更 衣 〈衣更〉8   200句

越後屋に衣裂く音や更衣    其角

ころもがへ  更衣

作品
作者
掲載誌
掲載年月
職退いて水色選ぶ更衣 塩野谷慎吾 201607
せめてもの老いの嗜なみ更衣 藤岡紫水 京鹿子 201607
更衣けさの電車の響きよき 中田みなみ 201607
更衣五臓六腑を探らるる 吉村摂護 201607
更衣信玄像に待ち合はす 野畑さゆり 201607
黒板のすみずみを拭き更衣 栗山よし子 馬醉木 201608
更衣あはれ雀のきげんかな 久保田万太郎 春燈 201608
あめつちに不義理を重ね更衣 本多遊方 春燈 201608
天気図を見てより衣更へにけり 佐藤惠子 風土 201608
衣更へてふうらりふらり蚤の市 雨宮桂子 風土 201608
衣更へてひらりと舟へ沼漁師 内海良太 万象 201608
衣更へて武蔵原住民の裔 千田百里 201608
姿見は母譲りなり更衣 田所節子 201608
きのふよりけふの波音更衣 多田ユリ子 201608
一枚の布の手触り更衣 岩下芳子 201608
風を切り海の男の更衣 古賀しぐれ ホトトギス 201609
更衣内なるころもがへ出来ず 濱上こういち 201609
みすずかる信濃へ旅の更衣 錫木妙子 馬醉木 201609
更衣風は木綿の肌ざはり 長谷川歌子 春燈 201609
無頓着な割にきちんと更衣 小松誠一 201609
敬白に余韻を覚ゆ更衣 坂本徹 201609
老いて尚出し入れしきり衣更 石田朝子 末黒野 201609
余生てふ遊びの時を更衣 田岡千章 201609
老斑を徽章としたり更衣 田岡千章 201609
今日もまた日課は同じ更衣 中原敏雄 雨月 201609
自分史にまだある余白更衣 金子正道 京鹿子 201609
更衣身に痛みあり助けらる 野中圭子 京鹿子 201609
人間の皮窮屈で更衣 久保夢女 201609
影大き鳥のよぎりぬ更衣 深川淑枝 201610
着古しの藍の色香や更衣 内田節子 万象 201610
余震やや遠ざかりたる更衣 岩岡中正 ホトトギス 201611
あの世とは恰も秋の更衣 柳川晋 201701
余生とは言はず与生や更衣 植村蘇星 京鹿子 201701
旧姓で便りをします更衣 中谷三干子 船団 201702
更衣二の腕に風生れけり 滝沢いみ子 末黒野 201704
抽斗に想ひ出たたみ更衣 加瀬伸子 末黒野 201704
さすがに雪降らずなりしか衣更着とて 野沢しの武 風土 201704
更衣とは蝦夷の旅終へてより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
更衣して下町に紛れゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
更衣風に馴染みて行きにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201705
更衣昭和歌謡を口ずさみ 頓所友枝 201707
木の家の木の音寧し更衣 能村研三 201708
晩節へ脱皮の途中更衣 雨村敏子 201708
衣更へてフジタの裸婦のゐる杜へ 藤沢秀永 201708
下駄の緒のきつさ頼もし更衣 小野恵美子 馬醉木 201708
衣更へ終始を猫に見られゐて 荒井千佐代 201707
更衣楡の高みを風渡り 中野あぐり 春燈 201708
更衣暮しは何もかへられず 諸戸せつ子 春燈 201708
偕老の妹な遅れそ更衣 小林文良 春燈 201708
姑と同じほくろや衣更 本西一代 201709
衣更ふるこころ一日延ばしかな 大橋晄 雨月 201708
密やかに八十路の妻の衣更ふ 山本喜朗 雨月 201708
衣更へて子はかるがると逆上り 大石喜美子 雨月 201708
衣更へて経上ぐる僧軽やかに 石谷淳子 雨月 201708
衣更へて八十路の自戒新たにす 大村仍子 雨月 201708
更衣古き服着る息止めて 後藤マツエ 201709
心なしか背の縮みをり更衣 石井秀一 風土 201709
何ごともなくて老いゆく更衣 小山田子鬼 201709
衣更へて怠け心を脱ぎ捨つる 七田文子 201709
更衣昨日と違ふ風に会ふ 石黒興平 末黒野 201709
更衣妻の好みに逆らはず 今村千年 末黒野 201709
更衣我が身の角の未だとれず 小田嶋野笛 末黒野 201709
手に残る肝斑は勲章更衣 小田嶋野笛 末黒野 201709
首筋に涼しき風や更衣 石田朝子 末黒野 201709
