金木犀 1     236句

金木犀妻の里訪ひ妻に逢ふ    矢島渚男

金木犀  銀木犀  木犀

作品
作者
掲載誌
掲載年月
採点の指もみほぐす金木犀 植松安子 199812
金木犀の香りは私の道標 甲田夏湖 船団 199903
逢わぬ間も金木犀は燦燦と 星野早苗 船団 199906
金木犀胸を匂ひのあふれ出づ 神蔵器 風土 199911
金木犀しづかに時を降らせをり 中根美保 風土 199912
金木犀通夜のざわめき納まりぬ 柴田いさを 船団 199912
金木犀泣いてることに泣ける日も 津田このみ 月ひとしずく 199912
先に目を閉じたのどっち金木犀 津田このみ 月ひとしずく 199912
朝いちのキスは金木犀となら 津田このみ 月ひとしずく 199912
金木犀独りはふっと揺り籠 吉川真実 海程 200001
校庭の金木犀下迷路あり 星野早苗 空のさえずる 200002
夢も見る金木犀のわがまま 尾上有紀子 わがまま 200002
金木犀眼玉に散りぬ痛むかな 金子兜太 海程 200004
ふと匂う誰も知らない金木犀 三宅やよい 玩具帳 200004
羨道へ金木犀の香の流れ 金子篤子 200011
あの家のあの香りなり金木犀 桑原敏枝 いろり 200012
金木犀空全開に深みたる 田中矢水 遠嶺 200101
金木犀廻船問屋に水琴窟 仲安敏雄 200101
整然と碁盤目の街金木犀 仲安敏雄 200101
初恋の少女少年金木犀 甲田夏湖 船団 200105
雲切れて金木犀の金こぼれ 林翔 馬醉木 200110
ままごとの匂ひこぼるる金木犀 石橋翠 いろり 200111
町中に刑務所のある金木犀 堀内一郎 あを 200111
根回りも流れも染めし金木犀 森理和 あを 200111
かけす句碑金木犀の香を纏ふ 澤野粂子 春耕 200111
これといふ庭なき家に金木犀 松崎鉄之介 200112
金木犀庭にあまたの土竜塚 芦澤一醒 200112
金木犀ひと夜の雨に散り急ぐ 柴田美佐子 いろり 200112
墓石彫る乾きし音や金木犀 角田信子 六花 200201
跳箱をとべば金木犀の風 鎌倉ひろし 百鳥 200201
保育所に午後の風あり金木犀 豊岡清子 遠嶺 200201
新参の猫の居坐る金木犀 中村和江 ぐろっけ 200201
金木犀匂ひの塵となりにけり 宮原みさを 花月亭 200208
幽かなる金木犀の香銀座裏 磯野至子 あを 200211
仮名書きの神の系図や金木犀 川井政子 風土 200212
金の花金の香撤いて金木犀 塩川雄三 築港 200212
金木犀師とゐて卍くずしかな 高橋将夫 200212
とろとろと金木犀の香は麻酔 武藤嘉子 200212
金木犀散り敷く道を踏みあぐね 鎌倉喜久恵 あを 200212
華清池のすみずみ満し金木犀 濱名伸子 円虹 200301
金木犀見上げ一憂封じけり 渕脇登女 200302
作業の手止めて仰むく金木犀 加藤君子 火星 200302
零れてはまた零れては金木犀 渡辺萩風 ホトトギス 200302
和をもつて金木犀のすごい闇 坂本敏子 京鹿子 200302
バイク置く金木犀の香の中に 浦川聡子 水の宅急便 200305
好日や金木犀の花いきれ 鷹羽狩行 200311
金木犀窓全開之歯科医院 水谷ひさ江 六花 200311
一区画百十軒之金木犀 水谷ひさ江 六花 200311
金木犀無音の闇をひろげをり 高橋あさの 200312
神苑の匂ひ立つ夜や金木犀 井関祥子 酸漿 200312
夜を込めて降る雨香る金木犀 林敬子 酸漿 200312
金木犀我を励まし金砂ふる 青木光子 築港 200312
我が町の何処も香る金木犀 青木光子 築港 200312
金木犀倉敷の町海鼠壁 伊藤政子 築港 200312
金木犀細身の風が路地をぬけ 舩越美喜 京鹿子 200402
一笑に付せぬ噂や金木犀 栗原道子 京鹿子 200402
変はりなく金木犀の武家屋敷 出口誠 六花 200410
金木犀散る再会のたかぶりに 岡田和子 馬醉木 200412
