蚊喰鳥    84句

米洗ふ母とある子や蚊喰鳥   中村汀女

蝙蝠  蚊喰鳥  かわほり

作品
作者
掲載誌
掲載年月
そこいらの空をほどきし蚊喰鳥 山尾玉藻 火星 199808
紋服に風通しゐる蚊喰鳥 堀江かつみ 199907
駅前のいまだ空地や蚊喰鳥 八木下巌 199909
蚊喰鳥雷神様を祀る洞 吉田飛龍子 春耕 199910
魚くさき氷に遊ぶ蚊喰鳥 岡本眸 199911
夜の静寂使ひ切つたる蚊喰鳥 稲畑廣太郎 ホトトギス 199912
落ちさうに月が赫しよ蚊喰鳥 ふけとしこ 船団 199912
蚊喰鳥艀溜りの軋む音 皆川盤水 春耕 200008
駐車場の一樹めぐるや蚊喰鳥 柿沼盟子 風土 200010
通天閣目指し飛ぶかや蚊喰鳥 高木伸宜 ヒッポ千番地 200010
敗兵のごと消ゆ城の蚊喰鳥 中川濱子 ぐろっけ 200010
蚊喰鳥廃銀山の夕闇に 杉阪大和 春耕 200107
夜荷役の始まる艀蚊喰鳥 皆川盤水 春耕 200107
川宿の軒端しきりに蚊喰鳥 大竹節二 春耕 200107
蚊喰鳥茜の空の恥らひに 宇都宮滴水 京鹿子 200107
淡海へつづく空あり蚊喰鳥 城孝子 火星 200108
蚊喰鳥暮れきるまでを畑に出づ 大和田鏡子 俳句通信 200109
夕闇を喰べに来てゐる蚊喰鳥 新開一哉 円虹 200112
蚊喰鳥切なさ残すをとこの背 田渕昌子 京鹿子 200201
ものの怪の失せし世を飛び蚊喰鳥 小川匠太郎 200207
瓢池の普請半ばや蚊喰鳥 黄川田美千穂 200209
蚊喰鳥音なく乱舞してをりぬ 滝川璦子 雨月 200209
不可解な空あげつらふ蚊喰鳥 中原道夫 銀化 200209
蚊喰鳥湯屋の煙のひろがれる 田中峰雪 雨月 200210
夜遊びに懐淋し蚊喰鳥 田中峰雪 雨月 200210
保育所の窓かうかうと蚊喰鳥 上谷昌憲 200309
檣頭の林立暮るる蚊喰鳥 中村翠湖 馬醉木 200407
夕波に艀の軋む蚊喰鳥 皆川盤水 雲の峰 200407
水星を見上げてをれば蚊喰鳥 谷村幸子 200408
大連ありし河内に蚊喰鳥 松崎鉄之介 200408
父さんの水やりはやし蚊喰鳥 垣岡暎子 火星 200411
長々とつづく回廊蚊喰鳥 馬場秀 万象 200503
蚊喰鳥革命の風起しけり 三上程子 春燈 200508
蚊喰鳥渚暮るるを急ぎけり 市場基巳 200510
蚊喰鳥卍ゑがきて神田川 松村多美 四葩 200512
校庭の樹間飛び交ふ蚊喰鳥 早水秀久 河鹿 200608
蚊喰鳥こころ変りは常のこと 宇都宮滴水 京鹿子 200609
だし風の土間を筒抜け蚊喰鳥 定梶じょう あを 200609
まだ仮設暮しは解けず蚊喰鳥 安原葉 ホトトギス 200611
蚊喰鳥巣くふ空家の深廂 塩井志津 万象 200611
蚊喰鳥大佛塔に棲みつきぬ 井村和子 万象 200612
ユーカリの幹しらじらと蚊喰鳥 浜口高子 火星 200708
水平線の暮れ残りたり蚊喰鳥 貴志桂 200709
うつそりと胸に火抱くや蚊喰鳥 中尾杏子 200709
魂抜きの石ごろごろと蚊喰鳥 青山悠 200710
岩窟の闇をはがして蚊喰鳥 福場朋子 200711
田の匂ひ濃くなる日暮蚊喰鳥 笹倉さえみ 雨月 200711
袋さげて日暮の坂や蚊喰鳥 石田邦子 遠嶺 200809
暮れなづむ空暗くせり蚊喰鳥 石原光徳 酸漿 200812
夕方の橋の裏より蚊喰鳥 滝沢伊代次 万象 200906
三等待合室の窓べを蚊喰鳥 八田木枯 晩紅 200908
火の鳥になり損ねしや蚊喰鳥 遠藤若狭男 200909
巌窟を忽と飛び出す蚊喰鳥 五十嵐勉 200910
夕闇のさらに濃くなり蚊喰鳥 市村健夫 馬醉木 200910
海坂に夕日どっしり蚊喰鳥 定梶じょう あを 200911
蚊喰鳥病食を終ふ黙々と 中原吟子 雨月 201008
夕映えのうするる水面蚊喰鳥 根橋宏次 やぶれ傘 201009
電線の暮れ残りたる蚊喰鳥 藤井美晴 やぶれ傘 201009
知らぬ間や防空壕に蚊喰鳥 中島玉五郎 201107
蚊喰鳥隧道風を生みにけり 林紀夫 春燈 201109
蚊喰鳥胎蔵界を洞として 栗栖恵通子 201110
大神に帳を降ろす蚊喰鳥 雨宮桂子 風土 201111
耳成山みみなしへ通ひ路ありし蚊喰鳥 飯塚ゑ子 火星 201208
蚊喰鳥かすかにさきの世の匂ひ 水野恒彦 201210
夕ぐれのプールは明かし蚊喰鳥 吉村さよ子 春燈 201210
湯治場に一人空には蚊喰鳥 齋藤博 やぶれ傘 201211
都心にも闇を引き寄せ蚊食鳥 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
斯くするを斯くはさせじと蚊喰鳥 高橋龍 201401
上げ潮の匂満ちたり蚊喰鳥 間宮あや子 馬醉木 201409
少年に帯もどかしや蚊喰鳥 木下夕爾 春燈 201508
病むごとく雲の朱滲み蚊喰鳥 森清信子 末黒野 201510
蚊喰鳥飛ぶ境内に綿飴屋 瀬島洒望 やぶれ傘 201609
蚊喰鳥闇喰ひ散らし喰ひ散らし 戸栗末廣 201610
銃眼の先の海暮れ蚊喰鳥 天野美登里 やぶれ傘 201610
蚊喰鳥仏間に迷ひ込みきたる 升田ヤス子 六花 201610
バブルとは何だつたのか蚊喰鳥 柳川晋 201708
川風の淀む昏さや蚊喰鳥 杉田智榮子 馬醉木 201709
墜ちて地を這ひずる昼の蚊喰鳥 藤井美晴 やぶれ傘 201807
蚊喰鳥生絹のごとき夕空を 西川保子 春燈 201810
蚊喰鳥灯すほどでもなき暮色 田代民子 201812
夕暮の小橋飛び交ふ蚊喰鳥 塩見治郎 雨月 201912
舂くや墓地を塒の蚊喰鳥 菅野日出子 末黒野 202009
街川の暮色の空を蚊喰鳥 廣瀬雅男 やぶれ傘 202109
水門へもどつてきたる蚊喰鳥 根橋宏次 やぶれ傘 202209

 

2023年5月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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