小 春 1     199句

小春日のをんなのすはる堤かな     室生犀星

小六月  小春

作品
作者
掲載誌
掲載年月
小春日のあり余る日の影を恋ふ
稲畑汀子
ホトトギス
199811
日程のほどよき流れ旅小春
稲畑汀子
ホトトギス
199811
小春日や宅急便で来るもの
皆吉司
船団
199811
乳足りて睡りの深き小春凪
石井則明
199901
飛鳥なる男綱女綱も小春なれ
大橋敦子
雨月
199901
小春蝶二つ濃淡あり黄なり
大橋敦子
雨月
199901
小春日やこれぞ最も良き門出
大橋晄
雨月
199901
茶をすする音と向き会ひ小春よし
村越化石
199901
小春日の源八橋をかへしけり
岡和絵
火星
199902
神官の烏帽子が光る小春かな
町野昭人
遠嶺
199902
モノトーンの服を好みて小春かな
望月美子
遠嶺
199902
入船の汽笛のこだま島小春
池内けい吾
春耕
199902
小春日の薬屋の扉の開けつ放し
仲村青彦
199902
小春日や軍鶏は闘ふこと忘れ
萩原記代
199902
青筧の水のきららや苑小春
水野あき子
遠嶺
199903
小春日の天鈿女命アメノウズメノミコトかな
小形さとる
199903
誰や買ふ枕小春日やや古び
中原道夫
銀化
199903
小春日やもぞもぞ動くものの居り
高木伸宜
船団
199903
小春日やかたち楽しき竹細工
田中俊弥
船団
199903
静脈にくすりしたたる小春かな
太田誠
春耕
199903
人体のスライス透けて小春かな
能勢京子
船団
199903
小春日を受け皿で飲むティータイム
三神あすか
船団
199903
京小春タイキシャトルに会いにゆく
黒田さつき
船団
199903
授かりし小春を笑いあう夫婦
近藤憙治
船団
199903
ふれてみし世阿弥の面佐渡小春
今井松手
遠嶺
199904
小春日を潮騒とゐる妻とゐる
川口襄
遠嶺
199905
文机にペンの転がる小春かな
遠藤和彦
遠嶺
199905
たくさんの島に囲まれ島小春
小林あつ子
火星
199905
枯れきったこだまの響く小春かな
渡部ひとみ
船団
199906
小春日や忘れてかまわぬことばかり
望月和子
船団
199907
小春日は病院のなかさやさやと
岩田ひろあき
船団
199907
二日間小春の会となりしこと
稲畑汀子
ホトトギス
199911
六甲の小春は海へ裾を引く
稲畑汀子
ホトトギス
199911
噴煙を受けとめてゐる空小春
稲畑汀子
ホトトギス
199911
まだ形なきまま描く館小春
稲畑汀子
ホトトギス
199911
小春日や城で忍者の道具展
杉良介
199911
海小春ときどき見えて兎波
能村登四郎
芒種
199911
鳴く鵯に小春の日あり梢あり
阿部ひろし
酸漿
199912
方言で話す電話や小春の日
白鳥婦じゑ
酸漿
199912
桃割と桃割のゆく小春かな
中原道夫
銀化
199912
小春空朝の門田に鶏の鬨
皆川盤水
春耕
199912
小春日やあいさつの声の弾みくる
川島ひとみ
船団
199912
土踏まず踏んでもらいし小春かな
津田このみ
月ひとしずく
199912
三代の画く麗子や甲斐小春
水原春郎
馬醉木
200001
小春日の輪ゴムいらうてをりにけり
小形さとる
200001
小夏ともいふべくありて小春かな
林翔
200001
小春日に透けし小貝を拾ひけり
土肥屯蕪里
俳句通信
200001
落雁の砂糖こぼるる小春かな
内藤八重
俳句通信
200001
胸熱く艦艇にたつ小春かな
福間慶子
俳句通信
