小 春 3     397句

あゝ小春我等涎し涙して    渡辺白泉

小六月  小春

作品
作者
掲載誌
掲載年月
小春日の庫裡に笛吹きケトル鳴る
渡辺周子
雲の峰
200401
小春日の高尾に咲くよ秋海棠
阿部ひろし
酸漿
200401
犬小屋の修理小春の日を選ぶ
小泉豊流
酸漿
200401
小春日や青鷺一羽石の上
大里快子
酸漿
200401
江の島のいとはるかなる小春かな
大里快子
酸漿
200401
窓拭に小春の富士のけさは見ゆ
永見嘉敏
酸漿
200401
小春日の谿川の音さやけくも
芝尚子
あを
200401
職退きし吾に小春の山河かな
小山徳夫
小春の山河
200401
小春なほ波裏返す日本海
黒坂紫陽子
馬醉木
200402
小春日や並みて眠たきこけし達
藤原たかを
馬醉木
200402
藜杖曳きて小春の幣振坂へふりざか
築城百々平
馬醉木
200402
逝く人に賜ふ小春の野辺送り
神宮きよい
馬醉木
200402
小春日のバザーぷちぶる意識にて
泉田秋硯
200402
九分粥となりて癒えゆく小春かな
高畠陽子
河鹿
200402
小春日の鎧のやうな吉野杉
飯塚ゑ子
火星
200402
小春日の子のくつしたの湿りかな
吉田康子
火星
200402
小春日の真中に千手観音像
城尾たか子
火星
200402
小春日の暗き坂なる切通し
高梨美佐子
遠嶺
200402
小春日を来てひらがなの道標
島元文
遠嶺
200402
小春日の坂まつさらの乳母車
鈴木清子
遠嶺
200402
小春日や着物姿を見せにくる
秋岡朝子
200402
小春日の金剛仏に埃かな
岩月優美子
200402
小春日や魚卵の眼動き初む
天野きく江
200402
大いなる小春の海にいだかれて
本多俊子
200402
郵便夫に名前褒められ小春の日
釜井瞳子
対岸
200402
桟橋に波立ちあがる小春かな
藤田悦子
対岸
200402
小春日の大浦半島紅葉病む
浜明史
風土
200402
切り金の衣の仏小春かな
磯野たか
風土
200402
小春日の胸に飯粒乾きをり
吉田明子
200402
小春日を絶交中のまま歩く
高田令子
200402
地ビールのうすき濁りも小春かな
中尾杏子
200402
ぬと高き遍路のひとり小春凪
坂ようこ
200402
小春凪せはしく細し海女の笛
内山花葉
200402
カヌー教室賑はひてをり島小春
藤森万里子
百鳥
200402
小春日や人に会ひたくなき日あり
高木武人
百鳥
200402
小春日の山羊にノートを咬まれたり
杉江美枝
百鳥
200402
ほうほうと廃鶏を追ふ小春凪
須佐薫子
帆船
200402
堂縁に猫のまろびし小春かな
加藤弘一
築港
200402
小春日や庭に適ひし石蕗の花
大堀鶴侶
雨月
200402
針のごと光る松葉や庭小春
大堀鶴侶
雨月
200402
小春日やピサの蒼天比類なき
久保晴子
雨月
200402
籠の鳥の艀化すと便りくる小春
西村しげ子
雨月
200402
癒え遅き身に賜りし小春の日
乗光雅子
雨月
200402
小春の縁母の遣影を拭ひをり
堀田こう
雨月
200402
ゴンドラも船も小春の直中に
落合絹代
雨月
200402
驢馬の子の身をすり寄せ来小春の日
堀田恵美子
雨月
200402
家事にのみ専念をして小春の日
杉本美智江
雨月
200402
小春日や犬と遠くに散歩せる
森理和
あを
200402
あの一瞬動かぬ犬へ小春空
森理和
あを
200402
牛小屋の留守になりたる小春の日
永岡セツ
酸漿
200402
白鷺の舞あでやかや小春の日
大里快子
酸漿
200402
