者
掲載誌
掲載年月
浮くよりも潜るがながしかいつぶり 蓮尾あきら 風土 199902
かいつぶり泳ぐ月光世界かな ほんだゆき 馬醉木 199905
君もまた一人るるるるかいつぶり 津田このみ 船団 199907
湖は光の粒とかいつぶり 小枝恵美子 ポケット 199911
池の面に傷ある秋のかいつぶり 木内憲子 199912
吾もまた一人るるるるかいつぶり 津田このみ 月ひとしずく 199912
禊場の真中に出でしかいつぶり 栗栖恵通子 200002
かいつぶり四羽とも見え六羽とも 土井三乙 風土 200002
大琵琶の微塵となりてかいつぶり 粟津松彩子 ホトトギス 200004
かいつぶり落花浮べる川となり 長屋せい子 馬醉木 200006
淺學は直ぐに尾を出すかいつぶり 中原道夫 銀化 200012
野分後の波に乗りたるかいつぶり 高村梢子 火星 200101
降ることを常とす秋のかいつぶり 市場基巳 200101
この年もすでに秒読みかいつぶり 岡本眸 200101
かいつぶり潜きて孤独まぎらすか 西村しげ子 雨月 200103
水鏡ちひさく割りてかいつぶり 川口襄 遠嶺 200103
かいつぶりふり返りつゝ通りけり 石脇みはる 200103
酢の匂ふ運河の町やかいつぶり 大橋克己 雲の峰 200201
かいつぶり泣かぬ迷子のえくぼかな 後藤志づ あを 200201
かいつぶり愛敬ぶりてまたくぐる 大橋敦子 雨月 200202
かいつぶり数へ数へて昏れにけり 小池槇女 火星 200202
かいつぶり底にも雲はなかりけり 豊田都峰 京鹿子 200202
先生の声の方なるかいつぶり 栗栖恵通子 200203
退屈といふこと知らずかいつぶり 稲森柏郎 200203
かいつぶり潜く日輪壊しては 有山八洲彦 200204
かいつぶり浮くたび湖の暮れてゆく 安達風越 雨月 200204
結論は問答無用かいつぶり 小林絹子 帆船 200301
残照や身に合ふ水尾のかいつぶり 竹田巳子子 酸漿 200302
浮かみ来て鴨の中なるかいつぶり 岡本眸 200302
常蔭の水際波立つかいつぶり 岡本眸 200302
ひとり遊びが好きで上手でかいつぶり 千坂美津恵 200303
かいつぶり潜つては浮き陣なさず 福田千代子 築港 200303
白波の際立つてきしかいつぶり 南うみを 風土 200303
陪冢の影揺らしゐるかいつぶり 原茂美 雲の峰 200303
かいつぶり忽然と消え夕静寂 川端実 遠嶺 200304
浮びても風鳴るばかりかいつぶり 安達風越 雨月 200304
かいつぶり潜りたつぷり二タ呼吸 河内桜人 京鹿子 200305
春の川おどけ冠かいつぶり 岡田房子 酸漿 200306
かいつぶり沈みて空の茜色 柴田靖子 200402
隠国の日の座水の座かいつぶり 中村恭子 200403
湖の群青破るかいつぶり 松本恒子 ぐろっけ 200403
かいつぶりと名付けて保育日誌かな 高野良 帆船 200404
かいつむり一人遊びに慣れてゐる 市場基巳 200405
春の川待てど潜らぬかいつぶり 岡田房子 酸漿 200405
潜つては上流に浮くかいつぶり 岸しのぶ 築港 200405
かいつぶり老の孤舟に似てもぐる 橘澄男 山景 200408
岸辺まで拡がる水輪かいつぶり 古宇田敬子 対岸 200502
あらぬ方へ現れにけりかいつぶり 橋本之宏 風土 200502
夕暮れや何処に帰るかいつぶり 橋本之宏 風土 200502