振り向けば金まみれなる金木犀 高橋十三夜 春燈 200412
金木犀空のにほひのありにけり 今瀬一博 200412
粥三日金木犀の咲き初むる 辻恵美子 200412
大樹なる金木犀を守る老女 鈴木良子 酸漿 200412
金木犀英会話塾最年長 竹田圭子 帆船 200412
抜け道の一つは川へ金木犀 川島和 帆船 200412
金木犀介護講座の始れり 秋田谷明美 帆船 200412
金木犀挙動不審の人となり 斉藤裕子 あを 200412
金木犀三角形の図書館へ 篠田純子 あを 200412
風いつも隣家へ流れ金木犀 遠野萌 200501
金木犀己がことばをこぼしけり 宮澤さくら 遠嶺 200501
この先も何かありさう金木犀 鈴木とし子 遠嶺 200501
この町のどこ曲りても金木犀 与川やよい 遠嶺 200501
礼服の兄弟らしや金木犀 田中正子 百鳥 200501
金木犀回転木馬にかをり来る 井原ミチ 万象 200502
バスを待つ駅前広場金木犀 平尾信一 帆船 200502
金木犀神も媚薬をつくりけり 成瀬櫻桃子 春燈 200504
雨止んで金木犀は地に香る 岡田芳べえ 200504
香り来る金木犀の見あたらず 菊地惠子 酸漿 200512
帰国して見つけし風の金木犀 北島上已 酸漿 200512
折れ易き鼻にきてゐる金木犀 伊藤希眸 京鹿子 200512
金木犀存在感の香を放つ 塩川雄三 築港 200512
秋篠は金木犀の雨となる 久保まち子 築港 200512
まろまりしははの手をひく金木犀 斉藤裕子 あを 200512
葉漏れ日が金木犀を目覚めさす 川口襄 遠嶺 200601
金木犀真闇もつとも匂ひけり 牧長幸子 対岸 200601
金木犀の香に包まれし涙かな 柳生千枝子 火星 200601
人惚けるも年々薫る金木犀 御橋忠一 200601
散り敷きてそぼろの如し金木犀 住田千代子 200601
角曲るたびに匂へり金木犀 松田邦子 200601
地上口に出て金木犀区始まれり 高橋道子 200601
金木犀知りたきことは数知れず 倉持梨恵 200601
添ふ影も金木犀を去りやらず 三由規童 雨月 200601
あけぼのや峡のいづこに金木犀 中川悦子 酸漿 200601
金木犀咲く同志杜を通り抜け 柿沼盟子 風土 200601
喜久子の忌金木犀の匂ひけり 池崎るり子 六花 200601
婚了へて金木犀の雨となる 煙山郷子 200601
祝の日へ仕事大詰め金木犀 植松安子 200601
雑用とひとひをくらす金木犀 東亜未 あを 200601
金木犀山家の瓦褪せてをり 山下美絵子 遠嶺 200602
病棟に床屋来てをり金木犀 足立みどり 栴檀 200602
桂林讃歌しゅわしゃわこぼる金木犀 山元志津香 八千草 200603
憧れしひとより電話金木犀 内山弘幸 八千草 200604
目印は金木犀のあるあたり 倉持梨恵 200612
病院の金木犀の花明り 本間勇 酸漿 200612
湧くやうに金木犀の散り敷けり 高田令子 200701
力ある嬰の泣き声金木犀 小林眞彦 遠嶺 200701
金木犀盛りと庭の便りきく 桑田青虎 ホトトギス 200702
つつがなく母ふたりあり金木犀 斉藤裕子 あを 200711
通院の姑と見つけし金木犀 斉藤裕子 あを 200711
通院を姑と楽しむ金木犀 斉藤裕子 あを 200711
金木犀撮るに青空バックかな 松崎鉄之介 200712
夕日さすいみじき角度金木犀 林翔 200712
夜半の雨金木犀の根元染め 上藤八重子 酸漿 200712
もしかしてやつぱり君か金木犀 大島翠木 200801
たからかに帽子振る子や金木犀 加藤京子 遠嶺 200801
金木犀妻の言伝て忘れけり 松村義男 遠嶺 200801
金木犀ビオロンの音の流れ来し 植竹惇江 春燈 200801
鰐口の音に輪廻や金木犀 物江康平 春燈 200801
やがてまた人の立ちゐる金木犀 渡邉美保 火星 200801
寺町の角曲るたび金木犀 須藤美智子 風土 200801
