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雁のこゑすべて月下を過ぎ終る   山口誓子  七曜

  かりがね

作品
作者
掲載誌
掲載年月
わが胸の海原を雁渡りゆく 川口襄 王道 199809
水清冽にして初雁の高さかな 川口襄 王道 199809
一本の道つけて来し雁のこゑ 鷹羽狩行 199810
燗つけば子の呼びにくる雁の夜 鷹羽狩行 199811
空は陽の渚や雁の渡りをり 小澤克己 遠嶺 199811
雁啼いて雨空つづく仏国守 皆川盤水 春耕 199811
火口湖へ一羽が降りし雁の列 古屋元 199812
初雁やゆつくり渡る石の橋 堀江かつみ 199901
雁渡る天の深淵めくところ 檜紀代 199901
向き変へて三瓶へ落ちし雁の棹 石飛明子 円虹 199901
雁の棹一気に崩る湖の上 吉永克巳 199901
樹の皮の剥がれ易くて雁のころ 前田陶代子 199901
雁鳴くや馬柵打つ牧夫顔あげて 西村梛子 馬醉木 199902
離農告げゐたり菱食雁の鳴く 依田明倫 ホトトギス 199902
汝がサイロ菱食雁の野にぞ二基 依田明倫 ホトトギス 199902
星の杓菱食雁の声汲めり 依田明倫 ホトトギス 199902
町並みに一声雁の渡りけり 大谷茂 遠嶺 199902
アタックの魔女めく声も雁の頃 三神あすか 船団 199903
雁過ぎてにはかに変る門司の潮 広渡敬雄 「遠賀川」 199909
かざす手に雁の入りくる親しさよ 鷹羽狩行 199910
雁鳴くや琴の戻りし琴袋 鷹羽狩行 199910
小筆の穂なだめてをれば雁の声 鷹羽狩行 199911
トンパ文字なぞりてをりぬ雁のこゑ 平橋昌子 199911
雲低く首のべて雁渡りをり 石丸弥平 春耕 199911
逆潮の船足重し雁渡る 水原春郎 馬醉木 199912
雁渡る写楽の顎動くかに 岡本久也 199912
雁の棹いま折れかけてオホーツク 栃内和江 199912
雁が音や山岳監視はさびしかろ 武田伸一 海程 199912
雁渡る母校に樟の高かりし 小澤克己 遠嶺 199912
汐木焚く雁渡る道空に置き 陣野今日子 風土 199912
雁の声バンクーバーの海凪で 陣野今日子 風土 199912
令夫人の胸あきの服雁渡る 中原道夫 銀化 199912
雁の棹下方修正してをりぬ 水内慶太 銀化 199912
雁渡る湖北の山の低構へ 豊田都峰 京鹿子 199912
雁渡る夕日に砂洲の伸びてゐし 藤村美津子 春耕 199912
里曲の灯揃へり雁も戻るころ 佐藤国夫 馬醉木 200001
巉巖のくつきり雁の空澄める 浜下清太郎 ホトトギス 200001
初雁の来しふるさとの如き湖に 古賀昭子 ホトトギス 200001
子規庵への切符を買ひに雁の頃 浜口高子 火星 200001
雁や湾処は空のにほひもち 杉浦典子 火星 200001
三歳の子が見てをりぬ雁の空 河口仁志 200001
初雁や我も心の向き変ふる 大沼眞 200001
雁渡るてふ竹林の威容かな 稲畑廣太郎 円虹 200001
かはたれの雲と選みつ雁渡る 峯尾文世 銀化 200001
藤娘奴槍持雁渡る 延広禎一 200002
雁渡る言はず語りの隊列に 瀧新珠 京鹿子 200002
女てふ第三世界雁渡る 星野早苗 空のさえずる 200002
あかつきの寂破り立つ万の雁 村上光子 馬醉木 200002
燈台の閃光雁の棹みだす 高橋好温 馬醉木 200002
雁行の一棹沈む沼の藍 鈴木まゆ 馬醉木 200003
雁ゆくや屋上に置く三輪車 鈴木まゆ 馬醉木 200007