江の電の車窓より見る海小春
大里快子
酸漿
200402
思ひたつ小春の朝のペン習字
永見嘉敏
酸漿
200402
御句碑に佇てば小春の波の音
秋山ユキ子
200402
人生の小春日和に浸りけり
丸山敏幸
200402
小春日や鴨は光の水尾を引き
小石秀子
酸漿
200402
小春日や五平餠焼く屋台店
伊藤セキ
酸漿
200402
小春日や梅花藻をどる柿田川
関まさを
酸漿
200402
西伊豆の小春日和に花アロエ
関まさを
酸漿
200402
小春日や鴨も総出で憩ひをり
大房帝子
酸漿
200402
小春日の麟麟ゆるりと空舐めし
北川キヨ子
200403
小春日や鶴の歩みのハイヒール
白髭美佐子
200403
黒豚のラーメン啜る園小春
沼口蓬風
河鹿
200403
小春日の土にやさしき竹箒
濱田萬里子
河鹿
200403
小春日や夫に釣られし魚二匹
清原彰子
河鹿
200403
小春日や居さうにおもふ蛇を見ず
市場基巳
200403
豆莚はたき小春の空のあり
近藤きくえ
200403
園児らの連なりゆくよ里小春
永田哲心
遠嶺
200403
小春日の山懐の美術館
水野あき子
遠嶺
200403
海峡に釣舟浮かぶ小春の日
与川やよい
遠嶺
200403
小春日や重なつてゐる透かし文字
桜井葉子
遠嶺
200403
小春日や描きし猫の眠りをり
津田礼乃
遠嶺
200403
小春日や史跡の裏のすべり台
浜田はるみ
遠嶺
200403
公園に雀群なす小春の日
梶井和呼
酸漿
200403
小春日や投込寺の石畳
若林杜紀子
百鳥
200403
有線の声こだまして小春村
河野洋子
200403
小春日の病夫に甘えられをりぬ
杉山瑞恵
雨月
200403
新婦より新郎が泣き小春かな
中島知恵子
雨月
200403
鉄棒で出来し胼胝見す小春凪
高千夏子
200403
小春日や浜果つるまで流木群
松井洋子
ぐろっけ
200403
小春風羅漢の一つ口あんぐり
水野範子
ぐろっけ
200403
猫二匹「の」の字「の」の字に小春かな
岡村尚子
ぐろっけ
200403
落し蓋乾かす小春日和かな
関田実香
200404
たまゆらの恍惚にあり小春の日
稲岡長
ホトトギス
200404
小春凪青い鳥社の印刷所
池田冨美
帆船
200404
またひとり坂のぼりくる小春かな
梅村達子
帆船
200405
銭湯の昼の窓開く小春かな
木場田秀俊
200405
死後のこと笑ふて語る小春かな
江原輝陽子
帆船
200406
予定表又一日消す小春かな
稲畑汀子
ホトトギス
200411
雨止めばたちまち小春日和かな
稲畑汀子
ホトトギス
200411
降り出して小春ひそめし庭となる
稲畑汀子
ホトトギス
200411
話したきことを心に抱く小春
稲畑汀子
ホトトギス
200411
小春日の鳩とおはなしできる嬰
竹貫示虹
京鹿子
200411
小春日の午餐に盛られムール貝
塩路隆子
200412
鱒がみな影をともなふ小春かな
阿部ひろし
酸漿
200412
別棟の母と二匹の小春かな
小田切陽子
帆船
200412
あちこちと土竜の穴を踏み小春
寺門丈明
あを
200412
小春日や風見の鶏は雄なりし
寺門丈明
あを
200412
小春日の庵主あすからまた主宰
鷹羽狩行
200412
一〇区一種白秋小春日和かな
神蔵器
風土
200501
震へたる村に祈りの小春かな
石田静
200501
楊貴妃の像に小春の窓明り
竪ヤエ子
雲の峰
200501
寺小春日につやつやと楝の実
谷野由紀子
雲の峰
200501
小春日の茶庭へ入る諸折戸
谷野由紀子
雲の峰
200501
小春日や色よく褪せし酒袋