図書館の窓開きあり金木犀 大坪景章 万象 200801
金木犀灯を継ぐ者の寡黙なる 浜田はるみ 遠嶺 200802
どの窓もしづかな朝金木犀 星井干恵子 遠嶺 200802
妹の手のひら温し金木犀 飯塚ゑ子 火星 200802
金木犀口が堅いと思はれて 星井千恵子 遠嶺 200812
横丁の二十歩ごとの金木犀 上原重一 200812
棺桶に手を掛け金木犀のみち 堀内一郎 あを 200811
金木犀散り敷くといふ見せ場あり 安居正浩 200812
バス待つや金木犀の色と香に 丹羽敦子 酸漿 200812
思ひとは金木犀の丸さかな 大島翠木 200901
姿見に映つてゐたり金木犀 谷岡尚美 200901
金木犀ミシン踏みたき日和なり 西氏宣子 遠嶺 200901
集ひたる笑顔の上の金木犀 新井田晃 遠嶺 200901
金木犀散る雨脚をしのぐ音 荒井和昭 200901
道幅にいつぱいの傘金木犀 倉持梨恵 200901
金木犀咲き初む朝の雨名残 高田令子 200901
しづかなるフリーマーケット金木犀 牧知子 炎環 200901
金木犀夜の静寂を香りけり 北川とも子 ぐろっけ 200901
金木犀咲きつ零れつ香立つ 小滝奈津江 酸漿 200901
コンビニヘ金木犀の角曲がる 吉沢陽子 200902
金木犀ついで銀木犀の香へ 宮下倫一 やぶれ傘 200903
古希なれば金木犀の香を惜しむ 宮下倫一 やぶれ傘 200903
金木犀銀木犀と垣続く 水原春郎 馬醉木 200910
窓ほそく開けて眠りぬ金木犀 栗原公子 200911
弓彦の披講の声や金木犀 石原みどり 炎環 200912
無垢のままこぼれ金木犀に雨 酒井秀穂 炎環 200912
路地裏は金木犀の蒔絵かな 鈴木阿久 200912
墨染の金木犀に紛れゆく 森岡正作 200912
快晴のまま夜に入り金木犀 大沢美智子 200912
樹木葬金木犀がいいといふ 木下もと子 200912
下敷きの邪鬼に切幣金木犀 田中貞雄 ろんど 200912
一角に電飾の如金木犀 斉藤裕子 あを 200912
うしろ姿に友の思い出金木犀 奈佐幸子 201001
金木犀銀木犀や牛の鼻 竹内悦子 201001
香しき金木犀の路地を行く 池田光子 201001
金木犀塀より高き兵士の墓 井海宏子 万象 201001
前庭と裏の庭にも金木犀 井海宏子 万象 201001
蔵一つ代々守り金木犀 井上あい 風土 201001
朝影に金木犀の薫りけり 高木千鶴子 酸漿 201001
質朴の正装夫婦金木犀 印南美紀子 酸漿 201001
山門の修理日和や金木犀 服部早苗 201002
踊りたし金木犀の香る夜は いそべみつ ろんど 201002
金木犀朝な夕なのセラピスト 植田雅代 ぐろっけ 201002
金木犀の下枝に静かなる蝶々 吉弘恭子 あを 201002
一の坂二の坂七坂金木犀 佐藤喜孝 あを 201002
近付きて纏ひたき香や金木犀 山崎里美 201012
あちこちに魔界への穴金木犀 篠田純子 あを 201012
あらためて思ひ出す人金木犀 早崎泰江 あを 201012
金木犀内緒ないしょの耳痒し 篠田純子 あを 201012
芳しさふり向きて見る金木犀 五十嵐満里子 酸漿 201012
その人の名の出ず別るや金木犀 棗怜子 春燈 201101
金木犀の香にまみれ羽化登仙す 水野恒彦 201101
金木犀盛ん小児科医院閉づ 岩下芳子 201101
金木犀海外旅行の子を送る 池田光子 201101
暮れがたの金木犀に雀入る 戸栗末廣 火星 201101
風を入れ金木犀の部屋となる 安藤久美子 やぶれ傘 201101
金木犀銀木犀の呪文かな 竹内悦子 201102
金木犀闇に流れのありにけり 山中志津子 京鹿子 201102
道逸れて金木犀の香に溺る 中野久雄 末黒野 201104
暮れそめて香の深まり来金木犀 上原重一 201112
金木犀籠抜け鳥の群れてをり 林いづみ 風土 201112
誰も来ぬひと日金木犀まみれ 竹内弘子 あを 201112
街中をほぼ支配下に金木犀 篠田純子 あを 201112
