更衣 〈衣更〉4

病床を二三歩離れ更衣    藤崎久を

ころもがへ  更衣

作品
作者
掲載誌
掲載年月
衣更して七十の喉仏
真塩実
200311
欲いくつつなぎて後の更衣
三好智子
200312
抽斗に思ひ出たたみ更衣
市橋幸代
築港
200312
金平糖噛んでをりたる更衣
岡井省二
省二全句集
200312
年ごとに派手な柄ふえ更衣
菊地嘉江
帆船
200401
眩しくて見えぬ波の穂更衣
飯塚雅子
200401
更衣夕さざなみの落着かず
青砥真貴子
200401
更衣北信五岳の名を誦す
能村研三
滑翔
200402
つま先を鏡に入れて更衣
福谷三保子
帆船
200405
片づける心づもりの更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200405
捨てることにも上手下手更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200405
更衣ともかく旅の荷を揃へ
稲畑汀子
ホトトギス
200405
好きな色一つ増えたる更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200405
制服に手足によきによき更衣
山崎ミチ子
帆船
200406
更衣三の輪銀座のチンドン屋
松本硯友
帆船
200406
さみしさの膝そろへたり更衣
中村房江
六花
200406
先輩は白と黒なり更衣
出口誠
六花
200406
その中にぬれぎぬもあり更衣
西川織子
馬醉木
200406
速達を片手に受けて更衣
藤田あけ烏
草の花
200406
職退いて凝ることのなし更衣
塩川雄三
築港
200407
更衣雲湧き立てる水平線
水野粒子
200407
不満なく肥満もなくて更衣
丸山佳子
京鹿子
200407
衣更心の何処かほぐれけり
大塚孝一
帆船
200407
伊那谷の風を受けつつ更衣
水田清子
200407
蔵ひとつ塗り替はりをり更衣
水田清子
200407
衣更へて病の床を払ひけり
志水芳秀
雲の峰
200407
転生を覚悟の衣更へにけり
久保一岩
雲の峰
200407
看護婦の逞しき腰更衣
左官治郎
200407
衣更して人の世を簡潔に
齊藤實
200407
衣更(き)て火床に無我の骨すがた
禰寝瓶史
京鹿子
200408
衣更へて術後の命惜しみけり
左々法子
百鳥
200408
耳たぶの伸びてをるなり更衣
近藤公子
200408
朝よりの人待ちごころ更衣
生方ふよう
200408
豊かなる胸の透きゐる更衣
田谷芳江
築港
200408
職を退き子に従うて更衣
寺井富三郎
築港
200408
常の朝なれど新鮮更衣
白崎一子
築港
200408
裾捌き軽くなりけり更衣
芝尚子
あを
200408
生きてゐる事の証や更衣
森山のりこ
あを
200408
更衣少女はばたくごとく来る
福井隆子
対岸
200408
蹴りごろの石見つけたり更衣
辻雅子
ぐろっけ
200408
針少し使ひて母の更衣
谷田部栄
万象
200409
衣更へて風聞追はぬ臍の位置
安藤しおん
200409
忘却を重ねて衣更へにけり
大石ひろ女
百鳥
200409
更衣鏡にうつる痩せし肩
辻川錫子
築港
200409
年金を引き出しに行く更衣
二瓶洋子
六花
200409
校庭に白き風湧き更衣
平万紀子
200409
更衣山頂ついに現れず
風間史子
200409
野良着にもピンクのフリル更衣
福田かよ子
ぐろっけ
200409
銭湯で更衣して老夫婦
福田かよ子
ぐろっけ
200409
更衣すめらみくには水に浮き
八田木枯
夜さり
200409
更衣背筋に風のありにけり
粟津松彩子
ホトトギス
200410
作務衣にもありし今日より更衣
桑田青虎
ホトトギス
200411
誰にともなくつぶやきて更衣
土屋酔月
火星
200411
手に鋏口に替へ紐菊衣替ふ
北瀬照代
築港
200501
てのひらに風受く秋の更衣
高橋さえ子
200501
心まで更衣せし佳人かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200505
更衣ピンクに映える紳士かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200505
更衣して軽々と現はれし
稲畑汀子
ホトトギス
200505