200001
新薬のやや効いてゐる小春かな
伊藤重美
俳句通信
200001
小春日の巻き戻したる落下音
中原道夫
銀化
200001
小春日の脚立の上の波の音
梅田津
銀化
200001
座布団に臍のありたる小春かな
山県總子
銀化
200001
光太夫舟出の海の小春凪
大橋敦子
雨月
200001
玉顔を拝し浪速の小春かな
本城布沙女
雨月
200001
園児らの声の中なり小春風
桑垣信子
いろり
200001
畑の物賞められてゐる小春かな
村越化石
200001
担ぎし荷小春日ともに運び入れ
山西みち子
火星
200002
小春日の影のかたまりゆく寺苑
金森教子
雨月
200002
吊橋の揺れを楽しむ小春かな
金森教子
雨月
200002
亡母との記憶小春のやうにあり
佐藤よしい
風土
200002
有難き法話のやうな小春かな
三橋泥大
遠嶺
200002
寺小春山門寺門通用門
河野義海
京鹿子
200002
呼ばれても猫生返事小春縁
渡辺純
京鹿子
200002
似た人が似たまま船へ島小春
佐藤花都代
200002
小春日の真中に河馬を沈めたる
星野早苗
空のさえずる
200002
小春日のガラスの震え消さないで
尾上有紀子
わがまま
200002
小春日や空いっぱいの嚔かな
尾上有紀子
わがまま
200002
臍の緒もたなびく小春日和かな
小形さとる
200003
小春日やなづな小花の休耕田
原静寿
酸漿
200003
目を閉ぢて目ん玉熱き小春かな
白濱一羊
200003
ジヤンボくじ当る売場へ小春人
鷲尾敏子
京鹿子
200003
能楽堂開け放ちある小春かな
渡部千代子
春耕
200003
小春凪碑板の朽ちし潮仏
水谷契江
六花
200003
問祝着きそふ小春の船卸
中村翠湖
馬醉木
200003
小春日にリボンの騎士が駆けてくる
わたなべじゅんこ
鳥になる
200003
爺婆の参観日とや園小春
荒木治代
ぐろっけ
200003
値くずれの売家の窓は小春なり
荒木治代
ぐろっけ
200003
伊賀小春そのまゝ伊予の小春かな
阿部慧月
ホトトギス
200004
風よりも水音のする小春かな
木村公子
200004
小春といい青空誰も妬まない
三浦二三子
海程
200005
小春日や夫の遺愛の万年筆
小島とよ子
新樹光
200007
小春日や酸素は父の傍らに
能勢京子
船団
200008
恋文のような遺書ある小春かな
長沼都
船団
200008
小春日や戯画の兎の負け相撲
塩路隆子
精鋭選集
200008
小春日の鏡に川の流れをり
鬼頭桐葉
春蘭
200010
今日までは小春の旅といふ予報
稲畑汀子
ホトトギス
200011
遺墨にも小春の心通はせて
稲畑汀子
ホトトギス
200011
小春日や鳥語ひときは名苑に
稲畑廣太郎
ホトトギス
200011
たまに出て気分転換庭小春
松尾緑富
ホトトギス
200012
小春日や瓶積み留めの口揃ふ
能村研三
200012
ねまりたる牛が耳振る小春かな
朝妻力
俳句通信
200012
小春日の靴脱いで入る画廊かな
谷野由紀子
俳句通信
200012
小春日や丘に大きな風車
水原春郎
馬醉木
200101
小春日や玉の浦べの真帆の数
鷹羽狩行
200101
小春日や日曜画家も景のうち
鷹羽狩行
200101
小春日の風充つ鐘と撞木の間
神蔵器
風土
200101
追悼号写真のなかの小春かな
小菅暢子
200101
水煙の天女を探す小春かな
前阪洋子
俳句通信
200101
小春日のやうな波津女の遺墨かな
熊岡俊子
雨月