天地の間に水音かいつぶり 柴田久子 風土 200502
竹生島の下くぐり来しかいつぶり 大山文子 火星 200503
暗い方へ考へのゆくかいつぶり 山田六甲 六花 200503
消去法たどり辿ればかいつむり 吉田明子 200503
気まぐれに訪ふや水尾曳くかいつぶり 橋添やよひ 風土 200504
渡し場は晒しの白さかいつぶり 岡本眸 200504
かいつぶり灯点し頃をわきて鳴く 安達風越 雨月 200505
かいつぶり波間に数の定まらず 鎌倉喜久恵 あを 200602
冬用の冠つけしかいつぶり 早崎泰江 あを 200602
かいつぶり心の通ふ沈黙も 須賀敏子 あを 200602
はじめからすれ違ひの妻かいつぶり 堀内一郎 あを 200602
かいつぶり沈む渦より水緊まる 佐藤いね子 馬醉木 200603
弁財天そびらに遊ぶかいつぶり 清水明子 遠嶺 200604
湖は保護色めきてかいつぶり 浅田光喜 対岸 200604
鈴ごゑを張りて春待つかいつぶり 佐藤いね子 馬醉木 200606
かいつぶりこころ急かれてゐたりけり 神蔵器 風土 200701
はじめよき終り拙きかいつぶり 堀内一郎 あを 200702
だしぬけに義士の貌つきかいつむり 吉田明子 200702
見て通る放生池のかいつむり 市場基巳 200703
ましぐらにながき助走やかいつぶり 渡邊紅華 酸漿 200703
気がかりになるほど離れかいつぶり 和田政子 200704
しづかさの水にひろがりかいつぶり 田口紅子 200712
常蔭に水際波立つかいつぶり 岡本眸 200712
戯れごとの翁と嫗かいつぶり 小堀寛 京鹿子 200801
かいつぶり十数ふ間も水くぐる 岡有志 ぐろっけ 200801
かいつぶりオペラグラスに納まらず 山本浪子 風土 200803
ときをりはつじつま合はすかいつぶり 村田冨美子 京鹿子 200803
鴨の群離れてひとつかいつぶり 田所洋子 雨月 200803
かいつぶり固くなりきし紙懐炉 戸田春月 火星 200803
かいつぶり夕べの川の深さかな 石脇みはる 200804
かいつぶり魞の片方のはづくろひ 久津見風牛 200804
潜れるは遊びにあらずかいつぶり 岡淑子 雨月 200804
白日や蕩児のごときかいつむり 吉田明子 200805
かいつぶり潜りしままや花筏 河崎尚子 火星 200807
枝ぶりの松くぐりぬけかいつぶり 渡辺数子 火星 200902
入日影潜くを忘るかいつぶり 山崎靖子 200902
かいつぶり魚になりしか浮いて来ず 山本惠朗 200903
退屈といふもの知らずかいつぶり 吉田空音 炎環 200903
かいつぶり夕日に合点くり返す 吉川隆 春燈 200903
かいつぶりクリスマスの燈くぐりたる 城孝子 火星 200903
かいつぶりよそ見する間に見失ふ 後藤とみ子 ぐろっけ 200903
旅立ちの日や浮巣守るかいつぶり 大坪景章 万象 200908
潜りても浮きてもひとりかいつぶり 村上絢子 馬醉木 201002
わが前に不意に現れたるかいつぶり 加藤みき 201002
かいつぶり浮かぬ貌して浮きにけり 戸栗末廣 火星 201002
身に添ふる水の冷たさかいつぶり 太田佳代子 春燈 201003
かいつむり底を見てより天仰ぐ 加藤兵四郎 201004
浮玉の辺りに浮いてかいつぶり 根橋宏次 やぶれ傘 201005
かいつぶり鳥居に寄する湖の波 渡邉孝彦 やぶれ傘 201005

