炬燵 1 (火燵 こたつ)    323句

終夜妻の柩を守りて

今そこに居たかと思ふ火燵かな   寺田寅彦

炬燵  春炬燵

作品
作者
掲載誌
掲載年月
誰が寄りし一力茶屋の炬燵の間
稲畑汀子
ホトトギス
199901
炬燵居に思ひ出ばかり浮かび来る
村越化石
199902
置炬燵膝ふれ合ひて他人なる
八木愁一郎
ぐろっけ
199902
背後とは海鳴りつのる炬燵かな
小澤克己
遠嶺
199903
面ざしの誰も似かよふ掘炬燵
朝長美智子
199903
駄菓子屋の上り框の炬燵かな
柿沼盟子
風土
199904
死は古き友達のやう切炬燵
今西昭道
風土
199904
掘炬燵べそをかく子の足探る
細井隆子
199904
顎や炬燵の板のくれなゐに
山尾玉藻
火星
199912
紙風船つくまん中に炬燵あり
岡本高明
200002
炬燵ぶとん舳に叩きゐたるなり
田畑幸子
火星
200002
嬰帰りいつもどほりの炬燵なり
谷口道子
火星
200002
ぬくもりの通ふキルトの炬燵掛
吉川智子
200003
よき話ばかり集めて炬燵かな
森裕子
円虹
200003
水郷や景を横目に炬燵舟
鷲尾敏子
京鹿子
200003
炬燵より抜け出してをりのつぺらぼう
伊藤格
200005
置炬燵血圧計をもてあそぶ
三井孝子
六花
200005
夜会服のフハリと坐る炬燵かな
飯塚ゑ子
ヒッポ千番地
200006
それなりの暖衣飽食炬燵談
塩路隆子
精鋭選集
200008
山の湯のすでに奥には炬燵あり
秋山義彦
酸漿
200012
地震かな?と吊紐見上ぐ炬燵より
林翔
200101
真向ひの母のうたたね掘炬燵
盛良孝
200101
暮れのこる筑波二峯や置炬燵
神蔵器
風土
200102
炬燵のけワープロ据ゑむ世紀替へ
品川鈴子
ぐろっけ
200102
歳時記と薬炬燵の座右にす
足利徹
ぐろっけ
200102
炬燵居に相馬の二重湯呑かな
村越化石
200103
人生を折り返したる炬燵かな
彌榮浩樹
銀化
200103
湯呑ふたつ眼鏡のふたつ置炬燵
芝宮須磨子
あを
200103
また同じ絵本読まさる置炬燵
足利徹
ぐろっけ
200103
兄弟が来て故里となる炬燵
小山徳夫
遠嶺
200104
休日の父に似てゐる炬燵猫
田中聡子
遠嶺
200104
母のむかし炬燵の無精いひにけり
大橋敦子
雨月
200104
炬燵にて処し方較ぶ地震話
品川鈴子
船出
200104
炬燵にも入らず鳴けり被災猫
品川鈴子
船出
200104
消ゴムを使ひ軋ます置炬燵
官沢房良
200105
風邪気味の人より早く炬燵して
能村登四郎
羽化
200110
掘炬燵わが座は孫の座でもあり
佐々木踏青子
200112
掘炬燵居間を書斎にしてしまふ
佐々木踏青子
200112
子規の庭子規の六畳置炬燵
朝妻力
雲の峰
200201
炬燵せりこころ牛分外に出し
中原道夫
銀化
200201
訥弁の舌まはりだす炬燵かな
森川喜美子
銀化
200201
肝心な話炬燵に移しけり
暮岸江
銀化
200201
表彰の額を見上ぐる掘炬燵
木場田秀俊
200201
炬燵して鏡の中に夫とゐる
山田暢子
風土
200202
そもそもは四面楚歌なる掘炬燵
石山正子
銀化
200202
置炬燵しつぽの邪魔な女かな
山田六甲
六花
200202
玻璃の日に安住したる炬燵猫
小路紫峽
円虹
200203
時差に負け酔ひつぶれをり炬燵の間
本郷桂子
円虹
200203
篁の風のあかるき炬燵かな
桑田眞佐子
火星
200203
垣間見し漁夫の炬燵の上の聖書
荒井千佐代
系図
200203
放映のアリアに酔ひて炬燵守
野中啓子
200204
孫去りて静けさ戻る炬燵かな
菊地英雄
酸漿
200204
耳掃除せがまれている炬燵端
瀬口ゆみ子
ぐろっけ
200204
温泉の宿の炬燵に夜更けまで語る
江倉京子