校服の白のまぶしき更衣 塩川君子 末黒野 201709
更衣時代おくれが身に適ふ 山崎靖子 201709
衣更へてやや若返る思ひあり 大橋晄 雨月 201709
丘陵の小雨上りぬ更衣 中田みなみ 201709
齢ゆゑと事すますまじ更衣 岸洋子 201709
更衣夫に映画を誘はるる 原友子 201709
更衣月日ひろげてゐたりけり 近藤牧男 春燈 201709
ねんごろに付き合ふ五体更衣 卜部黎子 春燈 201709
捨てられぬ行李一つや更衣 荒井ハルエ 春燈 201709
軍港は白一色や更衣 新海英二 春燈 201709
足場組み灯台はいま更衣 原田しずえ 万象 201710
ポケットの中身は変へず更衣 森清堯 末黒野 201710
更衣卒寿となるも軽やかに 磯部愛子 末黒野 201710
石けんの仄かに香る更衣 今井充子 201711
更衣妻の好みに抗はず 今村千年 末黒野 201711
更衣へて四面ガラスのビルに入る 竪山道助 風土 201801
肩すべるころもも後の更衣 福島せいぎ 万象 201801
簪は使はぬままや更衣 曽根富久恵 201712
捨てられぬ行季一つや更衣 荒井ハルエ 春燈 201803
黒糖の色まさりたる更衣 吉田葎 201802
首まはり細くなりたり更衣 竹生田勝次 風土 201807
更衣一歩前進できるかも 辻前冨美枝 201807
びいびいと携帯電話更衣 有賀昌子 やぶれ傘 201807
更衣ブラウスにイニシャルを 大日向幸江 あを 201807
蹌踉と終ふ晩年の更衣 高橋たか子 馬醉木 201808
少年の瞳多感や更衣 渡辺若菜 春燈 201808
義母のもの似合ふ齢や更衣 池上昌子 春燈 201808
学校の名のつく通り更衣 福島茂 201808
うすくなる交はりの増え更衣 森清堯 末黒野 201808
恐る恐る更衣する齢かな 大橋晄 雨月 201809
若者の競へるごとき更衣 大橋晄 雨月 201809
更衣して生き方をデザインす 熊川暁子 201809
まだ旅の続きなりけり更衣 寺田すず江 201809
サイズ一つおとし病後の更衣 森田明成 201809
いつまでも母の思ひ出更衣 坂入妙香 春燈 201809
更衣久に会ふときつつましく 平沢惠子 春燈 201809
ごろごろと犬寝転がる衣更え 笹村恵美子 201809
更衣クローゼットに白ばかり 辻響子 201809
更衣時計あと白左腕 藤波松山 京鹿子 201810
右腕に種痘のあとや衣更 高橋均 六花 201810
更衣心許なき夫の背 池乗恵美子 末黒野 201810
衣更へて向学心に燃ゆるかな 宮川みね子 風土 201811
更衣猫に世相を愚痴りつつ 青木朋子 201812
死仕度するには早し衣更ふ 押田裕見子 201812
衣更ふ終章へ襟正しけり 安田優歌 京鹿子 201901
自画像に着せるむらさき衣更へ 安田優歌 京鹿子 201901
何着てもかはい盛りや更衣 今村千年 末黒野 201904
願はくば無病息災衣更 阿部重夫 末黒野 201904
更衣纏めて捨てる鬱の種 仁上博恵 201904
タイガースカラーヘ更衣の彼 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
更衣どこかに不安ありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201905
何となくそはそはとして更衣 稲畑汀子 ホトトギス 201905
更衣して落着かぬ一日かな 稲畑汀子 ホトトギス 201905
衣更ふねねの小径の異邦人 鈴鹿呂仁 京鹿子 201906
花衣に更へて帰宅の途につけり 高橋和女 春燈 201907
八百万の神も令和の更衣 青柳雅子 春燈 201907
卒寿越えなほ未知の老い更衣 新海英二 春燈 201907
更衣しのつく雨となりにけり 上谷昌憲 201907
吊り革の手首の細し更衣 宮内とし子 201907
衣更へて用なき街に令和祝ぐ 石谷淳子 雨月 201907
ポケットにメモ入れる癖更衣 石谷淳子 雨月 201907
衣更へてその日法事の席にをり 本多遊方 春燈 201908
衣更へてみても僧形変りなし 本多遊方 春燈 201908
更衣まづは眼内レンズ替へ 平野加代子 春燈 201908
気に入りの未だ似合ひけり更衣 長谷川歌子 春燈 201908
指先の湿つてゐたる更衣 前田美恵子 201908
二階より押入の音更衣 吉清和代 201908
もつと派手にとはやす子や更衣 森清堯 末黒野 201908
