凩 3     200句

胸中の凩咳となりにけり   芥川龍之介

木枯 こがらし 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
凩に追はれ繁昌亭に着く 泉田秋硯 200802
凩や鮑の穴のままでゐる 栗栖恵通子 200802
凩や遠く見てゐる埴輪の目 高松由利子 火星 200802
凩一号乳房のごときモダン焼 高橋芳子 火星 200802
凩の煽る落暉に雲燃ゆる 菊地惠子 酸漿 200802
凩や黒豆に水足してをり 及川澄江 風土 200803
凩や教へとなりし父の背 西澤ひで子 遠嶺 200803
星生る凩の空青きまま 山田弘子 ホトトギス

200805

凩に縮こまりたる富士のあり 木村享史 ホトトギス 200806
凩に六甲の晴極まりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200811
凩のいつかしづまりをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200811
凩の去りしか朝の来てをりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200811
凩や庭を黄色に染め上げし 稲畑汀子 ホトトギス 200811
凩の中飛ぶものも散るものも 稲畑汀子 ホトトギス 200811
凩の去りて残りし木々の色 稲畑汀子 ホトトギス 200811
凩に飛ばされさうに身構へし 稲畑汀子 ホトトギス 200811
凩と思ふビル風とも思ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200811
裸婦像に凩容赦なかりけり 黒澤登美枝 200902
凩や辻占ひに呼ばれたる 助口弘子 火星 200902
凩や川光りつつ海へ入る かわばたとしお 火星 200902
凩や寛次郎窯に火の気無く 佐藤博重 春燈 200902
凩の二号一号よりきびし 出口賀律子 雨月 200902
凩のプラットホーム明石城 栗田武三 ぐろっけ 200902
凩や角に薬屋荒物屋 和田満水 200902
凩の突然硝子を鳴らしに来 東亜未 あを 200902
凩や陶の狸は立ち通し 久本久美子 春燈 200903
凩や私の挽歌持ち去りし 松田都青 京鹿子 200903
凩やインク掠れしボールペン 林昭太郎 200903
凩や定期整備の花時計 瀬島洒望 やぶれ傘 200902
凩の暗闇坂を吹きおろす 今井千鶴子 ホトトギス 200904
凩の海白く噛み黒く噛み 河野美奇 ホトトギス 200904
凩と行く電飾の銀座かな 安藤久美子 やぶれ傘 200903
凩に多摩の稜線尖りゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200911
凩に吹き払はれし星仰ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200911
凩一号冷の強きに恐れ入る 大橋敦子 雨月 200912
凩の高階に鍋ひた磨く 山尾玉藻 火星 201001
凩や戦国の代の城の跡 森田武 201001
凩が道路迷走して来たる 吉田希望 201002
一号と呼ばれ凩勇み立つ 阪本哲弘 201002
凩一号残日を吹き落す 遠藤真砂明 201002
凩一番地図に引く赤き線 成田美代 201002
凩や葉のわらわらと地に紅ず 川井秀火 ろんど 201002
凩や身ぬちに軋むひとところ 椋本一子 雨月 201002
凩やセロリはコップに立てておく 荒井千佐代 201003
凩や屋台の裏に発電機 瀬島洒望 やぶれ傘 201003
凩を避ける茶房のドア重し 小林玲子 ぐろっけ 201003
凩が深酔ひの頬打ちゆけり 佐藤喜仙 201003
凩に富士はだかつてをりにけり 嶋田摩耶子 ホトトギス 201004
凩の通り抜けたる朝の作務 稲畑汀子 ホトトギス 201011
凩に翻弄されて引き返す 仙石君子 雨月 201102
凩の跡や木立の空広し 小倉正穂 末黒野 201103
凩やむき出しに持つ処方箋 坂場章子 201103
凩の中さよならの声もがれゆき 秋葉貞子 やぶれ傘 201102
凩や震へるものと吠るもの 熊川暁子 201104
凩やもの食ぶる貌玻璃越しに 坂口夫佐子 火星 201104
凩に磨かれ残る星一つ 木村享史 ホトトギス 201106
