蝌蚪 1     100句

流れきて次の屯へ蝌蚪一つ    高野素十

おたまじゃくし  蝌蚪

作品
作者
掲載誌
掲載年月
屈むたび影の殖えゆく蝌蚪の池
小澤克己
遠嶺
199805
確かめし蝌蚪の所在の失せてをり
稲畑汀子
ホトトギス
199904
起きぬけのいのち熱かり蝌蚪に彳つ
神蔵器
風土
199904
蝌蚪生れて身に鎧ふものなにもなし
樋口英子
朝桜
199904
蝌蚪生れ林の奥の沼光る
村田近子
遠嶺
199905
水櫛をつかふ岸あり蝌蚪の國
中原道夫
銀化
199905
蝌蚪沈みゆけり頭を真逆さま
大橋敦子
雨月
199906
藻隠れに蠢きゐたる蝌蚪の群
岡本明美
俳句通信
199906
数字読みそめし子蝌蚪の尾のとれて
水谷芳子
雨月
199908
つぎつぎに泳ぎ出したる蝌蚪の水
安原葉
ホトトギス
199909
零といふ無限を追ひて蝌蚪およぐ
能村登四郎
芒種
199911
蟇蝌蚪なりしこと忘じけり
田中藤穂
水瓶座
200002
火の国の蝌蚪の大きさ水濁る
田中藤穂
水瓶座
200002
水暗く蝌蚪の動きの光るのみ
稲畑汀子
ホトトギス
200004
蝌蚪群れて命の変化はじまりし
稲畑汀子
ホトトギス
200004
水槽の四角に泳ぐ蝌蚪となる
稲畑汀子
ホトトギス
200004
水槽の天地を蝌蚪に放ちけり
稲畑汀子
ホトトギス
200004
掬はれて都会の蝌蚪となりにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200004
蝌蚪の池あかしの如く動く黒
稲畑汀子
ホトトギス
200004
池の蝌蚪へと水槽の蝌蚪消えし
稲畑汀子
ホトトギス
200004
迷惑を振り返りみる蝌蚪の群
中原道夫
銀化
200004
ずつてくる眼鏡押し上げ蝌蚪の水
浜口高子
火星
200005
蝌蚪の水ゆらゆら遠き日のゆらぐ
小林信江
200005
湧水よ蝌蚪の卵をあふれさせ
城戸愛子
酸漿
200005
裏通り蝌蚪はバケツに忘れられ
塩見恵介
虹の種
200005
蝌蚪生るる栄華の跡の浅き井戸
春田淳子
俳句通信
200005
蝌蚪生れて即一塊をなしにけり
朝妻力
俳句通信
200005
蝌蚪に足勘定書をふところに
中原道夫
銀化
200006
てのひらに蝌蚪狂はせてみたりけり
櫂未知子
銀化
200006
人住める高さ低さや蝌蚪の群
華明日香
銀化
200006
長じては行く先不明蝌蚪の群
折原あきの
船団
200006
たゆたふや梵字のごとく数の蝌蚪
西田孝
200007
満ちたるは欠けるにあらず蝌蚪泳ぐ
境良一
京鹿子
200007
蝌蚪騒ぐ夜を盗み撮る赤外線
境良一
京鹿子
200007
熊笹の池に揺らすや蝌蚪曇り
稲辺美津
夏椿
200007
蝌蚪がもう蛙泳ぎをしてゐるよ
山田弘子
円虹
200008
蝌蚪と呼ぶべきか蛙と呼ぶべきか
山田弘子
円虹
200008
まだ泳ぐことを旨とす蝌蚪に足
田口武
銀化
200008
ひつそりと蝌蚪の爆発三鬼の死
中尾寿美子
「狩立」
200102
くつきりと残す足跡蝌蚪の水
丹羽啓子
馬醉木
200104
蝌蚪の水朝の太陽昇り来し
稲畑汀子
ホトトギス
200104
この畦は蝌蚪の野川へ抜ける道
稲畑汀子
ホトトギス
200104
蝌蚪生れて黒き塊動き出す
栢森定男
あを
200104
教会の時鐘とどきて蝌蚪育つ
長尾康子
風土
200105
蝌蚪泳ぐ水槽光るシャンデリア
稲畑汀子
ホトトギス
200105
足の出て蝌蚪の末来を水槽に
稲畑汀子
ホトトギス
200105
急浮上してはへなへな蝌蚪沈む
友田直文
200105
検印は省略蝌蚪の生まれけり
森麟
銀化
200105
糸口は聖書にあまた蝌蚪生るる
峯尾文世
銀化