辻井桂子
雲の峰
200501
唐破風に小春の空の限り無し
辻井桂子
雲の峰
200501
小春日の縁に医学書拾ひ読む
中川晴美
雲の峰
200501
小春日や紺屋にほのとすくもの香
中御門あや
雲の峰
200501
小春日や天狗の在す一寺院
高野美佐子
雲の峰
200501
小春日や寄り添ひ泳ぐ家鴨二羽
山口マサエ
雲の峰
200501
小春日の羅漢に探す父の顔
大橋克巳
雲の峰
200501
小春日の石庭に向け利休下駄
仲尾弥栄子
雲の峰
200501
初島に鳶鳴き交はす小春凪
山本昭夫
雲の峰
200501
小春日やカサブランカを土深く
早崎泰江
あを
200501
ビル越しの富士朦朧と小春かな
赤座典子
あを
200501
過去帳を繙く和尚小春かな
芝宮須磨子
あを
200501
小心の五感ひろげて小春かな
大島翠木
200501
歌姫も居るナース等の小春かな
村越化石
200501
手話の子に席譲らるる小春かな
堀内千鶴子
帆船
200501
おつかひに家族総出の街小春
鏡山千恵子
帆船
200501
小春日や温泉卵頂戴し
河中透水
雨月
200501
小春雲おき唐橋のゆるき反り
高橋千美
京鹿子
200501
小春の日透かす新札裏表
北嶋薫
築港
200501
小春日の鵜の羽づくらふ岬かな
淵脇護
河鹿
200502
軽石に値札のありて島小春
西屋敷峰水
河鹿
200502
熔岩に焼け跡残る小春かな
西屋敷峰水
河鹿
200502
在る筈の無き母とゐて小春かな
尾堂Y
河鹿
200502
鯉跳ねし水を眉間に小春かな
安藤ヒサ子
河鹿
200502
如来の眼とどくあたりの小春かや
蒔元一草
河鹿
200502
小春日やくるりと生れしかんな屑
新井泰子
馬醉木
200502
家のぐるりに魚干して小春凪
太田陽子
200502
小春日や雲のかるさの骨拾ひ
北野みや子
200502
鳩の出るからくり時計塔小春
杉山晴美
200502
小春日や鯉太ぶとと心字池
芝尚子
あを
200502
小春日に部屋開け放ち坐禅堂
木暮剛平
万象
200502
小春日の一樹に雀あふれけり
谷田部栄
万象
200502
藷焼酎醸す匂ひや島小春
松尾芳子
万象
200502
キツチンと変る厨や寺小春
清水喜造
帆船
200502
口の飴ころころころと小春かな
赤松丹山
雨月
200502
鳥声のちちと散らばり村小春
松林順子
雨月
200502
よろづ屋をコンビニと言ふ町小春
隅田恵子
雨月
200502
縁小春頷くだけの姑とゐる
笹倉さえみ
雨月
200502
小春日にそむき恙の身を臥する
村生翠
雨月
200502
臥する身の夢に小春の山を駈け
奈辺慶子
雨月
200502
小春日や花鉢並べ変へてやる
三浦如水
ぐろっけ
200502
小春日やテニスには勝ち喜寿迎う
水野弘
ぐろっけ
200502
櫓山荘荘主好みし棕櫚小春
宮津昭彦
200502
漁小春夫婦のくぐる不老橋
谷野由紀子
雲の峰
200502
旅誘ふ分厚き封書小春風
古宇田敬子
対岸
200502
小春日の匂ひ日なたの祖母の匂ひ
柳生千枝子
火星
200502
山小春独りは寂しまた愉し
柳生千枝子
火星
200502
あぶられて口開く貝や浜小春
藤岡紫水
京鹿子
200502
窯元をはしごして行く小春かな
丹生をだまき
京鹿子
200502
小春日やあるじが消えし車椅子
三浦永子
京鹿子
200502
小春日やバリアーフリーに母の部屋
瀬崎憲子
百鳥
200502
札所裏に米干されある小春かな
柿澤喜三郎
百鳥
200502
小春日の午睡を仮死と見られけり
吉村一郎
百鳥