凩やセロリコツプに立てておく 荒井千佐代 祝婚歌 201110
凩に従ふほかはなかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201111
凩のをさまりてゐし朝かな 稲畑汀子 ホトトギス 201111
凩に脱ぎたる雲の遠ざかる 稲畑汀子 ホトトギス 201111
凩の一掃したる空仰ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 201111
凩や戦車の如く配膳車 吉村摂護 201112
凩のままに除幕の白栲よ 品川鈴子 ぐろっけ 201201
堂々と踏ん張る銀杏凩に 三川美代子 201202
凩のマジックショーや木のダンス 土井くみ子 201202
凩や五行足らずの略年譜 吉田希望 201202
凩や雌鶏急に蹲る 小林朱夏 201202
凩や眠れば母子なほも似て 白木原裕毅 201202
凩やとかく増幅する噂 細川洋子 201202
凩にもつとも聡きハープ橋 森岡正作 201202
赤々と爪染め凩に出でぬ 甲州千草 201202
凩や転勤の子は沙汰もなし 市橋香 ぐろっけ 201202
凩の壁に囲まれ酔ひ早し 山尾玉藻 火星 201202
合格の絵馬を撥ねゆく初凩 池内結 ろんど 201202
凩や夜泣きをあやす子守唄 小林朱夏 201203
凩に言葉ころがる歩道橋 野坂民子 馬醉木 201203
女学生の列へ凩割り込みぬ 藤田素子 火星 201203
凩に耳ばかり鋭くゐたりけり 松本三千夫 末黒野 201203
凩や太き梁さへ軋みけり 柴田朱美 京鹿子 201203
凩やことばは尠ないほうがいい 柴田朱美 京鹿子 201203
凩にとらはれてゐる大樹かな 秋葉貞子 やぶれ傘 201203
凩の夜快晴の朝となる 今橋眞理子 ホトトギス 201204
凩やよく知る星座幾つある 河野美奇 ホトトギス 201204
凩の家居のふつと旅情めく 今橋眞理子 ホトトギス 201204
凩やとり残されし如く月 今橋眞理子 ホトトギス 201204
凩に昂り跳ねるブルドッグ 藤田かもめ ぐろっけ 201204
窓を打つ凩ひとり暮しかな 副島いみ子 ホトトギス 201205
凩に戦いてゐるビルの角 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
戸締りをして凩の夜を早寝 稲畑汀子 ホトトギス 201301
草木は眠りぬ凩は猛り 辻美奈子 201301
凩になりそびれたる臆病風 久染康子 201301
凩に逆らひ急ぐ日暮時 赤座典子 あを 201301
凩を厭はぬ鞄持ちの頃 田中貞雄 ろんど 201302
一茶忌や凩街道なほ歩く 佐瀬晶子 ろんど 201302
凩へ向かつて歩く黒鞄 涼野海音 火星 201303
胸板に初凩をとどめけり 大場ましら 201303
凩の外宮吹き抜け乾びたる 瀬川公馨 201303
凩を抱くごとくに歩みけり 井上浩一郎 ホトトギス 201304
凩や宇宙まで見えさうな空 今橋眞理子 ホトトギス 201304
凩の尾の筑波の峯を低くせり 鴨下昭 201305
凩の鋭角にビル直角に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
凩に家居の至福ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201311
凩一号木枯さんの笑顔見ゆ 田中藤穂 あを 201401
葬り終へまた凩の人となる 高橋あさの 201402
凩に大琵琶の波ただならず 大石よし子 雨月 201402
凩の夜更に使ふ電子辞書 國保八江 やぶれ傘 201402
凩や屋根に踏んばる鍾馗さん 岩下芳子 201402
鬢髪の揺れ凩のなれの果 築城百々平 馬醉木 201402
凩や妻の口癖母のごと 松嶋一洋 201402
耳塚へ凩届く故郷より 黒住康晴 201403
凩やオーボエ吹きて窓叩く 池内結 ろんど 201403
凩や山の稜線張りつめて 有松洋子 201403
凩や枝の鳥網の取り切れず 上月智子 末黒野 201403
凩や大三角の鳴りさうな 近藤喜子 201403
凩の裾にまつはる枯葉かな 藤生不二男 六花 201403
実朝の海は凩忌を修す 高野春子 京鹿子 201404
凩に落ちずに残る一葉かな 藤波松山 京鹿子 201404
凩や寄生木の毬吹き残し 正谷民夫 末黒野 201404