似たやうな日々過ぎゆけり更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200505
雨の日の一日延ばしに更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200505
翠黛の迫りくるなり更衣
鷹羽狩行
200505
ころもがへ朝礼清しき日となれり
吉川隆史
200209
学校の森を遠見のころもがへ
岡本眸
200208
遠景ににはとり一羽ころもがへ
鷹羽狩行
200405
ころもがへ麻衣と名づけし仔犬ゐて
大村美知子
京鹿子
200408
原色の花がら選ぶころもがへ
久保一岩
雲の峰
200407
齢よりも地味を好める更衣
水田清子
200505
更衣回転扉に軽く入る
能村研三
200506
流行にいつも遅れて更衣
松木つやの
築港
200507
浮雲は木綿のにほひ更衣
河野美千代
200507
更衣はや寝はや起き心えて
丸山佳子
京鹿子
200507
更衣相性といふ不思議なもの
山本きょうこ
百鳥
200507
更衣わが子まぶしむ齢なる
鈴木實
百鳥
200507
洗濯機ひと日忙しき更衣
福留ゆみえ
河鹿
200508
衣更へて羽化せる如く外出す
岡谷栄子
200508
更衣ちちはは姉の亡き世かな
大嶋洋子
春燈
200508
大山のふもとなりけり更衣
中道愛子
200508
更衣罌粟は坊主になつてをり
石脇みはる
200508
半袖に更衣する待たれよと
大島翠木
200508
変はらざるもの身のうちに更衣
藤井圀彦
200508
抽斗に海かぜ匂ふ更衣
横松しげる
遠嶺
200508
ひと鍬に土の香立てり更衣
吉田島江
火星
200508
三毳嶺が窓に覗けり更衣
三関浩舟
栴檀
200508
靴もたぬみどり児うすき更衣
遠山みち子
200508
更衣心機一転しそんずる
片山タケ子
200508
自転車のサドルを高く更衣
藤原絹子
百鳥
200508
更衣雲脚はやき日と思ひ
宮津昭彦
200508
更衣の女の腕の丸出しに
鈴木壷山
200508
水色となりし乙女等更衣
山片岡祥子
200508
結納終へ肩の荷下りぬ更衣
石田嘉江
200508
衣更へて見るも病の抜けもせで
大橋敦子
雨月
200508
神官のうす青映ゆる更衣
米林外喜子
築港
200508
更衣通勤鞄白に変へ
高田佐土子
築港
200508
更衣小さく風をたたみけり
貝森光大
六花
200508
三叉路のいつもの巡査更衣
斉藤裕子
あを
200508
衣更へただそれだけで気の済めり
尾堂Y
河鹿
200509
着始めの一歩がうれし更衣
藤原たかを
馬醉木
200509
更衣願ひ届いて旅の空
高村洋子
遠嶺
200509
更衣何か良い事ありさうな
赤池英津子
遠嶺
200509
それなりに父の風格更衣
荒川清司
遠嶺
200509
羽化のごと手足の伸びる更衣
三好智子
200509
ためらはず心もろとも更衣
高橋将夫
200509
衣更へて母が小さくなりにけり
中沢三省
風土
200509
更衣して回覧板渡しけり
保田英太郎
風土
200509
事務職も網戸作りや更衣
横山庄一
百鳥
200509
更衣けふ逢ふ人を想ひけり
吉村一郎
百鳥
200509
ブラウスの胸に校章更衣
浜和佳子
百鳥
200509
性分は変らぬ衣更へにけり
石川英利
百鳥
200509
更衣鏡を一寸斜に見る
岩崎憲二
京鹿子
200509
更衣せねばと母の独り言
師岡洋子
ぐろっけ
200509
更衣おのれ家長のおひめあり
瀧春一
菜園
200509
面映ゆし九十二才更衣
武藤美代
築港
200509
衣更へてその夜の母の深眠り
下平直子
200509
衣更へて道の広きを選りゆけり
糸井芳子
200509
更衣デパート一つ無き町に
嶋田摩耶子
ホトトギス
200510
子離れし母から私更衣
名和美枝子
八千草
200511
校塔の十字架高し更衣
山下升子
八千草
200512
妻なにか呟く後のころもがへ
中島あきら
200512
今朝の雨そろそろ後の更衣
橋本靖子
200601
更衣人と逢ふ日のかるさかな
坂本敏子
京鹿子
200601
衣更へてはや雑踏の一人かな
糸井芳子
200601
定年の夫あり後の更衣
大山文子
火星
200602
熱海へと集ひし後のころもがへ
森早和世
ぐろっけ
200602
先づ机辺片づけてより更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200605
