今年竹 2     200句

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掲載年月

 「笹」二十五周年を祝して

節々の頼もしきかな今年竹

鷹羽狩行 200503
白刃の中ゆくごとし今年竹 鷹羽狩行 200503
皮脱がぬ先はや遠し今年竹 稲畑汀子 ホトトギス 200505
今年竹風の誘ひにまだのらず 曷川克 遠嶺 200506
今年竹おのれの丈は越えられず 鷹羽狩行 200507
人住まぬ屋根突き抜けて今年竹 伊藤芳栄 帆船 200507
今年竹昨日に変る今日の丈 神田一瓢 雨月 200507
今年竹いたぶる風雨デモニュース 泉田秋硯 200508
今年竹叩けば青き音のせり 松田雄姿 百鳥 200508
伸び過ぎて親に凭れる今年竹 三浦如水 ぐろっけ 200508
伐り口より水ほとばしり今年竹 出口賀律子 雨月 200508
やはらかく影のちらばり今年竹 坂本京子 200509
明王の鞘堂抜けし今年竹 塩井志津 万象 200509
いつしかに見上ぐる高さ今年竹 飯塚やす子 200510
洗心のいろとは斯くや今年竹 山元志津香 八千草 200601
K南風や白しと見るは今年竹 瀧春一 常念 200606
雨脚の遠のき今年竹ひかる 宮津昭彦 200606
するすると風登りゆく今年竹 高橋瑛子 河鹿 200608
木洩日の鋭き一矢今年竹 泉田秋硯 200608
時折は懈怠の揺れを今年竹 坂本京子 200608
今年竹無一物とふ入山券 佐橋敏子 春燈 200608
素直なる力あふるる今年竹 矢嶋みつ江 遠嶺 200608
新墓のあらぬ処に今年竹 永嶋みね子 火星 200608
今年竹鞭のごときを交へけり 宮津昭彦 200608
お茶室の結界に置く今年竹 望月洋子 200608
執筆の文机小さし今年竹 大西八洲雄 万象 200608
今年竹屋敷を守る屋敷林 木村迪子 酸漿 200608
湧く雲の高きに伸びて今年竹 永見嘉敏 酸漿 200608
今年竹雨に粒々光らせて 松村多美 四葩 200609

 部落の風習

要害の四方に挿したる今年竹

関根洋子 風土 200609
一環の暦めぐりて今年竹 小澤克己 遠嶺 200609
結界や朝光ゲ満たす今年竹 稲辺美津 遠嶺 200609
今年竹はやくも雲を挑発す 田辺博充 200609
淵明の故郷おほふ今年竹 松崎鉄之介 200609
夕風のままに動けり今年竹 宮津昭彦 200609
今年竹伸ぶ故郷へ便りせむ 村越化石 200609
今年竹墓標の位置に刺されけり 吉村摂護 200609
蒼空のわづかに覗く今年竹 原喜久 八千草 200611
名園の天に伸びゆく今年竹 岡本直子 雨月 200701

 六花 創刊十五周年

今年竹十五枚目の皮脱いで

山田六甲 六花 200705
鳥とんであとに跡なし今年竹 竹貫示虹 京鹿子 200706
奥嵯峨の夕日櫟る今年竹 鈴木照子 200708
結界の外に皮脱ぐ今年竹 中山皓雪 200708
今年竹合祀廟拝清しくて 木下もと子 200708
己が身の音密やかに今年竹 橋本良子 遠嶺 200708
今年竹風に遊びて天の距離 鈴鹿仁 京鹿子 200708
子の諳ずる年譜の語呂や今年竹 後條さと子 200709
風掴むことを覚えて今年竹 森本秀樹 200709
今年竹自転車譲る誕生日 中井光子 ぐろっけ 200709
声明をききつつ伸ぶる今年竹 野崎昭子 春燈 200710
星を掃くまでに伸びたる今年竹 西宮舞 200710
山下る水の勢ひ今年竹 工藤ミネ子 風土 200711
今年竹大人の丈の風を聴く 松村義男 遠嶺 200711
親にもたれて風の日の今年竹 猪狩銀龍 200712
今年竹大山脈に育てたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
伝統といふ枝ぶりも今年竹 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801