凩に時を止めたる都心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
凩に都庁天辺戦けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
凩に舞ひ上りたる芥かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
凩に道路乾いてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
凩のやうに決りしこと一つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
凩を聞きて夕べの家居かな 稲畑汀子 ホトトギス 201411
ふり返る日々凩に吹かれつつ 稲畑汀子 ホトトギス 201411
凩を発ちて六百キロの旅 稲畑汀子 ホトトギス 201411
凩の空の青さをみそなはせ 稲畑汀子 ホトトギス 201411
凩の通り抜けたる庭と見し 稲畑汀子 ホトトギス 201411
一夜吹き荒れし凩朝戸繰る 稲畑汀子 ホトトギス 201411
凩や英みどり旅一座 井上石動 あを 201501
労りは凩の中生れにけり 江島照美 201502
幼児の髪凩に吹き立つる 大石喜美子 雨月 201502
凩や廃船いまだ錨積み 定梶じょう あを 201502
バス停に立つ凩と小半時 安藤久美子 やぶれ傘 201503
凩や稜線いよよ尖りたる 伊藤孝介 京鹿子 201503
凩にないしよばなしを攫はれる 元橋孝之 京鹿子 201503
凩や銀座を歩む銀狐 増田甚平 ろんど 201503
凩の空青青と甍照る 鈴木礼子 末黒野 201503
凩の行く手を阻むビルの群れ 小林清彦 末黒野 201503
凩を枕にいつか深眠り 元橋孝之 京鹿子 201504
凩にないしよばなしを攫はれる 元橋孝之 京鹿子 201504
凩に吹かれ影まで奪はれし 山田佳乃 ホトトギス 201504
凩や板の間にある棕櫚箒 あさなが捷 201504
めつむりて凩をきくとにもあらず 木下夕爾 春燈 201508
凩に乾ききつたる涙かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
凩に持ち去られたる運かとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
凩を統べて都心の摩天楼 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
凩に星明かされてゆく都心 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
凩のはじまる梢の先の先 稲畑汀子 ホトトギス 201511
凩のをさまることを承知して 稲畑汀子 ホトトギス 201512
凩のあとの夜空の星数ふ 安藤久美子 やぶれ傘 201601
凩の吹き晴らしたる憂さひとつ 泉本浩子 馬醉木 201602
凩や川は蛇行を繰り返し 柿沼盟子 風土 201602
凩に負けずと買ひし赤コート 後藤マツエ 201602
よろめける身を凩のいたぶれる 杉山瑞恵 雨月 201602
凩や庭は周章狼狽す 長崎桂子 あを 201602
凩を来しか瞳の濡れてをり 林昭太郎 201603
凩やきゆつと心も靴紐も 小林陽子 201603
凩の研ぎし北斗の一つ星 高木典子 雨月 201603
ジャズピアノ烈し凩果てにけり 小林陽子 201604
凩を呼ぶ木となれり老いがたく 松田泰子 末黒野 201604
凩をよけむと路地を曲りけり 本間せつ子 末黒野 201604
凩や聞こし召されて童顔に 風間史子 201605
大袈裟に鳥海山痩せ凩す 園部蕗郷 春燈 201605
凩に追ひ掛けられてゐる選句 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
凩や小諸に虚子の世を訪ね 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
凩の残せし庭と見るばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201611
凩や日ごとに細る叔父の脛 荒井ハルエ 春燈 201612
凩や夜中のやうな午後八時 小山陽子 やぶれ傘 201701
凩に逆らひきれぬ鴉かな 遠山のり子 201702
