蝙 蝠   91句

蝙蝠や潮満ちたる島社   松根東洋城

蝙蝠  蚊喰鳥  かわほり

作品
作者
掲載誌
掲載年月
餌を狙ふ早さ蝙蝠とぶ迅さ 稲畑汀子 ホトトギス 199806
蝙蝠が三日月銜へて来たむかし 西村葉子 京鹿子 199811
蝙蝠に追われて急ぐ縄のれん 平井奇散人 船団 199811
蝙蝠に生まれて上手に避け合えり 池田澄子 船団 199812
天井に蝙蝠の垂れ鏡の間 鷹羽狩行 199908
蝙蝠掴むさっちゃんのいない夜 寺田良治 船団 199912
通学中の蝙蝠傘に天の火柱 坂本木耳 海程 200004
蝙蝠の夕べは長し家居して 稲畑汀子 ホトトギス 200006
蝙蝠がどこかにひそむ化粧部屋 品川鈴子 ぐろっけ 200006
屋根裏の蝙蝠とわれ夜更しす 品川鈴子 ぐろっけ 200006
蝙蝠がしきりに夜を誘ひをり 貝森光大 六花 200009
蝙蝠を吐く「蛇(じや)の穴」に渓の月 三嶋隆英 馬醉木 200010
日を吸へる大蝙蝠や築り池 柴田由乃 風土 200106
蝙蝠に暮れゆく四条河原町 谷野由紀子 俳句通信 200108
蝙蝠や艾屋夜もかうかうと 北吉裕子 俳句通信 200108
蝙蝠や下駄履いて入る浜の風呂 朝妻力 俳句通信 200108
落し蓋もう蝙蝠の帰るころ 梶浦玲良子 六花 200108
蝙蝠とわれに乳ある不思議かな 渡辺みどり 200108
蝙蝠に乳房ありけり胞衣の神 延広禎一 200109
蝙蝠馴れ子の指先に寄つて来る 佐々木春子 200110
蝙蝠の乳飲む子見ゆ換気口 佐々木春子 200110
雨月なり蝙蝠傘の中の顔 小山森生 200112
たわたわと蝙蝠まふや御灯明 柿原金米 船団 200201
迷ひ込みし蝙蝠放つ星月夜 小野タマ枝 酸漿 200201
蝙蝠の飛び交ひて闇近づかず 池崎るり子 六花合同句集 200205
蝙蝠に高枝剪の伸びてゐる 山田六甲 六花 200207
蝙蝠や鉄の臭ひに運河暮れ 西村博子 馬醉木 200208
三十度斜に構え見る大蝙蝠 河内童楽 六花 200209
蝙蝠や老い少しづつ少しづつ 半澤佐緒里 百鳥 200211
洞窟に水音蝙蝠冬眠中 鳴海清美 六花 200304
蝙蝠や明治の厩舎戸を鎖して 米倉よしお 雲の峯 200307
蝙蝠の空の彼方の入日かな 池屍足穂 雲の峰 200309
家ぬちの壁擦れ擦れに蝙蝠飛ぶ 森理和 あを 200309
蝙蝠こい屋根でおとうと旗をふる 田村みどり 京鹿子 200311
玄室の壁の蝙蝠影ゆらす 神山テル 栴檀 200409
蝙蝠にはなしかけつつ逃がしをり 赤座典子 あを 200508
蝙蝠が来て新しき闇となる 高橋将夫 200508
火薬庫の軒蝙蝠の出入りかな 徳丸峻二 風土 200508
頭上とぶ蝙蝠風を妖しめり 石田邦子 遠嶺 200510
蝙蝠の闇といふ闇知り尽くし 稲畑汀子 ホトトギス 200606
夜を統べて蝙蝠夜を使ひ切り 稲畑汀子 ホトトギス 200606
蝙蝠(かわほり)の飛び交ひて闇近づかず 池崎るり子 六花 200704
碧き目の僧へ蝙蝠「ボナセラ」と 品川鈴子 200708
蝙蝠に幾何学の闇ひるがへす 犬塚芳子 200802
蝙蝠を銜へて猫のまんまる眼 山田六甲 六花 200809