200502
小春かな寂聴庵を覗きもし
佐藤よしい
風土
200502
想ひ出はほほゑみに似て小春畑
工藤ミネ子
風土
200502
小春日を背負ひて覗く醤油蔵
田村すゝむ
風土
200502
手も足も生きて機織る小春かな
田村すゝむ
風土
200502
糠床に糠を継ぎ足す小春かな
山本浪子
風土
200502
小春日やともづなを解く女の手
笹村政子
六花
200502
草鞋編み暫し憩はむ小春凪
伊達荷声
春燈
200502
小春日の日光街道鳩歩く
石田邦子
遠嶺
200502
小春日や儀式となりし捜しもの
石田きよし
200502
寄金して小春の貌をとり戻す
吉田明子
200502
わが影の不精にうごく小春凪
伊藤早苗
200502
縁側の小春日和を一人占む
増田久子
酸漿
200503
探し物ひよつこり顔出す小春かな
北圃愛子
帆船
200503
鶏の樹の上にねまる小春かな
佐々木よし子
200503
小春日や橅の薪積む庇まで
林陽子
万象
200503
小春日や榾の皮よりみみず現る
松田富夫
万象
200503
生れし日のひとりに余る小春かな
深澤厚子
馬醉木
200503
潮暦と絵心経ある小春かな
延広禎一
200503
小春日の畷に笑ひごゑのあり
近藤きくえ
200503
観世音在し余部峡小春
岸本久栄
雨月
200503
小春かな弥陀の目差受けて来し
岸本久栄
雨月
200503
伊豆七島はればれ見ゆる小春かな
落合絹代
雨月
200503
鳥屋に鵜の咽鳴らせる小春かな
浜口高子
火星
200503
学寮に布団干しある小春かな
杉山みゆき
百鳥
200503
小春日や墓前に鋏忘れあり
渡辺昌子
百鳥
200503
小春日の売地に描く間取りかな
中里とも子
百鳥
200503
薪積みて切り口匂ふ小春かな
柿澤喜三郎
百鳥
200503
小春日や退院の荷の千羽鶴
柿澤喜三郎
百鳥
200503
鳥籠を吊るし山家の小春かな
山本かずみ
百鳥
200503
郵便夫寺に入りゆく小春かな
後藤博司
栴檀
200503
小春かなクッキー匂ふ児を抱きて
吉野のぶ子
遠嶺
200503
八咫烏小春詣でに現はれよ
伊藤早苗
200503
小春日や表情の無き精神科
徳田正樹
河鹿
200503
小春日や千鳥に歩く渡り石
有島夛美
河鹿
200503
野仏の遠きまなざし小春かな
山嵜加代子
河鹿
200503
伝言のどこかあいまい小春かな
迫口君代
河鹿
200503
渦潮の大橋渡る小春かな
西屋敷峰水
河鹿
200503
あてもなく歩いてをりぬ野の小春
田代ヨシ
河鹿
200503
母の忌の雲ひとつなき小春かな
森永敏子
河鹿
200503
男にも小春日和の洗濯日
森津三郎
京鹿子
200503
梵鐘は置かれしままに寺小春
川越静子
200503
小春日の歌麿の墓掃き浄め
伊藤雅子
200503
小春日の臨海工場静まりぬ
小林むつみ
200503
独唱の子の大人びて小春なり
佐藤仁
200503
小春日に障子開かれ雀の間
中條睦子
万象
200504
土雛の瞳を入るる小春かな
田野力
万象
200504
小春日や人間を乗せイルカ飛ぶ
相川秀子
帆船
200504
小春日や女が描いて裂け石榴
朝倉富次
酸漿
200504
小春日や物音のなきでこ屋敷
田中章子
酸漿
200504
ベゴニアの鉢植よぎる小春風
田中章子
酸漿
200504
こてこての漢来てはる小春かな
栗栖恵通子
200504
被災地もこの小春日のつづきしや
安原葉
ホトトギス
200504
太陽の小春のすがたありにけり
粟津松彩子
ホトトギス
200504
小春日の窓に湧きつぐ羊雲
