更衣 〈衣更〉1

なんとなく生きてゐたいの更衣    攝津幸彦

ころもがへ  更衣

作品
作者
掲載誌
掲載年月
衣更へてみても思ひ出ばかりかな
山田弘子
春節
199503
川波の夕ベは速し更衣
岡本眸
199807
衣更へてとろろ汁吸ふ芦屋かな
城孝子
火星
199808
畳み込む歳月のあり更衣
山田弘子
円虹
199808
伸びゆける手足眩しき更衣
和田友季子
円虹
199808
続日本紀に蘇我の姓なし更衣
松崎鉄之介
199808
骨壺を二つ作るや更衣
竹内悦子
199809
ポケットの薬を移す更衣
古屋元
199809
いち早く街若くなる更衣
高村洋子
遠嶺
199809
転居してまづ更衣したりけり
しおやきみこ
船団
199811
衣更へしてより明日の遠さかな
丸山海道
京鹿子
199812
更衣選ぶも着るもひとりかな
能村登四郎
羽化
199900
衣更へて魚のこころで町に出る
能村登四郎
羽化
199900
更衣貝殻骨をひらくかな
大島雄作
199901
妻見舞ふ恋のごとくに更衣
梅本豹太
199901
衣更へて変り映えせぬ父であり
中沢三省
風土
199901
更衣してより添はぬ日和かな
稲畑汀子
ホトトギス
199905
北の旅終へて一気に更衣
稲畑汀子
ホトトギス
199905
衣更えして白猫をなでている
中林明美
ヒッポ千番地
199905
忙中に更衣てふ閑ありて
鷹羽狩行
199906
うつくしく雀斑(かすも)浮き立ち更衣
鷹羽狩行
199906
翼あるもの騒がしや更衣
丸山佳子
京鹿子
199906
子規庵の一草思ふ更衣
山尾玉藻
火星
199906
句敵のふと懐かしや更衣
山田弘子
円虹
199907
衣更へてともに漂ふこころかな
山田弘子
円虹
199907
衣更へて初心に帰る心あり
梅田実三郎
円虹
199907
更衣ほどよく暗き部屋ありて
能村登四郎
199907
胸奥に海鳴り育つ更衣
小澤克己
遠嶺
199907
更衣文遅れたり妻なくて
能村登四郎
199907
老いたれば老いたるままの更衣
倉田岩魚男
199907
前山のせり出してゐる更衣
小原禎子
銀化
199907
渡り漁夫明日発つ衣更へにけり
前田青紀
馬醉木
199908
腕白の四肢に擦り傷更衣
木下仁司
199908
世に少し長居したくて更衣
井上静子
199908
向う三軒娘連れゆく更衣
城孝子
火星
199908
衣更へて三十五階のカフェオーレ
杉浦典子
火星
199908
自転車のベル鳴らされし更衣
田畑幸子
火星
199908
更衣選ぶも着るもひとりかな
能村登四郎
199908
入院の夫のパジャマも更衣
安田悦子
円虹
199908
ころがりし鈴の音もよし更衣
村越化石
199908
更衣形状記憶二十代
村井久美子
199908
派手好きも時と場所あり更衣
松沢久子
いろり
199908
更衣すればとたんにくしゃみせり
熊谷みどり
いろり
199908
更衣亡母の匂ひに出逢ひけり
福田みさを
いろり
199908
みなもとの水の香ふかき更衣
岡本眸
199908
衣更へて思ひつくことすぐにする
岡本眸
199908
水草の葉のひるがへる更衣
加瀬美代子
199908
この刻を大事に生きる更衣
村田近子
遠嶺
199909
更衣しても一人の病室に
田畑美穂女
ホトトギス
199909
水中に亀の眼のあり更衣
瀬戸悠
風土
199909
何となく衣更へたき朝なりし
橋本佐智
円虹
199909
住み馴れて来て好きな町更衣
橋本佐智
円虹
199909
捨てられぬ戦中派なり更衣
田中麻千子
六花
199909
橋渡る人を遠目に更衣
服部幸
199909
すこし風邪気味と言ひたる更衣
広渡敬雄
遠賀川
199909
二日ほど人に後れて更衣
広渡敬雄
遠賀川
199909
更衣して激辛のカレー食ぶ
三浦澄江
ぐろっけ
199909
句敵のふと懐しき更衣
山田弘子
ホトトギス
199910
更衣身にあんたんと古柱
中村裕子
海程
199910
更衣妻の姿見遺りけり
能村登四郎
芒種
199911
更衣へて老の構へのおのづから
能村登四郎
芒種
199911
父母の声さすがに忘れ更衣
能村登四郎
芒種
199911
丸の内白く彩り更衣
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
子には子の好みがありて更衣
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
更衣して不惑てふ齢迎へ
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
衣更へてさて行く先に迷ひけり
能村登四郎
羽化
200000
衣更へて新しく座す袖の位置
能村登四郎
羽化
200000
衣更え少女の臍のくぼみかな
中林明美
ヒッポ千番地
200003
鏡中に過ぐ一生や更衣
本橋怜加
冬牡丹
200003
身軽さに慣れゆく日数更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200005
更衣しても好みのかへられず
稲畑汀子
ホトトギス
200005
纏ふ風放つ風あり更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200005
衣更へてポケット減ってをりにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200005
忘れもの何かありさう更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200005
更衣いつか心の伽も解け
稲畑汀子
ホトトギス
200005
部屋移るだけの引越更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200005
まとふより風に従ふ更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200005
朝の間を机に向ふ更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200005
更衣して普段着に馴染みけり
稲畑汀子
ホトトギス
200005
持つものの軽くはならず更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200005
更衣して修道女香部屋に
稲畑廣太郎
ホトトギス
200005
老斑のほくろにまぎれ更衣
鷹羽狩行
200006
わが部屋の仕舞ひ忘れし更衣
熊谷みどり
いろり
200006
更衣夫はうるさく見えるらし
松沢久子
いろり
200006
見ばえせぬ男と知りつ更衣
松方光子
円虹
200007
身のうちのどこかが鳴りて更衣
赤川孝子
200007
更衣へて卒寿を越えし兄と会ふ
毛塚静枝
200007
窓あけて空を入れたり更衣
彌榮浩樹
銀化
200007
更衣階下の音のよく聞こえ
松沢久子
いろり
200007
重きもの暫し忘れて更衣
久保田一豊
いろり
200007
更衣妻にまぶしさありにけり
島崎晃
遠嶺
200008
衣更へて海に向つて歩きけり
山田弘子
円虹
200008
衣更へてさて行く先に迷ひけり
能村登四郎
200008
更衣おのれの羽化と思ひつつ
長谷川春
200008
衣更へて二度の勤めの一日目
小野島淳
200008
髪染めて少し派手目の更衣
久保田一豊
いろり
200008
杖供養明日に控へて更衣
村越化石
200008
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2021年6月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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