 武知徹句集『豆剣士』序句

文と武を兼ね備へたる今年竹

鷹羽狩行 200801
七癖のひとつ抜け出す今年竹 木山杏理 京鹿子 200801

 祝今橋眞理子様御長女東大入学

ぬきん出しよりしなやかに今年竹

稲畑汀子 ホトトギス 200805
水口にはらりと皮や今年竹 飴山實 ぐろっけ 200805
風止んでよりさゆらげる今年竹 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
古文書の学びの旧家今年竹 邑橋節夫 菊揃へ 200806
抜きん出て風になぶられ今年竹 有吉桜雲 200808
今年竹目を輝かせ豆剣士 塩千恵子 200808
煙り降る雨にも撓ひ今年竹 宮津昭彦 200808
錫杖の音孟宗の今年竹 小山徳夫 遠嶺 200809
青眼の構へや風の今年竹 朝日正人 200809
姨捨の腰定まらぬ今年竹 鎌出隆靖 万象 200809
マンションを隣にしたり今年竹 宮津昭彦 200809
月光をあびて伸びゆく今年竹 山下由理子 200810
直系の弟子の育ちて今年竹 木場田秀俊 200811
細身なり女人高野の今年竹 竹内すま子 200812
今年竹三十余節伸びそよぐ 澤浦緑 ぐろっけ 200907
伸び切つて風と遊べる今年竹 近藤節子 200907
仮の世に馴染んでしまふ今年竹 柳川晋 200908
未完なる交響曲や今年竹 金井裕子 風土 200908
ぬきん出て風の中なる今年竹 堤内久美子 六花 200908
回向院拔けて場所入今年竹 佐藤喜孝 あを 200908
今年竹そよぎて古きピアノ在り 田中藤穂 あを 200909
いきいきと空を奪へり今年竹 落合絹代 風土 200909
七夕ヘ乞はれて残す今年竹 菊地英雄 酸漿 200909
風にまだ慣れず弓なす今年竹 菅谷たけし 200909
夜は星を恋うて伸びけり今年竹 櫨木優子 200910
百幹の風みどりなり今年竹 山本康夫 200910
みよし野の杜残照の今年竹 今井松子 遠嶺 200910
吉備の崖つんつん競う今年竹 島純子 ぐろっけ 200911
今年竹敬ふごとく風生まる 鷹羽狩行 201006
今年竹多感の翳を揺らしけり 西村博子 馬醉木 201008
雀鳩よく来る庇今年竹 村上倫子 201008
ハングルの落書のある今年竹 篠田純子 あを 201008
奥嵯峨の遣らずの雨や今年竹 徳井節子 馬醉木 201009
今年竹晦の空のふくらみぬ 瀬川公馨 201009
風通ふ鎌倉道や今年竹 臼杵游児 春燈 201009
風が好き風が嫌ひと今年竹 葦原葭切 春燈 201009
もと光る竹ともならん今年竹 島谷征良 風土 201009
今年竹古民家を守る男あり 夏目満子 酸奬 201009
今年竹粉を吹く指のあとのつく 服部早苗 201011
皮脱ぎて節が増えゆく今年竹 武智恭子 ぐろっけ 201011
ロンの居ぬ庭淋しめず今年竹 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
風の音水の音あり今年竹 神蔵器 風土 201107
一穢なき空に伸びゆく今年竹 上原恒子 雨月 201107
仏頭の頬を撫でをる今年竹 谷村幸子 201107
背伸びして丈の危ふき今年竹 福永尚子 ろんど 201108
吹かれては鳥こゑこぼす今年竹 松本三千夫 末黒野 201109
蹲踞の水の清らや今年竹 菅野日出子 末黒野 201109
公達の匂ひを放つ今年竹 近藤幸三郎 風土 201109
風を知る丈となりけり今年竹 林昭太郎 201109
さらさらと五感くすぐる今年竹 塩千恵子 201109
今年竹少女剣士の白袴 能美昌二郎 201110
脱ぎきつて真白き帯の今年竹 中野京子 201110
眩しさのウェストライン今年竹 橋本くに彦 ホトトギス 201111
一途てふ姿勢に伸びて今年竹 鷹崎由未子 花野 201112
青空をはやも掃きをり今年竹 原和三 末黒野 201204
今年竹そよぎて東山動く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
これやこの親竹をぬく今年竹 神蔵器 風土 201207
素のままに生くる幸せ今年竹 川上久美 ろんど 201208
笑ひづくめの越境の今年竹 だいじみどり 201209
少年の声の真白き今年竹 岩月優美子 201209
土台のみ残る石蔵今年竹 大村かし子 万象 201209
三日月の顎くすぐる今年竹 山本無蓋 201209
雑念の些かもなし今年竹 青木ちづる 201209
今年竹脱げきれぬ皮如何にせむ 川上久美 ろんど 201209
おみくじの結びてありぬ今年竹 黒田秋子 万象 201211
産休の明けしパンダに今年竹 三橋早苗 ぐろっけ 201211
天を突く刻々ありぬ今年竹 稲畑汀子 ホトトギス 201305
今年竹伸びて会議のつづきをり 稲畑汀子 ホトトギス 201305
今年竹徳利に袴履かすやう 森理和 あを 201307
神域の空へと群るる今年竹 田中藤穂 あを 201307
今年竹ぐんぐんのびて未来あり 吉田順子 201310
風わづか寄りては離れ今年竹 小林輝子 風土 201310