阿部正枝
遠嶺
200504
茶を運ぶ無口な男空小春
板倉エミ
200504
どの坂も佳き名や谷中小春空
十文字慶子
200504
小春日の落ち三日月を残したる
吉年虹二
ホトトギス
200505
負の記憶みんな溶けたる小春空
山元志津香
八千草
200505
ビル窓にビルを写して街小春
芦川まり
八千草
200505
腸洗浄してからの夫小春かな
花島みゆき
八千草
200505
小春日や大桟橋の汽笛鳴る
森田きよ
200505
小春日や季節に疎し電気街
伊藤浩子
200505
小春日の檜垣の奥の黒書院
小澤克己
雪舟
200506
小春日のわがはらからよ水泡よ
八田木枯
晩紅
200508
樂燒や小春の空を皿に刷く
瀧春一
菜園
200509
計画は小春の富士に置く期待
稲畑汀子
ホトトギス
200511
願はくは小春の旅と富士の山
稲畑汀子
ホトトギス
200511
縁側は婆の針もつ小春かな
滝沢伊代次
万象
200511
小春日や国手のみ手の大きかり
大橋敦子
雨月
200512
手を振れば影も手を振る嵯峨小春
丸山佳子
京鹿子
200512
町小春なれどなじめぬ壁の色
丸山佳子
京鹿子
200512
小春日の浦島草の実の赤し
松崎鉄之介
200601
褒め上手の文を貰ひし小春の日
村越化石
200601
小春日や人間の声木々の声
大串章
百鳥
200601
小春日の中にをり死を遠くせり
菅原健一
200601
すぐ消ゆるものに小春のもの思ひ
豊田都峰
京鹿子
200601
小春鳥きのふ引きつぐけふの波
宇都宮滴水
京鹿子
200601
吊り橋の影に船入る小春凪
国永靖子
ぐろっけ
200601
観音に祈る寧らぎ小春かな
大橋敦子
雨月
200601
ひつそりと一考を立て小春かな
中山純子
万象
200601
小春日やコーヒー店の古時計
村田さだ子
酸漿
200601
野良猫ののそのそと行く小春かな
木村茂登子
あを
200601
齢より若く見られて小春かな
高畠英
河鹿
200602
糶前の蛸の遁走小春凪
山口順子
200602
小春日や窯の中なる花酵母
栗栖恵通子
200602
鐘一つ撞けり小春の妙見山
中上馥子
春潮
200602
十分間のリフトの散歩山小春
中上馥子
春潮
200602
ちよんまげのホームレスゐて小春かな
滝本香世
百鳥
200602
島巡りいづこも小春凪の中
大海いつ子
百鳥
200602
泪など見せじ小春の空仰ぐ
穴澤光江
遠嶺
200602
岩肌の仏笑まひし小春かな
田巻和子
遠嶺
200602
大山に雲遊ばせて里小春
長束房子
遠嶺
200602
畳屋の戸口に小春来てゐたり
星井千恵子
遠嶺
200602
小魚の群るる大川小春の日
半谷弘子
遠嶺
200602
サーカスの賑はひ届く小春空
木山白洋
馬醉木
200602
沖つ波目を細め見る小春かな
中山純子
万象
200602
土舐むる蝶の小春よ欣一忌
大坪景章
万象
200602
小春日の塀に靴干す子沢山
佐々木よし子
200602
小春日やつかまり立ちのおもしろく
代田幸子
200602
江ノ電の小春の中に海がある
篠藤千佳子
200602
極楽は誰も知らざり園小春
大石よし子
雨月
200602
みどり児の生れて二十日の小春かな
細川コマヱ
雨月
200602
縁小春好々爺なる夫とゐて
味村志津子
雨月
200602
小春日や枯山水の石の数
蓮井崇男
対岸
200602
這ふ嬰とたつた二人の小春の日
松谷知子
対岸
200602
小春凪素潜り漁師親子かな
星王子
対岸
200602
小春日や通院の傘杖代り
中上照代
火星
200602