あを
200212
墨柄は墨を挾みぬ炬燵して
中原道夫
銀化
200301
黄檗の松思ひをる炬燵かな
山尾玉藻
火星
200302
妻と炬燵に爪の三日月見くらべて
大島翠木
200302
納戸てふ隠れ部屋あり掘炬燵
高木勝子
帆船
200302
置炬燵果てたる旅を辿りをり
加藤暢一
200302
炬燵寝の猫の魔性の眼を開く
下平しづ子
雨月
200302
亡き母の席そのままの炬燵かな
伊藤総司
雲の峰
200302
故郷の夢にはならぬ炬燵かな
王岩
あを
200302
赤べこの頭をゆらし昼炬燵
小森泰子
馬醉木
200303
四畳半妻の座空きし掘炬燵
井上輝男
築港
200303
喧嘩腰で脅かし炬燵へ誘へり
川村紫陽
200303
炬燵にて飼ひ殺されてゐるところ
槻木珠美
銀化
200303
系図はおろか炬燵にも入れざる
平野周子
銀化
200303
置炬燵だれも食べないアップルパイ
志方章子
六花
200303
物売りの声遠ざかる昼炬燵
延川五十昭
六花
200303
平成になほ生き残る掘こたつ
辻田忠俊
築港
200304
サスペンスドラマが好きで炬燵守
岡谷栄子
200305
放蕩の果を炬燵に小さくゐる
園多佳女
雨月
200305
安楽死できそな予感初炬燵
山元志津香
八千草
200306
夕餉待つ老母はとろとろ夕炬燵
針谷律子
八千草
200306
目覚むれば妻もうたた寝相炬燵
四戸和彦
八千草
200307
二人して五月の夜の炬燵かな
二瓶洋子
六花
200308
簗守の炬燵に川を見張りをり
近藤豊子
雨月
200310
甘納豆笑ふほかなき炬燵かな
苑実耶
200312
茶を入れてくれし妻亡き炬燵かな
小泉豊流
酸漿
200401
炬燵開き夫何気無く手を貸せり
中村しげ
酸漿
200401
炬燵居のうとうと終電擦過音
岡本眸
200401
聞耳をたててゐるなり炬燵猫
成井侃
対岸
200402
遠き日の櫓の高き炬燵かな
佐川あけみ
対岸
200402
酒も出て一期一会のこたつ舟
岡田万壽美
雲の峰
200402
炬燵よりそろりと運ぶ寝顔かな
川瀬さとゑ
雲の峰
200402
育児書を開きて六十路置炬燵
森木久美
雲の峰
200402
なにくれを炬燵で済ます女時かな
浅川正
雲の峰
200403
肘枕しては一人の炬燵かな
清水千代子
草の花
200403
婚期てふ禁句も口に掘炬燵
村上沙央
200404
独り酒こよなく愛し炬燵鬼
泉田秋硯
200404
置炬燵ことば少なに居るふたり
亀ヶ谷照子
遠嶺
200404
子等の足炬燵の中で戦へり
河野政恵
酸漿
200404
子等発ちて炬燵の上に時刻表
佐藤悦子
百鳥
200404
潮の引くやうに子の去る炬燵かな
苑実耶
200404
誰彼の話してゆきし初炬燵
高倉恵美子
200404
海よりも山よりも炬燵読書良し
横山迪子
六花
200405
膝触るる一期一会の炬燵舟
友田直文
200406
桃の日の昼の炬燵に父がゐて
城孝子
火星
200406
飽食してかなし炬燵に背をまるめ
栢森定男
風よ
200407
膝少し入れて炬燵の初対面
稲畑汀子
ホトトギス
200411
書斎には置かぬ炬燵でありしかな
稲畑汀子
ホトトギス
200412
馴染みたるよりは炬燵の片づかず
稲畑汀子
ホトトギス
200412
炬燵辺に猫は寝たまま二日かな
滝沢伊代次
万象
200501
果し状仕樣不詳で置炬燵
佐藤喜孝
あを
200501
初炬燵爪をかむのはよくないわ
芝尚子
あを
200502
秘密基地子らは炬燵の城守る
佐藤洋子
帆船
200502
ものぐさはいよよものぐさ炬燵守
塩川雄三
築港
200502
読み書きも食事も炬燵部屋で足る
清水澄江
築港
200502
猫去んで一人でむぐる置炬燵
池尻足穂
雲の峰
200502
炬燵して話すエジソン発明記
前阪洋子
雲の峰