凩や北京ダックの薪積まる 奥田茶々 風土 201702
凩の来て木の床を光らする 高川令子 201702
凩や低速ギアに切り替える 平井奇散人 船団 201702
凩や道端の芥とび跳ねる 長崎桂子 あを 201702
凩をさへぎる路地を選びつつ 久世孝雄 やぶれ傘 201703
凩や抜け落ちてゐる煮干の目 林昭太郎 201703
凩の最前線のワルキューレ 辻美奈子 201703
凩やとほき日のこと明日のこと 松本幹雄 馬醉木 201703
甲冑に凩の顔ありにけり 兵藤惠 201704
凩を押し込んでゐるラガーシャツ 七種年男 201704
凩や夜空罅割れしてをりぬ 有松洋子 201704
凩や間近に停まる救急車 山口ひろよ 201704
凩の駄賃に烏魚子もつてけ 瀬川公馨 201705
凩や狼祀る木の家に 北川美美 201707
凩に出足挫かれをりし朝 稲畑汀子 ホトトギス 201711
凩に行手阻まれをりしとも 稲畑汀子 ホトトギス 201711
凩一号痩身の軸ぶれる 細川洋子 201801
凩を見たる眼を閉ぢにけり きくちきみえ やぶれ傘 201803
凩の研ぐ星明り街灯り 是松三雄 末黒野 201803
底なしの疑心暗鬼の夜凩 松尾龍之介 201806
凩や海図に青き等深線 深川淑枝 201806
凩をへだてて一枚の玻璃戸 稲畑汀子 ホトトギス 201811
凩に背中押されて赤のれん 稲畑廣太郎 ホトトギス 201811
凩に鳥取砂丘縮みゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201811
凩の中を来られしこと確か 稲畑汀子 ホトトギス 201811
凩の吹きすさぶ旅日本海 稲畑汀子 ホトトギス 201811
凩の残して行きし庭を掃く 稲畑汀子 ホトトギス 201811
凩に旅路華やぐ一と所 稲畑汀子 ホトトギス 201811
凩や一枚のドア裏表 稲畑汀子 ホトトギス 201811
凩に背中押されて二歩前へ 中山未奈藻 201811
凩を掴みそこねし手の残る 菊川俊朗 201902
凩のおのれ研ぎゐる勁さかな 有松洋子 201902
両耳を押さへ凩遠くせり 福岡かがり 雨月 201903
凩やただ寂しさの窓を打つ 吉田万喜子 雨月 201903
凩や振向かぬ約束の道 湯川雅 ホトトギス 201903
凩を連れきて声の裏返る 斉藤マキ子 末黒野 201904
凩の海に憂ひを流しけり 本間せつ 末黒野 201904
凩や水面の塔を崩し去る 平居澪子 六花 201905
戦ひに行く凩を味方とし 栗原京子 201907
凩の吹く夜は想ひ重ねけり 柴崎甲武信 京鹿子 202002
凩や断捨離と言ふ大仕事 加藤良子 京鹿子 202002
凩やビルに音なきハイビジョン 本池美佐子 202002
ふいに凩寺領の一樹一樹にも 荒川心星 202002
凩や子供三人手を繋ぎ 大日向幸江 あを 202003
凩が騒げば数へ唄となり 熊川暁子 202003
凩や狼連れて来るごとし 美昌二郎 202003
凩や旅姿なる芭蕉像 渡会昌広 馬醉木 202003
凩に寝つかれぬ子の背をさする 高濱朋子 ホトトギス 202004
凩やどの灯も家を瞬かせ 近藤真啓 春燈 202007
凩をへだつ玻璃とは頼りなく 稲畑汀子 ホトトギス 202011
どこまでも凩ついて来る山路 稲畑汀子 ホトトギス 202011
凩や季節の狭間埋めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
凩に都心のビルの躍り出す 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
凩を肴に真夜を過しけり 山田六甲 六花 202012
同齢のくすのきと凩の中 井上菜摘子 京鹿子 202101
凩の残しし空の青さかな 佐藤信子 春燈 202102
凩や裏まで掃いて仲直り 小長谷紘 末黒野 202102
凩や風の教へる火の始末 三宅文子 春燈 202103
凩は幸福といふ名に嫉妬 出利葉孝 202105
凩に影まで吹かれ下校の子 高村令子 風土 202105
凩の止みし朝と気づきけり 稲畑汀子 ホトトギス 202111
凩の止み四日目は快晴に 稲畑汀子 ホトトギス 202111
凩 4→

 

2022年12月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。