九 月 3    104句

ほろほろと生きる九月の甘納豆    坪内稔典

九月  九月尽

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書その他
躍進の船出九月の青き海 林友次郎 遠嶺 200912  
怠けゐる脳を許せば九月なり 竹下昌子 200912  
九月とは寂しきひびき手紙書く 竹下昌子 200912  
九月十五日三郷忌正翠忌 戸田澄子 末黒野 200912  
天秤に九月の風の乗つてゐる 浜口高子 火星 200912  
九月来るしだれ槐の影の中 渡邊美保 火星 200912  
軽やかに浮かぶ綿雲九月来る 石井邦子 酸漿 200912  
青々と山裾暮るる九月かな 高倉和子 201001  
銀幕に女優老いたり九月果つ 中原敏雄 雨月 201001  
九月休まず十月は止まらずに 高橋将夫 201002  
病窓を過ぎゆく雲や九月果つ 中島知恵子 雨月 201002  
やうやくに九月の風が湖走る 中川すみ子 201011  
はなまきの九月の風や「どつどど」と 荻野嘉代子 春燈 201011  
内視鏡わが腑映して九月かな 鈴木セツ 201011  
八月や大きく息をして九月 竹内悦子 201011  
水の地球風ざはめきて九月かな 松原仲子 201011  
集まりし子ら焦げくさき九月かな 辻美奈子 201011  
九月来し宙をさぐれる蔓の先 松井倫子 火星 201011  
風の九月ひと日ひと日を八十路へと 濱田カノエ 酸漿 201011  
白陀師忌正翠師忌の九月来ぬ 松本三千夫 末黒野 201012  
白雲にとどまる夕日九月なり 加古みちよ 火星 201012  
重たさう九月脚長蜂の脚 定梶じょう あを 201012  
九月果つ男の刻は大股に 松田都青 京鹿子 201101  
のぼりゆく九月の暮色もぐり橋 梶浦玲良子 六花 201101  
竹林をざわつと風の九月かな 國保八江 やぶれ傘 201101  
須田町の八月九月のぜんざい屋 岡野イネ子 春燈 201110  
連山の裾野明るき九月かな 高倉和子 201111  
逆さまに睫毛の謀反九月かな 鈴木セツ 201111  
九月に入り歩行練習日に二度す 山田をがたま 京鹿子 201111  
なだらかな坂くだりゐる九月かな 太田佳代子 春燈 201112  
病室の窓に雲立つ九月かな 高倉恵美子 201112  
荒波や師の忌重なる九月来ぬ 田中臥石 末黒野 201112  
出来立ての風髪なぶる九月かな 折橋綾子 201112  
秘められし父の贅沢九月場所 濱上こういち 201112  
珊瑚樹の葉のつやつやと九月かな 柳生千枝子 火星 201112  
折鶴の首立ちあがる九月かな 辻美奈子 201112  
九月四日櫛の日父の忌なりけり 相沢有理子 風土 201112  
偲ぶ人多き九月でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209  
高校の始業放送九月かな 大日向幸江 あを 201210  
山々に雲のまたがる九月かな 亀井紀子 201210  
市議会の選挙済みたる九月かな 佐藤健伍 201211  
山々に雲のまたがる九月かな 亀井紀子 201211  
九月来や師の忌身内の忌を迎ふ 菅野蒔子 末黒野 201211  
万物の息ととのふる九月かな 本多俊子 201211  
真夜中や九月の蝉の声ひとつ 岩下芳子 201211  
音合はす弦楽器室九月くる 中沢三省 風土 201212  
トルソーの片側暗き部屋九月 山口ひろよ 201212  
蝶交む九月の湖のうす濁り 宮崎きみ枝 201212  
給食の真白き帽子九月来る 杉浦典子 火星 201212  
蛸壷にこもる風音九月行く 川端俊雄 火星 201212  
ぽつかりと九月の雲となつてをり すずき巴里 ろんど 201212  
尖閣の山野を駆ける山羊九月 鴨下昭 201301  
天地人九月の雨に生き返る 向江醇子 ぐろっけ 201301  
飛箱に少女風切る九月かな 神田恵琳 跫音 201303  
