くらげ2       149句

沈みゆく海月みづいろとなりて消ゆ    山口青邨

くらげ  くらげ(夏以外)

作品
作者
掲載誌
掲載年月
寝不足の頭にくらげ浮いてをり
平田倫子
百鳥
200210
海月浮く二十四時間心電図
角田信子
六花
200210
埋めずして海月溜りの三番瀬
能村研三
200210
繋船の隙に海月のうらがへり
能村研三
200210
月の下水母輪郭ありにけり
松本恭昂
火星
200210
桟橋へくらげの海をひと股ぎ
米澤光子
火星
200210
網重く水母大漁とは知らず
泉田秋硯
200211
どこにでも顔を出す人水海月
半澤佐緒里
百鳥
200211
渦潮に我を失ひ海月かな
羽根田和子
百鳥
200211
青空に透かせば水母そらになる
尾上直子
200211
自我強き海月か深く潜りゐる
河内童楽
六花
200211
海月群れ魚は眠りにおちてゆく
河内童楽
六花
200211
秋潮に返せば透けり手のくらげ
西山美枝子
酸漿
200211
海月浮き群れて踊らんばかりなり
小西明彦
200302
まどろみの風邪のひたひに海月かな
吉弘恭子
あを
200304
壇ノ浦海月の影と武者の影
佐土井智津子
ホトトギス
200305
異国より異変の怯え海月浮く
鈴鹿仁
京鹿子
200306
舷に倚りし水母の生死かな
宇都宮滴水
京鹿子
200306
水母浮く光陰といふこともなく
豊田都峰
京鹿子
200307
春愁の地に張り付きし海月かな
藤森万里子
百鳥
200307
夕空を見上げ水母となつてをり
高木智
京鹿子
200308
水母見てゐて昇進に遅れけり
成井侃
対岸
200308
穏やかや湾に水母のたゆたへり
浜中雅子
遠嶺
200309
水母からがんがぜまでの深さかな
高橋将夫
200309
くれなゐの海月と海星遊泳す
石脇みはる
200309
川上に幽霊くらげ流れをり
南一雄
200309
くらげ曼陀羅我が骨とほく撒きにけり
南一雄
200309
浮桟橋われも水母となりてをり
加藤富美子
200310
海月浮く揚荷の白き頭文字
松澤秀昭
200310
一湾を海月の泳ぐうす月夜
田中藤穂
あを
200310
月光や海月は傘をひらきづめ
片山タケ子
200310
穀物船かこみ海月の浮きにけり
松本欣子
百鳥
200311
海月を捕まへた一回煮てみよう
滝沢環
京鹿子
200311
ふらりふらり水母は海のフリーター
楯野正雄
200312
水脈疾しくらげの命裏返す
山下繁子
河鹿
200401
熔岩に寄せ水母ひたすらくつがへる
九万田一海
河鹿
200401
闘はず冬の水母は沈みけり
里中章子
200403
象のからだ海月のごとし梅雨に入る
竹内弘子
あを
200406
満面に海を附けたる海月かな
吉弘恭子
あを
200407
帆船の世の恋しやと浮く水母
杉良介
200407
逍遥の浜や鰡飛び海月浮き
磯野しをり
雨月
200408
百回の句座で在りけり水母浮く
中島紅からす
草の花
200408
水海月ぶつかりさうでぶつからず
森理和
あを
200408
傘の恥部さらして水母覆へる
淵脇護
河鹿
200408
流されて赤い手毬と海月かな
水野恒彦
200409
浮いて来る水母にありし深情
菅原健一
200409
ホテルの灯岬にありし水母かな
飯塚ゑ子
火星
200409
青水母泣く子も浜のひとりかな
宇都宮滴水
京鹿子
200409
くろしをの端に海月の骨ひかる
天野きく江
200410
囚われの水母に砂のお城なぞ
鳥川昌実
六花
200410
平家落ちのびし潮路に海月浮く
三村純也
ホトトギス
200411
海月みる骨ある人の後より
出口一点
百鳥
200411
越前水母ハンモックにて水夫ねむる
黒田咲子
200411
月までも泳ぐつもりの水母かな
岸田雨童
草の花
200411
波にのり海月ひねもす漂へり
山崎辰見
ぐろっけ
200411
浜の子に放られ乱れ海月干る
中野英歩
八千草
200412
水海月ぎゅつと絞れや脳の皺
中野英歩
八千草
200412
我を刺しその意つらぬく海月かな
西島みね子
八千草
200412
海月夜松を離るる風のこゑ
淵脇護
河鹿
200501
水母見し夜は家中が漣す
山元志津香
八千草
200501
桟橋に海月をさがす船待つ間
伊藤白潮
200506
大叔母の顔して寄り来海月なり
山尾玉藻
火星
200507
広げたりすぼめたりして水母かな
山田六甲
六花
200507
水母うく沖に大きな貨物船
中道愛子
200508
てのひらの水母いかやうにもなれり
黒田咲子
200508
旅三日四つ目水母の漂へる
斧田綾子
対岸
200508
船上で観るフラダンス海月かな
仲村洋子
百鳥
200508