200502
はづれくじ炬燵の上に乗せてあり
後閑達雄
対岸
200502
ローマ字を覚えし頃の炬燵かな
河合大拙
百鳥
200502
考へてゐる足の指炬燵かな
定梶じょう
あを
200503
炬燵団欒何時しか止みて眠り猫
泉田秋硯
200503
べそかきつ炬燵の中で脚喧嘩
武内沢仙
遠嶺
200503
炬燵出し我が定位置の落ち着けり
西川久美子
遠嶺
200503
炬燵寢のとろり一病飼ひ馴らす
川崎光一郎
京鹿子
200503
半畳は炬燵に化けて四畳とや
渡辺隆
遠嶺
200504
相乗りの人と話して炬燵舟
井内佳代子
遠嶺
200504
トランプの婆のうごかぬ掘炬燵
藤井寿江子
馬醉木
200504
船頭の唄に聞き惚れ炬燵船
中山勢都子
200505
かんしゃくの飛沫を逃げるこたつ猫
松澤茂
200507
会者定離秋の炬燵に夜更かすも
深澤厚子
馬醉木
200601
崖を藤の根の這ふ炬燵かな
山尾玉藻
火星
200601
切炬燵中にて握る女の手
滝沢伊代次
万象
200601
うたた寝の癖になりたる置炬燵
芝尚子
あを
200601
夜語りに急遽炬燵の出番来し
泉田秋硯
200602
老といふ齢が宝炬燵守る
村越化石
200602
ただ忍の一字炬燵もあることだし
中村房枝
六花
200602
新聞の切抜を読む炬燵かな
竹内弘子
あを
200602
炬燵より出て現役の顔となる
荒船武文
200603
忠敬の屋敷に着けり炬燵舟
大坪景章
万象
200603
逆さまでも絵本を読めり炬燵の子
太田絵津子
200603
いくばくの年金話炬燵ばた
中村みち子
ぐろっけ
200603
炬燵囲む長幼の序のおのづから
岡崎真子
百鳥
200603
クレムリンの旅の話の炬燵かな
細川コマヱ
雨月
200603
軍書より詩書を好めり炬燵守
塩路隆子
200604
欣一と一つ炬燵のコップ酒
大坪景章
万象
200604
橋下を危ふく過ぐるこたつ舟
あさなが捷
200604
子の勉強見てやる炬燵に正座して
島谷征良
風土
200604
女旅酒酌み交す炬燵舟
福島吉美
万象
200605
炬燵して気ままな暮し張のなく
綿谷美那
雨月
200605
星のごと点書く一才置炬燵
有賀元子
八千草
200605
袖の丈詰めてをりゐる炬燵かな
佐原正子
六花
200605
炬燵より大黒柱へよりかゝる
滝沢伊代次
万象
200612
チヤンネル権まだ父にある炬燵かな
斉藤みちよ
春燈
200612
呼べば耳動かしにけり炬燵猫
山内なつみ
万象
200701
果てしなく童心誘ふ炬燵猫
小牧喜美子
遠嶺
200704
炬燵ごとまんまるく姉老いにけり
大信田梢月
万象
200704
嵐山の影を出でけり炬燵舟
杉浦典子
火星
200704
炬燵二つ並べてすなる手巻寿司
椿和枝
200704
価値観の違ひですます炬燵かな
星原悦子
200704
炬燵中雨のマラソン眺めをり
和南城ふみえ
酸漿
200705
読書良し海より山より炬燵良し
横山迫子
六花
200706
憎みあふや炬燵柱の細るまで
松崎豊
200706
炬燵舟時間ゆつくり動き出す
稲畑汀子
ホトトギス
200711
一人占ひ一人暮しの置炬燵
木村松蔵
万象
200803
日の入りて着きし宿坊置炬燵
柏原章子
200803
炬燵して己が命のこぢんまり
斉藤實
200803
定位置をつひぞ譲らぬこたつかな
前野狼騎
200804
読書三昧晴の日の炬燵にて
島谷征良
風土
200804
小さき手に御手玉遊ぶ炬燵かな
横田実
遠嶺
200804
猫が出て子が出て来たる掘炬燵
千原叡子
ホトトギス
200805
炬燵まだ机代りに西東忌
尾生弘子
200808
橋いくつ曲がり幾つや炬燵舟
小泉貴弘
筑波の道
200811
決断は炬燵を出でてよりのこと