200101
木の桟の硝子戸越しに小春の日
篠田純子
あを
200101
標識の古び鎌倉河岸小春
芝尚子
あを
200101
小春日の船靈交む音聽かな
中原道夫
銀化
200101
グラウンドに一枚藉かれ小春の日
亀丸公俊
銀化
200101
小春とは血の通ひあふ他人かな
朱間繭生
銀化
200101
小春日の譲りし席は空きしまま
朱間繭生
銀化
200101
小春日や開港の地の陶器市
石橋翠
いろり
200101
小春日やおにぎり作りまかされて
石橋翠
いろり
200101
小春日や荒川の土手にぎやかに
熊谷みどり
いろり
200101
小春日和へ引きずりて父の床
竹村良三
200102
小春日の門口にゐて人迎ふ
島田和子
風土
200102
小春日や夢見ごこちの水子像
邑橋淑子
遠嶺
200102
炊煙のたなびく峡の小春かな
伊東みのり
遠嶺
200102
山少し煙りて小春日和かな
久保山満末
遠嶺
200102
小春日を浴びる地蔵の温さかな
増田文雄
遠嶺
200102
小春日や足音立てず象歩く
高橋としを
酸漿
200102
街小春広場にメリーゴーランド
田中黎子
円虹
200102
亜浪忌の弔上といあげ墓参小春なる
松崎鉄之介
200102
火を借りて日向も借りる小春かな
亀田愚風
銀化
200102
刃のごとき利根を渡りて小春かな
保坂加津夫
いろり
200102
小春日や野山に遊ぶ友ほしく
大平保子
いろり
200102
豊頬の野仏に遇ふ小春かな
成重佐伊子
俳句通信
200102
小春日や撒餌に鳥の水しぶき
阿波谷和子
春耕
200102
小春とは庭から部屋に上り来る
後藤立夫
ホトトギス
200103
小春日や亡き母のふとわれを訪ふ
長山あや
円虹
200103
小春日の土産に峡の豆腐買ふ
阿部ひろし
酸漿
200103
町小春風にゆらるる紙人形
保里吉子
京鹿子
200103
小春日や石で石打つサヌカイト
能勢京子
船団
200103
手話混へ歌ふ小春の音楽会
堀睦子
ぐろっけ
200103
南座にまねきの揚がる小春かな
堀本祐子
遠嶺
200104
小春日や鋼光りにコビトカバ
竹内弘子
あを
200104
最終回とは小春日のやうなもの
谷さやン
船団
200105
お守りもお豆も五色小春風
内田美紗
船団
200105
小春日やミドル・ノートの疎ましき
内野聖子
船団
200105
小春日や背中まるきが母に似て
荻野美佐子
船団
200105
掃除機を掃除している小春かな
荻野美佐子
船団
200105
小春日や猫の尾のごと影動く
川島ひとみ
船団
200105
小春日や壷にちんまり喉仏
近藤憙治
船団
200105
さんご色の口紅つけて今日小春
津田このみ
船団
200105
小春日の話つつぬけ筒に猫
延原ユキエ
船団
200106
じゃじゃ馬の桃色してる小春の日
久森知子
船団
200106
小春日の魔女です猫をひしと抱き
河原珠美
海程
200107
手をつなぎくる湖の小春波
能村登四郎
200108
小春日や田んぼに包の現れる
今城知子
船団
200108
何かゐて小春の池の水ゑくぼ
能村登四郎
羽化
200110
うすき肌着重ねしごとき小春の日
能村登四郎
羽化
200110
小春凪ぎ杖添ふ歩みいつよりか
能村登四郎
羽化
200110
花にゐる小春の蜂に恐れなし
能村登四郎
羽化
200110
垣越に舟さす棹の往く小春
稲畑汀子
ホトトギス
200111
水に身をゆだねたるより舟小春
稲畑汀子
ホトトギス
200111
小春日や木偶坊たるわが六十路