小春日の寄りて互ひに人違ひ
中上照代
火星
200602
小春日の我が腸巡る内視鏡
中里カヨ
酸漿
200602
小春日や病床の夫の素直な目
谷寿枝
酸漿
200602
小春日や頬ふくよかに磨崖仏
宇佐美ゆき
酸漿
200602
小春日や磯蟹遊ぶ潮溜り
菊池由惠
酸漿
200602
母白寿晴着の思案する小春
三輪慶子
ぐろっけ
200602
雑魚を炊く堅田の老舗小春の日
鈴木愛子
ぐろっけ
200602
小春日に引き出されたる畑かな
工藤ミネ子
風土
200602
生き合ひて七十階の小春日和
城石美津子
京鹿子
200602
奈良町の路地の楽市小春かな
河合佳代子
栴檀
200602
小春日やナース詰所に円空仏
足立みどり
栴檀
200602
フラフープ大きく廻し小春の日
森下康子
200603
小春日や庭師が石の貌さがす
新井泰子
馬醉木
200603
遅足に渡る小春の太鼓橋
松尾緑富
ホトトギス
200603
剣玉に膝やはらかき小春かな
篠藤千佳子
200603
鎌倉の果から果の小春かな
久保田万太郎
春燈
200603
消防車洗はれてゐる小春かな
山田美恵子
火星
200603
日本丸帆を張る技や小春凪
足利ロ子
ぐろっけ
200603
十字架の群墓の小春日和かな
福岡もも
百鳥
200603
料理人小春日の口一文字
増田八重
酸漿
200603
梅の木に麦蒔遊ぶ小春の日
籾山和子
酸漿
200603
誰も居ぬ終着駅にある小春
松田都青
京鹿子
200603
存へて小春の位置に椅子ひとつ
直江裕子
京鹿子
200603
華やかに卆寿の個展街小春
中尾則子
四葩
200603
火の島の蒼く暮れゆく小春かな
近藤幸三郎
風土
200603
小春蝶取りまく風の陽の介護
丸山冬鳳
京鹿子
200603
鳶の笛二声三声浜小春
松村多美
四葩
200603
門前の構へ変らぬ町小春
宮崎正
ホトトギス
200604
客通すいまの上席縁小春
嶋田摩耶子
ホトトギス
200604
小春日や糸杉の影塔の影
真虎竹世
200604
小春日や窓拭く人の手が見えて
鎌倉喜久恵
あを
200604
むかしむかし小春日和の父の膝
長山あや
ホトトギス
200605
小春かなゴンドラ遊覧五人乗り
中島英子
八千草
200605
小春日や車窓の母校しんかんと
鹿野佳子
200605
小春日の川洲に畑や菜を摘める
瀧春一
常念
200606
小春凪みみしひしやと野に立てり
瀧春一
常念
200606
小春日のゆふべ浮世繪の富士を見き
瀧春一
常念
200606
小春日の羊に譲る牧の道
与川やよい
遠嶺
200606
石仏に供う黄菊の呼ぶ小春
松井和恵
八千草
200607
小春日の波山の端獣香炉かな
小澤克己
塩竃
200608
下らねば小春の磴を登り来て
稲畑汀子
ホトトギス
200611
旭川の歴史ひもとく小春かな
稲畑汀子
ホトトギス
200611
千年の杉小春日を受け止めて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
小春日を弾き返してビルの黙
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
虚子父を恋ひし小春に我もまた
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
小春日といふ水の黙ありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
小春日の地蔵やあつち向いてほい