顔冷えて来たる九月の桐畑 水野恒彦 夢寐 201306  
こと多き九月咲き継ぎ百日紅 野沢しの武 風土 201308  
九月より稲畑汀子復活す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201309  
夜なべして出すホトトギス九月号 稲畑廣太郎 ホトトギス 201309  
大会に怒濤の九月締め括る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201309  
九月小旅付き添ひくるる妻をりて 野沢しの武 風土 201309  
トテ馬車の蹄の音も九月かな 小柳千美子 かさね 201311  
九月来る夕日の中の大聖堂(カテドラル) 瀬戸悠 風土 201311  
裏山のやや退りたる九月かな 浜口高子 火星 201311  
用も無き道に出でたる九月かな 高倉和子 201311  
みづならの空の平らかなる九月 蘭定かず子 火星 201311  
天帝に翻弄されし九月逝く 粟倉昌子 201312  
鳥も雲もいれかはりたる九月かな 松崎雨休 風土 201312  
九月かな空港模型広々と 数長藤代 201312  
一すぢとなる藻の流れ九月かな 浜口高子 火星 201312  
藁草履臭ひこぼして九月かな 鴨下昭 201401  
二の腕の心細きや九月来る 野口宗久 京鹿子 201401  
川音の折り折り変はる九月かな 亀井紀子 201402  
東京五輪決定九月八日沸く 落合由季女 雨月 201403
定まらぬ九月の空に独り言 四條進 201411  
師の忌日多き九月や雲のとぶ 岡田史女 末黒野 201412  
山門の風組み替はる九月かな すずき巴里 ろんど 201412  
透明な朝九月の紅茶かな 松林依子 201412  
吊革に乳房の並ぶ九月かな 波戸辺のばら 201412  
カンナ切る九月一日九十歳 岡崎禎子 201412  
存分に九月の水を使ひけり 藤生不二男 六花 201412  
もう九月芒を活けておはぎ出て 後藤立夫 ホトトギス 201501  
イカ焼きの列に加わる風九月 長谷川博 船団 201505  
子規庵の九月を刻む古時計 南北佳昭 船団 201508  
ワイングラス二つそろへて九月来る 宮川みね子 風土 201510  
映像のつめたき定め九月の災 和田政子 201511  
九月来る頭巾新たな地蔵尊 飯田ひでを 201511  
雲行きて旅ごころ立つ九月かな 鈴木セツ 201511  
九月芝居木偶人形の白き顔 吉田政江 201512  
九月くる風に木の声草の声 原田しずえ 万象 201512  
目薬の文机にある九月かな 松田泰子 末黒野 201512  
上映を待つざわめきの九月かな 種田果歩 201512  
前髪をきゅつと十五九月来る つじあきこ 201512  
別れせまり九月の珈琲のむ 吉原彩 船団 201602  
牛の眼の藁色なせる九月かな 伊藤通明 201603  
九月くる真白きものに握り飯 辻美奈子 201611  
ヨーグルトにジャム沈みゆく九月かな 小川流子 201611  
独り居に九月の風のやさしさよ 大湊栄子 春燈 201611  
九月かな病床に祝ぐ誕生日 下田奉枝 雨月 201612  
淡海航く振る手九月の風となり 熊川暁子 201612  
採血の血のはればれとして九月 高野春子 京鹿子 201612  
色変へて空は九月を主張する 川崎真樹子 春燈 201612  
綾子恋ふ九月の風のひらめきに 原田しずえ 万象 201612  
思ひきり人を愛せずはや九月 直江裕子 京鹿子 201701  
九月一日母が野菊になりし朝 中居由美 船団 201707  
気温ほぼ平年並みでない九月 中谷三干子 船団 201707 九月→4

 

2020年9月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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