雁渡る雪くる頃と嗅ぎ分けて 奥田智久 ホトトギス 200008
落雁のもつるる如くこぼれ出す 奥田智久 ホトトギス 200008
雁渡りゆきなほ万羽翔たずあり 奥田智久 ホトトギス 200008
寢違へし頸を大事に雁の空 中原道夫 銀化 200010
一列に雁行きレール切り替わる 中林明美 船団 200010
黒点となれり東京無視の雁 阿部寒林 200010
雁や酒もて男みがくべし 西川五郎 馬醉木 200011
雁渡る疊の縁を踏まぬやう 中原道夫 銀化 200011
暮れのこる妙義山の険や雁渡る 安藤衛門 春耕 200011
初雁のこゑ聴きしより風つのる 根岸善雄 馬醉木 200012
どこまでも砂丘の起伏月の雁 清水明子 遠嶺 200012
空耳の疑ひもなき雁の声 深澤鱶 火星 200012
地のきしむ纜の張り雁のころ 青木直子 200012
北陸のアルプス寄りを雁わたる 古田考鵬 雨月 200012
雁渡る会津木綿の糸干せば 鈴木まゆ 馬醉木 200101
初雁や朝の火つくる艀妻 大森井栖女 馬醉木 200101
旋回に遅れし一羽雁渡る 松崎幹 200101
声降らせゆく夜の雁を黒く見し 柳生千枝子 火星 200101
雁の声響く山裾潮じめり 小池槇女 火星 200101
雁の鳴く夜がきて青し燧岳 高瀬哲夫 200102
晩学や雁の並びの端にゐて 星加克已 ぐろっけ 200102
去ぬ雁に埋め立てすすみゆく日本 千原叡子 円虹 200103
若冲の孤雁逆落としの華麗 中川芳子 200103
雁の空軍手十枚干し上げて 中林明美 船団 200103
千の雁の千の声きく倶会一処 佐藤国夫 馬醉木 200104
沼の雁暮天の雁と声つなぐ 佐藤国夫 馬醉木 200104
暁紅や白鳥の水に雁の水に 佐藤国夫 馬醉木 200104
寸莎練るや雁の堅田の町のなか 岡井省二 200104
雁行くや泪ひとつに約束す 稲辺美津 遠嶺 200105
胸病みしかの日遠しや雁渡る 八幡酔鵬 200106
夕映えの浅間の上を雁渡る 託正夫 200106
尉面の裏でこぼこや雁の棹 竹内悦子 200107
ヒトゲノムなんでもわかる雁わたる 松山順子 船団 200107

 「馬酔木」を辞す

一雁の列をそれたる羽音かな

能村登四郎 200108
雁のみちつとに赤松山よけれ 岡井省二 200108
雁渡る北前船の港寂び 石田邦子 祭笛 200109
藍の甕藍の甕よと雁わたる 岡井省二 200109
雁仰ぐのんどの力つひやさず 岡井省二 200109
雁の来てくらがりのふゆ村はづれ 豊田都峰 京鹿子 200110
一列の真ん中恐し雁の棹 鈴鹿仁 京鹿子 200110
連峯の蔵王の上を雁の棹 鷹羽狩行 200111
雁の列手話ではじまる殉教史 木山杏理 京鹿子 200111
石垣に八角の臼雁渡る 酒井多加子 俳句通信 200111
初の雁水に下りても列を組む 高木良多 春耕 200111
雁の聲どこぞに落ちし刺さるかに 中原道夫 銀化 200112
無窮なる故に溺れし雁の棹 中原道夫 銀化 200112
手翳しに火を守ることも雁の頃 大島康弘 銀化 200112
山寺にしばしの没日雁渡る 木下節子 雲の峰 200112
雁の棹双眼鏡をはみだして 保坂加津夫 いろり 200112
雁→ 2      

2021年11月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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