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
道迷ふことも小春の路地なれば
稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
太陽の直径小春日和かな
辻美奈子
200611
小春日の赤子をあやす京ことば
坂ようこ
200611
蕉像を包み込んだる小春かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200612
一本の鉄路二本の橋小春
稲畑廣太郎
ホトトギス
200612
小春日や聖武天皇遺愛せる
林日圓
京鹿子
200612
小春日やワンオンあとのフォアパット
鷹羽狩行
200701
給餌して豚の鎮もる小春凪
佐藤山人
200701
小春日の講義小春の典拠より
萩谷幸子
雨月
200701
小春日の墓参日和といふべきや
高橋照子
雨月
200701
有馬へと一と日の湯治小春かな
高橋照子
雨月
200701
小春日をクルージングの夢見て逝く
松崎鉄之介
200701
小春日や菓子舗の庭に汀女句碑
門伝史会
風土
200701
すべり台込み合つてをり小春かな
須藤美智子
風土
200701
小春日や江見のあたりの花の室
阿部ひろし
酸漿
200701
幼らが路に絵をかく小春の日
井上幸子
酸漿
200701
茶柱の立ちて寛ぐ小春かな
鈴木栄子
酸漿
200701
小春日やよき日賜る庭仕事
渡邉紅華
酸漿
200701
小春日や天に通ずる穴を掘る
東亜未
あを
200701
小春めくステンドグラスに涅槃像
木村茂登子
あを
200701
焼き上るパンの香満ちし小春の日
森下康子
200702
小春日や赤子初めて寝がえりぬ
後條さと子
200702
小春日や周恩来の碑と撮られ
植山美代子
200702
小春日やテトラポッドの上に猫
七種萩子
200702
蝶々の欄間に舞へる小春かな
山本とく江
万象
200702
小春荘厳中腹にゐて浴びにけり
井上信子
200702
ひしほの香駅まで纏ふ小春かな
田村園子
200702
小春日をゆく寅さんの旅鞄
篠藤千佳子
200702
遠富士へ漕ぎ出してゆく湖小春
近藤敏子
200702
小春日や明治廐舎の赤煉瓦
中上馥子
春燈
200702
あんパンを食べたうなりぬ小春空
杉浦典子
火星
200702
小春日の何にも聞かぬ人とゐる
大東由美子
火星
200702
みどり児の拳の中の小春かな
高尾豊子
火星
200702
小春日の動物園のなまけもの
前田忍
火星
200702
ポリープ取り小春日和を楽しめり
鈴木壺山
200702
小春日や断りきれず本堂へ
黒田咲子
200702
小春凪足で用など足してをる
小形さとる
200702
小春日や孔雀一羽の大舞台
天野きく江
200702
漆喰に鏝絵描きゐる小春かな
西口鶴子
遠嶺
200702
出で逢ひや小春雲雀と言ひつべき
杉山瑞恵
雨月
200702
ベランダにバレエシューズを干す小春
山本喜朗
雨月
200702
荒馬が顔寄せて来る小春かな
田中峰雪
雨月
200702
民宿の隣り民宿浦小春
高橋千美
京鹿子
200702
寄り添うて小春日和の千羅漢
池田かよ
ぐろっけ
200702
小春かな生れしばかりの赤子抱き
門伝史会
風土
200702
小春日や水平線に島ふたつ
田中佐知子
風土
200702
小春日の墓にてのひらあててをり
浅田光代
風土
200702
浮雲に日の当たりたる小春かな
城戸愛子
酸漿
200702
小春日や蜂の歩める寺の縁
小泉当子
酸漿
200702
小春日や干支の置物買ひに出る
鈴木多枝子