せめぎ合ふ高さ風呼ぶ今年竹 下平しづ子 雨月 201310
鎌倉に矢倉の多し今年竹 三輪慶子 ぐろっけ 201310
篁の風清清し今年竹 辻井ミナミ 末黒野 201311
遠見ゆる白き節目や今年竹 瀧春一 花石榴 201312
所狭しと伸びるがままよ今年竹 山口キミコ 201408
伸びゆける勢ひ眩しき今年竹 大橋晄 雨月 201409
碧天へ背伸びするかに今年竹 大島みよし 201409
今年竹勢ひ余り親を越し 藤波松山 京鹿子 201411
日を返す姫街道の今年竹 梶浦玲良子 六花 201411
卵塔の寄りかかりてや今年竹 堀内一郎 堀内一郎集 201412
成長痛を剥がしてをりぬ今年竹 鈴鹿けい子 京鹿子 201501
制服のまだ身にそはず今年竹 石川叔子 201508
背伸ばせと背を撫でらるる今年竹 長谷仁子 春燈 201508
その奥の竹の中なる今年竹 田村すゝむ 風土 201508
青空の引つ張つてゐる今年竹 岩下芳子 201509
風受けるほどの高さに今年竹 廣瀬雅男 やぶれ傘 201509
どれも皆きのふの倍を今年竹 松本三千夫 末黒野 201509
今年竹雨あをあをと弾きけり 平田はつみ 馬醉木 201510
今年竹節しろ白と紛を噴けり 久染康子 201510
しなやかに風を見せをり今年竹 柚木澄 末黒野 201510
蒼天のパイプオルガン今年竹 宇都宮敦子 201510
許さるる丈まで伸びよ今年竹 久保東海司 風鈴 201512
今年竹すっくと伸びて美術館 大橋晄 雨月 201512
今年竹希望の色の空に伸ぶ 中嶋陽子 風土 201607
旧家裏に五六本あり今年竹 本郷美代子 やぶれ傘 201608
ぎこちなく風呼ぶ朝の今年竹 中江月鈴子 201608
石坂を統ぶる精気や今年竹 板坂良子 馬醉木 201608
ひとすぢの夕日差し込む今年竹 市村明代 馬醉木 201608
師にまみゆ思ひの中に今年竹 森高さよこ 風土 201608
わが生家消えたる跡の今年竹 大矢恒彦 201608
峡を吹く風の高きや今年竹 浜福惠 風土 201609
山の端の暮色帯びたり今年竹 原田しずえ 万象 201609
戦ぐこと知らず真つ直ぐ今年竹 山本とく江 万象 201609
親竹に負けじと空へ今年竹 見目トキ子 万象 201609
まぶしさは風のみならず今年竹 吉田順子 201610
艶やかにひたすら空へ今年竹 久世孝雄 やぶれ傘 201610
あつ気なく育つてしまひ今年竹 今橋眞理子 ホトトギス 201612
しなうことおぼえはじめし今年竹 鈴木庸子 風土 201701
ただよへるもの白壁の今年竹 中川句寿夫 ここのもん 201705
健康に生きゆく一人今年竹 稲畑汀子 ホトトギス 201706
つひに松抜いてしまひし今年竹 稲畑汀子 ホトトギス 201706
浮雲をくすぐつてゐる今年竹 岡真紗子 201708
少年の心直かれ今年竹 榎本秀治 201708
抜きんでて風の生まるる今年竹 黒滝志麻子 末黒野 201708
蕎麦処ぐるり廻りを今年竹 石森理和 あを 201708
渾身の力は空へ今年竹 山田天 雨月 201708
山腹の寺の屋根越す今年竹 岩下芳子 201709
今年竹一本筋を通しけり 久保夢女 201709
御霊屋の風やはらかに今年竹 猿賀郁子 馬醉木 201709
御霊屋の風やはらかに今年竹 猿賀郁子 馬醉木 201709
日を楽しみ風を愉しみ今年竹 松本三千夫 末黒野 201709
今年竹吹かれて丈を伸ばしけり 黒滝志麻子 末黒野 201709
鐘楼の屋根を越したり今年竹 加藤静江 末黒野 201709
風出でてゆさゆさゆるる今年竹 成田なな女 春燈 201710
地に近き節に力や今年竹 西村しげ子 雨月 201710
今年竹すぐに働く手足あり 能村研三 201806
真青なる空を畏れず今年竹 小山繁子 春燈 201808
今年竹藪の暗さに育ちをり 及川照子 末黒野 201808
一片の雲へきそへり今年竹 岡田史女 末黒野 201808
今年竹親の背中を見て育つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
今年竹旧家跡地に皮を脱ぐ 中島昌子 201809
清しさに書家の目をとむ今年竹 水田壽子 雨月 201810
大気圏抜ける勢ひ今年竹 贄田俊之 やぶれ傘 201810
老竹に寄り添ふやうに今年竹 山本茂子 末黒野 201810
今年竹ずんずんずんと我ひとり 石森理和 あを 201810
まだ空の高さを知らず今年竹 平田初音 京鹿子 201901
今年竹総身雨に磨かるる 平田はつみ 馬醉木 201908
脱ぎきれぬ皮ぶらさげて今年竹 村上葉子 201908
今年竹令和の空へ伸びてゆく 三村純也 ホトトギス 201909
天心へ鎧脱ぎすて今年竹 梅田武 末黒野 201909
今年竹はや青空をまさぐりぬ 瀬戸峰子 春燈 201909
群れ遠く一本天へ今年竹 間島あきら 風土 201909
今年竹ひよどり坂に日の斑 小林共代 風土 201909
今年竹→ 3

 

2022年6月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。