夏暖簾 1    100句

夏のれん釣り幽けく明け暮るゝ    相生垣瓜人

麻のれん   夏暖簾

作品
作者
掲載誌
掲載年月
黍飯の「今昔」と言ふ夏のれん
金子里美
船団
199811
夏暖簾店(たな)のまばたくごとくあり
水内慶太
銀化
199908
真ん中を折りあげてある夏暖簾
山田六甲
六花
199909
駅舎なる「ゆ」の夏暖簾分けにけり
小野島淳
200008
文字透けて風にそよぎし夏暖簾
桑垣信子
いろり
200008
夜の雨を遠くに置きて夏暖簾
村上瑪論
銀化
200010
軒低き郡上紬屋夏暖簾
名取袿子
200108
きびなごの銀の一寸夏のれん
外川玲子
風土
200108
夏のれん宅配便の女声
小池槇女
火星
200110
夏暖簾揺れてもれ来る京言葉
羽生節子
200208
幽明のあひに掛けおく夏暖簾
村上瑪論
銀化
200208
藍染の夏暖簾出すリストランテ
鈴木多枝子
あを
200208
話しつつ人の出で来る夏のれん
元田千重
火星
200209
店先に招き猫置き夏のれん
一ノ瀬千恵
築港
200209
花街は今文化財夏のれん
森理和
あを
200209
菓舗の字を風に歪ませ夏暖簾
島村絹美
200210
金槌を重石に吊し夏暖簾
大堀鶴侶
雨月
200307
夏のれん女板長四代目
宮崎千恵子
帆船
200308
酔ふ君は饒舌になる夏のれん
玉川梨恵
200308
夏暖簾分け明るさの町に出づ
浅川正
雲の峰
200309
夏暖簾路地より見ゆる小庭かな
滝本香世
百鳥
200309
絵草紙の店に小さな夏のれん
上原カツミ
帆船
200309
夏暖簾こなすてふこと住まひにも
矢島久栄
200310
若者のあふるる街の夏暖簾
鈴木清子
遠嶺
200310
普段着の女将がのぞく夏のれん
中村芳子
ホトトギス
200311
夏のれんお店ですかと尋ねらる
林裕美子
六花
200312
夏のれん分けし手にはや大向う
中村嵐楓子
春燈
200410
二世帯をしきる藍染夏暖簾
先崎きくよ
酸漿
200410
蔵の街駐在所にも夏暖簾
石川賢吾
200501
夏暖簾仲居の声のよく通る
山崎祐子
栴檀
200507
風誘ふジャワの更紗の夏暖簾
松波とよ子
春燈
200508
夏暖簾肩より分けて声で入り
塙告冬
ホトトギス
200509
夏暖簾老舗の奥に冷えが棲む
柳生千枝子
火星
200509
二の腕のすんなり伸びて夏のれん
村田菊子
遠嶺
200606
夏暖簾複式簿記に及びけり
鈴木榮子
春燈
200608
夏暖簾町一番の梲上げ
加藤泰子
四葩
200609
昼席や潮風返す夏のれん
和田ゑい子
馬醉木
200610
麻の葉模様の産衣の干さる夏のれん
吉川与音
200610
銀座裏有松絞りの夏のれん
吉川与音
200610
夏のれん戊辰の裔の会津そば
玉川悠
遠嶺
200709
ひらひらと風を流して夏のれん
木内美保子
六花
200710
夏のれん和室は吾の隠れ部屋
和田政子
200808
嬰をあやす夏暖簾よりばあと出て
田中浅子
200810
花街やむかしの透ける夏暖簾
那須淳男
馬醉木
200810
白抜きの屋号凛たる夏暖簾
塩見治郎
雨月
200810
割勘を約してくぐる夏のれん
宇佐見正
200810
へうたんの二つに割れて夏のれん
根橋宏次
やぶれ傘
200810
今月で店を閉ぢると夏のれん
宇佐見正
200811
夏のれん替へて珈琲濃くいるる
川崎俊子
馬醉木
200908
うなぎの字風に泳がせ夏暖簾
柴野静
200909
染め抜きの力士の手形夏暖簾
金子隆吉
200909
ひらり風ひらり文字揺れ夏のれん
落合絹代
風土
200909
箸置は珊瑚のかけら夏暖簾
松山三千江
春燈
200910
先斗町に風のあそびて夏のれん
谷村幸子
200910
ここよりは吾の空間夏暖簾
西面和子
200911
焼け残る蔵の並びて夏暖簾
澤井玲子
201005
藍染の家紋老舗の夏のれん 武生喜玖乃 雨月 201008
深川や伊勢喜くぐりし夏のれん 岡野イネ子 春燈 201010
親しきは東北訛り夏暖簾 西川みほ 末黒野 201011
夏暖簾ふんはり奥の客間かな 荻龍雲 201108
えり足の白きがくぐる夏暖簾 鈴木みのる 風土 201109
奈良漬の老舗をくぐる夏暖簾 中山静枝 201109
風立ちて家紋割れたる夏暖簾 市村健夫 馬醉木 201110
夏暖簾くぐる素敵な脚線美 中西理一郎 201111
酒蔵の白壁に罅夏暖簾 赤座典子 あを 201207
本館の奥に喫茶の夏のれん 中村洋子 風土 201209
茶碗坂風に縺るる夏のれん 三枝邦光 ぐろっけ 201209
細長き路地に風行く夏暖簾 篠田純子 あを 201406
たかんなの染め抜きのある夏暖簾 篠田純子 あを 201406
ひと筆の河童の踊る夏のれん 林範昭 火星 201408
夏のれん派手に楽屋の立女形 大島寛治 雨月 201409
川音のすけて聞こゆる夏のれん 野村鞆枝 京鹿子 201410
京老舖藍にほひ立つ夏のれん 野村鞆枝 京鹿子 201410
理屈屋に頷き通す夏暖簾 覚本秀子 ろんど 201411
身を躱すごと風を梳く夏のれん 梅村すみを 201411
夏暖簾招福猫は裃で 田岡千章 201412
老舗なる江戸はここまで夏のれん 橋本くに彦 ホトトギス 201412
夏のれんゆつたりかかげ老舗かな 大湊栄子 春燈 201509
湖からの風まつすぐに夏のれん 青木朋子 201510
夏のれん心逸りてくぐりけり 東野鈴子 雨月 201511
夏暖簾老舗の今を語りをり 長崎桂子 あを 201608
夏暖簾風が開いてくれにけり 高橋将夫 201609
台所で皿を置く音夏暖簾 丑久保勲 やぶれ傘 201609
写楽の絵染めて蕎麦屋の夏のれん 菊池洋子 やぶれ傘 201610
やあやあと腕押し入る夏のれん 中島芳郎 201610
客足の早きに掛けて夏暖簾 須藤常央 ホトトギス 201611
一力のちらりと見えし夏暖簾 千原叡子 ホトトギス 201612
風はらみゆつたり戻る夏暖簾 菊地光子 201708
夏暖簾 →2      

 

2023年7月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。