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
掘炬燵とは食進む酒進む
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
掘炬燵吾輩は猫踏んぢやつた
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
置物の猫を炬燵に入れてやる
ことり
六花
200812
夢にみて父と母ゐる切炬燵
中山純子
万象
200901
喜寿すぎて黒髪を梳く掘炬燵
木下忠雄
酸漿
200901
師走日曜母の炬燵を奪ひしが
瀧春一
深林
200901
筆順をテレビに習ふ炬燵かな
竹内弘子
あを
200901
炬燵から猫出て赤き色漏らす
岡田由季
炎環
200902
炬燵寝の上手な母も今は亡し
上坂渥子
雨月
200902
懐郷の炬燵布団に温まる
小平恒子
酸漿
200902
妣の座の空きたるままよ置炬燵
山本孝夫
200903
賞状を飾る鴨居や置炬燵
北尾章郎
200903
掘炬燵乃木院長の一間かな
山路紀子
風土
200903
猫の部屋炬燵囲みて吾も寝る
林哲夫
ぐろっけ
200903
夫の顔つくづく眺むる炬燵かな
河本由紀子
春燈
200904
飴の缶いつも置きある炬燵かな
仁平則子
200904
掘割の雲割つてゆく炬燵舟
青山悠
200905
炬燵居の昭和へ戻る古日記
田宮勝代
酸漿
200905
新畳こたつの部屋の暮れかぬる
山本耀子
火星
200906
炬燵して入りても出ても一人の日
嶋田摩耶子
ホトトギス
200908
くもり日の空見て炬燵熱かりき
八田木枯
晩紅
200908
七人の敵に遭ひきし炬燵かな
秋葉雅治
201002
晩酌の続きを置きし炬燵の座
達山丁字
201002
反抗期炬燵かこみて素直なり
近藤きくえ
201002
おふくろとふほっこりせる語置炬燵
井田実代子
雨月
201002
炬燵居に一城を得し思ひあり
金山千鳥
酸奬
201002
母と子の折る色紙や掘炬燵
伊東和子
201003
ほのぼのと句集読む夜の掘炬燵
大松一枝
201003
炬燵出で天心の月確むる
廣瀬義一
雨月
201003
叱られてもぐりたる子の炬燵かな
田嶋洋子
春燈
201003
信濃の国歌つて下る炬燵舟
高嶋文清
春燈
201003
広き家のひとつ炬燵にかたまれり
米澤しげる
春燈
201003
摩耶とマリア似たりと思ひつつ炬燵
遠藤実
あを
201003
世界地図広げ旅恋ふ置炬燵
能勢栄子
201003
生返事ばかりが返る炬燵かな
多戸昌子
遠嶺
201004
炬燵に寝爪のみ伸びてゐたりけり
小林正史
201004
船頭の太き民謡炬燵舟
加藤峰子
201004
暖炉つけ炬燵に入り籠りをり
菅野蒔子
末黒野
201004
読みかけのぺージに栞昼炬燵
四條進
201004
雪の日の国会討論聞く炬燵
阿部文子
酸漿
201004
年金の切抜を読む炬燵かな
斉藤裕子
あを
201004
おしやべりの尽きることなく置炬燵
島内美佳
ぐろっけ
201005
炬燵猫共に過せる余寒かな
小山ナオ子
酸漿
201005
禁断のごとき炬燵でありにけり
亀井福恵
京鹿子
201006
晩酌に転寝癖の炬燵かな 渡辺安酔 201101
うとうとと炬燵に舟こぎ妻老ゆる 渡辺安酔 201101
置炬燵なくて距離おく夫婦なり 田中貞雄 ろんど 201101
久闊の距離縮めたる炬燵かな 石川かおり 201102
手も入れて炬燵にオペラ聞く夜かな 市村健夫 馬醉木 201102
母と子の喋り疲れし炬燵かな 豊谷ゆき江 春燈 201102
どら焼きに渋茶歳時記堀炬燵 大木清美子 201102
炬燵守り反骨萎ゆることおそる 望月晴美 201102
目はテレビ手足物言う炬燵かな 長谷川たかお ろんど 201102