ポケットを広げ蝙蝠見せにけり 岡本高明 船団 200809
蝙蝠の星を追ふとき黒衣脱ぐ 鈴木直充 素影 200811
蝙蝠穴出でて目に染む黄葉かな 田中きよ子 酸漿 200901
蝙蝠や青鬼神社の豆電球 中田みなみ 200909
蝙蝠をつれて日暮はやつてくる 高橋将夫 200910
ゆるやかに来る蝙蝠も夕暮も 高田令子 200911
音の無き秋の蝙蝠乱舞かな 前川明子 200912
夕づつに連られ蝙蝠盲飛び 鳳蛮華 201009
傘立の脇で蝙蝠寝てゐたり 本多遊方 春燈 201010
蝙蝠の翼ひらけばベルベット 宮田香 201108
蝙蝠や富の名残の深庇 松本俊介 春燈 201110
炎帝へ蝙蝠傘で抗しけり 伊東和子 201110
送り火や蝙蝠の影かぶさり来 大湾宗弘 万象 201112
蝙蝠の洞に真水の落ちし音 竹中一花 201209
蝙蝠の空や湯中り鎮まりし 竹中一花 201209
蝙蝠のへらへらあぶらたらしつつ 佐藤喜孝 あを 201209
白鼻心蛙蝙蝠庭に糞 森理和 あを 201211
蝙蝠の降り来る前の空深し 柿沼盟子 風土 201211
土を這ふ昼の蝙蝠つつがなく 山本鬼之助 201212
蝙蝠傘濡れてるままに春の雨 吉弘恭子 あを 201305
蝙蝠に不夜城時を刻まざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
蝙蝠に命つなぎし戦あり 稲畑汀子 ホトトギス 201306
蝙蝠の夜毎太りて月襲ふ 奥井あき 201311
蝙蝠や子捕ろことろに日が暮れる 田岡千章 201312
湯にあれば蝙蝠が飛ぶ蝉が飛ぶ 松村光典 やぶれ傘 201312
蝙蝠のフン落ち始む朝の庭 森理和 あを 201407
黄昏の空を蝙蝠ばかりとぶ 佐津のぼる 六花 201410
蝙蝠を小石で追へり草野球 鳳蛮華 201411
蝙蝠の落日急かす乱舞かな 本池美佐子 201508
蝙蝠のぶら下げてゐる昼の貌 近藤喜子 201508
蝙蝠が飛んで運河の水は暮れ 大崎紀夫 やぶれ傘 201509
蝙蝠や本音を言はぬ生き方も 金子正道 京鹿子 201510
日かんかん蝙蝠傘を日傘にす 加藤みき 201510
蝙蝠や散り散かに子ら帰りけり 住田千代子 六花 201512
蝙蝠や水に沿ひたる裏通り 吉村摂護 201602
人の世に蝙蝠の飛ぶ夕暮も 後藤比奈夫 ホトトギス 201603
蝙蝠や音で描きし世界観 江島照美 201709
蝙蝠や定員割れの草野球 松尾龍之介 201801
蝙蝠やスーパームーン借景に 三木亨 201809
蝙蝠の翼ひろげて間氷期 阪野基道 船団 201809
蝙蝠がふぎらふぎらと囃してる 平井奇散人 船団 201809
蝙蝠や水面に遅れ空暮るる 佐津のぼる 六花 201911
蝙蝠に宙を譲りて軒の巣へ 丸井巴水 京鹿子 202009
蝙蝠が高架下より飛びだして 丑久保勲 やぶれ傘 202209
蝙蝠の激突レーダー無くせしか 片岡登志枝 末黒野 202211

 

2023年5月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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