地にこぼれ金木犀の描く円 小川玉泉 末黒野 201201
日にまみれ金木犀のこぼれ花 小川玉泉 末黒野 201201
金木犀針の運びに匂ひ来る 大川暉美 末黒野 201201
金木犀蔵の踏み板軋むなり 原田達夫 201201
傾眠の母へ一と折り金木犀 松尾芳子 万象 201201
金木犀過ぎ去りし日の香なりけり 佐渡谷秀一 春燈 201201
掃く間にも髪にこぼるる金木犀 古井公代 ぐろっけ 201201
金木犀ガール・スカウト集まりぬ 池田久恵 ぐろっけ 201201
母の忌の金木犀をみな仰ぐ 杉浦典子 火星 201201
片付けて二階のさみし金木犀 蘭定かず子 火星 201201
ベルの鳴る尻ポケットや金木犀 丑久保勲 やぶれ傘 201201
金木犀香りを湖にはなちけり 佐藤喜仙 かさね 201202
衰へて知ること多し金木犀 松田泰子 末黒野 201202
金木犀腹式呼吸繰り返す 久世孝雄 やぶれ傘 201202
金木犀太極拳はゆつたりと 松本正生 やぶれ傘 201202
金木犀香り祖父母の参観日 紀川和子 うらら 201202
連瀑の飛沫に耐へる金木犀 中島玉五郎 201211
金木犀シャネルに劣らぬ香りかな 安藤虎酔 かさね 201212
金木犀一部始終を見てをりぬ 柴田朱美 京鹿子 201212
身に叶ふ明るさに居り金木犀 柴田朱美 京鹿子 201212
言葉より重き無言や金木犀 柴田朱美 京鹿子 201212
金木犀ささくれだちてくる気配 柴田朱美 京鹿子 201212
金木犀寺領俄に艶めけり 柴田朱美 京鹿子 201212
部屋の奥まで公園の金木犀 篠田純子 あを 201212
石蕗を受け皿とせり金木犀 早崎泰江 あを 201212
金木犀遥けき夢を呼びさます 紀川和子 201301
金木犀闇を深めてまぎれざる 成田美代 201301
植ゑ込みに隠れてくしやみ金木犀 橋本修平 かさね 201301
奥まつて瑠璃光如来金木犀 布施まさ子 風土 201301
金木犀十歩離れて匂ひけり 福島せいぎ 万象 201301
前世にもこの香に覚え金木犀 平田恵美子 ぐろっけ 201301
これからのことはさておき金木犀 宮地静雄 末黒野 201301
オレンヂの星空になる金木犀 出口誠 六花 201301
門ごとに敷かれしアート金木犀 藤井久仁子 ぐろっけ 201302
辞書を繰る見なれぬ文字や金木犀 古林田鶴子 ぐろっけ 201302
金木犀厠近くに遊女塚 有賀昌子 やぶれ傘 201302
眉月の白し金木犀かをり 河野美奇 ホトトギス 201303
金木犀ピアノ教師を招き入れ 鳳蛮華 201304
ある夜の月金木犀銀木犀 神蔵器 風土 201311
六十路かな金木犀は夕日色 頓所友枝 201312
金木犀の切麻(きりぬさ)を得し地鎮祭 田中貞雄 ろんど 201312
金木犀妻たる日々を忘れまじ コ田千鶴子 馬醉木 201312
金木犀人の匂ひを消しにけり 岩下芳子 201312
歯の痛み忘れて座する金木犀 鈴木初音 201401
十年目金木犀の返り咲く 明石文子 ぐろっけ 201401
廊下まで香り広げて金木犀 伊藤マサ子 ぐろっけ 201401
金木犀古き寺院の垣として 難波篤直 201401
金木犀散らしてゆけり里訛 鴨下昭 201401
金木犀夢のなかにも香の入り 有松洋子 201401
金木犀下校を告げる「七つの子」 岡田香緒里 やぶれ傘 201402
二階より声のありけり金木犀 竹内悦子 201402
散り初むる金木犀や夕間暮 清水元子 末黒野 201402
金木犀行きに帰りに会ふ男 田丸千種 ホトトギス 201402
庭に出て背伸びとあくび金木犀 久世孝雄 やぶれ傘 201402
金木犀人に懐かぬ鶏飼うて 宮井知英 201404
金木犀の根元で猫の眠りけり 有賀昌子 やぶれ傘 201407
金木犀 →2      

2021年10月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。