更衣今日は出先に迷ふなく
稲畑汀子
ホトトギス
200605
箪笥から声掛けてくる更衣
滝沢伊代次
万象
200605
更衣どこの鴉も黒きかな
滝沢伊代次
万象
200605
マネキンはいつも美し更衣
中村輝子
酸漿
200605
更衣こころの山河ひとつ越え
鷹羽狩行
200606
ときめきのいささかありし更衣
瀬戸峰子
春燈
200607
更衣ゆとりの風が袖抜ける
瀬戸峰子
春燈
200607
臆面もなく少女じみ更衣
大橋麻沙子
雨月
200607
桁丈の縮みを出せり更衣
森本数子
200607
身の程にさらりと生きて更衣
高橋照葉
ぐろっけ
200607
姿見に立ちてなつとく更衣
早崎泰江
あを
200607
夫と観しシネマの半券更衣
石堂絹子
河鹿
200608
のど飴をひとつ含ふみて衣更へ
岩木茂
風土
200608
母は子の子は三越の更衣
渡辺ひろし
200608
更衣夫婦に時差のありにけり
植松美根子
200608
老衣更へていつとき威を保つ
戸田和子
200608
更衣栗色髪に染めてみん
寺田美穂子
四葩
200608
年寄の上手にあそぶ更衣
廣畑忠明
火星
200608
雲に問ふ雲の行方や更衣
村越化石
200608
衣更へて誰に逢ふともなき日かな
安田とし子
ぐろっけ
200608
白とふは誰にも似合ひ更衣
大橋麻沙子
雨月
200608
長梯子ねかせて久し更衣
垣岡暎子
火星
200609
金色のブローチもらふ更衣
桜井葉子
遠嶺
200609
更衣少女は凛と歩きをり
内田稔
遠嶺
200609
リベラルの処世かはらず更衣
荒川清司
遠嶺
200609
手の甲の血管青し更衣
小林正史
200609
更衣窮屈となる胴廻り
秋田直己
ぐろっけ
200609
衣袴(いこ)と言ふ軍装ありぬ更衣
山口博通
ぐろっけ
200609
尋ね来る人も居らねど更衣
羽生きよみ
ぐろっけ
200609
老いてまた背筋を正す更衣
関戸文子
酸漿
200609
衣更ふ青ひと色に樹々と水
木内憲子
200609
三目ほど日を見ず衣更へしあと
坪井洋子
200609
衣更へて振る釣竿の軽きかな
友田直文
200610
百寿すぐ更衣してあらたまる
浅井青陽子
ホトトギス
200610
更衣せし身軽さのひとり旅
川口利夫
ホトトギス
200611
母の財布出で来ぬ後の更衣
梅原美子
200612
菊枕女御更衣の世に遊ぶ
大橋麻沙子
雨月
200612
園かばん背中はみ出し更衣
中野英歩
八千草
200612
江戸つ子の気の早やばやと更衣
清水けい子
八千草
200612
思ひ出をたたみなほして更衣
田千鶴子
馬醉木
200701
東京は灯の海後の更衣
橋本良子
遠嶺
200701
死の用意少し整ふ更衣
高倉恵美子
200701
海光のひやひや後の更衣
高橋さえ子
200702
サスペンスドラマロケ隊更衣
稲畑廣太郎
ホトトギス
200705
更衣して一端のサラリーマン
稲畑廣太郎
ホトトギス
200705
更衣黒を好みし女かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200705
更衣して未来へと歩み初む
稲畑廣太郎
ホトトギス
200705
まんばうを昼に食ひたり更衣
百瀬七生子
海光
200705
長生きをせむと生まれて更衣
百瀬七生子
海光
200705
更衣女の肌に秘するもの
滝沢伊代次
万象
200705
沖縄へ飛びいきなりの更衣
伊藤真代
200705
とりあへず蕎麦を食べんと更衣
堀内一郎
あを
200705
タンカーもドッグ入りして更衣
中島玉五郎
200706
更衣顔も取替へ街へ出る
須田紅三郎
200706
更衣インクの色も替へしかな
鈴木榮子
春燈
200707
更衣大志を秘めし孫の胸
岡野ひろ子
200707
九十五の母ゆつくりと更衣
松嶋一洋
200707
降り足りし川面ゆたかに更衣
加瀬美代子
200707
更衣久留米絣に手を通す
池田光子
200708
望郷の雲払ひたる更衣
鴨下昭
200708
更衣して当千の顔揃ふ
伊藤白潮
200708
着つくしても藍の色香や更衣
岡井しげ女
春燈
200708
行く雲に蹤きて行くべし更衣
村越化石
200708
日帰りの旅も旅なり更衣
村越化石
200708
更衣て藍の暖簾に変へにけり
笹原紀世子
200708
更衣師系の裾に処得て