藤野寿子追悼

引く鴨にいよよ幼しかいつぶり

竹内弘子 あを 201005
くぐりては水脱ぎなほしかいつぶり 片山由美子 201011
みささぎに日を傾けてかいつぶり 佐藤信子 春燈 201102
まう船の着かぬ桟橋かいつぶり 南うみを 風土 201102
かいつぶり潜きて束の間のしじま 岡淑子 雨月 201102
かいつぶりビュッフェの青き女たち 宮崎紗伎 春燈 201103
待つことに慣れて御陵のかいつぶり 雨宮桂子 風土 201103
かいつぶり潜きし春の虹消えし 杉浦典子 火星 201107
六月や水郷めぐるかいつぶり 竹内悦子 201109
さざ波のゆれに番のかいつぶり 宮川みね子 風土 201202
かいつぶり迫る暮色に声こぼす 宮川みね子 風土 201202
かいつぶりむかしの貌に浮き来たる 城孝子 火星 201202
みづうみの端を潜くやかいつぶり 浅井敦子 万象 201202
かいつぶり人の思案の外にかな 楠原幹子 201203
水底に宴あるらしかいつぶり 垣岡暎子 火星 201203
かいつぶり夕陽に水輪置き潜る 小澤菜美 201204
みささぎの堀の水輪やかいつぶり 佐藤信子 春燈 201204
望遠鏡へ突と浮上のかいつぶり 和田崎増美 雨月 201205
日脚伸ぶ潜りしままのかいつぶり 田中佐知子 風土 201205
三人の見てゐる三羽かいつぶり 塩貝朱千 京鹿子 201301
かいつぶりちやつかり鴨に紛れても 藤田素子 火星 201302
かいつぶり地底プレートずれを知る 品川鈴子 ぐろっけ 201304
青竹の水脈をくぐりてかいつぶり 福島せいぎ 万象 201401
夕波にひとり遊びのかいつぶり 錫木妙子 馬醉木 201402
かいつぶりの近寄れば去り距離保つ 竹内悦子 201402
東山の影の中なるかいつぶり 杉浦典子 火星 201403
蓮池の黒子のやうなかいつぶり 大日向幸江 あを 201409
まづ手より眠たくなる子かいつぶり 栗山よし子 馬醉木 201412
結論は意外な方にかいつぶり 岩木茂 風土 201503
銀世界の入江に集ふかいつぶり 増田一代 201503
かいつぶり己が水輪の外へ浮く 森俊人 201504
湖昏れて遠くへ鳴けるかいつぶり 笹村政子 六花 201504
くぐりては群をはぐれぬかいつぶり 笹村政子 六花 201504
浮びてはもぐりし雨のかいつむり 藤生不二男 六花 201504
かいつぶり潜っては浮きまた潜る 秋川泉 あを 201504
日向へと水脈引いてゆくかいつぶり 大崎紀夫 やぶれ傘 201505
かいつぶりどこかで咳をしていたり 火箱ひろ 船団 201508
潜(くぐ)りては近づいてくるかいつぶり 山田六甲 六花 201512
かんむりが浮かみくるはずかいつぶり 浅田光代 風土 201602
着水の二羽は雌雄のかいつぶり 久保東海司 201605
かいつむり浮いてくるかと疑ひぬ 高橋将夫 201606
かいつぶり泳ぐも浮くも一列に 鈴木良戈 201702
竜宮をいつか見たしとかいつぶり 有松洋子 201702
かいつぶり顔を出すたび懐かしく 小嶋恵美 春燈 201702
着水の二羽は雌雄のかいつぶり 久保東海司 201703
潜くたびまた遠くなるかいつぶり 熊岡俊子 雨月 201703
かいつぶり浮きくるやもと待つつもり 根橋宏次 やぶれ傘 201703
銜へたる小鮒一閃かいつぶり 田中とし江 201703
湖を使ひ切つたるかいつぶり 山本則男 201704
浮かび出であたり見回すかいつぶり 笹倉さえみ 雨月 201704
音もなく海に浮きゐるかいつぶり 手島伸子 雨月 201709
川ひろくして真中にかいつぶり 根橋宏次 やぶれ傘 201711
かいつぶり川の中州の際で鳴く 黒澤次郎 やぶれ傘 201712
かいつぶりの浮沈見飽きぬ川灯台 高木春夫 201802
仮の世の浮いては沈むかいつぶり 水野恒彦 201802
着水の二羽は雌雄のかいつぶり 久保東海司 201802
大橋も茜に染まるかいつぶり 荻布貢 201802
かいつぶり波に逆ひ何急ぐ 四方由紀子 風土 201805
潜るとき祈りありけりかいつぶり 沼田巴字 京鹿子 201812
かいつむり水辺ゆたかにしておりぬ 柴田靖子 201902
破れ蓮の池掻い潜るかいつぶり 安部和子 雨月 201902
かいつぶり水面の綺羅を壊しけり 藤原明美 201904
首折れんばかりに潜きかいつぶり 安斎久英 末黒野 201904
立ちあがる水輪の芯のかいつぶり 柴田志津子 201904
潜りては首だけ見せるかいつぶり 植木やす子 201905
かいつぶり水の入口すぐ消ゆる 山本則男 201906
きょっきょきょと鳴きあふ春のかいつぶり 篠田純子 201909
かいつぶり三兄弟かよく遊ぶ 飯塚トシ子 202002
かいつぶりみじろがざれば空動く 中村洋子 風土 202002
使ひ切る水の広さやかいつぶり 山本則男 202006
潜くとき勢ひつけてかいつぶり 森なほ子 あを 202103
松籟や水尾見失ふかいつぶり 菅野日出子 末黒野 202104
どこからも遠いところにかいつぶり 亀井福恵 京鹿子 202105
かいつぶり浮きつ潜りつ池の淵 森美佐子 やぶれ傘 202105
目の先にひよんと顔だすかいつぶり 湯本正友 やぶれ傘 202105
晩学の浮きつ沈みつかいつぶり 栗原公子 202201
かいつぶり影も残さぬ潜きやう 町山公孝 202202
浮かび出て二羽となりたるかいつぶり 門伝史会 風土 202203
夕日濃き湖の入江やかいつぶり 森清信子 末黒野 202203
見沼川水面に浮かぶかいつむり 高橋均 やぶれ傘 202206

 

2022年12月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。