大あくびして漂へる海月かな
あさなが捷
200508
浮きあがる生命海月は泪いろ
望月木綿子
200509
をんならに覗かれ海月沈みけり
米澤光子
火星
200509
なにはさて集つて来る海月かな
片岡静子
200509
昼月になりきつてゐる水母かな
近藤喜子
200509
潮溜り海月とろりと眠りをり
鎌倉喜久恵
あを
200509
船去りて海月に日矢の透りけり
松田有伽
河鹿
200510
大物になる貌をして水母浮く
市場基巳
200510
力溜めつつ吐きつつ海月泳ぐなり
中根美保
風土
200510
吾を刺せし海月に与ふ日干刑
泉田秋硯
200511
海病めり水母矢鱈と湧き出でて
泉田秋硯
200511
長き長き海月の触手休暇果つ
五十嵐暢子
対岸
200511
気ままさよくらげ一と浮き一と沈み
村松紅花
ホトトギス
200512
波止の灯の届けば舞ひぬ花水母
新田巣鳩
馬醉木
200512
次々と浮きくる海月壇ノ浦
今瀬剛一
対岸
200601
青水母よるべなき身はとどまらず
安田優子
京鹿子
200601
夜の海月われも水溶性なりき
吉田明子
200601
古事記にある久羅下は幽霊水母かな
山元志津香
八千草
200602
逆夢を海月の出たり入つたり
栗栖恵通子
200606
波といふ海月の自由ありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200607
満月や半月となり海月ゆく
岩木茂
風土
200608
煩悩の呼吸してゐる海月かな
本多俊子
200609
一心に浮きて海月の頼りなし
木内憲子
200609
水母活く狂ひしままの羅針盤
宇都宮滴水
京鹿子
200610
原発の排水口に寄る海月
足利ロ子
ぐろっけ
200610
海月にも似て漂泊の青春期
野崎真一
200610
海くらげ増え過ぎ気骨など知らず
荻野千枝
京鹿子
200611
余所者に天草水母容赦なし
山中宏子
200612
湾の陽のふと力抜け海月浮く
山本正
京鹿子
200701
毒くらげ足元ゆらぐ科学館
池崎るり子
六花
200704
水母浮く硝子の傷の向こう側
ことり
六花
200706
ひとりづつ雨傘水母見下ろせる
佐藤喜孝
あを
200707
玻璃に透く海月の浮遊水族館
中村悦子
200708
水母覆へるフェリーの横波に
馬越幸子
ぐろっけ
200708
水母は沖へ沖へと男低唱す
水野恒彦
200709
もしかしてわれは海月でありしかも
竹下昌子
200709
町川に夢幻のはなの海月かな
柿沼盟子
風土
200709
曖昧に癒されてゐる海月かな
篠藤千佳子
200710
御台場の浮遊してゐる海月かな
須藤美智子
風土
200710
悔いのない恋をせりとて海月浮く
あさなが捷
200710
上げ潮にのりくる夜半の水母かな
山田六甲
六花
200710
くらげにも火急のときやかしぎをり
佐藤喜孝
あを
200710
魚より海月の重き網を引く
苑実耶
200711
水底のいろに沈みし海月かな
真保喜代子
200711
掬はれて水母に影の生まれけり
谿昭哉
200803
死ぬまでは海月生きねばならぬなり
本多俊子
200806
己が影探しに沈む水くらげ
北川英子
200808
舟屋口芥の中に海月浮く
山路紀子
風土
200808
桟橋の下にただよふ大海月
大信田梢月
万象
200808
海月浮く基本の円を歪ませて
湯川雅
ホトトギス
200809
大き水母小さき水母現はるる
きくちきみえ
やぶれ傘
200810
大水母海の異変を悟らしむ
泉田秋硯
200811
島風や海月が友でありしころ
大西洵子
遠嶺
200811
海月浮く太古のままの姿して
高木典子
雨月
200811
くらげ浮く朝の海の透きとほり
斉藤小夜
風土
200811
豪華客船くらげの重さ量りゐる
伊藤希眸
京鹿子
200812
海原の時間の外で海月浮く
松田都青
京鹿子
200901
凪の夜は月と戯むる水母かな
徳田千鶴子
馬醉木
200907
息を吐ききつて海月の暗みたる
杉浦典子
火星
201008
内海に敵なし水母鳴くもよし
丸井巴水
京鹿子
201010
水底はいつも夕暮海月の子
福水尚子
ろんど
201010
寄する波三つ四つ來たり海月かな
長崎桂子
あを
201010
沈めたる姿に海月浮いてをり
湯川雅
ホトトギス
201011
浮き沈む水母に小さき智慧袋
丸井巴水
京鹿子
201011
打ち上る海月に波の遠ざかる
桜三奈子
201012
いろは丸遣ひの水母ふくらみ来
和田照海
京鹿子
201012
水母→ 3      

 

2021年8月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。