普段着は普段着なりに更衣 大久保白村 ホトトギス 201909
更衣古着自慢の女かな 永田万年青 六花 201908
更衣変らぬ色のランドセル 篠原敬信 六花 201908
更衣國民服の父のかげ 加藤みき 201909
空海のマントラ唱ふ更衣 杉原ツタ子 201909
更衣ほのとシャネルの十九番 菅野日出子 末黒野 201909
水色のこれと決めたり更衣 梅田武 末黒野 201909
痩せ我慢して余所行きの更衣 高橋正江 末黒野 201909
更衣形見の帯の結び癖 吉原ひろ子 末黒野 201909
齢に合ふ柄多からず更衣 陳妹蓉 春燈 201909
母の顔おぼろとなりぬ衣更 志方章子 六花 201909
身の程に生くる処世や更衣 高木典子 雨月 201909
西国の海育ちなり更衣 森祐司 201910
健康の戻る予感や更衣 千原叡子 ホトトギス 201910
俳諧に卒業はなし衣更ふ 菊池和子 京鹿子 201910
衣更ふこともなく空移ろへり 山荘慶子 あを 201910
結局は捨つるものなき更衣 あさなが捷 201911
少年が青年となる更衣 涌羅由美 ホトトギス 201911
改元といふ大いなる更衣 本多俊子 201911
更衣妣の衣着て妣笑まふ 山田佳子 201911
軸足の決まらぬ齢更衣 高村令子 風土 201912
天の意の計れず後の更衣 藤原照子 202001
収まらぬ旅の荷後の更衣 升田ヤス子 六花 202001
肋また顕となりぬ更衣 角野良生 202002
衣更へて銀座通りを風とゆく 礒貝尚孝 黄落 202003
明日は又旅の待ちゐし更衣 稲畑汀子 ホトトギス 202005
更衣して来しやうなせぬやうな 稲畑汀子 ホトトギス 202005
衣更へて猫背の背ナを正しけり 沼田巴字 京鹿子 202006
うす雲のひろごる秋の更衣 戸栗末廣 202006
膕に風のさらりと更衣 大沢美智子 202007
現実主義更衣して理想主義 高橋将夫 202007
更衣夫の遺せる作業服 重実ひとみ 春燈 202008
衣更へて夫のブリキの衣裳箱 辻泰子 春燈 202008
争へぬ年に甘んず更衣 卜部黎子 春燈 202008
世話好きの女の急かす更衣 三上程子 春燈 202008
更衣そのままにする妣の物 江島照美 202008
入れ替はるふたつの世界更衣 阿部さちよ 202008
疫病の罪も功なれ更衣 阿部さちよ 202008
信念の固きを言へり更衣 淡路久仁子 春燈 202008
更衣神は沈黙したるまま 深川敏子 春燈 202009
明日あることを信じて更衣 三村純也 ホトトギス 202009
おいそれと変はらぬくらし更衣 直江裕子 京鹿子 202009
こきとなる骨を身に持ち更衣 有松洋子 202009
はんなりと年輪はおり更衣 阪倉孝子 202009
更衣馴れゐし道も新しき 中貞子 202009
柄物のマスクに合はす更衣 岩木茂 風土 202009
しばらくは機嫌よき母更衣 千葉禮子 202009
久しゆうに更衣して登校す 大内幸子 六花 202009
更衣して何するでなき日かな 谷口一献 六花 202009
ポケットの入れ替への手間更衣 森清堯 末黒野 202009
ひとり居と見せむ気骨や更衣 植村蘇星 京鹿子 202009
更衣賑はふバスの登校生 岩上行雄 末黒野 202009
更衣古き衣がだぶだぶに 安齋正蔵 やぶれ傘 202009
逸るもの身の内にあり更衣 善野行 聖五月 202010
軸足の決まらぬ齢更衣 高村令子 風土 202010
更衣病知らずの卒寿とは 青木朋子 202010
これを着て逢ひたる人や更衣 天谷翔子 202010
往診を待つ病床や更衣 千原叡子 ホトトギス 202011
これからが好きな季節よ更衣 木村享史 ホトトギス 202011
籠り居の矜持や後の更衣 千田百里 202011
御下がりの亦おさがりや更衣 佐藤喬風 末黒野 202104
白髪染止めてすつきり更衣 宮澤靖子 末黒野 202104
少女らのきらきら笑ふ更衣 今井肖子 ホトトギス 202106
物語染みし一着更衣 川高郷之助 202107
首ゆるくまはしてもみて更衣 北川孝子 京鹿子 202107
更衣ふいに鳥翔つ羽音かな 半谷洋子 202108
年諾ひ又さからうて更衣 三代川玲子 春燈 202108
学生の群れの輝く更衣 田尻りさ 六花 202108
更衣 →9

 

2022年6月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。