藤原たかを
馬醉木
200112
くらやみの何処に小春宿しをる
槐布由子
銀化
200112
小春日や鳥居数へしこと忘れ
朝妻力
雲の峰
200112
小春日や母に電話をしたくなり
松沢久子
いろり
200112
小春日や家族揃ってデズニーシー
篠田三七子
いろり
200112
新聞紙顔にあづけて小春かな
吉弘恭子
あを
200112
狗犬と遊び盛りの小春蝶
丸山佳子
京鹿子
200201
表情が伝はつてくる小春亀
丸山佳子
京鹿子
200201
道はみな海へとくだる安房小春
松本圭司
200201
小春日のふはと睡魔の力持ち
辻直美
200201
小春なり英世描きし母の像
水原春郎
馬醉木
200201
白き帆のいよいよ白し小春凪
林翔
馬醉木
200201
師の句碑の小春の日射しまぶしめり
小林修水
春耕
200201
金色の風鐸の音寺小春
小林修水
春耕
200201
小春日の鯉売が水こぼし行く
古市枯声
春耕
200201
久に着し和服の裾に小春風
木村はつえ
春耕
200201
小春日や子に会ひに行く至福なり
八木葉子
酸漿
200201
小春日や黄蝶舞ひ出す昼下がり
八木葉子
酸漿
200201
画眉鳥の地に遊びをり小春の日
城戸愛子
酸漿
200201
小春日や風鈴のこるへちま棚
宇佐美祐喜子
酸漿
200201
小春日の追悼談の猫のこと
大橋敦子
雨月
200201
喪帰りや小春の富士に遇ひ得しも
大橋敦子
雨月
200201
またとなき小春讃へて納骨す
大橋宵火
雨月
200201
小春日のテラスに並ぶ蘭の鉢
大畠政子
雨月
200201
小春日に包まれてゐる遺墨展
千原叡子
円虹
200201
小春日や烏居構へし大蘇鉄
朝妻力
雲の峰
200201
州の鳥のうつらうつらと小春の日
杉江茂義
雲の峰
200201
呼ぶ声に耳で応へて小春猫
伊藤重美
雲の峰
200201
小春日の食パン齧るヌートリア
岡田万壽美
雲の峰
200201
小春日や一つ狂ひし掛時計
谷野由紀子
雲の峰
200201
小春日や撒き餌に鯉の犇めきて
山口マサエ
雲の峰
200201
抱いて来し犬小春野に放ちけり
藤本艶野
雲の峰
200201
杖伴れて三歩四歩五歩庭小春
村越化石
200201
近隣に小春迷子になるもよし
暮岸江
銀化
200201
校庭の箒置場の小春かな
平岡千代子
百鳥
200201
七洋へ船出の舞ひに小春凪
品川鈴子
ぐろっけ
200201
蜑老いて小春日の波止離れざる
藤原たかを
馬醉木
200202
小春日や遊び心の雲浮ぶ
斎藤道子
馬醉木
200202
探しものするたび老ゆる小春かな
高橋たか子
馬醉木
200202
ためらひのなきが若さや小春空
田代史子
馬醉木
200202
茶筅村のしるべ小春の生駒越
小林成子
200202
小春宮神楽遊びの簫の音も
鈴鹿野風呂
京鹿子
200202
大怪我に小春日和も吹き飛びぬ
福永鳳水
円虹
200202
予定みな怪我に狂ひし小春かな
福永鳳水
円虹
200202
家中の猫の出て来る庭小春
黒川悦子
円虹
200202
霊木の蘇鉄に触るる小春かな
大柳篤子
雲の峰
200202
鍵の鈴鳴つて母くる小春かな
外川玲子
風土
200202
小春凪島に余りて花アロエ
代田青鳥
風土
200202
小春日や幅海苔干して海女溜り
井口光石
風土
200202
小春 2→      

 

2021年11月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。