あを
200702
小春日や母に抱きつきむづかる子
永田勇
六花
200702
小春日やまた来てしまふ夫の墓
福地初江
200702
泊船の窓拭く小春日和かな
矢島久栄
200703
小春日の金時藷のゑくぼかな
森ひろ
馬醉木
200703
縄跳の大波小波路地小春
八田マサ子
馬醉木
200703
纜を海女が受取る小春かな
山口順子
馬醉木
200703
地引網繕ふ媼浜小春
木暮剛平
万象
200703
赤んぼに見つめられゐる小春かな
大坪景章
万象
200703
沓脱ぎに紅き爪革小春かな
塩由造
万象
200703
小春日や表参道カフェテラス
中村春宵子
春燈
200703
植木屋に声かけてゐる小春かな
土井三乙
風土
200703
登り来て楸邨句碑の小春かな
中村洋子
風土
200703
善人で通せしあいつ墓小春
松田都青
京鹿子
200703
漂ふにあらず小春の遊び雲
松田都青
京鹿子
200703
小春日をこぼさぬ様に持ち歩く
松田都青
京鹿子
200703
自転車を押して連れ立つ小春かな
森津三郎
京鹿子
200703
久闊を叙すや小春の句筵に
山田夏子
雨月
200703
館小春神話の絵本展示して
隅田恵子
雨月
200703
投げ釣りの女の反り身小春風
小山徳夫
遠嶺
200703
まどろみの猫と雀の小春かな
鈴木久香
遠嶺
200703
小春日の浜の真砂にあそびけり
関まさを
酸漿
200703
小春日や縁の赤子の大欠伸
井出やすはる
酸漿
200703
ひよんの笛幾度も吹く小春かな
水野加代
万象句集
200703
小春日やチェロの調べの手術室
森山のりこ
あを
200703
桶の餌を奪ふ鴎に小春凪
小城綾子
200703
小春日や置かれしごとく観光船
高野幸次
200703
空色に塗られ小春の鉄アレイ
篠藤千佳子
200704
小春日の柱クレーンに吊られをり
池崎るり子
六花
200704
小春日やたしかに動く花時計
池崎るり子
六花
200704
小春日のつゞく限りや母を恋ふ
稲岡長
ホトトギス
200705
小春日の茣蓙に並べし色を売る
稲岡長
ホトトギス
200705
バスの窓貫く小春日和かな
稲畑廣太
ホトトギス
200705
指先に小春日和を乗せて琴
稲畑廣太
ホトトギス
200705
小春日の波すれすれに来る子ども
百瀬七生子
海光
200705
小春日の止まらんとして走る馬
百瀬七生子
海光
200705
小春日や席に残れる推理本
松下幸恵
六花
200705
羊羹に歯形のつきし小春かな
白石不舎
200706
留守の爐のしろじろとある小春かな
瀧春一
200706
小春日を纏ひて都心副都心
稲畑廣太郎
ホトトギス
200711
ビルの窓一つ一つの小春かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200711
小春日に見下されたる祝ぎの旅
稲畑廣太郎
ホトトギス
200711
小春日に君との距離の縮まりて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200711
小春日の師の許に今やすらかに
稲畑汀子
ホトトギス
200711
沖消してしまひし海の小春凪
稲畑汀子
ホトトギス
200711
子規の見しときも小春の古都ならむ
稲畑汀子
ホトトギス
200711
小春日や「とっていいのは写真だけ」
金井充
百日紅
200711
小春4      

 

2021年11月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。