木の芽時・芽立ち時     81句

楢山の窪に池澄む芽立時    水原秋櫻子

木の芽風  木の芽時  木の芽

作品
作者
掲載誌
掲載年月
眼帯にすこしの湿り木の芽時
甲富代
199805
点描の空張りつめて木の芽時
小澤克己
遠嶺
199805
ひと雨に山がふくらむ木の芽どき
竹澤真青
199808
木の芽時歩けと杖を贈らるる
能村登四郎
芒種
199911
木の芽時スーツ一つに安んじて
星野早苗
空のさえずる
200002
山襞の明暗しるき木の芽どき
辻井桂子
俳句通信
200004
木の芽時しじまはトランプめくるよう
吉川真実
海程
200007
友も老い独り留守居の木の芽どき
久保田一豊
いろり
200007
草木にも赤ん坊があり芽立どき
林翔
200104
失せものは小人の仕業木の芽どき
牛田修嗣
200105
霊山に力満ちくる木の芽時
小林たけし
200106
芽立時とんと忘じて梁に
武田菜美
銀化
200107
日当りて山が膨らむ木の芽時
伊藤敬子
遠嶺
200107
大声で歌ふ子供や木の芽時
稲畑廣太郎
ホトトギス
200203
木の芽どき語り継がるる歌心
水見壽男
円虹
200204
木の芽どき砲座の残る磯の径
伊藤亮
春耕
200205
合谷に三里に灸を木の芽どき
大石よし子
雨月
200206
間垣より出て子ら遊ぶ木の芽どき
朝妻力
雲の峰
200303
開きたる辞書に伏せをり木の芽時
酒井ひろ子
200305
木の芽時木に青年期壮年期
塩川雄三
築港
200305
水面に枝乗り出して木の芽どき
矢島久栄
200306
一合の米研ぎこぼす木の芽どき
岸田爾子
200307
鳥の声にて目覚む朝木の芽時
恩塚典子
ぐろっけ
200307
木の芽時煙突四本はて三本
細野恵久
ぐろっけ
200403
祝ぎ事の連なり続く木の芽どき
末益冬青
雲の峰
200404
木の芽どき鹿の刺身も天城茶屋
吉成美代子
あを
200405
節々の痛み増し来て芽立時
西村咲子
六花
200406
絵付する筆の弾みや木の芽時
木村仁美
馬醉木
200407
遠山の濃きむらさきは木の芽どき
庄中健吉
200407
遺句集の選に手間どる木の芽どき
伊藤白潮
200504
小流れに日の斑躍らせ木の芽時
水原春郎
馬醉木
200505
猟犬の傷癒えにけり木の芽時
小山漂葉
酸漿
200505
木の芽時人にうつ病はびこりて
安部里子
あを
200505
木の芽どき瞼に青き血の透けて
生田恵美子
風土
200506
木の芽どき小米桜もいぶきけり
上藤八重子
酸漿
200506
同席の喪服がにほふ木の芽どき
竹内弘子
あを
200506
手の平の時に俎板木の芽時
大石たか
遠嶺
200507
念願の帽子を買ひし木の芽時
山荘慶子
あを
200604
園中に一水走り木の芽時
高梨美佐子
遠嶺
200606
木の芽時故郷出でて四十年
奥秋義貫
遠嶺
200606
夕暮の風の濃くなる木の芽どき
佐藤よしい
風土
200606
湧水の砂渦巻けり木の芽どき
上柿照代
馬醉木
200705
歯切れよく鳶笛吹けり木の芽どき
米山喜久子
200705
新説のやがて定説木の芽時
赤羽正行
遠嶺
200708
ただひとり引越近づく木の芽時
大空純子
ぐろっけ
200806
野に畑に人の動ける芽立時
青木政江
酸漿
200906
てのひらの薬ふえたり木の芽時
長田曄子
火星
200906
磴多き大学町は木の芽時
湯浅夏以
遠嶺
200909
もの申したきこと多き木の芽時
太田實
ぐろっけ
201005
鯉の尾のゆらりひらりや木の芽時
川口崇子
万象
201006
等伯の屏風の柳木の芽時
須藤美智子
風土
201006
菩提寺の雨の明るし木の芽時
石原光徳
酸漿
201006
大きすぎる体育帽や木の芽時
三崎千恵子
ろんど
201007
人影の見えぬ谷田や木の芽時 松元末則 酸漿 201107
木の芽時身をいたはれと祖母の声 市橋香 ぐろっけ 201205
膝つけば爺よ婆よと芽立ち時 熊谷ふみを ろんど 201306
木の芽時座す碧眼の彫金師 加藤峰子 201306
木の芽どき腕まくりして硝子拭く 塩川君子 末黒野 201306
水音もことばも弾む木の芽時 甲州千草 201406
木の芽時足こそばゆくなりにけり 一民江 馬醉木 201504
子ら集ふ秘密の山の木の芽時 永峰久比古 馬醉木 201504
食卓に人増えてゐる木の芽時 篠藤千佳子 201510
わさわさと胸の波打つ木の芽時 江島照美 201606
師の墓を訪へば晴れゆく木の芽時 柳澤宗正 万象 201607
しがらみも縁のひとつ木の芽時 コ田千鶴子 馬醉木 201705
水音のくぐもる橋や木の芽時 高倉和子 201708
口笛の一音たかく木の芽時 那須淳男 馬醉木 201804
他人の肩かりて居眠る木の芽時 江草礼 春燈 201805
追ひ焚きの昼の湯の音木の芽時 甲州千草 201805
苗札の消えかけてをり木の芽時 黒澤次郎 やぶれ傘 201806
移動するライフスタイル木の芽時 藪ノ内君代 船団 201906
木の芽時町屋カフェの町屋蕎麦 たかはしすなお 201906
朝早し沖に舟浮く木の芽時 大野芳久 やぶれ傘 201908
抜けた歯を見せる六歳木の芽時 塩谷則子 船団 201910
ゆつたりと雲流れゆく木の芽時 荒井ハルエ 京鹿子 202008
木の芽時キリンのまつげ濡れてゐる 村田あを衣 京鹿子 202104
耳痒き朝の目覚めや木の芽時 豊谷ゆき江 春燈 202105
久に訪ふ山中湖畔木の芽時 小林紫乃 春燈 202106
雲速しメタセコイアの木の芽時 森一枝 末黒野 202107
蒼穹の熱帯びてくる木の芽時 林昭太郎 202204
里山の多弁となりて木の芽時 西計郎 やぶれ傘 202207

 

2023年3月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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