横松しげる
遠嶺
200708
更衣土蔵の化粧遅々として
伊東政勝
遠嶺
200708
衣更へ横浜港へ船を見に
大西八洲雄
万象
200708
天候で中途半端の更衣
小野寺節子
万象
200708
更衣赤城は裾を長くひく
小林和子
万象
200708
雨煙る銀座が好きよ更衣
七種年男
200708
をさな子と蕗むいてをり更衣
城孝子
火星
200708
更衣着ることもなく捨てもせず
高倉恵美子
200708
律儀者暦通りに更衣
大空純子
ぐろっけ
200708
川面いま日の乱反射衣更ふ
濱地恵理子
200708
更衣晩節の箍締めなほす
白井友梨
馬醉木
200708
負ふた子に託す未来や更衣
宮野照子
馬醉木
200708
更衣胸に大事を秘めながら
三村純也
ホトトギス
200709
Tシャツの意外に似合ふ更衣
隅田享子
200709
更衣変わらぬ胸のペンダント
宮入河童
200709
変哲もなき日一変更衣
野中啓子
200709
思はざるはや辛寿とや更衣
北村香朗
京鹿子
200709
着古りたる柄に思ひ出更衣
北村香朗
京鹿子
200709
子に遅れ妻に遅れて更衣
森本秀樹
200709
浜風にフリルよろこぶ更衣
小野玲子
200709
髪切りて忽ち終る更衣
田原陽子
200709
シェーバーの音のなめらか更衣
玉川悠
遠嶺
200709
素謡の舞台近づく更衣
鈴木石花
風土
200709
更衣へて海辺の谷内六郎館
平田紀美子
風土
200709
身の丈のだいぶ縮みて更衣
大川冨美子
ぐろっけ
200709
更衣みどりに染まりやすくなり
内藤呈念
ホトトギス
200710
母のもの今も箪笥に更衣
片野美代子
酸漿
200710
更衣かくて古りゆく月日かな
西村摩耶子
京鹿子
200710
二の腕に山気の触るる更衣
若井新一
200711
更衣この世の名残り少し捨つ
高倉恵美子
200711
戸惑ふも癌を受け入れ更衣
加藤和子
万象
200801
更衣人生五十年は過去
稲畑廣太郎
ホトトギス
200805
黒革の手帳入れ替へ更衣
稲畑廣太郎
ホトトギス
200805
忌心といふ更衣ありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200805
更衣してポケットの減つてをり
稲畑汀子
ホトトギス
200805
更衣して旅心改る
稲畑汀子
ホトトギス
200805
朝の間の腕たよりなき更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200805
午後からは更衣して現はるる
稲畑汀子
ホトトギス
200805
好みとは変らぬものよ更衣
稲畑汀子
ホトトギス
200805
船旅のなかの或る日の更衣
鷹羽狩行
200805
更衣心遊べば吾も鳥
湯浅夏以
遠嶺
200806
人住まぬ裏みち行くも更衣して
丸山佳子
京鹿子
200806
紋彫りは地道な作業更衣
林日圓
京鹿子
200806
タイムスリップ黒きドレスに更衣
小澤菜美
200807
更衣品格までは変へられず
塩路五郎
200807
面影を胸のすき間に更衣
岡野ひろ子
200807
今朝の富士鹿の子斑や更衣
神田美穂子
万象
200807
ひかへ目に生きむと思ふ更衣
乗光雅子
雨月
200807
衣更へていよよ母似の立姿
村上光子
馬醉木
200808
年齢は忘れましたと更衣
塩路隆子
200808
更衣捨て切れずまた手を通す
伊藤憲子
200808
さあ来たる痩身さらす更衣
布川直幸
200808
山国の変はらぬ生活更衣
仁平則子
200808
夕雲のふちの金環更衣
水野恒彦
200808
人の眼の中に生きをり更衣
近藤公子
200808
更衣きのふと同じ橋渡る
岩月優美子
200808
いつよりのかかる花眼や更衣
梶川智恵子
200808
衣更へて三尺の距離なほ保つ
山本無蓋
200808
更衣袖の軽さにある不安
藤岡紫水
京鹿子
200808
衣更え胸は造花の若造り
栗栖八重子
ぐろっけ
200808
衣更へて背筋のばして生くるべし
柴田良二
雨月
200808
立居振舞鮮やかにして更衣
中原敏雄
雨月
200808
逆転の発想をふと更衣
堀田こう
雨月
200808
妻の出すものを素直に更衣
吉田かずや
春燈
200808
後期高齢承知の上の更衣
達山丁字
200809
母となる腰ふくよかに更衣
北川キヨ子
200809