おほぜいの炬燵へ恐る恐る入る 安藤久美子 やぶれ傘 201102
炬燵据う纏はる猫に老兆し 北尾章郎 201103
炬燵櫓はづす小銭の二・三枚 橋爪隆 春燈 201103
重ね置く本を砦に炬燵の陣 片山博介 春燈 201103
炬燵穴うつぼが鼾かいてをり 久津見風牛 201103
昼は書に夕は孤食に椅子炬燵 金澤明子 201103
皆去りて独り占めなる炬燵かな 岡野ひろ子 201103
もの食へば一人のつのる炬燵かな 田尻勝子 六花 201103
姉とゐてめぐる城下や炬燵舟 吉成美代子 あを 201103
急ぐ娘のミニ訝しむ炬燵猫 安本恵子 201104
友揃ひ炬燵は足の放射状 能勢栄子 201104
堀炬燵コックピットに入るごと 相良牧人 201104
炬燵掛新しくして小津映画 小泉欣也 ろんど 201104
次ぎ会ふ日約して炬燵辞しにけり 菅野蒔子 末黒野 201105
掘炬燵勤めの子らは文も来ず 林哲夫 ぐろっけ 201105
泣き言は言はず酒飲む炬燵かな ことり 六花 201112
メールには元気装ひ炬燵守 能勢栄子 201202
炬燵無きマンションの猫日当たりに 岡野安雅 かさね 201202
掘炬燵大概のことここで決め 浅野吉弘 201202
推敲の炬燵に妻とお茶請けす 渡辺安酔 201202
炬燵より逃げ出す猫の名は小町 向江醇子 ぐろっけ 201202

早く母を見舞わねばと

母遠し櫓炬燵に目覚めては

山田六甲 六花 201202
炬燵出て次の居場所のなかりけり 森岡正作 201203
炬燵出す妻にいつもの仕草あり 藤波松山 京鹿子 201203
縫針の糸は木綿や切炬燵 天野美登里 やぶれ傘 201203
水しぶき船頭うたふ炬燵舟 川井素山 かさね 201204
漢字クイズ解けて炬燵の賑へり 今井岩夫 ろんど 201204
子の家の炬燵なりけりぬくもらず 城孝子 火星 201204
三日はも昼間さびしき炬燵かな 城孝子 火星 201204
置炬燵同じ頁を開けしまま 藤井美晴 やぶれ傘 201204
留守番の母は炬燵でまた仮寝 中田寿子 ぐろっけ 201205
痛む足ひねもす過ごす置炬燵 三橋早苗 ぐろっけ 201205
合格や炬燵より足はみ出して 城孝子 火星 201206
三食を炬燵で食べてひとりかな 副島いみ子 ホトトギス 201207
経済を憂ふ同士や切炬燵 和田郁子 粥の味 201209
初炬燵開く亡き妻在るごとく 沢木欣一 万象 201209
絡み解く電気コードや初炬燵 中本吉信 201301
手の届くとこに物置く炬燵かな 大木清美子 201301
人間を休んでゐたく置炬燵 吉田希望 201302
頤に歳あらはるる炬燵かな 小池清司 かさね 201302
置炬燵膝のみかんの光かな 菊地崇之 かさね 201302
夕刊のクイズ親しや冬炬燵 西垣順子 201303
万屋の炬燵に世間話かな 藤井君江 馬醉木 201303
ひとり居を愛し炬燵にもぐり込む 羽賀恭子 201303
映像に時の華やぐ置炬燵 和田政子 201303
入念な推敲うながす置炬燵 渡辺安酔 201303
抓られし手の謎今も炬燵かな 鈴木撫足 春燈 201303
炬燵より靴下ひとつ現るる きくちきみえ やぶれ傘 201303
練炭のにほふ炬燵か嬉しくなる 井上石動 あを 201303
一興の友と和みの炬燵かな 渡辺安酔 201304
食むときも物書く時も炬燵かな 佐々木秀子 201304
話また昭和にもどる掘炬燵 松本恒子 ぐろっけ 201304
ぺージ繰る俳誌重たき炬燵かな 吉村摂護 201305
空海に似たる手品師炬燵かな 中島陽華 201304
置炬燵乗せて双子の乳母車 尼嵜太一郎 ぐろっけ 201310
労働の蹠なごます掘炬燵 布川直幸 201312
耳遠き父に集まる炬燵かな 秋千晴 201402
老猫の居場所はいつも炬燵なり 中山静枝 201402