200105
突風の吹くたび蝌蚪の生まれけり
篠原俊博
銀化
200105
蝌蚪に足悲喜こもごもと水濁す
蔵持柚
銀化
200105
跼む子と影を重ねて蝌蚪の水
藤木竹志
馬酔木
200106
蝌蚪生るる祖父母の家へ畦伝ひ
阿部敬子
百鳥
200106
鈴の音に蝌蚪の生まるる神の池
渡辺政子
俳句通信
200106
廃校の溝にたちまち蝌蚪の国
成重佐伊子
俳句通信
200106
蝌蚪生れて日だまりへ尾をゆらしけり
成重佐伊子
俳句通信
200106
足音に頭を集めきし蝌蚪の群
小林光美
春耕
200107
母と子の笑顔揺れをり蝌蚪の水
渡邊英子
馬酔木
200107
帰郷して蝌蚪に小石を投げ込む奴
金子兜太
海程
200107
蝌蚪生まるピアノのうへにわいざつに
上原祥子
海程
200107
垂直に蝌蚪浮いてきてすぐもぐる
高重京子
200107
廃校の窓に汽車の絵蝌蚪生る
北吉裕子
俳句通信
200107
葦の根に堰かれては蝌蚪流さるる
鈴木夫佐子
200107
蝌蚪の尾の末を思へば水濁る
宇都宮滴水
京鹿子
200107
蝌蚪の国のぞき過ぎたる眩暈かな
小澤克己
遠嶺
200107
追突をして蝌蚪の列陸へ陸へ
坊城俊樹
円虹
200108
はけの水集めて蝌蚪の育ちけり
成澤桂助
百鳥
200109
蟇蝌蚪にいぼいぼありしやと
近藤忠よし
百鳥
200109
漣をさざめきわたる蝌蚪の群
坊城俊樹
ホトトギス
200111
蝌蚪逃げる集団なれば哀しい
井上湖子
海程
200111
空缶の蝌蚪ゆらゆらと下校の子
古川利子
200202
蝌蚪の池午後の日差の巡り来る
稲畑汀子
ホトトギス
200204
千枚田朝に蝌蚪の孵りけり
唯野まり
200204
蝌蚪生る五重の塔の影のなか
伊藤妙
200204
尾の前に頭をもちて蝌蚪生まる
朝妻力
雲の峰
200204
下校児の気配に蝌蚪の水濁す
河田青嵐
風土
200205
掬はれし蝌蚪の運命とかゝはりし
稲畑汀子
ホトトギス
200205
雲流る淀の中の蝌蚪の国
増田文雄
遠嶺
200205
水溜りに棄民のごとし蝌蚪の群
佐藤真次
200205
足音に驚く蝌蚪の影太し
万城希代子
200205
谷の田のあぶくの蝌蚪を見にゆかむ
伊藤多恵子
火星
200205
内乱に續く旱魃蝌蚪の國
中原道夫
銀化
200205
兄よりも妹が気丈や蝌蚪生まる
青山岬
銀化
200205
引つ込みのつかずに蝌蚪の群れてをり
佐藤多恵子
銀化
200205
日のかけら集めて蝌蚪の尾のあそび
豊田都峰
京鹿子
200206
黄泉の国見てきし蝌蚪の閑かなる
小澤克己
遠嶺
200206
蝌蚪の尾のさざなみに藻の揺れ揺るる
林翔
200206
蝌蚪生る朴念仁と言はれても
塩川雄三
築港
200206
過去帳の染みの飛んだる蝌蚪一つ
神蔵器
風土
200206
トルソーの映つてゐたる蝌蚪の水
水野恒彦
200206
つれづれの手ぶら歩きや蝌蚪の水
谷村幸子
200206
水槽に生れ次ぐ蝌蚪人の寄る
小林れい
酸漿
200206
生臭き蝌蚪の水なりゆらゆらす
高橋照子
雨月
200206
蝌蚪生れて野川賑はひ始めけり
武政礼子
雨月
200206
水槽を真っ黒にして蝌蚪を売る
神原操
雨月
200206
棒切れでつっつき蝌蚪を泳がする
神原操
雨月
200206
雨雲のひしめいてゐる蝌蚪の池
野路斉子
200206
蝌蚪生れて暗きこの世のものとなる
野路斉子
200206
吾が顔のぐっと迫るや蝌蚪の乱
泉田秋硯
200207
蝌蚪反乱行進曲を流さうか
塩路隆子
200207
蝌蚪 2→      

 

2021年3月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。