くらげ 3       100句

わだつみに物の命のくらげかな  高浜虚子  五百句

くらげ  くらげ(夏以外)

作品
作者
掲載誌
掲載年月
はじめから浮み疲れの海月かな
竹内弘子
あを
201107
力抜く海月は水になるために
安居正浩
201108
腹蔵のなくて水母に癒さるる
楠原幹子
201108
打ち寄せられ月の水母は月の色
山中宏子
201109
水海月けふの自分を消したくて
田所節子
201109
水槽の水母透かして水母見ゆ
瀬島洒望
やぶれ傘
201109
余震なほ川遡る水海月
小川玉泉
末黒野
201110
手の平にわづかに余り水海月
小川玉泉
末黒野
201110
高波を連れて海月の押し寄する
都留百太郎
末黒野
201110
海熱し水母の器管光りをり
有松洋子
201110
夏帽子くらげの海を覗きゐる
大東由美子
火星
201110
曖昧な相槌ばかり大海月
福島松子
ぐろっけ
201111
海月浮くあの世この世をふよふよと
鶴濱節子
始祖鳥
201206
笠広げ闇に揺らめく水くらげ
長濱順子
201208
くらがりに流されてゆく海月かな
栗栖恵通子
201208
道連れは行燈海月とまんばうと
雨村敏子
201208
衣ずれの音も透明海月浮く 北川英子 201208
上潮に抗ふ海月倒立す 篠田純子 あを 201208
水に溶けたくて海月の裏返る 田所節子 201209
雲を食ふやうな心地で海月食ふ 杉本薬王子 風土 201209
昼ひと日満中陰の海月浮く 西田孝 ろんど 201209
透けきらぬ愁ひ漂ひゐる海月 湯川雅 ホトトギス 201210
再稼働と越のくらげを憂ひけり 松岡和子 201211
地球今涼し兜太と水母居て 竪山道助 風土 201211
わたつみに水母となりて浮き沈む 三橋早苗 ぐろっけ 201211
透明を形に嵌めて海月浮く 湯川雅 ホトトギス 201211
海中へ視線を足して海月追ふ 湯川雅 ホトトギス 201211
漂うて寄りたる海月強面 加藤みき 201211
波になるか潮にとけるか水海月 吉弘恭子 あを 201211
天空を呑みし海より海月浮く 本多俊子 201211
海月浮くただ待つことのむつかしく 桑田多津 京鹿子 201301
目を閉じて海月の海を浮遊する 平井奇散人 船団 201306
流されて紅い手毬と海月かな 水野恒彦 夢寐 201306
月の夜の水母になりて漂はむ 松本周二 かさね 201310
海月ショーおでこくっつけ動かざる 明石文子 ぐろっけ 201310
海月浮きちぎれ雲浮く入江かな 渡辺富士子 末黒野 201311
石打たれうたれ水母は消えゆけり 瀧春一 花石榴 201312
桟橋に寄せる海月のもりあがり 那須淳男 馬醉木 201312
海月には海月の言ひ分優男 今井春生 201312
円かなる海月や秘するものはなし 佐久間由子 201401
水母なす国のいしずゑ海鼠かな 柳川晋 201403
岸壁の鉄の匂や水母浮く 野坂民子 馬醉木 201407
海底の朽ちし船よけ海月かな あさなが捷 201407
くらげ群れ伏流果つる日本海 渕上千津 201408
橋立は男松ばかりや海月浮く 山本耀子 火星 201408
忌に思ふ先師の笑みや海月浮く 千田敬 201408
海月見てゐて水中にゐるやうな 近藤牧男 春燈 201409
こもごもの告知幽霊水母かな 中田禎子 201410
躓いてゐるは波とも海月とも 湯川雅 ホトトギス 201410
海月浮く地球ゆつたり回りゐて 田所節子 201410
海の色掬ひ上げたる水母かな 前田美恵子 201410
漂泊のリズムしたたか海月かな 神戸やすを 201410
海月乗る波の揺り籠波が押す 湯川雅 ホトトギス 201411
歪むとき海月の向きの変るとき 湯川雅 ホトトギス 201412
浮かばんとしたる海月を叩く雨 湯川雅 ホトトギス 201501
雨脚の届かぬ深さへと海月 湯川雅 ホトトギス 201501
うたた寝の闇より湧きし海月かな あさなが捷 201508
欲心の無ささうでなし海月浮く 山口ひろよ 201508
漂へる電気くらげに部品かな 八木健 八木健俳句集 201509
海月浮く船の出て行く船着場 廣瀬雅男 やぶれ傘 201509
大日暈河口に海月群れゐたり 柳澤宗正 万象 201509
方途なきことの気儘な水母かな 松本文一郎 六花 201509
骨のある水母を探してをりにけり 柳川晋 201510
越前や水母に慣ふ過ごし方 岩下芳子 201510
原子炉の排水口の大水母 中林晴雄 201510
けふ見たるくらげいまごろ銀河 佐藤喜孝 あを 201510
きちやうめんな水母居るらし夕間暮 元橋孝之 京鹿子 201511
沈みゆく海月に波の拡大鏡 湯川雅 ホトトギス 201512
水母なら漂ふだけでよいけれど 和田華凛 ホトトギス 201512
深海の水母重い重い口ひらく 直江裕子 京鹿子 201512
海月浮くぽこつと音のしたやうな ふけとしこ 船団 201512
海月来て浮桟橋の軋みをり 岸本順子 京鹿子 201601
水海月晩節愁ふこともなし 浜崎素粒子 ホトトギス 201603
梅雨出水母が預かる父の印 中川句寿夫 あを 201608
梅雨傘のクラゲ一団渡りきる 丸井巴水 京鹿子 201608
貴婦人の帽子のやうな海月かな 本多俊子 201608
船笛に海月浮き来る日和かな 佐藤博重 春燈 201609
ひんやりと海月のいのち燃ゆるかな 小林文良 春燈 201609
路地奥に水母が浮いてこんちきちん 火箱ひろ 201609
海月浮く海月にうしほ人に時 間島あきら 風土 201609
波と何語る水母は海の花 田所節子 201609
九十九湾海月を分けて船進む 田中藤穂 あを 201609
水くらげ溺れてゐるのかも知れず 戸栗末廣 201610
透明な海月のダンス見て飽かず 坂入妙香 春燈 201610
突つく棒引けばたちまち海月群る 加藤峰子 201610
漂うて傷癒しゐる水母かな 山内洋光 201610
思ひ出すひとの名水母裏返る 山口ひろよ 201610
海月浮く寄辺の波に紛れては 湯川雅 ホトトギス 201611
水海月踊り続けるバレリーナ 藤田美耶子 201612
毒クラゲ腿の深さで人を待つ 吉村摂護 201612
生くるとはかくも単純海月かな 楠原幹子 201708
シャンパンの泡になりたる夜の海月 大日向幸江 あを 201707
君恋し海月の青く見ゆるとき 鷹崎由未子 春燈 201708
絡みあふと見えて絡まず水母の尾 篠田純子 あを 201708
昇進も停年もなく海月かな 七田文子 201709
うろくづや海月の見せる底心 岩下芳子 201710
水槽の海月ふはりと海月避く 橋本順子 201710
心臓が泳ぐやうなり水海月 布施由岐子 末黒野 201711
水母にも目的の二字隠し持つ 丸井巴水 京鹿子 201711
地図読めず取説読めず海月浮く 相模温子 京鹿子 201711
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