炬燵掛新しくして小津映画 小泉欣也 ろんど 201402
朝の声の散らかつてゐる置炬燵 山本耀子 火星 201402
もてなしの炬燵を据ゑて山の宿 大木清美子 201402
嬰の動画繰返し見る炬燵の間 片岡久美子 201403
ほころびしコタツの掛布繕いて 西躰いとの ぐろっけ 201403
婆と言ふ呼び名に馴れて炬燵守る 荒木治代 ぐろっけ 201403
堀炬燵練炭の香の甘きこと 大日向幸江 あを 201403
過ぎし日の彼の面々や炬燵の間 鈴木セツ 201403
炬燵猫ごんろごんろとのど鳴らし 松井季湖 201403
身ほとりのもの揃ひたる炬燵かな 井上静子 201403
チャイム鳴りコタツに足を取られをり 西躰いとの ぐろっけ 201403
こたつから見ている丸いだけの山 坪内稔典 船団 201403
散らかつてそれで落着く炬燵の間 熊川暁子 201404
思ひ切り厨事して置炬燵 長崎桂子 あを 201404
狸寝入りの猫喃々と炬燵守る 宮崎左智子 201404
炬燵寝の凡夫凡日特記なし 鎌田悟朗 末黒野 201404
神の留守舟の炬燵に膝そろへ 山本耀子 絵襖 201404
原発のニュースまた聞く置炬燵 大野芳久 やぶれ傘 201404
置炬燵新聞と茶と鯛焼と 藤井美晴 やぶれ傘 201404
炬燵舟波を立てずに棹使ふ 原田しずえ 万象 201405
早朝よりもの書く構へ置炬燵 村田岳洋 ろんど 201405
膝頭炬燵塞いでふと淋し 今橋眞理子 ホトトギス 201408
外國に勝ったと火燵酒盗かな 佐藤喜孝 あを 201501
足触るる炬燵は家の絆とも 宮坂恒子 201502
指切りの出来ない指の炬燵猫 鳥居美智子 ろんど 201502
今日からはひとりの部屋に初炬燵 大内幸子 六花 201502
木村家のあんぱんの餡切炬燵 丑久保勲 やぶれ傘 201503
服喪之は着ぶくれ炬燵無精髭 塩田博久 風土 201503
悩み事ひとまづ置いて炬燵出し 藤波松山 京鹿子 201503
私からわたしになってゆく炬燵 火箱ひろ 201503
いち抜けし人の穴あり置炬燵 大場ひろみ 馬醉木 201503
古都といふ炬燵塞ぎてよりの冷え 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
コーヒータイム二次会の堀炬燵 仁平則子 201503
たましひの溶けて戻らぬ炬燵猫 上野進 春燈 201503
炬燵出す出せば自づと座のきまり 國保八江 やぶれ傘 201504
満員の炬燵に犬の割り込めり 綱川恵子 万象 201504
神様に逢えぬ一生掘炬燵 津田このみ 船団 201505
柳川や炬燵の下に川の音 大久保白村 ホトトギス 201505
岸の夫写すは炬燵舟の妻 大久保白村 ホトトギス 201505
嫁に入る狐乗りくる炬燵舟 大久保白村 ホトトギス 201505
まだ炬燵舟に揺られてゐるやうな 岩岡中正 ホトトギス 201505
楽しくて夢の中まで炬燵舟 岩岡中正 ホトトギス 201505
炬燵猫聞き分けてゐるオルゴール 鴨下昭 201505
話題また昭和に戻る炬燵かな 樋口英子 201505
トルストイ手にして留守居置炬燵 神田惣介 京鹿子 201505
つま先で猫じやらしをり掘炬燵 高橋均 やぶれ傘 201506
さまざまな話題秘めたる炬燵解く 河口仁志 201507
割込みはダメーヨダメダメ掘炬燵 平川陽三 船団 201508
集まりてこたつで食べるビスケット 出口誠 六花 201502
炬燵→ 2      

 

2020年12月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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