更衣心構へも新たにす
赤羽正行
遠嶺
200809
衣更へて月待橋を渡りけり
風間史子
200809
衣更しても一病居座れり
塩千恵子
200809
照り降りの気嫌に迷ふ更衣
荻野千枝
京鹿子
200809
むつつとやろくろ首の更衣
関根誠子
炎環
200809
喜寿傘寿形状記憶更衣
竹内悦子
200809
更衣今年も見付からぬまゝに
木原今女
ぐろっけ
200809
更衣孫婚家へと帰りけり
小倉綾子
ぐろっけ
200809
少年の胸をはりをり更衣
東芳子
酸漿
200809
思ひ出を大事にたたみ更衣
池田加寿子
200810
一電車乗りおくれたり更衣
村田とくみ
ぐろっけ
200810
雨の木に山鳩うたふ更衣
鈴木直充
素影
200811
子に孫に古き思ひ出更衣
小澤正信
200811
船長の白服となる更衣
品川鈴子
龍宮の客
200904
シャツ直し子の尻叩く更衣
中島玉五郎
200905
更衣したのに誰も気付けへん
稲畑廣太郎
ホトトギス
200905
水ひろきところへ出でし更衣
山尾玉藻
火星
200906
年金のレベルに生きて更衣
中島玉五郎
200906
ポケットに樟脳の殻更衣
松嶋一洋
200907
ホームズの呪縛を断ちて更衣
千田百里
200907
瞬目の煙る一生更衣
鈴木良戈
200907
易々と空中に住み更衣
古屋元
200907
種痘痕まだ消えざるよ更衣
戸辺信重
春燈
200907
寺宝展に更衣して瓜切つて
丸山佳子
京鹿子
200907
制服の少女眩しき更衣
三川美代子
200908
電車よりどつと白波更衣
宮崎左智子
200908
更衣早も六十路の半ばなる
森下康子
200908
嘘少しつきし側近更衣
高橋泰子
200908
めぐり来るものにつつまれ更衣
本多俊子
200908
更衣襟刳り広き服仕舞ふ
江島照美
200908
回診や白衣の下の更衣
鈴木良戈
200908
校門の明るくなりぬ更衣
水上れんげ
200908
職域を超えて親しも更衣
中尾硫苦
炎環
200908
水口へせせらぎ落とす更衣
高松由利子
火星
200908
日直が黒板を拭く更衣
岩井ひろこ
火星
200908
白シャツの女生徒眩し更衣
石川元子
酸漿
200908
曰く付き羽根一枚の更衣
禰寝瓶史
京鹿子
200908
用無きに出掛ける街や更衣
松永紫浪
200908
角番となりし加齢や更衣
佐藤七月
ろんど
200908
原稿の依頼の写真更衣
山本エリカ
ろんど
200908
更衣樟脳精の余薫あり
青木宏年
ろんど
200908
今日からは風を着てゆく更衣
芝尚子
あを
200908
更衣侠気心を抑へけり
大谷茂
遠嶺
200909
更衣和風スタンド灯りかな
酒井湧甫
200909
定年の齢始めの更衣
山口輝雄
200909
水の斑の幹に揺れゐる更衣
戸栗末廣
火星
200909
まつすぐなこと見えてきし更衣
深澤鱶
火星
200909
怖がりの太郎もすなる更衣
深澤鱶
火星
200909
男山よりの風見ゆ更衣
深澤鱶
火星
200909
風孕む帆船の光ゲ更衣
松木ひろ
ろんど
200909
流行に乗らぬ誇りや更衣
嶋田摩耶子
ホトトギス
200910
更衣生き長らへてゐるとふと
嶋田摩耶子
ホトトギス
200910
退院の元気を包み更衣
嶋田一歩
ホトトギス
200910
退院し街人となる更衣
嶋田一歩
ホトトギス
200910
使ひ捨ての世は既に去り更衣
矢島久栄
200910
子のお古いつしか馴染み更衣
佐藤みさ子
200910
樟の影の濃くなり更衣
西澤茂子
200910
セーラーの衿の大きく更衣
池崎るり子
六花
200910
脚ながき娘になりしかな更衣
浅井青陽子
ホトトギス
200911
いくさ地震生きのびて肥え更衣
品川鈴子
はらから
200911
更衣父の形見の寸足らず
吉村摂護
200911
更衣耳さとくして風の中
佐々木秀子
200911
美しく老いたき願ひ更衣
浅井青陽子
ホトトギス
200912
考ふる葦とよ後の更衣,佐橋敏子
安立公彦
春燈
201001
後の更衣仕覆の紐を改むる
平野加代子
春燈
201002
オカリナの音色のやうな更衣
稲畑廣太郎
ホトトギス
201005
更衣して旅心いざなへる
稲畑汀子
ホトトギス
201005
更衣→(5)      

 

2021年6月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。